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『水滸伝11 天地の章』を読んだ

水滸伝 11 (11) (集英社文庫 き 3-54)
北方 謙三 / / 集英社
ISBN : 4087461971
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北方版水滸伝も巻を重ねること11冊目。

今巻では、勢力を拡大する梁山泊の組織が着々と強化されて行き、小規模な国家として宋に対峙する姿が描かれます。

戦を1回起こせば多数の死傷者がでます。原作では梁山泊の名声を聞きつけ各地から続々と人が集まり、兵の数はどんどん増えて行く、としてつじつま合わせがなされています。

死者はともかく、重傷を負い戦えなくなった者はどうするのか?北方版では「国」を支える産業(武器の製造、牧畜など)に従事させています。それぞれが与えられた仕事をこなし、組織の力となる・・・。まさに理想の福祉国家です。こういうところも北方版はリアルです。

そんな中で今回は、執事として李応の下で李家荘を支えて来た杜興が、軍の司令官として1本立ちする姿がクローズアップされています。戦闘を重ねるうちに心に傷を負ってしまった兵を鍛え直すことに絶妙の手腕を発揮していく姿はまさにメンタルヘルスケアの一つの形です。こんなところまでリアルです。

さて、今巻では首領のひとり晁蓋が暗殺されてしまいます。元々原作でも梁山泊の体制が整う前に死んでしまう設定になっているのですが、曲者に設定されている史文恭に見事に暗殺されてしまいます。この史文恭も原作では堂々たる武将ですが、北方版では複雑な屈折を持った「忍者」として描かれています。

武の首領晁蓋亡き後の梁山泊がどうなって行くのか?次巻の発刊が待ち遠しいです。
by lemgmnsc-bara | 2007-08-28 06:42 | 読んだ本

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