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『感染広告』を読んだ

感染広告 (講談社文庫)

三浦 明博 / 講談社

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久しぶりに題名に惹かれて衝動買いした一冊。著者三浦氏の作品を読むのはこれが初めてです。

主人公の堂門は広告会社のディレクター。すでに名が知れ渡っているプレミアムビール「バドバーグ(バドワイザーとカールスバーグを足して二で割った安易なネーミングですね…)」を、再度プッシュアップするためのキャンペーンを任されます。

彼の採った手法はネットを用いたバイラル広告。繁華街のど真ん中に謎の集団を出現させ、その集団の正体はネット上のムービーを観ることでしか知れない、という手法は、大いにウケて、ネットを通じての口コミでどんどん効果が拡大し、商品の売り上げはぐんぐん伸びていきます。

しかしそこで一つの事件が…。「バドバーグ」と大声で叫びながらの飛び降り自殺が3件も相次いだのです。

優れた広告方法と賞賛を受けていた堂門は一挙に奈落の底へと突き落とされます。ディレクターとしてというより、「善良な市民」という地位すら失いかねなくなった彼は、ネットの映像と自殺の関連性を調査すべく、孤独な活動を始めます。そして少しずつ解けていく謎。はたしてこれは事件なのか?そして「犯人」は存在するのか?結末は本文でお読みください。結末に持っていくまでの描写の仕方はなかなか巧みだったように思います。

ややご都合主義的な人間関係の設定はありましたが、サブリミナルの他に潜在意識に訴えかける方法というのがいくつかあるという新しい発見がありました。そして、TVや映画などには規制があるものの、ネットの映像にはこうした規制は適用されず、まったくの野放しになっているということも初めて知りました。ストーリーとは別に、知らぬ間に意識を操作されているのではないかという恐怖を感じましたね。

三浦氏は江戸川乱歩賞なども獲得している、ミステリー作家のようです。別の著作も読んでみたいと思います。
by lemgmnsc-bara | 2012-09-18 22:30 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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