プロ野球「悪党(ヒール)」読本 「組織の論理」に翻弄された男たちの物語 (知的発見! BOOKS) (知的発見!books)

手束仁/イースト・プレス

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プロ野球誕生以来、数多の選手が表舞台に登場し、活躍しました。「プロ」野球というからには、アマチュアには出来ないようなプレーを魅せて、その対価として大金を得るというのが本来の姿のはずですが、本人の意思とは関係なく、悪いイメージが世に広まってしまった例も少なくありません。

標題の書は、そんな、悪い意味で世間の話題をさらうことになったプロ野球関係者(選手だけでなく、監督や球団フロントなども含まれる)を「悪党(ヒール)」として紹介した一冊。あくまで「野球」を巡って悪い意味で目立った人々を取り上げ、紹介することが目的なので、例えば引退後に殺人事件を引き起こした人物などについては触れていません。また「悪人」や「悪役」ではなく「悪党」という言葉を使ったことについて、著者手束氏は「権力に抵抗して己を貫いた室町時代の悪党(楠木正成が有名ですね)を重ね合わせた」と述べています。

章立てとしては、日本人選手、外国人選手、監督及びスタッフにわかれ、それぞれ実績としても「悪党」としても有名な人物がずらり。各章それぞれで、私なりにに印象深い人物を選んでみました。どうしても巨人から選んじゃうことになるんですけどね。

まずは江川卓氏。あまりにも有名な「空白の一日」事件を経て、時のコミッショナーの「強い要望」で強引に巨人入り。その姿はマスコミを通じて日本全国に広がり、日本全体を敵に回した感がありました。「江川る」という流行語や、「江川が通れば道理が引っ込む」などと揶揄された上、当時の巨人の中心打者だった王選手からすら「こういう入団の仕方をした人物と一緒にプレーするのは如何なものか」と言われたりもしました。彼自身の強固な意思もさることながら、彼の地元の代議士を引っ張り出したり、職業選択の自由という「法律問題」に引き摺り込んだり、どんどん騒ぎを大きくしました。結果として巨人という球団のゴリ押し体質を際立たせる結果ともなりました。選手としてはプロ野球史上最大の悪党と言って良いと思います。

それから、清原和博氏を「ダシ」にして結果的にドラフトで一本釣りされた桑田真澄氏。これも様々に巡らされた大人の思惑によってもたらされた結果だったとはいえ、早大進学一本と強調しておきながら、意中の巨人から指名されたら、あっさりと前言を翻すあたりは実に強か。本人の図太さは悪党というに値するでしょう。

外国人選手としてはガルベス。一度切れると手のつけようのない暴れん坊でしたが、権謀術数とは縁遠いただの乱暴者。審判にボールを投げつけようと、悪態をつこうと所詮は球場の中だけでのお話。まさにコップの中の嵐。カワイイもんです。

そして、一番の悪党は何と言ってもナベツネこと渡辺恒雄氏でしょう。江川、桑田の騒動しかり、ドラフト制を一時完全な骨抜き状態にしたことしかり、近鉄の経営危機を機に1リーグ制を画策したことしかり。巨人さえ強ければ、プロ野球は安泰、この世は天国、幸せいっぱい夢いっぱい、という考え方の固陋さは巨人ファンの私ですら呆れるばかりです。いい意味でも悪い意味でも野球バカばっかりで、誰もナベツネ氏に対抗できない日本のプロ野球界も情けないんですけどね。

近年では地域密着を打ち出したパリーグ各球団のファンが増加したり、長期低迷から脱した広島がリーグ3連覇を達成したり、何よりもMLBという大舞台への移籍が可能となったことで、「巨人さえ強ければ」という構図は崩壊の一途をたどってはいますが、今年のストーブリーグではFA選手をはじめとして、カネにモノを言わせて選手をかき集めたし、さらに何かしら仕掛けてきそうな気もします。中曽根康弘元首相と親しいことも含め、ナベツネ氏は悪党というよりはすでに「妖怪」の域にまで達していますね。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-12-02 07:25 | 読んだ本 | Comments(0)

ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫)

筒井 康隆/KADOKAWA/角川書店

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第三回プラチナブロガーコンテストを開催!

コシマキに、「文学界の巨人とライトノベルの核融合」の文字が躍っているのが標題の書。

そもそもライトノベル(以下ラノベ)ってどんな作品のことを指すのでしょうか?私は、ラノベとカテゴライズされた作品をそれと意識して読んだ覚えがなく、イメージがわきませんでしたので、ググって調べてみました。で、ウィキペディアに載っていた定義も実に多彩で曖昧。作者が自称すれば良いのだという考え方から、美少女、または美少年が主人公で、時折「萌え絵」と呼ばれるイラストが挿入されるなどと細かく定義したものまでありました。数々の「理論」の中で私にとって一番しっくりきたのが。『ライトノベルスタディーズ』という雑誌の定義で、『青年期の読者を対象とし、作中人物を、漫画やアニメーションを想起させる「キャラクター」として構築した上で、それに合わせたイラストを添えて刊行される小説」というものです。『現代用語の基礎知識』に載せても通用しそうな説明文ですね。

前置きが非常に長くなりましたが、ラノベ初心者の私にとっては、とりあえずこういう定義がないと「低年齢の児童が観るようなアニメの文章化」という非常に粗雑な感想しか持ち得ない恐れがありますので、自戒の意味で書いておくことにします。

さて、ようやく作品の内容の紹介に入りましょう。先に述べた『ライトノベルスタディーズ』の定義に見事に当てはまる展開です。主人公ビアンカは才色兼備の美少女キャラの女子高生で男子生徒のみならず男なら誰もが目を奪われずにはおれないという存在です。私は男子高校出身なので、同じ学び舎に「美少女」という存在(女にしたらさぞかし可愛いだろうなぁ、という顔立ちの生徒は何人かいましたが、所詮は男ですから、皆男臭かったですけどね)が居合わせた経験はないのですが、もし同じ高校に通っていたとしたら、憧れに憧れはするものの、実際に交際を申し込むことはおろか、まともに口も聞けないような状態になっただろうと思います。

で、このビアンカは何故か、生物研究部などという地味で特殊な部活をやっており、ウニの生殖について研究しているという設定です。部活の場は当然ながら理科室で、美少女と理科室という取り合わせはモロに『時をかける少女』ですね。筒井ファンなら少々ニヤついてしまうであろう設定です。そう言えばコシマキには『もう一人の「時をかける少女」の物語」というキャッチコピーもありました。音楽でいうところのセルフカバーというか、オマージュというか、確かにそんな設定と展開ではあります。

ところがビアンカは、人間の精子を見てみたいというおよそ美少女キャラらしからぬ好奇心の持ち主でもありました。この辺から、私がイメージしていたラノベからだんだん離れて行きます。生身の少女であれば、当然性的なことへの好奇心もあるでしょうし、性欲だって当然持ちうるはずですが、こうした物語に登場する美少女は、読み手にとって完全に性欲の対象であると想定されているにも関わらず、物語の中では性的な「匂い」をなるべく醸し出さないようにするというのが「常道」(それゆえ、同人誌などではこの上なく直截的な表現方法で性的存在であることを強調されたりもしますね)であろうという思い込みがあったのですが、さすがは「文学界の巨人」だけあって筒井先生は見事に意表をお突きになっています。

