『ナチュラル・ボーン・キラーズ』鑑賞

ナチュラル・ボーン・キラーズ ディレクターズカット [Blu-ray]

ウディ・ハレルソン,ジュリエット・ルイス,ロバート・ダウニー・Jr,トミー・リー・ジョーンズ/ワーナー・ホーム・ビデオ

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クエンティン・タランティーノ脚本、リドリー・スコット監督のバイオレンス映画。

主人公はミッキーとマロニーのカップル。実父に性的虐待を受けていたマロニーの家にミッキーが肉を届けにきたのが二人のなれ初め。二人はマロニーの両親の殺害を手始めに、盗んだ車でアメリカ各地を走りながら、殺人と強盗を繰り返します。

彼らの行動に、思想や快楽があったわけではありません。ただ、気に入らなければ殺し、金品が必要になれば、殺して奪うだけ。「必要に迫られたから、殺っただけだよ…、っつか、殺すことに特に意味があるわけじゃねーよ」なんてな事を軽く言い放ってしまいそうなところが不気味。「人を殺して見たかった」という理由だけで殺人を犯した若者が日本にも少なからずいますが、彼らの心象風景もこんな感じだったのでしょうかね。「殺してみたかった」という「理由」があるだけ、まだ日本の若者の方に理解の手がかりがあるような気がしますが…。何れにせよ殺人が大罪であり、決して許される事でないのは確かな事です。

殺されるのが人なら犯罪ですが、人間が食物を摂るということは何かしらの生物の生命を奪っていることなのですから、ミッキーとマロニーの行動は、そうした人間の「原罪」のメタファーなのかもしれませんね。

さて、不気味さが不気味さだけで終わらないのが、タランティーノが制作に関わった作品の特色。結局は警察に捕まってしまいますが、散々に人を殺しまくったこのカップルはいつの間にか、マスコミと、マスコミによってもたらされる情報を曲解した大衆によって「現代のヒーロー」に祭り上げられ、収監先の刑務所にいかにも軽薄そうなレポーター(ロバート・ダウニーJr 若い!大友康平によく似てます。こんなおバカな役をやってたんですね、後のアイアンマンは)が独占インタビューをしにやって来ます。その際、ほんの些細なことがきっかけで、刑務所全体に暴動が起こり、そのドサクサを突いてミッキーとマロニーはなぜか、このレポーターを伴って脱獄します。この出来事は、普段抑圧された人間は本当に小さなことで暴発してしまう、という事実を上手く表していると思います。刑務所を社会全体のメタファーとして捉え、何か小さなことでも、社会全体を破壊するようなムーブメントに繋がる可能性があるのだという警鐘だと考えるのは少々穿ちすぎでしょうか。とりあえず、私も明日からの満員電車では気をつけないと(笑)。満員電車なんてのは典型的な抑圧状態ですからね。

ミッキー、マロニー、レポーターの3人は何処ともなくさっていき、彼らの行方は杳として知れない、という結末には少々消化不良を感じました。わかりやすけりゃいいってものでもありませんが、最後の最後にもう一捻り欲しかったというのが鑑賞後に一番強く感じた感想でした。



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by lemgmnsc-bara | 2018-06-24 15:16 | エンターテインメント | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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