2016年 01月 10日
『6才のボクが、大人になるまで。』鑑賞
6才のボクが、大人になるまで。 [DVD]
パトリシア・アークエット,イーサン・ホーク,エラー・コルトレーン,ローレライ・リンクレイター/NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
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主人公の少年をはじめとする出演者が、実際に12年間断続的に撮影したことで話題になりました。さすがに「変化の過程」はリアルそのもの。可愛らしい少年がいっちょまえのオトコになっていく姿は自分自身のことを思い出させてくれる「あるある」の宝庫。12年の歳月ってのは大きいですね。特に少年から青年に移り変わる期間は。40過ぎると大して変わりばえしませんけど(笑)。
アメリカ映画では、こういう、家族の情愛がテーマの作品の場合、大抵は親同士の折り合いが悪いですね。それだけ、家庭の崩壊ってのがありふれていながら、かつ深刻な問題なんでしょう。複数回結婚離婚を繰り返すのが「普通」と化しているところが今ひとつピンときません。
幼い少年は、自分自身の生き方を追求したい母親の意向に翻弄されます。住み慣れた家に親友達を根こそぎ奪われる形で引っ越し。母親の再婚相手のDV、そして時折現れる実の父親と過ごす束の間の時間。二度目の離婚と三度目の父親との微妙な関係。「普通」に暮らしていてさえ、少年期から青年期には様々な葛藤を生むのに、これだけ色々な環境の変化に襲われたら…。私ならグレちゃう可能性大です。
この少年は道を外れることなく、きちんと高校を卒業して大学に進学することとなります。彼女もゲットし、「大人」になる場面も描かれます。すべての人間にはそれぞれの道があり、その道を突き進む権利がある。配偶者がいても子供がいてもその道を諦めない。最近はこういう人物も増えてはきましたが、まだまだ日本人にはハードルの高い生き方ですね。子供のために、とか家族のためにとかいう理由で自分が本当に突き進みたい道を断念する方の方が多いと思います。もっとも最近注目されているアドラーによれば、自分の生き方を追求しない人というのは、実は追求することが怖いが故に「家族がある」という理由を付けて逃げているのだ、と解釈されてしまうようですが…。
とりたてて、ドラマティックな展開がある訳ではありませんでしたが、日々のほんの小さなことの積み重ねによって、人間が一人出来上がって行く、という真理を見事に浮き彫りにした一作だったと思います。
by lemgmnsc-bara
| 2016-01-10 17:56
| エンターテインメント