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『逆説の日本史<別巻2>ニッポン風土記「東日本編」』を読んだ

逆説の日本史〈別巻2〉ニッポン風土記「東日本編」 (小学館文庫)

井沢 元彦/小学館

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順番が前後しましたが、3巻目の「三大紀行」に続いて読んだのが標題の作。現代の日本でいうところの中部地方から東の国々について、土地の特色と、その特色に影響された「気質」を紹介してくれています。

私は生粋の「東男」です。生まれと育ちが群馬で、その後東北地方と東京を行ったり来たり。中部地方以西に住んだことはありません。従ってこの書については興味津々。私が見聞した土地土地の人情と、井沢氏の解説がどこまで合致していてどの点が違うのか…、ワクワクしながら読み始めました。

やはり気になるのは上州、群馬県ですねぇ。古来より、西の権力と東の対抗勢力の境界線として様々な争乱とそれに伴うドラマを生んで来た土地。関越道を作ろうと田んぼをほじくり返したら、貴重な遺跡が発掘されて時の文化庁長官がわざわざ視察に訪れたというトピックスがマスコミを賑わしました。小学校の社会科の授業の一環として発掘現場を見学しにいった記憶もあります。私の通っていた小学校からは徒歩で移動出来る距離にその発掘現場はあったのでした。

時は下って江戸時代。この地は博徒の宝庫でした。国定忠治しかり大前田英五郎しかり。米はとれる、麦はとれる、養蚕と絹織物で現金収入も多い。故にアブレモノだった博徒の皆さんが生きていける余地があったのです。この風潮は現在まで続いています。高崎の競馬は潰れちゃいました(ホリエモン氏が買収を仕掛けたことが話題になりましたね)が、前橋に競輪、伊勢崎にはオートレース、桐生には競艇。これらの都市を結ぶ両毛線は別名「バクチライン」と呼ばれていたそうです。その他、日本のパチンコ界をリードする平和工業の本社が桐生にあったりします。「長者番付」が発表されていた頃、群馬のトップは平和工業の社長で二位が副社長、三位が専務だったりしました。

あとは居住経験のある東北地方ですね。日本海側の出羽と太平洋側の陸奥。同じ東北地方と言っても人情にはかなりの違いがあります。彼の地の「土地本位制」は根強いですよ〜。特に日本海側。保守政党が強いというのはよくわかります。鎌倉時代から脈々とつながる「本領安堵」志向。先祖伝来の土地は絶対に手放したくない。米さえ作れれば食いっ逸れがないから。故に本領を安堵してくれる保守政党が強いんです。土地をわけてもらえない次男坊三男坊はとっとと別の土地に行っちゃいますからね。

今回の投稿は余談ばっかりになっちゃいましたが、その土地土地の気候風土がいかに「お国気質」を作り上げるのか、について重要な示唆を含んでいた一冊であったことには間違いありません。




by lemgmnsc-bara | 2016-01-29 19:45 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

by 黄昏ラガーマン
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