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『食いものの恨み』を読んだ

食いものの恨み
島田 雅彦 / / 講談社
ISBN : 4062758660
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文庫本の腰巻きによれば「痛快グルマン・エッセイ」。グルメは食通ですがグルマンは食いしん坊の意。島田氏の少々ナルな日頃の言動からすると、高級な珍味や酒を飲み食いする「グルメ・エッセイ」なのではないかと思って読んでみたらさにあらず。

もちろん高級な食い物も多々出てはきますが、いわゆるB級グルメの話題も多いし、講師を務める大学の学生食堂のうどんのまずさや、学生と飲みにいって居酒屋メニューを食す話なども書かれています。

インドに行って屋台と高級店のカレーを食べ比べていたかと思うと、韓国に行ってクジラの刺身を味わいビールと焼酎を鯨飲する。沖縄料理を中心とした南方の食い物に関しての1章があるかと思えば、冬の東北で寒の時期にしか味わえない食材を楽しむ。自らアンコウなどを料理したり奈良漬けの漬け床にパパイヤを漬込んだりすることもある。

まさに融通無碍の「グルマン・エッセイ」でした。

読んでいて印象に残ったのはやたらと「歯茎」という言葉が出て来たこと。昆布にからみつかれたり、肉汁が染みていったり、ワインで洗われてみたり。確かに食い物ってのは舌だけではなく口の中全体で味わうもので、歯茎も味覚を感じる感覚器の一部なのですが、普段はあまり意識しません。この辺の目のつけどころが島田氏ならでは。歯茎っていう言葉が出てくるだけで単なる食事が「官能的」にすらなってしまいますからね。

島田氏の意外な一面を垣間みることのできた1冊でした。
by lemgmnsc-bara | 2008-02-09 07:44 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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