2016年 10月 09日
『スパイ』鑑賞
さて、舞台はCIA。ジェームス・ボンドを彷彿とさせる諜報員ファイン(ジュード)が核爆弾を奪った敵組織のパーティーに潜り込み、敵の親玉に銃を突きつけるまでの一連のシーンから始まります。007シリーズのパロディーっぽいシーンが随所に盛り込まれた、コメディー映画らしいくすぐり。ここで、この映画最大のおバカシーンが演じられます。すなわち、花粉症を患っているという設定のファインは、突然襲って来たくしゃみの弾みで、敵の親玉を射殺してしまうのです。おかげで、核爆弾の行方は知れないまま。この一連の活劇シーンで、実際に戦闘をするファインの目となり耳となるのが内勤分析官のスーザン(メリッサ)。様々な機器を駆使して、敵がどの方向から何人来るかをファインに的確に報告し、その情報に助けられたファインが躍動するという設定です。一方でCIAのオフィス内は何故かコウモリの巣窟となっていたりもしました。ま、コメディですから多少の辻褄の合わなさには目をつぶって笑う方が得策です。
敵の親玉の娘レイナが爆弾のありかを知っているとにらんだファインはレイナに近づくのですが、スパイであることがバレて射殺されてしまいます。代わりの諜報員として白羽の矢が立ったのが、実際の諜報活動にはいままでまったく縁がなく、しかも運動神経にも恵まれていなさそうなスーザン。このキャスティングに不満を爆発させたのが腕利きのスパイを辞任するフォード(ジェイソン)。しかしこの作品のジェイソン・ステイサムは三枚目に徹しています。自分が持っていたリュックが爆弾入りのものにすり替えられていたことに気づかなかったり、ヘリコプターから振り落とされてしまったり。しまいには根本的かつ初歩的な感覚の欠如までが描かれた上に、あれほど軽蔑していたスーザンと「男女の仲」にまでなってしまいます。
さて、にわか素人スパイのスーザンの活躍やいかに、ってなところなのですが、これが意外に面白かった。こういう映画にありがちな、考えられない幸運の連鎖も不自然さなくつながっていましたし、レストランのキッチンでの戦闘シーンなんかは大笑いの連続でした。往年のジャッキー・チェンを彷彿とさせるアクションシーンを、おデブちゃんの中年女性が演じるってのはさすがに少々無理がある演出ですが、まあこれもギャグのうちだと思って楽しむしかありませんね。
まあ、最後の最後はハッピーエンド。ハリウッド映画の王道です。まあ、意外な、とか苦いってな形容詞のつく終わり方は考えられないストーリー展開ではありました…。何故日本ではビデオスルーだったのか疑問に思うほどのヒロイモノでした。オススメです。
by lemgmnsc-bara
| 2016-10-09 08:20
| エンターテインメント