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『のうだま―やる気の秘密』を読んだ

のうだま―やる気の秘密

上大岡 トメ / 幻冬舎

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『キッパリ!』が大ベストセラーになった漫画家上大岡トメ氏と東大准教授池谷裕二氏の共著。我々人間にとって、最も普遍的な謎である「やる気」にアプローチしています。

私は現在休職中。その原因はうつですが、うつというのはごくごく単純に言い切ってしまえば「慢性やる気欠乏症」です。脳が疲れ切ってしまっていて、どんな事に対しても全くやる気が起こらないってのがその正体。実際にはそうした自分を不甲斐なく思ったりすることも含まれるのですが、やる気のなさが重篤化した病気です。

完全な病気ではなくても、様々な原因で「やる気」が起こらないってことは、ちょいちょいあることではないでしょうか?この本はそうした際の対処法を簡潔にユーモラスに描いてくれています。

まずは「やる気」は器官としての脳のどこから生まれて来るのか?答は眉間の近辺に二つある「淡蒼球」という部位からだそうです。球と名のついている通り球形をしているそうです。「のうだま」というタイトルもこの球体に由来するものです。

で、この淡蒼球を刺激するにはどうしたらよいのか?以下の四つの言葉に集約されるそうです。

Body…まずカラダを動かすこと。池谷氏は「脳がなくても生きている生物はたくさんいるが、脳だけで生きている生物はいない」と述べています。生物はカラダが先に出来上がっているのですから、カラダを刺激することは脳を刺激することに繋がる、という論は明快ですね。

Experience…普段とは違う体験をすることも大いに刺激となるそうです。そもそも脳には馴化機能すなわち刺激に慣れる作用があるそうです。一度読んでしまった本はストーリーがわかってしまっているから面白くない、っていうのはこの馴化機能によるものです。

Reward…直訳すると報酬。いわゆる「やりがい」でもありますし、単純に優れた結果って意味だったりもします。努力したことが報われれば嬉しいってのは単純ではありますが深遠なる事実でもあります。

Ideomotor…直訳すると「なりきる」。自分が理想とする姿を思い描いて、その理想の姿になり切ってしまうということです。筋トレしている時に、ボディービルダーのような筋肉美を誇る自分の姿を想像すると、一段階重い負荷にチャレンジする気合いがわき上がって来る、なんてのが典型的ですね。

この4つの要素をうまく組み合わせて脳に刺激を与える…、来月からは否応無しに現実社会に引き戻されますから、意識していきたいことです。

上大岡氏によるメソッド紹介では、何事もとにかく20回は続けてみることが推奨されています。それも例えば5回毎に小さなご褒美を自分に与えるなどの細かい工夫を凝らすことが肝心。2kg痩せたら1回焼き肉行く、みたいなことです。

それからもう一つ。「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しくなる」という有名な言葉がありますが、これを応用してみるということも挙げられています。具体的には自分が嬉しい時や気合いを入れる時に無意識にやっているポーズを意識してやってみるということです。苦しい時こそガッツポーズをしてみる。悲しい時こそ大笑いした時の気持ちを思い出してみる。なかなか難しいですけどね(苦笑)。

なかなか参考になった一冊でした。ごまかしの手段ではなく、心の底からガッツポーズが出るような日々にしていきたいなぁ…。
by lemgmnsc-bara | 2014-11-24 19:15 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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