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『プロ野球で「エースで4番」は成功しないのか 知られざる二刀流選手列伝』を読んだ

プロ野球で「エースで4番」は成功しないのか 知られざる二刀流選手列伝 (ソフトバンク新書)

小野 俊哉 / SBクリエイティブ

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独自の視点で様々なデータを分析し、プロ野球を記録から追いかけているのが著者の小野氏。本書のターゲットは「二刀流」。2013年シーズンは日本ハムの新人大谷翔平選手が挑戦して話題になった、野手としての打撃と、投手を両立させることです。

日本プロ野球の「神話時代」には投打を両立させていた選手はたくさんいました。競技人口も少なかったことですから、ずば抜けた才能の持ち主は八面六臂ならぬ投打二刀流を当然のこととして要求されていました。現在でも、才能あふれる高校生はエースで四番を任されていますね。なぜ、二刀流は成り立たなくなってしまったのでしょうか?

小野氏はズバリと理由を述べています。投手は投手としての実績に対して年俸をもらっているのであり、打撃などという「余計なこと」に手を出して怪我でもして投球できなくなったら、それこそ責任問題だ、という意識が浸透した、というのがそれです。

それでも、つい近年まで、自らの打撃で自らを救った投手はたくさんいました。金田、江夏、堀内などは野手をしのぐほどの本塁打率(一本の本塁打を打つのにどれだけの打席を要するか、という数値。小さければ小さいほど本塁打を打つ確率が高いという事になる)を記録していますし、300勝投手の鈴木啓示氏などは6番を任された事もあったそうです。「7番以下の選手は皆俺より打率が低かったから」というのがその理由。

直近は投手が打撃で活躍する事はめっきり少なくなりましたね。わずかに桑田投手が他に野手がいるというのに代打で出て来て見事にヒットエンドランを決めたとか、日本シリーズで松坂投手(当時西武)が7番に起用された、という例が思い浮かぶくらいです。

大谷選手には是非とも「二刀流」を極めて欲しいと思います。先発して、自らが決勝打を放って完投勝利、とか、ピンチに際して外野から走って来て救援に立ち、ピチャリと押さえてセーブを挙げるなんてシーンを是非見せて欲しいものです。くれぐれも共倒れにならないように願いたいですね。
by lemgmnsc-bara | 2013-10-30 20:33 | 読んだ本

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