2012年 05月 23日
第22回みなとスポーツフォーラム参加
今回の講師はラグビー日本代表GMの岩淵健輔氏。日本代表経験もあるし、イギリスのチームでプレーしたこともある国際派です。
氏は冒頭、自身のミッションにつき、「今までの点であった指導体制をいかに線にしていくか」とおっしゃっていました。今までの日本代表は監督が替われば、選手の選考基準から練習方法まですべて一変してしまい、過去の財産を蓄積し、事後に活かすノウハウがなく、結果として強豪国と対戦するときは同じ失敗を繰り返して負け続けてきたという「歴史」があります。1分3敗で終わった昨年のワールドカップをどう反省し、今後の強化につなげていくのか?強く興味を惹かれながら講演を拝聴しました。
しかしながら、冒頭の期待は見事にスカされました。今まで高校日本代表、U18、U20などの各レベルの代表に一貫した指導方針が無かったのを改善し、日本代表に至るまで同じ方向を目指すための体制が整った、ということだけはよくわかりましたが、強化の具体策が見えてこなかったんです。
各レベルの指導者たちが緊密な連携を取り、最終的に国代表の強化につながるよう努力していこう、という体制が整っただけでも大きな進歩ではあるのですが、もう一歩踏み込んで、具体的な対策まで解説してほしかったというのが本音です。
例えば、氏は後半20分過ぎからの失点が多いというデータを挙げ、この20分をしのげないことが強豪国との差だと述べ、体格差とフィットネス不足をその原因としていました。これはそれこそ日本にラグビーという競技が伝来したときからわかっていたことです。もちろんその壁が高いのは理解できるのですが、ではその壁をどうしたら乗り越えることができるのか?についてのオハナシが曖昧なままでした。体格差で圧倒されて守備に回る機会が多くなるため、どうしても最後で息切れを起こす。従ってなるべく攻撃に割く時間を多くするためにアグレッシブなラグビーを目指す、という方針は語られましたが、ではアグレッシブなラグビーをするためにはどんな要素が必要なのか?どんな選手を選んでどんな強化策を打つべきなのか…、見事なまでに言葉を濁してましたね。
今までの日本代表チームだってサボっていたとは決して思いません。必死にプレーした結果がワールドカップ通算1勝2分21敗という成績なのです。その必死さの方向が間違っているのか?それとも必死にやっても追いつかないのか?この問題を先送りにしていても2019年に日本で開催されるワールドカップは待ってくれません。
まあ、まだ彼は就任して日が浅いこともあるし、立場上言えないことも多々あるでしょうから、現在のところは仕方ないとしましょう。しかし、いずれは細かい戦略も含めて詳細に解説していただく場を設けてほしいものだと思います。「みなとスポーツフォーラム」というのは本来そういう場であるべきイベントだと思います。
今は新監督のエディー・ジョーンズ氏の手腕に期待するのみですね。
by lemgmnsc-bara
| 2012-05-23 23:03
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