『ぼくのおじさん』鑑賞

ぼくのおじさん [DVD]

松田龍平,真木よう子,大西利空(子役),戸次重幸,寺島しのぶ/TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

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私が敬愛する作家である北杜夫氏の同名の小説の映画化作品。原作の方は読んだ記憶があります。もう微かにしか記憶には残っていませんが…。

この小説の主人公は小学生の春山雪男。この少年の目を通して、父親の弟である風変わりな叔父さんの行動を描く、という体で物語は進みます。今時、兄の家族と同居するような弟、というような存在は稀有だと思いますが、これは大家族が当たり前であった北氏の幼少時代が投影された設定でしょう。北氏は実際に叔父や叔母などとの同居を経験していますし、映画の中のおじさんのモデルは米国(よねくに)さんという実在の人物です。ただし、その人物像には北氏本人のキャラクターがかなり色濃く反映されているようですね。ご自身がエッセイなどで書いている、ご自身の日常のエピソードがそのまま描かれていたりもします。

ちなみに米国さんというおじさんは少々変わり者ではあったようです。ただ、この方の奇行に関してはすでに私の記憶からは抜け落ちており、太平洋戦争の際に「米国」という名前が敵国と同じなので、色々とトラブルがあったというエピソードが少々引っかかっている程度です。

物語そのものは、大学に哲学の非常勤講師としての職を得てはいるものの、それ以外は常に部屋でごろ寝し、甥っ子が購読している少年漫画誌を読むのが最大の娯楽で運動神経も微塵もないおじさんがトリックスターとして様々な騒動を巻き起こすというもの。真木よう子演じるヒロインに一目惚れしてハワイまで追いかけては行ったものの、そこでもいいところを見せるどころかドジばかりという展開で少々笑わせた後に、最後は結構格好良く、少し切ない感情を観るものに惹起させるという、日本で一番ウケる筋立て(要するに寅さんパターン)です。

ええ?こんな話だったっけ?というのが鑑賞後の感想。人物像のへんてこりんさを表すエピソードについてはそれなりに覚えていたのですが、こんな「ユーモアとペーソス」を打ち出した物語って印象はありませんでしたね…。読んだのがすでに30年近く前ですから、結末については記憶の片隅にも残っていませんでした。

おじさんを演じた松田龍平はなかなかいい味出していたと思います。ただちょっと格好良すぎるかな。実際にどうかはともかく、運動神経が全く発達していない、という設定の役には少々違和感があるんですよね。今まで結構派手な役をやってきていただけに…。まあ、不恰好さをうまく演じていたとは思いますが。

思わぬ形で北氏にスポットライトが当たったのは喜ばしいことではありますが、これをもって北氏の小説を代表していると思われるとちょっとそれは違うよ、と言いたくなる映像化作品ではありました。ユーモア物なら『高みの見物』あたりが代表ではないかと思いますが、今のご時世で映画にはしにくい作品でしょうね。






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by lemgmnsc-bara | 2018-02-04 18:33 | エンターテインメント | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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