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『ジャンゴ 繋がれざる者』鑑賞

ジャンゴ 繋がれざる者 [DVD]

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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B級映画オタクのクエンティン・タランティーノ監督の今のところの最新作。ようやくDVDで観ることができました。

舞台は南北戦争当時のアメリカ南部。鎖につながれ、白人の二人組に追い立てられる黒人奴隷の一行が、馬車に乗ったドクター・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)と名乗る人物と出会うところからオハナシがスタート。シュルツは実は賞金稼ぎで、ある農場で罪を犯した3兄弟を追っており、その顔を知っている奴隷を探していたのでした。そして、その兄弟を知っているとして名乗りを上げたのがジャンゴ(ジェイミー・フォックス)。ジャンゴはシュルツに助け出され、一緒に兄弟を追うことになります。その道すがら、シュルツはジャンゴに卓越した銃の腕があることを知り、一緒に賞金稼ぎをやらないか、と持ちかけ、ジャンゴはそれを承諾します。

ジャンゴにはドイツ語をしゃべれる妻ブルームヒルダがおり、彼女を助け出すことを念願としていました。しかし彼女は大富豪ながら強欲な奴隷商人キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)の下におり、キャンディの大邸宅には荒くれ者がたくさん集まっていました。救出困難な状況下で、ジャンゴは妻を救い出すことができるのか?というのが大筋のストーリー。ただし、監督がタランティーノだけあって、一筋縄ではいきません。あらゆるシーンにいろんな作品へのオマージュやらメタファーなどが織り込まれているようです。残念ながら私は、そこまでの映画の知識はないし、そもそも西部劇は『荒野の七人』くらいしか観たことがないので全然わかりません。

ただ、舞台設定は西部劇でありながら、現在のアメリカにも根強く巣食う人種差別に対して一石を投じているというのは確かなようです。「ニガー」という現在では罪になりかねないような差別用語がバンバン飛び交ってました。その当時の世情においては「差別」という概念すらなく、黒人は文字通り商品であり、家畜であったのです。いわれのない差別と弾圧。残虐な見せしめ。人が人を人と認めず、単なる生き物としてしか見なかった場合にどれだけ残酷になれるものか、というのが濃厚なエッセンスとして映像に練りこまれていました。主人公ジャンゴですら、局部を切断される寸前までいくのですから。

クリストフ・ヴァルツは4ヶ国語を流暢に話す特技をもとに、相変わらず味のある脇役ぶり。『イングロリアス・バスターズ』に続き、この作品でもアカデミー賞の助演男優賞を獲得しています。珍しく悪役を演じたレオ様は今ひとつ迫力不足。カネを出したら途端に態度が変わるところもなんとなくピンボケ。必ずしもわかりやすい演技がいいというわけではありませんが、もう少し、卑怯で冷酷っていう感じを出して欲しかった気がします。監督のタランティーノも恒例のカメオ出演。腕に持った爆薬を打ち抜かれて跡形もなく吹っ飛ぶ、という華々しい退場の仕方を見せました。ジェイミー・フォックスはさすがの重厚な演技。黒人の持つ不気味な威圧感と妻を愛するやさしい男という多面性を見事に表現していたと思います。

相変わらず、観衆にいろんな知識を要求する映画を作ってくれちゃいますね、タランティーノは。自作は、画面にたくみに織り込まれたさまざまな知識をすべてわかった上で鑑賞してみたいと思います。
by lemgmnsc-bara | 2013-11-11 19:06 | エンターテインメント

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