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『ラグビーのちから―モラル・エージェントからスキル・コーチングまで』を読んだ

ラグビーのちから―モラル・エージェントからスキル・コーチングまで
/ 叢文社
ISBN : 479470576X
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著者上野裕一氏は流通経済大学ラグビー部GMと日本ラグビー協会の要職を兼務する指導のスペシャリスト。

二つ前の記事で紹介した「ノーサイドの精神に学ぶ人間学」同様、ラグビーというスポーツの歴史から人間形成に果たす意義までを解説した本ですが、こちらの方が押し付けがましくない分、違和感なく読めましたね。

具体的なトレーニング方法やテーピングの方法なども紹介されていたので「お得」でもありました。ウォーミングアップや筋トレなどすぐにでも取り入れたい手法もありました。

ラグビーはお互いの肉体を筋肉の鎧で武装してぶつかり合う、死の危険性すらはらむ激しいスポーツです。ゆえにレフェリーの裁定に絶対的に従うのは当然のことであり、レフェリーがみていないからといって卑怯な手段や危険な手段を用いては断じてならない、とする著者の主張には全面的に賛成です。

実際にはきれいごとばかりじゃなく、グレーゾーンでの反則すれすれの技術を持った選手が「巧い」と言われていたりもしますがね。あとは見苦しいし、悲しいのが試合中の暴力行為(密集の中での踏みつけや殴りつけなど)ですね。日本代表にも頻繁にラフプレーを繰り返す選手がいました。この選手のプレーのセンスは非常に素晴らしかったのですが、レフェリーの笛が吹かれた後やボールのコンテストとは無関係なところで殴ったり引きずり倒したりといった「汚いプレー」が多かったので応援する気になれませんでした。因果応報ということなのかも知れませんが、この選手はワールドカップを目の前にケガをして出場出来ませんでした。

私自身もラフプレーを絶対していないなどとは口が裂けても言えません(苦笑)。血気にはやった若い頃は殴り合いになりそうなプレーをしてしまったことも多々あります。最近精神安定剤のお陰(?)で落ち着いて来たせいか、ようやく暴力行為を働いたプレーヤーは正当なプレーで痛めつけてやる、という気持ちになりましたがね。要は暴力行為が行われやすい密集には追いつかないし、スクラムになればいつでも敵が取れるっていう自信がついただけなんですけど(爆)。

その他、ノーサイドの精神の具体例としてゲームの後には必ず、お互いが酒を酌み交わしながらラグビー談義に花を咲かす「アフターマッチファンクション」の存在を紹介しています。ここでも勝者は驕らず、敗者は称えられるという「紳士のスポーツ」としての美風が継承されています。たまに勝者を逆上させるような驕り高ぶった言葉を吐く敗者もいますがね(次回の対戦こそ「ぶっ殺す!!」ってどこが紳士のスポーツだ?)。
by lemgmnsc-bara | 2007-11-03 07:54 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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