2013年 08月 20日
'13〜'14シーズン観戦記2-2
今までの対戦成績では負け越していますが、この前週破ったウエールズと比べれば、遥かに格下の相手。勝って当たり前だし、負けたらウエールズ戦勝利の価値が無くなってしまう文字通り負けられない一戦でした。
国歌斉唱の際のジャパンフィフティーン。
この一戦もボディーコンタクトの機会の多い両FLとCTBに外国人選手を置いていました。また負傷の福岡選手に代わり、藤田選手(早大)が先発しました。それぞれ注目すべき点です。
ジャパンボールのキックオフで試合開始。
開始早々、ジャパンは持ち前の素早さと連続攻撃でアメリカ陣深く攻め入り、注目の藤田選手が先制トライ。怪我で一年棒に振りましたが、将来のジャパンを背負って立つ選手の一人である事は間違いありません。五郎丸選手のキックも相変わらず安定していて難しい位置からのコンバージョンも成功。7-0とリードします。
しかし、水曜日にカナダと戦ったばかりのジャパンの選手には少々疲労の色がみられました。15分、20分と連続してトライを奪われ、7-12と逆転されてしまいます。暑いし、キツい日程の下だし、格下とはいえアメリカ人どもはデカイし、とネガティブな思考が頭を駆け巡りましたが、どっこいジャパンの選手達は進化してました。自分達がいままで積み重ねてきたプレーを継続すれば負ける相手ではない、という落ち着きが感じられましたね。ウエールズ、カナダを撃破した自信もあったのだと思います。
24分にCTBマレ・サウ選手がトライして同点。その後1PGを決められて勝ち越されたものの、前半終了間際にはヘンドリック・ツイ選手がトライしゴールも決まって19-15と4点リードで折り返し。
安定していたスクラム。しかし本当はかなり余裕を持って組み勝っていたのだということが後ほど判明します。
やはり安定していたラインアウト。両チームとも確実にマイボールをキープ。
ジャパン連勝の一つの要因である五郎丸選手のプレースキック。この日も安定してました。
後半に入ると、明らかにアメリカの運動量が落ちました。ジャパンのフィットネスの高さが威力を発揮するのはこれから。開始早々広瀬キャプテンがトライを奪います。
そしてなんと言ってもこの試合の圧巻は後半12分。相手の反則からゴール前でのペナルティーを得たジャパンはPGを狙わず、スクラムを選択します。広瀬キャプテンはPGを狙う様指示したみたいですが、FW陣はスクラムに相当自信があったんでしょうね。
その自信は過信ではありませんでした。2度ほどアメリカが圧力に屈してコラプシングを取られ、3度目には認定トライを奪いました。スクラムトライを奪ったのと同じくらいのダメージをアメリカに与える事に成功しました。素早さだけでなく、パワーも外国勢に劣らぬものを身につけてきたというところですかね。この認定トライにはシビレました。特にフロント陣は天にも昇るような気持ちだったのではないでしょうか?
その後、動きの鈍った相手の一瞬の隙をついた田中選手が密集サイドを抜け、そのままトライ。スーパーラグビーでの活躍は伊達ではありませんね。
試合は最後の最後にアメリカが意地を見せて1トライ奪い返しますが、時すでに遅し、最終スコアは38-20でジャパンの勝利。快勝といってよい内容でした。
まあ、世界ランクから言っても、勢いから言ってもこの試合は勝って当たり前の試合ですが、そういわれた試合をいくつも落としてきたのがジャパンの歴史です。勝つべき試合を確実に勝ち切ったというところに進歩を見る事が出来ますね。
試合後のビールの味は格別でした。ジャパンの選手諸君はこれに驕る事なく、一歩一歩世界の頂点を目指していただきたいと思います。
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by lemgmnsc-bara
| 2013-08-20 20:36
| ラグビー関連
2013年 08月 19日
'13〜'14シーズン観戦記2-1
さて、当日はお目当てのジャパン戦の他にトンガvsフィジーというアイランダー同士の対決もありました。ナドロやニリ・ラトゥなど日本で活躍中の選手も多々出場してました。
試合前の練習で円陣を組むフィジーの選手達。
フィジー、トンガ、サモアの3国はオールブラックス同様、試合前にウォークライを相手に浴びせるという風習があります。この試合はウォークライの応酬が観られました。
まずはフィジー。
続いてはトンガ。
これはこれでなかなか趣のある催しですね。ジャパンも何か考えればいいのになぁ。鎌倉時代の開戦の作法に則って鏑矢を打ち込むとか…。さすがに実際の武器を持ち込むのは無理だと思うので、横綱の土俵入りでもやりましょうかね(笑)。
閑話休題。試合は剛のトンガに柔のフィジーという趣で進みます。ガツガツと密集近辺をついて小刻みに前進し、力勝負にこだわるトンガと、なるべくフィールドを一杯に使って速い展開をめざし、個人技を活かしたいフィジー。序盤はトンガの方が押し気味でしたが、なかなかトライを奪う事が出来ずに、PGで得点を重ねます。対するフィジーは、こぼれ球を拾ったプレーヤーが、ヒョイヒョイとディフェンスをかわして独走し、2トライを奪うという対照的なゲーム運び。前半は14-14のタイスコアで終了。
