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『執着心 勝負を決めた一球』を読んだ

執着心 勝負を決めた一球 (PHP新書)

野村 克也 / PHP研究所

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現代野球界を代表する知将、野村克也氏が2012年のシーズンの巨人戦を中心に書いた戦評集。サンケイスポーツに連載されているものの抄録だそうです。

題名の「執着心」はもちろん勝利に対する執着心を意味します。勝利をつかむためには如何に勝ちにこだわったプレーをするか?勝ちにこだわるためにどれだけの準備をし、いざ自分がプレーする段になって、いかに頭を使うか?野村氏独特の視点で綴っています。

書いてあることの大筋は今まで読んだ事のある野村氏の著作とほぼ同じ。ただし、実戦の場面場面の解説にその考え方を反映させた書き方をしてもらうと、「なるほどこういうことだったのか」という「臨場感」が増します。いわゆる「一球の綾」、「勝負の勘所」などが一体どこにあったのか、ということが懇切丁寧に語られています。

野村氏は、巨人の選手がいかにモノを考えずに野球をしているかということを槍玉に挙げています。点差、アウトカウント、走者の有無によってその時々の対応は違ってしかるべきなのに、初球から難しい球に手を出して簡単に凡退している打者を責め、盗塁の脅威を感じさせない走者に苦言を呈し、危機を切り抜けるための配給を考えきれないバッテリーを批判しています。

そうそう、巨人ファンである私からみても、歯がゆい場面は多々あります。10-1で派手に勝ったかと思えば、0-1や1-2などの僅差の試合をモノにできないことが続く、なんて展開が続くとイライラしますねぇ。他球団に比べて桁違いの戦力を有しているはずなのになんだかもたついている感があります。アスリートとして優れているが故に素質だけでプレーしてもそこそこの結果が出てしまう。従って考える必要がないから考えるという習慣がいつまで経っても出来て来ない。接戦での弱さはこの辺にあるんじゃないでしょうかね?また、今年に関して言えば連勝もするけど連敗もする、という現象が目立ちますが、その辺もこの「考えなし」の影響が大だと思います。

元々能力の高い選手達がしっかりとした準備をし、場面場面で自分の役割をしっかりと考えてプレーしたら最強ですね。実際には好悪の感情などのプレー以外のファクターの影響も小さくはないとは思いますが、一度ノムさんには巨人の指揮を執っていただき、選手達に考える習慣を身につけさせて欲しいと思いますね。

なお同書には過去の日本シリーズを振り返った評論集も併せて収録されていますが、これも懐かしいと同時に興味深かったですね。お買い得な一冊だと思います。
by lemgmnsc-bara | 2013-07-14 06:59 | 読んだ本

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