ビアンカは自分に憧れを抱いている文学美少年塩崎哲也に精子の提供を願い、その代償として射精行為に文字通り「手を貸す(いわゆる手コキ)」というおよそ美少女キャラらしからぬ行動に出るのです。あくまで手を貸すだけであって、この物語中ではビアンカは誰とも性行為そのものは行いません。ストーリー展開の中で、ビアンカは塩崎以外にも「手を貸す」のですが、結局のところ、男は射精行為のみが究極の目的であって、精液さえ放出できるのであれば、本来の目的である受精に結びつかなくても満足してしまう、という哀しさが描かれているように思います。特に最近の極端に自我が肥大した「優しい男の子」たちは、自分が傷つくことが怖いがゆえに、生身の女性と付き合うというリスクを犯さず、結局「取り巻き」とか「いい友達」というポジションから踏み出す事が出来ない、という風潮を見事に皮肉っているとも言えます。ハーレムを作る猛獣のように、単純に戦闘力の強さを示せばいいってもんじゃなくて、何か特別なアドヴァンテージを示さなきゃいけないというのが人間の社会であって、その特別なアドヴァンテージを構築するには並並ならぬ努力が必要ですが、努力する前に諦めてしまっているいまの風潮は、私くらいの年代ですら歯がゆく感じるのですから、筒井先生の感性では、歯がゆさどころか、人類存亡の危機くらいに感じていらっしゃるのでしょう。実際にその危機感を表すストーリーも後に展開されます。

塩崎の他にもう一人ビアンカに「手を貸し」てもらった男性として登場するのは生物研究部の先輩ノブ。ノブは実は未来人で、ノブの時代に迎えた人類存続の危機を打開するための方策を探しに、この時代に来たという設定です。ついに『時をかける少女』へのオマージュ的部分が出て来ました。そう言えば『時をかける少女』ってのはラノベのハシリかも知れません。読者の年齢層は中高生くらいの想定だし、実際に映画化やアニメ化もされました。原田知世という女優のキャラクターも確立させましたしね…。筒井先生は当時『ミラーマンの時間』などの作品も含め『ジュブナイル小説』と銘打っていたと思います。

さて、未来人であるノブがビアンカの時代まで戻って講じた策は奏功し、人類はなんとか滅亡の危機を脱することは出来たのですが、そもそもこの危機を招いた遠因は「優しい男の子」の増殖と、それに伴う「精子力」の減退にあるという描写にはリアルな危機感を感じざるを得ませんでした。このさりげない描写に深い洞察が込められているところが、凡百のラノベとはレベルの違う文学作品に仕上がっている所以でしょう。

メインテーマとは別に、人類滅亡の危機を脱する場面の描写は筒井先生の特色の一つであるスラップスティック的要素がふんだんに盛り込まれており、「普通」の筒井ファンも十分に満足できる仕上がりになっていると思います。最後の最後も、落語に造詣の深い筒井氏ならではの、あえてのベタなオチで締めています。いろんなことを考えさせてもらいながら、ストーリーとしては十分に楽しませていただきました。





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# by lemgmnsc-bara | 2018-11-18 16:33 | 読んだ本 | Comments(0)

『ブルーサンダー』鑑賞

ブルーサンダー [AmazonDVDコレクション]

ロイ・シャイダー,ウォーレン・オーツ,キャンディ・クラーク,ダニエル・スターン,マルコム・マクダウェル/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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今やほぼ当たり前となっている技術が最先端技術で、公開当初「えっ、こんなことまでできちゃうの?」という反応が多かったであろうと思われる、ヘリコプターアクション映画。

標題の「ブルーサンダー」とは公開年である1983年当時ロス市警に配備されたという設定の最新鋭ヘリコプター。サーチライトや狙撃用の銃のほか、プロペラの音をほぼ完全に消し去ってしまう消音機能や超高性能のマイク(数m先の部屋の内部の会話まで拾ってしまえるというシロモノ)が備え付けてあり、機体の安定を司るほか、政府の主要機関のマザーコンピューターにまでアクセスできてしまう、当時としては超高級なコンピューターまで装備してあります。今ならスマホが一つあれば、気の利いたハッカーならこの程度のことは簡単にできちゃいますが…。35年の歳月というのは恐ろしいまでの変化をもたらすものだと、ある種の感慨に浸りながら、ストーリー紹介を少々。

このマシンのテスト操縦を任されたのは、ベトナム帰りのフランク(ロイ・シャイダー)。新米の相棒リチャードとともにブルーサンダーに乗り込んでパトロールに出かけたところ、細かい経緯は省きますが、先に述べた最新技術のおかげで、政府の重要機密を知ることになってしまいます。

おまけにこのヤバイ機密に絡んでいたのは、ベトナム時代のフランクの上官で、フランクに重大なトラウマを残すような体験をさせたクソ野郎であるコクラン。秘密裡に行おうとしていたヤバイオハナシを聞かれてしまったコクランは、フランクとリチャードを抹殺しようと魔の手を伸ばしてくる、というのが主なストーリー展開。フランクの別居中の妻(また、主人公の家庭には問題ありだよ。どうなってるんだ、アメリカの「一般的」な家庭は?キリスト教の教えに基づくところの一夫一婦制はもはや立ち行かないということを描きたいのかね、エンターテインメント業界は?)を巻き込んで、よく言えばスリルに満ちた、悪く言えば、予定調和から目をそらすために無理やり盛り上げたシーンが連続します。

結末は言わずもがな。悪が栄えたためしはなし。

現代の我々が、実際に直面している監視社会にいち早く警鐘を鳴らした作品であると言えなくもありませんが、おそらく当時の製作陣には今日のネット社会の隆盛や、様々な機器の発達までは予測できていなかったと思います。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-11-18 14:51 | エンターテインメント | Comments(0)

『誘拐の掟』鑑賞

誘拐の掟 [DVD]

リーアム・ニーソン,ダン・スティーヴンス,デヴィッド・ハーパー,ボイド・ホルブルック/ポニーキャニオン

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ローレンス・ブロックという作家(私はこの作家、知りませんでした。当然作品も読んだことはありません)の「探偵マット・スカダー」シリーズ中の一編『獣たちの墓』を映画化した作品。

主人公マット・スカダー(リーアム・ニーソン この方も知りませんでした)は元刑事の私立探偵。とある殺人事件の犯人たちとの銃撃戦中に、誤って一人の少女を射殺してしまったことに対する罪の意識から警察を辞め、食うや食わずの私立探偵としてやさぐれた暮らしを送っています。

そんなマットの元に、誘拐事件解決の依頼が舞い込んできます。普通に考えればすぐに警察に連絡を取って、犯人の捜査と事件の解決を依頼するところですが、依頼主はヤクの売人。下手に警察に知らせようものなら、誘拐犯どころか自分の身だって危うい、ヤバい男です。

というわけで、あとは、犯罪者対犯罪者の戦いにいかにマットが巻き込まれていくのかが描かれます。マットはやさぐれてはいても、悪を許さぬという強い気持ちと、犯人にアプローチしていくノウハウは持ち合わせており、様々な手法を用い、またその手法に必要な人材たちを次々に仲間に引き入れ、誘拐犯との直接交渉に成功。しかも人質が生きているということを直に確認した上で、身柄と引き換えでなければ身代金は支払わないとの強気の姿勢まで犯人側に見せつけます。

果たしてこの掟破りの誘拐犯との交渉で、人実は無事帰って来るのか?マットが犯人たちにどのような「正義の鉄槌」を下すのか?ヤクの売人などという非合法な存在はそのまま野放しにされるのか?