スクラムはほぼ互角。当日は日本独特の湿気のある暑さだったため、さすがのアイランダー達も体力の消耗を抑えるためか、あまり積極的にはコンテストしていないようでした。少々物足りなかったかな。
ラインアウトも互角。双方ともにマイボールを確実にキープしていたという印象。
後半も展開的には前半と同じ。FWがガツガツ前進するトンガとそれをしのぎつつ、隙あらばBKへの展開で逆襲しようとするフィジー。まあ、しかし懐の深さという意味においてはフィジーの方が一枚上手でしたかね。トンガが小刻みに直線的に前進してくるのを巧くいなして、ターンオーバーから一気にトライ、っていうパターンで2連続トライを奪います。相手のディフェンスのわずかなほころびを見逃さない巧さと、一瞬の加速で相手を置き去りにする走力。さすがに7人制では世界のトップを走るチームです。ボールゲームという意味に関してのフィジーの理解度とメリハリの付け方で格闘技に持ち込みたいトンガを軽くいなしたってところですかね。すこし毛色は違いますが、往年の早明戦をイメージしてもらうと分りやすいですかね。最終スコアは21-34でフィジーが勝利。
戦いを終えて、お互いを称え合う両国の選手達。
「前座」の試合も終わり、いよいよ我がジャパンとUSAの一戦を迎えました。が、今日はもう力が尽きたので、肝心のジャパン戦は稿を改めたいと思います。
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by lemgmnsc-bara
| 2013-08-19 20:11
| ラグビー関連
2013年 08月 19日
『ローンレンジャー』鑑賞
ローンレンジャー公式HP
ハリウッドのネタ不足はいよいよ深刻な様で、この「ローンレンジャー」というネタそのものは1933年のラジオドラマがオリジナル。その後何度かの映画化やTVドラマ化を経て、また使い回されたという訳です。
まあ、ハリウッドの作り手が信じて疑わない「ヒットの法則」である勧善懲悪とハッピーエンドに則った非常にオーソドックスな冒険活劇でした。2時間40分という長い上映時間にも関わらず、あまりその長さを感じさせはしない作りにはなっていたと思います。
予定調和のヒーローモノですから、最後は「正義が勝つ」。時代劇になじんだ日本人にとっても受け入れやすいストーリーです。
変な新解釈を入れず、古来からのドラマ作りに徹していたのも好感が持てるところです。例えば「当時の人間がこんな現代的な言葉遣いしてるわけねーじゃん」という突っ込みを入れたくなる所はなかったような気がします。まあ聞き逃しただけかも知れませんが(笑)。
ラストのアクションシーンは見事でした。『ウイリアム・テル序曲』というBGMの選び方がクラシッカルでよろしい。この曲は1933年当時からこのネタの定番曲だったそうですから、使われて当たり前ではあるのですが、気分を高揚させてくれる曲ではあります。そしてその興奮が最後の最後まで続くんですから、その点は素直に評価したいと思います。
一つ残念だったのは主人公ジョンの想い人である嫂があまり美しくなかったこと。好みの問題もあるかも知れませんが、もっとメジャーなキレイどころを起用してもよかったんじゃね?とは思いました。
肩の凝らない一作でした。最後のアクションシーンは映画館の大画面と大音量で味わう価値ありだと思います。
ハリウッドのネタ不足はいよいよ深刻な様で、この「ローンレンジャー」というネタそのものは1933年のラジオドラマがオリジナル。その後何度かの映画化やTVドラマ化を経て、また使い回されたという訳です。
まあ、ハリウッドの作り手が信じて疑わない「ヒットの法則」である勧善懲悪とハッピーエンドに則った非常にオーソドックスな冒険活劇でした。2時間40分という長い上映時間にも関わらず、あまりその長さを感じさせはしない作りにはなっていたと思います。
予定調和のヒーローモノですから、最後は「正義が勝つ」。時代劇になじんだ日本人にとっても受け入れやすいストーリーです。
変な新解釈を入れず、古来からのドラマ作りに徹していたのも好感が持てるところです。例えば「当時の人間がこんな現代的な言葉遣いしてるわけねーじゃん」という突っ込みを入れたくなる所はなかったような気がします。まあ聞き逃しただけかも知れませんが(笑)。
ラストのアクションシーンは見事でした。『ウイリアム・テル序曲』というBGMの選び方がクラシッカルでよろしい。この曲は1933年当時からこのネタの定番曲だったそうですから、使われて当たり前ではあるのですが、気分を高揚させてくれる曲ではあります。そしてその興奮が最後の最後まで続くんですから、その点は素直に評価したいと思います。
一つ残念だったのは主人公ジョンの想い人である嫂があまり美しくなかったこと。好みの問題もあるかも知れませんが、もっとメジャーなキレイどころを起用してもよかったんじゃね?とは思いました。
