『天と地と』鑑賞

天と地と [DVD]

榎木孝明,津川雅彦,浅野温子/角川ヘラルド映画

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角川映画の(制作費だけで考えると)超大作。主人公の上杉謙信役は渡辺謙氏が演じるはずだったのですが、急性白血病を罹患して降板。急遽オーディションで選ばれた榎木孝明氏を主役として撮影された一作です。榎木氏はこの映画出演をきっかけにブレイクし、のちには浅見光彦役で人気を博しました。

原作は海音寺潮五郎氏の同名小説。ちょっとググって調べてみたら。海音寺氏は、執筆当時川中島の攻防に関して描かれた物語は、すべて武田氏側の視点からのものばかりだったので上杉方から見た川中島の戦いを書きたいという意図の下でこの物語を記したそうです。言われてみれば、確かに上杉方視点の物語というのはパッとは思いつきません。私が知らないだけでしょうけど…。

上杉謙信という人物そのものが、戦国大名としてはメジャー中のメジャー的存在ですが、実はその生涯には謎が多い。その分創作者にとっては話を膨らましやすい人物でもありますがね。

今作の謙信は、古い武家社会の優等生としての側面がやや強調されていたと思います。当時の最新兵器である火縄銃に関しては、足軽雑兵が、遠くから名のある武将を射ち倒すことができる卑怯なシロモノだとして導入に消極的だったし、武田氏との戦いにしても、盟友関係だった北信濃の豪族村上義清の救援要請に応えたもので、決して信州征服を目論んだものではないという描き方になっています。

マイナスの側面である、大酒飲みだったとか同性愛者ではないかという疑問に関する描写は一切ありません。ただひたすら義に生き、義に殉じようとする姿が描かれます。なんというか、人間味のあまり感じられない人物像で、感情移入がしにくいんですよね…。

また、この作品の一つの見どころとして、CGなどを使わず、大量のエキストラを投入して、大軍同士の戦いをリアルに描いたシーンというのがありましたが、率直に言って私には画面がうるさすぎました、。劇場の大きなスクリーンで観ればもう少し違う感想になったかもしれませんが、局地戦でのディテールにこだわるあまり、何が何だか分からずに、ただ馬が走り回っているとしか感じられなかったんです。間、間に戦場全体の俯瞰図のようなものを入れて、両軍全体の陣形や、ダメージの多寡などをわかりやすくする工夫は必要だったように思います。

この作品、「大人の事情」で前売り券は多数捌けたものの、実際の観客は非常に少なかったそうです。作品そのもののできは巷間酷評されているほどの悪さではなかったと思うのですが、何か一つ決定的な盛り上がりにはかけていたような気はします。



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by lemgmnsc-bara | 2018-09-05 11:40 | エンターテインメント | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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