というところでストーリー紹介は強制終了。一番のクライマックスは是非とも本編をご覧ください。

まあ「〜シリーズ」と名がついている以上、マットがこの作品で死ぬことはありませんし、最終的に悪人はなんらかの罰を受けるという結末ではあります。さほどタフでもなく、頭脳も「名探偵」と言われるほど明晰なわけでもない。コロンボが警察という後ろ盾をなくして少々ワイルドになったというのがマットのキャラ設定でしょうか。後悔が2014年と比較的新しいこともあり、続編が作られそうな可能性は高いですね。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-10-21 08:03 | エンターテインメント | Comments(0)

マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと [Blu-ray]

オーウェン・ウィルソン,ジェニファー・アニストン,エリック・デイン,アラン・アーキン/20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント

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米のコラムニスト、ジョン・グローガンのエッセイを原作としたハートウォーミングな一作。ある家屋の成長と、その一員として生き、老い、死んでいったマーリー(ラブラドールレトリーバー)という一頭の犬を描いています。

ラブラドールレトリバーは、本来人に従順で頭がよく、警察犬や盲導犬などに起用されることも多い犬種ですが、どこの世界にも例外はあるようで、主人公グローガン夫妻がブリーダーからバーゲン価格で買取り、マーリーと名付けた犬は、部屋の中は引っ掻き回すわ、トイレのしつけはできないわ、訓練士もサジを投げられるほどの大バカ犬でした。

いるんですよ、こういう犬。当家の最高権力者の実家で飼われていたラブラドールレトリバーがまさにこんな調子でした。当家の義実家の場合は家の中で飼うことはありませんでしたので、部屋の中が荒らされることこそありませんでしたが、大柄で力が強かったため、義父は一度散歩中に、田植えが済んだばかりの水田に引っ張り込まれたと言います。人懐こいのはいいのですが、我々夫婦も含め、主人とは別の人間が来ると大喜びで二坪ほどの大きさのゲージの金網やら天井にジャンプを繰り返しては大声で吠えたてる困りものでした。訓練士に頼んでもこの悪癖は最後まで治ることはありませんでした。ちなみに訓練の成果は3回に一回しかしない「お手」だけでした…。

作中のマーリーも育児ノイローゼになりかけた妻とそのせいで険悪になった夫との間の空気など全く読まず、食いたい時に食い、出したい時に出し、吠えたい時に吠え、辺り構わず走り回ります。夫が妻に贈ったペンダントを飲み込んでしまい、以後数日、マーリーがフンをするたびに夫はそのフンに水をかけてお宝探しをするハメに陥ります。それにしても、ウンコから出てきたペンダント首にかけたいと思いますか?

三人の子宝に恵まれた、家族の生活は毎日が戦場。その中で妻は仕事を辞めることになります。夫の方も、地方紙のコラムニストから、都会の一流紙の記者へとステップアップします。こうした生活の変化はどんな家族にも大なり小なりあることでしょう。ただし、その変化が変化を迎える当人たちのどのような影響を及ぼすかは、各人各様。マイペースなマーリーに振り回されたり、慰められたり(人間の方が勝手に慰められたと思い込んでるだけですが…)します。やがてマーリーは確実に衰えていくことになります。大型犬は一旦衰え始めると、一気に弱ります。デカイ体を支えるだけの筋力がなくなり、そのために活発に動くことができなくなり、そして認知症が進んだ人のように、ワケのわからない行動を繰り返しながら、ヨボヨボの状態となって最期を迎えます。

作中、マーリーの埋葬の際に子供達が一人一人読み上げるマーリーへの手紙が泣かせます。人間の家族が亡くなってもこんな手紙を書くことはできないでしょう。まあ、私は一人っ子という立場上、父の葬儀の際には親族代表の挨拶ってやつをやらざるを得ず、手紙に近いようなモノを参列者の皆さまの前で述べたことはあります。余談ながら、その際、あまり相性のよくない親戚から「よくあんな立派なお言葉が読めたね」という、それをいうなら「よくあんな立派な挨拶ができたね」だろ、小学生が国語の教科書の朗読やってんじゃねーんだから、と突っ込みたくなる、本人は賛辞のつもりのお言葉をいただいて微妙な気分になったことを思い出しました(笑)。例えば、墓への納骨の際に改まって亡くなった人への想いを述べるなんてことは、小っ恥ずかしくて到底できません。文化の違いってやつですかね。

義実家のバカ犬の元気だった頃を思い出して、少々寂しさを感じた鑑賞後でした。

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# by lemgmnsc-bara | 2018-10-21 07:42 | エンターテインメント | Comments(0)

世界侵略:ロサンゼルス決戦(Blu-ray Disc) [AmazonDVDコレクション]

アーロン・エッカート,ミシェル・ロドリゲス,ラモン・ロドリゲス,ブリジット・モイナハン/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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地球を征服しようとして飛来した異星人との戦いがストーリーであるものの、本質的には「勝利が全てを癒す」というスポ根モノの定番筋立てであるのが標題の作。

2011年9月、世界各地は、流星を装った物体で飛来してきた異星人にいきなり攻撃を受けます。何しろ、実際に攻撃を受けるまではただの流星群だと思っていたわけですから、防御体制など整っているはずもなく、地球上の全ての国々は大混乱し、被害はどんどん拡大して行きます。

作品の舞台となったロサンゼルスもご多分にもれず、海岸から攻撃を受けて多数の死者が出、さらに攻撃者たちが続々と上陸してきているという状態。

さあ、ここで世界一と称される米国海兵隊の登場です、ロサンゼルスに駐在中の兵士たちは全て戦闘および民間人の救出活動に駆り出されることとなります。戦場で、仕方ない事情があったにせよ、部下を見殺しにしたことに罪悪感を感じ、事件勃発の翌日には除隊するはずだったナンツ二等軍曹も否応なしに現場行きを命じられます。ナンツが配属された部隊の指揮官は、この作戦行動が初の実践体験だというマルチネス少尉、そしてナンツに兄を見殺しにされたと信じ込んでいるロケット伍長もいて、どう考えたって敵である異星人との戦いの前に一波乱も二波乱もありそうな設定になっています。

そうでなくても正体不明で恐ろしく強い敵に相対しているというのに、味方の部隊内にもいくつも地雷がある。この困難な状況の中で、戦いの中では最も難しいとされる退却戦をしようってんですから、いかに正義の味方には悪役の弾が当たらないことが不文律となっているアメリカ映画でも。全員無傷で助かろうってのは流石に無理があります。味方は徐々に減っていき、移動手段も次々破壊され、本部に救援を要請しても、そもそも本部に人なんてほとんどいない状態。それでも何とかナンツたちは敵の歩兵の弱点をさぐりだし、その弱点を突くことで持ちこたえます。