肩の凝らない一作でした。最後のアクションシーンは映画館の大画面と大音量で味わう価値ありだと思います。
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by lemgmnsc-bara
| 2013-08-19 18:39
| エンターテインメント
2013年 08月 18日
『カンコンキンシアター クドい!27飯尾ケニアに行く!』鑑賞
今年も大体私と同年代くらいの元オタクとか現役オタクらしき、ちょっと濃い、体型の大きめな皆さんが観客として多数詰めかけていました。ま、私もその一人なんですけど…(笑)
開演前に舞台を「盗撮」。
直後に係員のおねーさんに注意されちゃいました。
舞台は例年通り、「裏関根」満開の、毒とナンセンスに満ちたコント集でした。関根氏ならではのちょっと一般人、いや「一般芸人」とは別角度で追究された笑いは相変わらずパワフルでしたねぇ。残念ながら当家ではNHKの朝ドラを観るという習慣がないもので『あまちゃん』をネタの背景に使ったコントだけは少々意味がわかりませんでしたが。
この公演の中では、かならず、参加したグループによる持ちネタ披露があるのですが、キャイ〜ンは安定していましたね。ウド鈴木のボケと天野の突っ込みは最早名人芸。ウド鈴木氏の演、技なんだか地なんだかわからない狂気ぶりに拍車がかかってきてます。天野氏は公演全体における突っ込み役というポジションがしっかりハマっています。
今年もエネルギーは狂言師を題材にした「もしも」ネタを出してきました。昨年ほどの衝撃はなかったものの、「もしも狂言師がファストフードの店員をやったら?」というネタはなかなか面白かったですね。平子が狂言にチャレンジし続ける間はこのネタは使えますね。
今年に関しては飯尾和樹と林宏美という共演者カップルが誕生した事で、そのことをいじり倒されてました。まあ、こうやっていじり倒すことが関根一座流の祝福方法なんでしょうね。飯尾氏はイジラレキャラですから、うれしそうにイジラレてましたし。
その他目立ったのはイマイガワの井川氏。「心の闇」というテーマで一人コントを繰り広げたのですが、もし女から「私と仕事とどっちが大事なの?」という理不尽かつよくありがちな質問を受けた際の「体調による」という答えにはこの公演中一番笑わせていただきました。
座長の関根氏も毒気がありましたねぇ。今井久美子との評論家コントは個人名出しまくりの批判しまくり。メジャーな場では絶対に見せる事のない毒気です。この毒気は、毎年パワーアップしているにもかかわらず後味の悪さを感じさせません。この辺が関根氏の関根氏たる所以でしょうね。「一般芸人」とはやや異なった視点でモノゴトをみている視点と独特の台詞の選び方が奏功していると思います。
はやくも来年の公演を心待ちにする心境です。
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by lemgmnsc-bara
| 2013-08-18 07:45
| エンターテインメント
2013年 08月 13日
『痺れる』を読んだ
久しぶりに読んだグチャグチャ系女流作家沼田まほかる氏の短編集。
以前から常々申し上げている通り、私はこの世で一番怖いものは人間だと思います。それも狂気と正気の境を越えるか越えないかのところで揺れ動いている人間の心理とそのような精神状態が引き起こす行動が恐ろしい。この本はまさにその境界線上にいる人間達の、現実とも幻想ともつかないような姿を描き出している作品が9編収められています。
一作目の『林檎曼荼羅』がまず怖い。認知症が始まってしまった人間というのは本当に予測もつかない事を引き起こします。でも発症した方にとっては常規を逸していようとなんだろうと、それが「合理的」な「現実」なのです。私の父も自分で食事をした事を忘れてしまい、炊飯ジャーの中の飯が「知らないうちに」減っていると思いこんで、「最近この辺には飯盗人が出るんだ!!」と大騒ぎした事がありました。父の場合は笑い話で済みましたが、意識の混濁の中で例えば人を殺してしまい、本人はまったくその記憶がない、などということが発生しないとも限りません。
また一見「正常」そうに見える人に潜んでいる狂気も怖いですね。本当にこの世の中どんな人がいるのか分りませんから…。
などというリアルな寒気を感じさせてくれる作品集でした。もちろんただ怖いだけではなく、あっと驚くようなオチがついている作品もありましたし、エンターテインメント作品として十分に楽しめる一冊でもありましたね。沼田氏については「出ると買い」作家リストに入れさせていただきましたので、早速KindleでDL出来るものはしちゃいました。しばらく「在庫」として持ち歩く事になりそうですがね(笑)
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by lemgmnsc-bara
| 2013-08-13 21:25
| 読んだ本