2015年 08月 13日
『ジャッジ!』鑑賞
フジテレビの全面支援の下に制作された、ほとんど連ドラのノリの一作。
主人公太田喜一郎(妻夫木)は、広告代理店の冴えないCMディレクター。いい作品を作るどころか、日常の業務もろくにこなせずに、周囲からは「使えない奴」という目で見られています。この辺は身につまされる描写です(苦笑)。
太田の上司は大滝一郎(豊川悦司)。長髪にロン毛にサングラスで、女子社員に手を出しまくっているキザな男。満艦飾のバブル感。こういうキャラを登場させるあたり、フジテレビの皆さんはすでにバブル懐古に走ってしまっているとしか言いようがないですね。
大滝はサンタモニカ国際広告賞の審査員を務めていますが、重要なクライアントの馬鹿息子が作ったとんでもない駄作CMをそのコンクールで優勝させることを強要され、ニッチもサッチもいかなくなって、名前の読みが一緒(どちらもオオタキイチロウ)だというだけで、喜一郎にその審査員の役を押し付けてしまいます。「優勝させなければクビ」という、サラリーマンにとっての死刑宣告と共に。まあ、この辺はいかにも、っていう横暴なクライアントと、バカなクライアントからカネを引き出すためにはゴマスリでもなんでもするものの、実は上から目線で軽蔑しまくっている広告会社の面々という、やはりステレオタイプな描写でしたね。
さて、喜一郎は同僚の切れ者太田ひかり(北川)を偽の妻役として無理矢理同行させて、サンタモニカに乗込みます。しかし、そこに待っていたのは、コンテストとは名ばかりの出来レース。もっとも、馬鹿息子が作ったCMは出来レース以前のクオリティーだという描き方もなされてましたけどね。
様々な策謀と陰謀、欲望の渦巻くコンテストに直面した喜一郎は、以前に審査員を務めた事があるものの、現在は閑職に追いやられている鏡さん(リリー・フランキー)から教えられたテクニックで、他の審査員達を徐々に味方につけていきます。しかし、喜一郎が推薦したのは馬鹿息子の作品ではなく、ライバル会社のCM。その事が原因でひかりとは仲違いするのですが…。
ストーリーの持って行き方は悪くないと思いますが、最初から最後まで「いかにも」という予定調和感がミエミエでしたね。で、その割にギャグというかくすぐりというか、笑わせる要素が地味でした。
何かを表現したい者にとってはカネや名誉の問題じゃなく、受け手のココロに深く突き刺さるような作品を作り上げる事こそが喜びだ、というのはよーく分かりました。体のいいスポ根ドラマを観ているようなものです。
北川景子の演技らしい演技は初めて観たのですが、強面で、切れ者のちょっと普通の男には近づきがたい雰囲気を醸し出す女、という役柄はなかなかうまくマッチしていたと思います。彼女にしたい(出来る訳ねーだろ!!)とは思いませんが、ちょっと距離を置いて眺めている分には非常に美しい女性だと思います。
by lemgmnsc-bara
| 2015-08-13 20:39
| エンターテインメント