2010年 04月 29日
『ブルース・オールマイティー』鑑賞
ジム・キャリー主演のミラクルコメディー。彼の主演作として、興行的には2番目にヒットした作品のようです。
TV局の突撃リポーター、ブルース(ジム・キャリー)の夢はニュース番組のアンカーマンになること。アンカーマンになるまでの辛抱だと、さまざまなくだらない仕事をこなしていますが、決して現状に満足しているわけではありません。ある日生放送のリポートの直前に同僚のエバンがアンカーマンに就任することが決まったということを聞いたブルースはブチギレてしまい、放送を滅茶苦茶にしてしまいます。アンカーマンになるどころか、TV局を首になったブルースは近所のチンピラにケンカを売り、ボコボコにされてしまいます。踏んだり蹴ったりのブルースは天に向かって神を呪う言葉を吐きます。
そんなブルースのポケベル(懐かしいアイテムだなぁ~。2003年といえばもう携帯が普及して飽和状態になっていた頃だと思うんだけど…)に見知らぬ番号のコールが執拗にかかって来ます。最初は相手にしなかったブルースですが、あまりの執拗さに根負けし、コールの主と会うことに。会ってびっくり、コールの主は神(モーガン・フリーマン)でした。神はブルースに「神の能力をすべて授けるから、代わりに神の仕事をしてみろ」と告げ、姿を消します。
神の能力を授けられたブルースのハチャメチャぶりが一つの見所。チンピラたちに復讐したり、放送中にエバンに失策を犯させて、エバンをアンカーマンの座から引き摺り下ろすくらいまではよかったのですが、月を引き寄せて日本の海岸に津波を起こるわ、宝くじに当たることを願う人々をすべて当選させた結果暴動は起こるわ、収拾がつかなくなって来ます。
おまけに自分がアンカーマンになることに固執するあまり、恋人グレースの心の変化にも気づかないままフラれてしまいます。神の力も人の気持ちを変えることだけは出来ないのでした。『北斗の拳』のラオウ風に言えば「天地を砕く剛拳ですら、一片の心を打ち砕くことはできぬ」といったところでしょうか。
この辺は非常にわかりやすい寓意ですな。人の心を動かすものは、どんな奇跡でもなく、相手の心を思いやることを積み重ねることなんだ、ってことが字幕に書いてあるがごとく素直に読み取れました。
でも、まあ本当のところはどうなんでしょうか?自分自身を鑑みると、目にしたこともない大金を積まれたり、逆にちょっと痛めつけられたりしたら、すぐに変節しちゃいそうな気がしますね。神の力を手に入れたら、人々の願いなんかかなえないで自分の欲望を満たすためだけに使っちゃいそうな気がしますし…。
映画そのものはハッピーエンドに終わるのですが、自分自身のことを少しシニカルに考えざるを得なくなる作品だったような気がします。
by lemgmnsc-bara
| 2010-04-29 17:21
| エンターテインメント