『男はつらいよ・寅次郎忘れな草』鑑賞

男はつらいよ・寅次郎忘れな草 [DVD]

渥美清,倍賞千恵子,前田吟,森川信,三﨑千恵子/松竹

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『男はつらいよ』シリーズの11作目。このシリーズのマドンナとして最多の出演を誇る(本当の本当のマドンナは異母妹であるさくらだって説もありますが…)リリー(浅丘ルリ子)の初登場作です。

ストーリーのパターンは変わりません。旅から旅への的屋稼業を続けるフーテンの寅こと車寅次郎がある日、ふらりと柴又帝釈天の門前町にある老舗団子屋の「とらや」に帰ってくる。気はいいものの、口の悪い寅さんは妹さくらや叔父夫婦と大げんかの末、再びとらやを飛び出した寅さんは放浪の旅へ。今回の舞台は網走。そこでドサ回りの歌手リリーと出会って恋に落ち…、というど定番の展開です。

ま、ストーリーの型は決まってますから、あとはいかにくすぐりやら印象的なセリフを埋め込むかが、作品の出来を左右するのですが、今作は見事に笑えました。特に笑ったのが冒頭のシーン。寅さんは夢の中で腕っ節の強い旅ガラスのやくざ者となり、借金のカタに悪徳高利貸しに身柄をさらわれそうになるさくらの前にさっそうと現れ、借金の肩代わりをした上に、襲いかかる三下たちをカッコよくしばき倒して、涙を隠して去って行くのですが、当時の時代劇、あるいは大衆演劇の見事なパロディーになってました。名物のタコ社長とのやりとりもたっぷり。さらには的屋の口上も見事。口上という芸で客を惹きつけておいてモノを売りさばくってな的屋のは壊滅しましたね。こういうシーンは故小沢昭一先生辺りが見たら随喜の涙を流しそうです。

さて、寅さんはリリーといい雰囲気になり、結ばれそうになるのですが、そこで結ばれちゃって、平穏な家庭なんぞ築いてしまったら、この作品の世界観には全くそぐいません。結局リリーは若い寿司屋(なんと、ババアトークの巨匠毒蝮三太夫氏!!)の妻となり、幸せな生活を送る姿が描かれます。半ばヤケになった寅さんは、一度、あまりの重労働に1日働いただけで倒れてしまった網走の酪農家を訪ね、そこに再就職します。

悲しみをぐっとこらえて、カラ元気を出して、明るく振る舞う寅さんのラストシーンを観て勇気付けられた皆さんはさぞやたくさんいたことでしょう。時代が、大衆が要求したキャラクターである寅さんのスタンダードな一作でした。



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by lemgmnsc-bara | 2018-05-20 14:28 | エンターテインメント | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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