ところでこの退却戦にはタイムリミットがありました。ある時間まで達したら、敵の上陸地点に重点的な空爆を行うことになっていたんです。負傷者がいようが、脱落者が出ようがその時間までには空爆対象外地域まで脱出している必要があるのですが、ここで戦場に部下を置き去りにしたナンツのトラウマが発動。全員を何とか救出し、部隊員たちも全員帰還させようと奮闘します。ちなみにマルチネス少尉は早々と死んでしまい。指揮権はナンツに自動的に移行していました。一難去ってまた一難どころか、最初の難が去らないうちに第二波第三波が次々と押し寄せてくるという状況が延々と続くのですが、結末は最初に書いた通り。「勝利は全てを癒す」で終わります。

予想はついていましたが、そこに至るまでのドキドキ感は悪くなかった気がします。最後の最後にナンツが放ったセリフが少々出来過ぎながらなかなかニクい。カッコつけ過ぎ、と取るか、まだ完全に危機が去っていない以上、戦いの場を離れることを良しとしない責任感の表れと見るか?私は素直に後者を採っておきたいと思います。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-10-15 20:05 | エンターテインメント | Comments(0)

龍が如く 劇場版 通常版 [DVD]

北村一輝,岸谷五朗,塩谷瞬,サエコ,夏緒/セガ

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ヒットした同名のゲームの映画化作品。ゲームの世界観を反映した映画が作られるとは…。インベーダーゲーム世代の私としては時代の変遷ってやつを感じざるを得ません。また、私はこのゲームをやったことがないので、全く予備知識なく純粋に映画として鑑賞しました。

物語の舞台は神室町という大繁華街ですが、これはモロに新宿歌舞伎町そのものです。どうせなら現実の地名をそのまま使えばいいのにとも思いましたが、まあ、そこは様々な「大人の事情」ってやつがあるんでしょうね。

ストーリーは、懲役を終えて10年ぶりに神室町に戻ってきた桐生という一匹狼のヤクザに昔から敵対関係にあるヤクザ集団がどんどん挑んでくるというもの。桐生は遥という少女の母を探すために神室町をあちこち探し回り、要所要所で敵がゾロゾロと現れてくるという展開です。この辺はいかにもRPGっぽい作りではあります。その他、朝鮮人の殺し屋が大物議員の暗殺を企てたり、桐生がらみの突発事項に遭遇した若い男女の強盗行脚が描かれたり、銀行に立てこもった二人の間抜けな強盗が描かれたり。そのそれぞれのサイドストーリーが微妙に桐生たちの行動にも影響を及ぼすという仕掛けも施されています。

それぞれの役には中堅どころの個性派俳優たちが配され、なかなかにいい味を出しています。Vシネマ四天王の一人哀川翔もこの作品ではコメディーリリーフ的な役割だし、真夏の暑いさなかにトレンチコートを着込んで「暑い暑い」と言いまくる松重豊もどちらかといえば、笑わせ役ですね。しかしながら最大の怪演者は桐生を最後まで付け狙う半グレ集団の隻眼の頭、真島を演じた岸川五朗でしょう。真島のキャラはベタベタに濃いし、スベリウケを意図したであろうギャグを多々画面に放り込んでインパクト大でしたね。

桐生の最大のライバルであり、遥の母親の行方を知っているとされた錦山(真木蔵人)との戦いのシーンが一番笑えました。本当は一番シリアスな戦闘シーンのはずなんですが、とあるアイテムを使って、圧倒的劣勢を一気に逆転してしまうんです。ゲームなら、どこかの店で手に入れたか、何らかのシーンで知り合った人からもらう類のモノでしょう。このシーンのおかげで、今までのバイオレンスさが一気にバカバカしさに変わってしまうのですが、こういう演出、私は嫌いではありません。

ま、しかしゲームの映画化作品ってのは所詮このレベルにしかなり得ない、という感想が最後に残ったのは事実です。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-10-15 19:28 | エンターテインメント | Comments(0)

『ザ ・ロック』鑑賞

ザ・ロック [Blu-ray]

ショーン・コネリー,ニコラス・ケイジ,エド・ハリス,マイケル・ビーン,ウィリアム・フォーサイス/ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

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アメリカの船越英一郎ことニコラス・ケイジと、イギリスの高橋英樹ことショーン・コネリーが共演したサスペンスアクション。題名の「ザ・ロック(The Rock)」とは直訳すれば岩の意ですが、脱出不可能とされていたアルカトラズ刑務所の異名でもあります。

ニコラス演じるスタンリーはFBIの化学専門家。銃は訓練時以外撃ったことがなく、腕っぷしもからっきしですが、専門分野に関しては天才的な手腕と異常なまでの執念を持ち合わせるという設定です。ビン底メガネをかけた秀才君ってなところでしょうか?対してショーン演じるメイスンは元イギリスのスパイ。かつてアルカトラズから唯一脱出したという実績を持つ凄腕の持ち主。アルカトラズの「伝説」を守るため、脱獄の記録は消去され、ついでに人間としてのIDも抹消された、社会的には「いないこと」になっている人物です。

さて、物語の前半を引っ張るのは海兵隊のハメル准将。彼は国が海兵隊の活躍を無視し、名誉も遺族への保障も何もなされていないことに不満を抱き、化学兵器と81名の見学ツアー客とともにアルカトラズに立てこもります。要求は一億ドルの現金と、海兵隊への公式な敬意の表明。まあ、ハメル准将のやり方はともかく、海兵隊が過酷な状況下に置かれているというのは事実です。アメリカが攻撃した地に真っ先に飛び込んで、最初に敵とぶつかることを想定された軍隊ですから、過酷な訓練と、死への恐怖からくるストレスは相当なものであろうことは想像に難くありません。沖縄で米軍兵士による犯罪が相次いでいるのも、こうしたストレスを背景に持つ海兵隊の構成比が高いからだ、などとも言われています。

で、人質と化学兵器を抱え、出るのも入るのも困難な要塞に立てこもった荒くれ者たちにスタンリーとメイスンを中心とした一隊が挑んでいくというのが後半部分です。この設定を一つ一つクリアしていくことの難しさをいかに描くか、というのがこの映画の要諦。しかもメイスンはアメリカという国に社会的に抹殺された身ですから、スキがあれば逃げようともします。スタンリーはどのようにしてメイスンと「仲間」となるのか、も興味の焦点の一つです。ほぼほぼネタバレになりましたがストーリー紹介はここまでです。

ショーン・コネリーがイギリスのスパイという設定だと、どうしてもジェームズ・ボンドを想起してしまうのですが、一応、この作品ではジェームズ・ボンドではないようです。スパイとしての腕も一流で女にも強い伊達男、というよりは、職人気質で偏屈なとっつきにくいジイさんというキャラ設定でした。このメイスンと、お勉強だけは優秀でナヨナヨとしたスタンリーがどうやって心を通わせるのか、というバディものの変形バージョンですね。提起した問題の重さと人間模様の描き方で、なかなかに面白い作品だったと思います。

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# by lemgmnsc-bara | 2018-10-14 15:14 | エンターテインメント | Comments(0)

X?MEN ファイナル ディシジョン [レンタル落ち]

ヒュー・ジャックマン,ハル・ベリー,パトリック・スチュワート,ジェームズ・マースデン,ベン・フォスター/null

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ストーリー上はこの作品で完結したはずなのに、何故かこの作品以後という設定のストーリーが続いてしまうという、『リングにかけろ』の世界ジュニア選手権ギリシア戦のような位置づけとなってしまったのが標題の作。

