2007年 03月 13日
『ワインと外交』を読んだ
ワインと外交
西川 恵 / / 新潮社
ISBN : 4106102048
スコア選択: ※※※※
著者は毎日新聞専門編集委員の西川恵氏。テヘラン、パリ、ローマの特派員を経験しており、外交の現場を饗応という視点からつぶさに観察された結果をまとめています。
国家の首脳同士の食事は、ただ高級な料理を食べ、高級なワインを飲んで親交を深める場ではなく、国同士の思惑の絡んだ外交のまさに現場であり、そこで供される品々には一つ一つ深い意味があるということを、具体的な料理とワインを紹介しながら説いています。
個人的にはヨーロッパ拡大記念式典の際のアイルランド大統領主催の晩餐会のトピックが興味深かったです。この晩餐会でサーブされた赤ワインはシャトー・ランシュ・バージュ97ですが、フランス語のランシュ(Lynch) は英語読みするとリンチとなります。このワイナリーは17世紀にアイルランドがイギリスと戦争している時に、イギリス軍に追われ、フランスへ脱出した貴族のジョン・リンチの長男がボルドー市のワイナリーの娘と結婚し、自らの姓Lynchとワイナリー近辺の地名バージュをとって命名したものだそうです。ワイン選び一つをとっても、これだけの物語がその影に潜んでいるわけで、饗応外交というものの奥深さには感心しました。
食生活上の儀礼を、招待国側にあわせるのか、ゲスト側にあわせるのか、も重要なファクターだし、宗教上禁忌とされている食物や飲料はないかなど、相手の国情に通じていなければいけないし、国際的に的確なもてなしっていうのは非常に難しいですな。
西川 恵 / / 新潮社
ISBN : 4106102048
スコア選択: ※※※※
著者は毎日新聞専門編集委員の西川恵氏。テヘラン、パリ、ローマの特派員を経験しており、外交の現場を饗応という視点からつぶさに観察された結果をまとめています。
国家の首脳同士の食事は、ただ高級な料理を食べ、高級なワインを飲んで親交を深める場ではなく、国同士の思惑の絡んだ外交のまさに現場であり、そこで供される品々には一つ一つ深い意味があるということを、具体的な料理とワインを紹介しながら説いています。
個人的にはヨーロッパ拡大記念式典の際のアイルランド大統領主催の晩餐会のトピックが興味深かったです。この晩餐会でサーブされた赤ワインはシャトー・ランシュ・バージュ97ですが、フランス語のランシュ(Lynch) は英語読みするとリンチとなります。このワイナリーは17世紀にアイルランドがイギリスと戦争している時に、イギリス軍に追われ、フランスへ脱出した貴族のジョン・リンチの長男がボルドー市のワイナリーの娘と結婚し、自らの姓Lynchとワイナリー近辺の地名バージュをとって命名したものだそうです。ワイン選び一つをとっても、これだけの物語がその影に潜んでいるわけで、饗応外交というものの奥深さには感心しました。
食生活上の儀礼を、招待国側にあわせるのか、ゲスト側にあわせるのか、も重要なファクターだし、宗教上禁忌とされている食物や飲料はないかなど、相手の国情に通じていなければいけないし、国際的に的確なもてなしっていうのは非常に難しいですな。
by lemgmnsc-bara
| 2007-03-13 00:25
| 読んだ本