『HANA-BI』鑑賞

HANA-BI [DVD]

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北野武監督作品。ヴェネツィア映画祭金獅賞を受賞し「世界のキタノ」の名声を不動のものにした作品です。

刑事の西は同僚の堀部を半身不随にし、部下の田中を射殺した犯人を拳銃で滅多撃ちにして殺してしまいます。射殺の仕方が残虐だとして警察にいられなくなった西は、不治の病に冒されている妻と共にあてのない逃避行に旅立ちます。やくざへの借金返済や逃亡資金を稼ぐために銀行強盗を犯してしまったがゆえの逃避行です。

時折、過激な凶暴性を見せながらも、妻に対しては惜しみなく愛情をそそぎ、半身不随になった同僚には絵の道具一式を贈る西。この辺はやや毛色が違うながらもゴダール監督の『気狂いピエロ』を髣髴とさせるつくりになっていましたね。無鉄砲で突拍子もない行動をみせる主人公の性格には似通ったものがあるように感じました。西の方はその突拍子の無さがすべて暴力に結びつくところが北野流。借金を取り立てに来たチンピラの目にいきなり箸を突き立ててみたり、血まみれになるまで殴ったり。挙句の果ては最後の金を搾りつくそうとやってきたヤクザの一党をすべて撃ち殺してしまいます。

全体にほとんどBGMも流れない静かな映画でした。妻との静謐な余生を過ごそうとする主人公を無理矢理現実社会にひきもどそうとする有象無象。その有象無象に接したときに主人公の狂気が爆発する。キタノブルーといわれる特徴的な青い空と海をバックに淡々と語られていく、主人公の深い愛情と激しい暴力。コメディアンビートたけしのふざけた姿からは想像もつかないシリアスな映画でした。

途中から、なんとなく結末は想像がつきました。この結末を追い詰められた結果の悲惨なものと見るか、それとも愛するものと一緒に旅立っていくハッピーエンドと見るかによっても、印象が変わってくると思いますね。私は、愛する者との安住の地をようやく見つけたという安堵感の中での結末だったと考えたいのですが…、すくなくとも晴れ晴れとした気持ちにはなれないエンディングなのでちょっと評価は分かれるところだと思います。

エンディングには実の娘井子を起用していましたが、この娘の演技に関する演出はイマイチ。あの場面をあんなにあどけない顔で見ていられるもんでしょうかね?起こった事態が良く理解できないという設定であるならば年を食いすぎているような気がしますな。
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Commented by pitipitibeach at 2010-01-20 22:27
この映画、暴力表現ばかりが話題になっていたような気がします。で、見てないんです・・・。
Commented by lemgmnsc-bara at 2010-01-21 19:36
ひきつづきpitipitibeachさんへ。
暴力シーンもかなりドギツイですが、それ以上に愛情の深さを感じさせてくれる映画でしたよ。腹をくくった人間の強さもよくわかりました^^。
by lemgmnsc-bara | 2010-01-20 21:39 | エンターテインメント | Comments(2)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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