何しろ「悪の親玉」マグニートーはその能力を失ってしまうし(ラストシーンでは、のちにこの能力が復活することが暗示されてはいますがね)、一番のパワーを持ったジーンも死んでしまうし、「善の親玉」チャールズだって死んでしまうのですから、今作以上の戦いは成立しないはずなのですがね…。まあ、作品の世界観より何より、現実の経済の論理が一番強力だということをいやらしいまでに表現していたと言えましょう。

資本主義の論理への恐怖はさておき、この作品ではX–MENたちミュータントを「病気持ち」であるとみなし、その特殊能力を「治療する」ための「Cure」なる薬品を開発した企業家が登場します。この企業家の開発動機は、自分の息子の背に宝塚のトップスターも顔負けの巨大な羽根が生えてきたこと。息子の思い悩む姿を見かねた父親の心情というのは理解できますが、その後のお話が極端に走り過ぎ。LGBTの子供を持った親が暴走し、この世から全てのLGBTを抹殺しろと言い出すようなもんです。作中のミュータントにせよ、LGBTにせよ、本人が「選択」したわけではなく生まれ落ちた時からの「与件」なのですから。

この薬の出現は、一般人のミュータントに対する恐怖心を煽る効果をも持ち合わせていました。ミュータントたちを排斥せよという世論がたちまちのうちに巻き起こりますが、ここで黙っていられないのが「悪の親玉」マグニートーとその一派。一般人たちとの共存共栄を図ろうとするチャールズたちの説得を無視して蜂起します。で、あとは、マグニートー一派VS融和派ミュータント+アメリカ軍という戦いがクライマックス。

自分達に都合の良いように先住民族を僻地に追い込み、追い込んだ先に金が出るとわかった途端、大規模な殺戮を行って、先住民族たちをほぼ壊滅させた移住民族の末裔たちがこんな物語を世に問うようになったというのが一番の驚き。どのツラ下げてというべきなのか、深い反省に基づいたストーリーと読み解くべきなのか。マイノリティーとして、その権利を尊重され、一般人と融和して明るい未来を目指していこう的なラストも本来、移民と原住民はこうあるべきだったという反省のストーリーなのか、あくまでもフィクションの世界の中の夢と見るのか?なんだか、自分のヒネクレ度合いを試されているような作品です。

現実に起こっている様々な差別に対するメタファーなのであると、一応もっともらしく捉えておくことにしますが、所詮はアメコミですから、制作側にそこまでの深い意図があったかどうかは不明ですな。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-10-13 11:17 | エンターテインメント | Comments(0)

『ポンペイ』鑑賞

ポンペイ [DVD]

キット・ハリントン,エミリー・ブラウニング,キャリー=アン・モス,キーファー・サザーランド/ギャガ

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ベスビオス火山の大噴火により滅亡したポンペイを描いたのが標題の作。ただし、ポンペイの滅亡は単なる「背景」でしかなく、物語的には純愛悲恋モノです。

舞台は帝政ローマ時代のイタリア南部。その地に住んでいたケルト人の一部族が帝国軍に滅ぼされてしまうところからスタート。一人だけ生き残ったのは死んだフリをして死体の山の中に隠れていた少年マイロ。彼は放浪の末、奴隷商人に拾われます。

次の場面はいきなり17年後に飛びます。マイロは田舎町で無敵の剣闘士に成長していました。マイロ役の俳優キット・ハリントンの見事に六つに割れた腹筋と、その筋肉美を遺憾なく見せつけるアクションシーンは見どころの一つではあります。マイロの「飼い主」は、彼なら、大都市に連れて行っても勝負になるだろう(=カネになるだろう)と踏んで、当時イタリア南部で最大の都市であったポンペイへと進出します。

ポンペイへの移動の道中で、運命のBoy meets Girが発生。マイロはポンペイの支配者の娘カッシオ(エミリー・ブラウニング。残念ながら私はあまり美しいとは思いませんでしたね、この女優さん。むしろ侍女役の混血女性の方がよほど魅力的でした)とふとしたことで面識を得、二人は恋に落ちます。

さて、戦いの場をポンペイに移したマイロは、圧倒的な強さを見せつけて、現チャンピオンの、やはり攻め滅ぼされた少数民族の生き残りである黒人アティカスと対戦することが決まります。

一方でカッシオはローマの元老院議員コルヴスと政略結婚させられそうになっています。そしてこのコルヴスこそがマイロの一族を滅ぼした帝国軍の指揮官なのでした。で、このあたりからベスビオス火山の活動が、登場人物たちの運命に微妙に影響してくるというストーリー展開をみせます。

火山活動に伴う大地震による混乱に乗じて、マイロはカッシオを連れて、馬で逃亡することに一旦は成功します。しかし、一頭の馬に二人が乗っての逃亡には流石に無理があり、二人はすぐに捕らえられ、マイロは鞭打ちの刑に処せられます。

で、コルヴスはマイロとアティカスのタイマン勝負ではなく、数人の剣闘士(それも足を鎖で繋がれた状態)と軍隊の兵士多数との「団体戦」に切り替えます。体良くマイロを殺すだけでなく、民衆に殺戮ショーという「娯楽」を提供し、かつローマ帝国の威容を見せ付けるための変更でした。当時のローマ帝国が市民に要求されていた「パンと娯楽」の「娯楽」を提供しながら、ついでに自分では手を下さずに恋敵をも亡き者にしようとするコルヴスの狡猾さ。憎まれ役としてはいい設定ですね。さて、マイロとアティカスをはじめとする剣闘士たちは武装した兵士たちを相手に獅子奮迅の戦いをみせますが、いかんせん多勢に無勢。一人一人倒され、ついには傷ついたマイロとアティカスだけに。兵士が二人に殺到しようとしたその瞬間、待ちに待ったベスビオス火山の大噴火が発生します。火山弾は飛んでくるわ、大地震は起こるわで闘技場もポンペイ市内もまさにしっちゃかめっちゃか。マイロ、カッシア、アティカスなどのメインキャストたちはこの混乱にどう乗じるのか?というところでほぼほぼネタバレではありますが、ストーリー紹介は強制終了です。ま、近隣も含め、大都市ポンペイが壊滅したと伝えられ、のちに様々な発掘調査により、その凄まじさが実証された大爆発ですからねぇ…。

自然災害にフォーカスするのではなく、ローマ帝国の横暴さと、先にも述べた「パンと見世物」という衆愚政治への皮肉に満ちた仕上がりでした。思いの外面白かったという印象です。ストーリーとは別に、7年前のイタリア旅行のことを懐かしく思い出すこともできました。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-10-03 10:19 | エンターテインメント | Comments(0)

衣笠祥雄 最後のシーズン (角川新書)

山際 淳司/KADOKAWA

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『江夏の21球』でスポーツライターの第一人者に登りつめながら、46歳という若さで急逝した山際淳司氏のプロ野球ノンフィクション作品集。

山際氏の作品には独特の軽さと乾いた空気が漂っています。『スローカーブをもう一球』の主人公の一人、川端投手が勢い込んでくる打者をはぐらかすのに用いたスローカーブのように、「泥にまみれた」苦労話のような直球はまず投げてきません。でも、取り上げた選手なりチームなりの姿は確かなストライクとして心に残ります。

