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『1968年』を読んだ

1968年 (ちくま新書)

〓 秀実 / 筑摩書房

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以前、池袋のリブロに寄ったときに、特集コーナーに「1968年」に関する書籍が集められていました。1968年って何があった年なんだろう?と素朴な疑問を持ったので、コーナーに積まれていた中で一番安い本だった標題の書を買い求めてきました。

結論から言うと、ちょっと期待はずれ。最初の方にいわゆる「文化」上の変化やサブカルチャーの変化などの具体的な事象がチョコチョコと述べられていただけで、あとはすべて学生運動を中心とした思想団体の動きや抗争の歴史などを綴ったものでした。しかも1968年にずばりとフォーカスしたものではなく、その前後の事も多々書かれていました。まあ、書かれている内容が内容ですから、1968年1年だけをばっさり切り取るわけにはいかないってのはありますがね…。私としては冒頭に述べられていた文化的なトピックスをもっと知りたかったです。

閑話休題。私の通っていた大学は白ヘルメットをかぶった「過激派」の東北地方における一大拠点と呼ばれていました。ただし時あたかもバブル絶頂期。「思想」は人間の人生を左右する重大なモノというよりは、ファッションの一部として、服やワインなどと同様に「教養」の一部として「遊ぶ」モノでした。浅田彰や中沢新一、栗本慎一郎などの著作がニューアカデミズムとしてもてはやされていた頃であり、「過激派」はこうしたカッコいい思想とは真逆のカッコわるい存在の最たるものでした。「安保闘争の時代じゃあるまいし、イマドキ白衣着込んで白ヘルメットかぶって、武力闘争も革命もあったもんじゃねーだろ」ってのが当時の大多数の学生のぼんやりとした共通認識だったように思いますし、私もそう思っていましたので当然のことながらこうした「過激派」にシンパシーなど感じるわけもなく、近寄ることもありませんでした。

著者に寄れば、こうした「過激派」の活動は1968年前後から脈々と受け継がれてきたそうです。各派の主要人物の活動の記録や、共産党の動きなどに多くの紙面が割かれていました。恥ずかしながら、私は共産党がソ連寄りと中国寄りの会派に別れ、分裂した歴史があるということを知りませんでした。途中から少々退屈して「読み飛ばしモード」に入ってしまったので、この両派が現在の共産党にどう影響しているのかについては失念してしまいましたが…^^;。

とりあえず、今から40数年前には日本にも混沌の時代があったということだけはよくわかりました。
by lemgmnsc-bara | 2010-04-23 06:05 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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