2010年 10月 24日
『クマと闘ったヒト』を読んだ
大のプロレスファンであった中島らも氏とプロレスラーミスター・ヒト氏の対談集。
一時期プロレス観てましたね~。全日本プロレスが土曜の夕方TVでやっていた頃ですから、もう30年も昔の話ですが^^。当時はザ・ファンクスが全盛で、ブッチャーと流血戦を繰り広げてました。ブッチャーがフォークでテリー・ファンクの腕や手の甲を突き刺しまくって、毎回派手に血が流れてました。当時小学生ですから、当然リアルファイトだと思って観て興奮してました。自分がやりたいとは思いませんでしたがね。まだジャイアント馬場氏も元気で「32文ロケット砲」などという名称のドロップキックを放っていました。
プロレスが純粋な格闘技ではなく、見世物の一種であることに気づいたのはいつのことだったですかね?はっきりとは覚えていませんが、いつの間にやら興味を失っていました。
かつての力道山の例をみてもわかるとおり、「リアルファイト」だとして世界中を熱狂させていたことは事実です。アメリカでプロレス界の内幕を暴くドキュメンタリー映画が公開されたりして、今日では、プロレスは一つの「エンターテインメント」だとして開き直っていますがね。
この本が単行本として出版された当時は、プロレスがツクリモノである事は、わかってはいても言ってはいけないタブーでした。その当時の「常識」からしたら考えられないような裏話が、たっぷりと収録されています。
ミスター・ヒト氏はカナダのカルガリーで長い間プロレスラーとして活躍しました。ちなみにリングネームの「ヒト」とは天皇の名前から来ているそうです。リング上では日本人の象徴としての役割を担っていたわけですな。
氏は、プロレスラーはいかに相手の技を受けてみせるかが肝要だということを繰り返し語ります。本気でケンカしたら強いのは別の人間かもしれないが、プロレスラーとして成功した人間はことごとく、巧く受けることが出来る人なのだそうです。ジャイアント馬場氏はこの受け方が実に巧妙だったそうです。
その他、たまにレスラーが公開するトレーニング方法なんて、本気でやったら確実にカラダを壊してしまうとか、ブロー・ザ・ブロディがホモだったとか、クマと闘ったが、実はそのクマは実に良くしつけられたクマで、調教師の命令どおりに動くクマだったので人間とやるよりやりやすかったとか、興味深いオハナシのオンパレード。プロレスというものが如何に巧妙に演出されたパフォーマンスなのか、ということがよくわかる本でした。発表当時、大反響を呼んだのがわかるような気がしました。
by lemgmnsc-bara
| 2010-10-24 22:16
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