泥と汗と血と涙にまみれた努力などは、この本に登場するようなプロ野球選手ならやっていて当たり前。その上で、一流と称されるような実績を残すような技術や心理的な駆け引きの仕方などをどのように身につけ、駆使して勝利を得たのか。上質なスープの上澄み部分と、飲む寸前に散らす薬味のような部分の味わいを描くのが山際氏の真骨頂ですね。

標題の書も、山際氏独特の文章技法が遺憾無く発揮されています。東尾投手の投球術、落合選手のバッティング技術、故根本陸夫氏の「寝業師」ぶりと、実際に監督として采配をとった際のパッとしない成績とのギャップ等々。地上波で野球が放映される機会がめっきりと減り、同時に、私のプロ野球への関心が著しく低下して久しいのですが、こういうグラウンド内外を問わない勝負のアヤを描いたルポであればいくらでも読んでいたいです。

もっとも、近年では主にパリーグの球団に見られるような、投手は力一杯の球を投げ、打者は目一杯のスイングでこれを迎え撃つ、というような豪快な、と同時にそもそもの野球の原点に近いパワフルさの方がウケているようですがね…。私のような理屈をこねまくるコンテキスト読みはごく少数派のようです。あとはせいぜい張本さんのTVでの発言が注目されるくらいかな(笑)。

ただし、日本が世界の舞台で勝とうとすれば、パワー勝負ではなく、スモールベースボールに徹する必要があることを考え合わせると、こうした先人たちの「一球の重み」にまつわるオハナシを勉強しておくのは決して無駄なことではないと思います。優れた選手ほどMLBに行きたがる昨今、日本のプロ野球は一つの打席、一つの走塁、一つの守備機会、一球の投球にもっと物語をまとわせる方向に向かうべきでしょう。そもそも日本人は、表に現れた現象だけを見るのではなく、その現象の裏にあるモノゴトに思いを馳せることが好きな民族のはずですから。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-10-03 09:16 | 読んだ本 | Comments(2)

劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル 通常版 [DVD]

仲間由紀恵,阿部寛,生瀬勝久,野際陽子/東宝

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仲間由紀恵、阿部寛のW主演でそれなりに人気のあったドラマ『TRICK』の劇場版。

私はこのドラマを観た事がなく、その世界観を全く知りませんでした。で、観始めたら最初から最後まで、ふざけているとしか思えないストーリーが展開されました…。

いまだに迷信を盲信していわゆるシャーマンに絶対的な価値を置く村なんてある訳ないし、どんな限界集落にだって電気と水道くらいは最低限通ってますね、少なくとも日本では。そんな村のシャーマンの代替わりの際に催される、「霊能力者バトルロイヤル」に、パッとしない手品師である山田奈緒子(仲間)は候補者の一人として、物理学の教授である上田次郎(阿部)は審査員として巻き込まれていく、というストーリーが進んでいきます。

候補者は奈緒子を含めて5人いるのですが、次々と「呪い殺」されていくのです。謎が謎を呼び、また陰惨な死に様に緊張感が高まる…、と言いたいところですが、先にも述べたとおり少しもシリアスではありません。村人にアダモちゃん(島崎俊郎の往年のキャラ)がいて、ことあるごとに出張ってくるし、歌い踊る取り巻きを多数従える「ペイズリー」なる人物がいかにも胡散臭く村人たちを幻惑するし、奈緒子の最大のライバルとなる鈴木を演じる松平健が白馬に乗ったり、「成敗」と叫ぶシーン(言わずもがなではありますが『暴れん坊将軍』のパロディーです)もあります。

私はこの、全編に散りばめられたオフザケ、結構気に入りました。ドラマの方にこういう類のオフザケが毎回仕掛けられていたとしたら、見逃していて損したと思えたくらいです。ストーリー云々より、いかにオフザケを探し出してそれを楽しむか、という視点で観たらそれなりに楽しめる一連の作品なのではないかと思います。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-09-16 07:33 | Comments(0)

『星空の用心棒』鑑賞

星空の用心棒 [DVD]

ジュリアーノ・ジェンマ/パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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マカロニウエスタン界の里見浩太朗ことジュリアーノ・ジェンマ主演の一昨。題名こそ『星空の用心棒』となってはいますが、主人公は用心棒でもないし、星空にまつわるエピソードも描かれていません。当時の配給会社の宣伝部は一体何を考えてこの題名にしたのでしょうか?

題名についてのツッコミはさておき、ちょっとググって調べてみたら、この作品の「原作」はデュマの『モンテ・クリスト伯』だそうです。無実の罪で投獄された主人公が脱獄し、自分を窮地に陥れた相手に復讐する、という筋立てはなるほど原作通りのストーリーではありますが、原作の名声にふさわしい作品だったか?と問われると、いかにも「安っぽいな」という感想を持たざるを得ません。

いくら低予算でならしたマカロニウエスタン作品とはいえ、」安っぽく見せてはいけませんね。まあ、金だけはかかっていても安っぽく見える作品も多々ありますが…。

ジェンマ演じる主人公が、全く強そうに見えないし、実際に強くも描かれていません。ものすごい早撃ちだというわけでも、的中率がゴルゴ13並だとかいうわけでもなく、腕っぷしだって、至って普通。ちょっと数の多い敵に囲まれたらあっさりと敵に捕まってしまい、クビに縄をかけられて、絞首台の足下の台を蹴飛ばされる寸前まで行きます。

ま、この辺は観客のドキドキ感を煽ろうという演出なのでしょうが、最後には勝つと決まっている主人公が、あっさり死ぬわけねーよな、と全然ドキドキ出来ませんでした。

最後には敵を討ち果たして、恋人ともラブラブになってハッピー、ハッピー。醜い浮き世の鬼を退治てくれた主人公が明るい空の下で晴れ晴れとした笑顔を見せて終わり。こういうストーリーがウケた時代もあったんだ、という「歴史的価値」を確認させてくれただけの作品でした。

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# by lemgmnsc-bara | 2018-09-12 05:52 | エンターテインメント | Comments(0)

将軍家光の乱心 激突 [DVD]

緒形拳,千葉真一,松方弘樹,丹波哲郎/東映ビデオ

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永遠のアクションスター、千葉真一氏がアクションシーンの監督に座り、自らも剣の達人として出演するとともに、配下のJACのメンバーも多数出演させるなど全面的支援の下に制作された時代劇。ただし、あくまで主役は緒形拳氏です。本当にこのかたは仕事を選ばないですね。

ストーリーは時の将軍徳川家光に「自分に似ていない」という身も蓋もない理由で命を狙われることになった、嫡子竹千代を無事江戸まで送り届けることを依頼された石河刑部ら浪人たちと、家光方の軍との戦いを描くものです。ストーリー云々よりもいかにアクションシーンをカッコよく見せるかに重点が置かれています。

時代設定的に当然自動車などは存在していませんので、カーチェイスに相当するのは乗馬のシーンおよび馬上での戦闘シーン。用意された馬たちは散々すっ転がされたり、崖から落とされたりするのですが、安全には最大限の配慮をして馬を傷つけないようにしたとのこと。車はスクラップにすればそれまでですが、生き物はそうそう簡単に捨てるわけには行きませんからねぇ。

