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『IT The End それが見えたら終わり』鑑賞

大ヒットし、世の中に「ピエロ恐怖症」を持つ人々が少なからずいる、ということを世に知らしめた『IT』の続編。

前作で、殺人鬼ピエロペニーワイズがデリーの街に出現したのは1989年。そしてペニーワイズは27年周期で出現するという設定となっているため、次に登場する2016年が舞台となっています。

前作で自然発生した『Loosers(負け犬クラブ)』の7人の面々が、アラフォーを迎えた年回りとなる今回も、ペニーワイズと戦う役目を担います。とはいえ、アラフォーといえば働き盛りで、家庭の中でも中心的役割を担う年回りでもあり、メンバーのそれぞれが、それぞれの生活を持っています。万障お繰り合わせの上、ご参集願いますと言っても簡単には集まれないであろう日常が一旦描かれますが、それでも結局は集まってくるのは、展開上のご都合主義って感じもしますが、「前回」から27年経ったということによる運命の糸が為した業であると解釈しておきましょう。

ルーザーズのリーダだったビルは脚本家で、創作に悩む日々を投げ出し、紅一点のべバリーはDV夫の元から逃げ出すように、神経質なスタンダップコメディアンのリッチーはダダスベリした舞台の傷心を抱えて、リスク分析官のエディは仕事と妻に追いまくられている日常をほっぽり出して。肥満児で常にいじめられていたベンだけは、腹筋の割れたイケメンに変わっています。この5人がただ一人、デリーの街に住み続け、ペニーワイズの謎を追求しているマイクからの連絡でデリーへと舞い戻ります。あと一人、スタンリーだけは、マイクからの連絡後自殺してしまいます。この自殺シーンあたりから、単なるスプラッタの恐怖に加え、心理的な恐怖が加わってきます。

ペニーワイズは前回と違い、無差別に大量の人々を殺すシーンは出てきません。ただし彼の張り巡らした網にかかってきた人物は無残に殺されはします。今回の敵は「参加辞退」したスタンリーを除く6名だという事をペニーワイズも自覚しているようですね。

さて、6人とペニーワイズの戦いは、6人それぞれの「前回」の記憶と、現時点を行き来しながら繰り広げられます。「前回」の記憶は、ペニーワイズへの恐怖だけではなく、当時の「負け犬根性」エピソードまでも蘇らせてしまい、長じるに従って封印していた嫌な記憶までもが各人を襲ってくるという、トラウマのかさぶたを引き剥がして再度たっぷり塩を刷り込むような非常な痛みを伴う戦いとなります。メインストーリーはこの過去との戦いとなります。

そして最後の最後の大決戦。うーん、ここはどう書いて良いものやら…。ネタバレにはしたくないのですが、ある程度ストーリーを説明しないと感想を述べることができないんです。うまい書き方を思い浮かべることができないので、興ざめ覚悟で、感想を書いてしまうことにします。

ピエロは本来道化役で親しみやすく、面白い存在であるはずなのですが、なぜ、その姿形に恐怖を覚えてしまう人がいるのでしょうか?それは、ある意味勝手な思い込みです。よくよく見たらメイクが気持ち悪いとか、思いもよらないところから突然出現してびっくりさせられたとか、直接的な理由もあるでしょうが、他人がどう思おうと、自分が怖いと思ったものは怖いんです。ペニーワイズは、この恐怖心を取り入れて、自分を見る人に自分が与える印象を強くしていったのです。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ではありませんが、受け取るほうが、勝手に怖い怖いというイメージを募らせているからこそ、怖く見えるし、実際に怖い存在になってしまうのだ、という「落とし前の付け方」は心理学的には合理的なのですが、ストーリーを追いかけている身としては、肩透かしを食らった感が否めません。戦いの結末をどう見るのかは、各人各様ではありますが、少なくとも私はそう感じました。ネタバレどころか、むしろ何が何だかわからなくなった、という方は、とりあえず、実際の作品をご覧ください(笑)。

戦いが済んだ後のシーンがちょいと余計。脚本家であるビルは、映画製作の現場からも読者からも「結末の付け方」が上手くないとして散々批判されていますが、この作品もしかり。戦い後のシーンはいらねーんじゃねーのってのが素直な私の感想です。『Stand by me』のような青春友情物語シーンが展開されちゃうってのはちょっとご勘弁、ってな感じです。この映画の原作も『Stand by me』の原作もスティーヴン・キングですので「パクリ」には当たりませんが、同じシュチュエーションの使い回しではありますね。

それにしてもエキサイトさん、いつになったらライフログ復活するんですかね?もう1ヶ月くらい不具合解消されないままですよ。



by lemgmnsc-bara | 2020-05-17 13:56 | エンターテインメント

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