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『勝負の瞬間 世界で戦う突破力』を読んだ

勝負の瞬間 世界で戦う突破力

角川マーケティング(角川グループパブリッシング)

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スポーツジャーナリストの第一人者、二宮清純氏がBS朝日でホストを務めているインタビュー番組『勝負の瞬間(とき)』に出演したアスリートから印象に残る言葉を残した人を抜粋してまとめたのが標題の書。一人一人の章の終わりに印象に残った言葉が紹介されていますので、それを紹介していきます。各章ともに二つの言葉がセレクトされており、前者がアスリート本人の、後者は二宮氏の言葉です。

遠藤保仁(プロサッカー選手)
「日本人は練習をしなきゃダメだという感覚になりがちですが、それは違うと思う」
「日本の選手の中には練習をエクスキューズにしている者もいる」

特に高校生くらいまでは上から押し付けられて、それこそヘトヘト、ボロボロになるまで搾られますね。体力、精神力ともに無理矢理にでも鍛え上げなければいけない時期というのは確かにあると思いますが、いい歳をしたプロがいつまでも高校生と同じ練習をしているのは少々情けないですね。高度なレベルで、自分が納得するまで練習をしたら、後はコンディションを整えるために休むことも重要。そこまで出来て初めて「プロ」を名乗れるんだと思います。「あれだけ練習したのに…」は自己満足であって、結果を出せない人間をプロとは呼びませんね。

青木宣親(プロ野球選手)
「言われたことに対して常に疑問を持っていた」
「強い人ではなくて、その環境の中で考えていける人が生き残る」

私はスポーツドキュメントが好きでよく読んだり観たりするのですが、実績を残したアスリートというのは、挫折を挫折のままに終わらせません。失敗の原因を突き止め、それを解消するにはどうしたら良いかを考えて、その解決策を実施するために最大限の努力をする。コーチは有力な助言者ではありますが、コーチの言ったことがすべて正しいとは限らないし、たとえ理にかなっていたとしても、自分には合わない場合だってある。漫然とプレーしてたんじゃいかん、ってことですね。

諸見里しのぶ(女子プロゴルファー)
「どれか一つを100%やり切る」
「ちゃんと勝負をせず、どこか逃げていたところがあったら、それは許されない」

全力を尽くさずに負けたらこれほど悔しく、歯がゆいことはないですね。100%やり切った、という実感を得るためにも100%の準備をして試合に臨む。心がけたいことです。

大畑大介(元プロラグビー選手)
「不安な状態でスタートラインに立って、結果が出せる奴なんてまずいない」
「成功する選手、チームというのは、準備ができている選手、チーム」

諸見里選手の場合と同様、100%のパフォーマンスをするためには100%の力を出し切れるだけの準備をしておかなくてはならないということです。毎回準備不足を痛切に感じながら試合に臨んでいる私にとっては非常に耳の痛い言葉でもあります。

佐藤琢磨(プロレーシングドライバー)
「何かを動かすものは、行動していれば必ず生まれる」
「情熱の持続力が、すごく強いように感じる」

目標を思い定めたら、それに向かって遮二無二突っ走る。そしてその突っ走りを継続する。継続したからって必ずしもかなうとは限らないけれど、最初からあきらめていたら夢は絶対に実現しない。単純だけど重い真理ですね。

中澤佑二(プロサッカー選手)
「あれこれやろうとすると、自分の長所を見失ってしまう」
「自分のストロングポイントをどうやって売り込もうかという戦略があったわけですね」

これも単純だけど重い真理ですね。自分の強み弱みをはっきり認識し、強いところを最大限に押し出して勝負する。ま、実社会ではなかなか自分の一番強いところと会社が求める強いところとのギャップというのは埋めがたいんですけどね…。

長谷川穂積(プロボクサー)
「完璧にやりたいことをやらない限りは自分が強いとは思えない」
「相手に勝つ前に、自分に克つ」

諸見里、大畑両氏の場合と同じ。自分の力を最大限に発揮するためには、きちんと準備しておかなくてはいけない。準備は辛いし、キツイものだが自分に克ってそれをやりとげない限り相手には勝つことはできない。

武豊(ジョッキー)
「僕は競馬以外大した趣味もないし、興味もないんです」
「勝ち続ける人は記憶の引き出しが多い」

通算3000勝以上を達成している競馬界のビッグネーム武氏。自分の人生のすべてを競馬という競技に捧げているというのが伺える言葉ですね。だからこそ、勝ったときのいいイメージも負けたときの悪いイメージもすべて覚えておくことが出来、その記憶を新しい勝負に活かすことが出来る。こういう時にはこうしたらうまく行く、という引き出しを数多く持っている人が強いのはある意味当たり前です。

宮崎大輔(プロハンドボール選手)
「天井を中途半端につくると、全てが中途半端に終わる」
「自分の眠っているものを引っ張り出したい、発見したいんですね」

例えば目標をベスト4進出に定めたとすると、そこに達した時点で満足してしまい、それ以上の伸びしろが無くなるし、下手をするとベスト4にも達しないで終わってしまう。目標はあくまで頂点。日本で頂点を極めても、次は世界という壁がひかえている。常に頂点を意識して努力する。今年45歳になるオッサンにはキツイ言葉ですが、でもこの気持ちが無くなったら終わりだというのも事実です。

杉山愛(元プロテニスプレーヤー)
「全て出し切れないと、次に何をやっていいのか分らなくなる」
「いい意味での忘れる力は必要です」

常に全力を出し切らないと、自分が何故負けた(あるいは勝てた)か、という理由が分らなくなる、弱点を解消するにせよ、長所をのばすにせよ、自分自身で自分の全体像を把握していないと前には進めない。一方で失敗を長い間引きずり過ぎるのも良くない。時にはネガティブなイメージをすっぱり断ち切ってリセットし直すことも重要。

どの方の言葉も含蓄に富んでいましたね。自分自身の日々の生活に照らし合わせて、出来ることは実行していきたいと思います。
by lemgmnsc-bara | 2012-01-29 20:28 | 読んだ本

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