その他ちょっとググって調べてみたら、様々な映画の様々なアクションシーンのオマージュとしてのシーンが多々あるそうです。流石にサニー千葉ですね。伊達に関根勤氏にモノマネされているわけではありません(笑)。

竹千代を守る刑部と家光の間には、実は浅からぬ因縁があったりもするのですが、これはメインストーリーに添える薬味のようなサイドストーリーです。もっともメインストーリーと言ったってチャンチャンバラバラの殺し合いですがね。

多勢に無勢で、刑部側のメンバーが一人、また一人と倒されていく中、最後まで奮戦する刑部の意地みたいなものが見どころといえば見どころ。かなりベタな展開ではありますがね。

キャストでちょっと目をひかれたのが、ブレイク前の織田裕二。刑部配下の若手として大軍の敵に単騎で立ち向かい、最後には華々しく散ります。セリフらしい台詞はなかったような気がします。スタローンみたいにエロ映画には出ていなかったようですが、ま、彼にはあまり触れて欲しくない過去なのかもしれません。京本政樹が死病にかかって狂ってしまった家光を演じていたのも意外でした。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-09-05 14:41 | エンターテインメント | Comments(0)

『雲霧仁左衛門』鑑賞

あの頃映画 「雲霧仁左衛門」 [DVD]

仲代達矢,岩下志麻,丹波哲郎,松坂慶子,松本幸四郎(初代松本白鸚)/SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)

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池波正太郎の同名の盗人小説の映画化作品。氏の代表作『鬼平犯科帳』は全く逆に、「殺めず、犯さず、貧しきものからは奪わず」の盗人三原則を貫いた大盗賊雲霧仁左衛門の視点から、火盗改との抗争を描きます。

なお、この物語の時代設定は鬼平ことは江川平蔵が火盗改として活躍する80年ほど前ですので、鬼平と仁左衛門の「直接対決」」はありません。火盗改の長官は安部式部という人物で、演じたのは六代目市川染五郎(現二代目松本白鸚)。メイクの効果もありましたが、ギラついた眼差しに迫力がありました。なお、この作品には初代の松本白鸚(当時八代目松本幸四郎)も仁左衛門の兄役で出演しており親子共演が実現しています。

主人公の仁左衛門役は仲代達矢なのですが、周りのキャストがあまりにも濃すぎて、かなり影の薄い存在になっちゃってます。まあ、雲のように現れ、霧のように消えるという伝説まで持つ盗賊ですから、普段から市井の人に混じっても決して目立たないという設定をうまく演じていたのだと思うことにします(笑)。

さてストーリーは配下の七化けのお千代を松屋という豪商の主人の後添えとして送り込み、籠絡した主人から金の隠し場所を聞き出して、盗むという策を仕掛けるところから始まります。お千代を演じたのは岩下志麻で、枯れかけた老人を惑わせるほどの妖艶さを見事に表現していましたが、バストトップなどのオケべな部位を写すときはモロに吹き替えの女優が演じているということがわかるカット割りで少々興ざめ。

慎重に慎重にコトを進めていく仁左衛門一味ですが、腕はいいが性格がゲスな錠前職人山猫三次を仲間にしたことから計画が火盗改にバレてしまいます。三次を演じた川谷拓三氏は「人間のクズ」を演じさせると天下一品。後年のホームドラマなどでの「いい人」しか観たことのない私にとっては新鮮な驚きでした。彼は当時主役を食うというシャレから「ピラニア軍団」という名称で話題をさらった悪役の集団の一員でしたが、なるほど彼の登場シーンでは他の主役級の俳優隊が見事に「食われて」しまっています。

さて、三次から情報を得た火盗改たちは幾重にも厳重な包囲網をしいて仁左衛門一味を待ち構えています。火盗改と仁左衛門一味の戦いの結末やいかに?こちらについては是非とも本編をご覧いただくことをお勧めします。

ストーリーとは別に、出演者の多くがすでに鬼籍に入られているということにショックを覚えました。まあ、制作から40年も経ってるんですから当たり前のオハナシではあるのですがね。

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# by lemgmnsc-bara | 2018-09-05 13:25 | エンターテインメント | Comments(0)

『RONIN』鑑賞

RONIN [Blu-ray]

ロバート・デ・ニーロ,ジャン・レノ,ナターシャ・マケルホーン/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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ロバート・デ・ニーロとジャン・レノが初共演するということを前面に押し出したプロモーションが頭の片隅に引っかかっていたのが標題の作。題名の『RONIN』は日本語の「浪人」を指し、冷戦の終結で働き場を失ったスパイや特殊工作員たちの姿を描くという作品の世界観の一端を示しています。

スタートの舞台はパリ。デイアドラという美女の元に、裏のネットワークを通じて出された「求人広告」に応募して来た男が5名。いずれも一癖も二癖もありそうな連中です。ヴィンセント(ジャン・レノ)は武器をはじめとする物資の調達係、サム(デ・ニーロ)は」すべての面で他の人物を上回る腕っこきで、自然とリーダー的役割を果たすことになります。

ディアドラの指令は、とある集団から銀色のジュラルミンケースを奪うこと。相手をなるべく傷つけないという条件付きです。ケースの中身についてはメンバーがいくら質問しても「仕事」の内容とは関係ないという理由でディアドラは明らかにしようとしません。依頼主についても同様。劇中のメンバーにも、観る人にも多くの謎を残したまま、強奪作戦は走り始めますが…。

というわけで、この後のストーリーは本編をご覧ください。ネタバレは即この作品の魅力を削ぐことになりますので、ここまでしかストーリーは紹介できません。

この作品の公開は1998年。実に微妙なタイミングです(ちなみに私と最高権力者様が結婚した年でもあります)。中国は世界一の人口を誇る国ではありましたが、軍事力、経済力ともにまだ旧西側の先進国の対抗馬にはなり得ていませんでした。ビン・ラディン率いるアル・カイーダが引き起こしたとされるアメリカ同時多発テロ事件は2001年のことで、この時点ではまだイスラム過激派組織は明確な「敵」とは見なされていませんでした。旧東側諸国も対立よりは対話という方針だったため、東西ともに諜報機関のメンバーだった人物たちは「失業」状態でした。そんな状況の中で一番過激で、一番問題がありそうだった団体が最終的な敵ということになるのですが、少々迫力不足。特に日本人にとっては縁がなさすぎて、どんな団体だかよくわからんというのが一番近い感覚だったのではないかと思います。もちろん、特に欧州ではかなり身近な恐怖の対象となりうる団体なんだろうということは想像に難くないのですが…。

この時点から20年を経た今なら、中国や北朝鮮あるいはイスラム過激派の残党など「立派」に敵役の務まる集団は多々ありますが、これらの集団だと西欧人はキャスティングしにくくなります。ま、受験にせよ特殊工作員にせよ、浪人なんて存在はないほうがいい、というのはよくわかりました(笑)。

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# by lemgmnsc-bara | 2018-09-05 12:49 | エンターテインメント | Comments(0)

マイティ・ソー/ダーク・ワールド MovieNEX(期間限定) [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

クリス・ヘムズワース,ナタリー・ポートマン,トム・ヒドルストン,アンソニー・ホプキンス,ステラン・スカルスガルド/ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

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マーベルコミックの映画化作品。アイアンマン、キャプテンアメリカ、超人ハルクとともにアベンジャーズの一翼を担うマイティー・ソー単独出演のアクションヒーローもの。

ソーは英語読みで、元々は北欧の雷神トール(Thor)のことを指します。神だというのに市井の人間と交わり、ちゃんと恋人までいるところが現代っぽい。ギリシャ神話の神々もそうですが、西洋のそれも多神教時代の神々ってのは嫉妬深かったり、欲深だったり、人間の悪い面を持っている上に、力だけはあるから始末に負えませんね。ソーは徹頭徹尾人の良い正義のヒーローですが。

さて、今作の敵は地球誕生前から宇宙の闇に巣食うダークエルフの一員にして最も邪悪とされるマレキス。地球の誕生以前からいるわけですから、ある意味神より強力で邪悪な存在。彼らは常に宇宙を原子の闇に戻してしまおうと企んでおり、そのためにエーテル(エタノールではありません!聖的な力を持つ物質です)を使って一度実力行使に出ましたが、その時はソーの祖父にあたるアズガルド(地球)の王ポーが戦いに勝ち、エーテルを奪って地の底ふかく封印します。

さて時が経って現代へ。惑星が直列することに起因する、世界の不安定さにより、エーテルの隠し場所に入り込んでしまったソーの恋人ジェーンの体内にエーテルが入り込んでしまいます。エーテルの存在を嗅ぎつけたマレキスが、宇宙の片隅で目を覚まし、エーテルをダッシュしようと地球に攻め込んで来ます。で、アベンジャーズ2では悪役を演じたソーの弟ロキをはじめとする北欧神話の神々とともにソーがマレキスを迎え撃つ、というのがメインストーリー。

戦いの場面はCGを駆使してかなりリアルにパワフルに描かれていますが、現代のアクションヒーローものの派手な必殺技に慣れている身にとっては、ソーの雷神の槌での攻撃はいかにも地味です。一発で倒せる相手ではないので、タイミングよく別の力も利用して、一層のパワーを得る、なんてところは現代のゲームのラスボス攻略法に通じるところがあります。

最後の最後で一つドンデン返しじみたシーンが入りますが、基本的には苦闘の末、ソーたち地球の神々が勝利を収めることとなります。後々のアベンジャーズにつなげるという選択肢もあったと思いますが、これはこれで完結させた方が良いという結論に達したのでしょう。まあ、お子ちゃま映画です。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-09-05 12:18 | エンターテインメント | Comments(0)

『天と地と』鑑賞

天と地と [DVD]

榎木孝明,津川雅彦,浅野温子/角川ヘラルド映画

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角川映画の(制作費だけで考えると)超大作。主人公の上杉謙信役は渡辺謙氏が演じるはずだったのですが、急性白血病を罹患して降板。急遽オーディションで選ばれた榎木孝明氏を主役として撮影された一作です。榎木氏はこの映画出演をきっかけにブレイクし、のちには浅見光彦役で人気を博しました。

原作は海音寺潮五郎氏の同名小説。ちょっとググって調べてみたら。海音寺氏は、執筆当時川中島の攻防に関して描かれた物語は、すべて武田氏側の視点からのものばかりだったので上杉方から見た川中島の戦いを書きたいという意図の下でこの物語を記したそうです。言われてみれば、確かに上杉方視点の物語というのはパッとは思いつきません。私が知らないだけでしょうけど…。

上杉謙信という人物そのものが、戦国大名としてはメジャー中のメジャー的存在ですが、実はその生涯には謎が多い。その分創作者にとっては話を膨らましやすい人物でもありますがね。

今作の謙信は、古い武家社会の優等生としての側面がやや強調されていたと思います。当時の最新兵器である火縄銃に関しては、足軽雑兵が、遠くから名のある武将を射ち倒すことができる卑怯なシロモノだとして導入に消極的だったし、武田氏との戦いにしても、盟友関係だった北信濃の豪族村上義清の救援要請に応えたもので、決して信州征服を目論んだものではないという描き方になっています。

マイナスの側面である、大酒飲みだったとか同性愛者ではないかという疑問に関する描写は一切ありません。ただひたすら義に生き、義に殉じようとする姿が描かれます。なんというか、人間味のあまり感じられない人物像で、感情移入がしにくいんですよね…。

また、この作品の一つの見どころとして、CGなどを使わず、大量のエキストラを投入して、大軍同士の戦いをリアルに描いたシーンというのがありましたが、率直に言って私には画面がうるさすぎました、。劇場の大きなスクリーンで観ればもう少し違う感想になったかもしれませんが、局地戦でのディテールにこだわるあまり、何が何だか分からずに、ただ馬が走り回っているとしか感じられなかったんです。間、間に戦場全体の俯瞰図のようなものを入れて、両軍全体の陣形や、ダメージの多寡などをわかりやすくする工夫は必要だったように思います。

この作品、「大人の事情」で前売り券は多数捌けたものの、実際の観客は非常に少なかったそうです。作品そのもののできは巷間酷評されているほどの悪さではなかったと思うのですが、何か一つ決定的な盛り上がりにはかけていたような気はします。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-09-05 11:40 | エンターテインメント | Comments(0)

金田一耕助の冒険 [DVD]

古谷一行,田中邦衛,仲谷昇,吉田日出子/PI,ASM/角川書店

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いわゆる「角川商法」で、横溝正史氏の小説の売り上げが最高潮だった頃に『金田一耕助の冒険』という短編集が二刷発行されましたが、その中の一編『瞳の中の女』をメインストーリーとして制作されたのが標題の一作。

私は書籍発刊当時小学生でしたが、「角川商法」に見事に引っかかってこの二冊買ってもらった覚えがあります(他にも森村誠一氏の作品も随分買ってもらいました…)。で、何度か読み返したはずなのですが、肝心の作品の内容は見事なまでに忘却の彼方にあります。従って初めて触れるストーリーとしてこの映画を観ました。

しかしながら、この映画、正直言ってストーリーは全く必要ありませんでした。シーンの一つ一つに当時のドラマや映画、CMのパロディーが盛り込まれた、映画というよりはショートコント集に近いノリでしたね。

私はこういうオフザケは大好きです。パロディーの元ネタを知らずにもどかしさを感じたシーンはいくつかありましたが、この映画の公開当時は大のテレビっ子だった私にとっては、懐かしく、面白いシーンの方が多かったような気がします。

一つ一つの細かなくすぐりも快適だったのですが、一番評価すべきは「角川映画」や横溝作品に対する世間の人々からのツッコミに堂々と反論するシーンがあることです。当時の「角川映画」には「制作にも宣伝にも大金をかけて、さも大作であるかのように前評判を煽るが、中身が薄い」、横溝作品に対しては「金田一がそもそもあんまり役に立っていない」、「犯人がわかる前に人が死にすぎる」、「いつも、呪いとか悪魔とかおどろおどろしい」などという批判がありました。この批判に対し、この作品の金田一役である古谷一行が、劇中の長台詞でズバリ反論していますし、「大金をかける」ことへの批判に対しては横溝氏が本人役で出演し、見事に皮肉っています。

角川映画の個々の作品については、確かに必ずしも名作ばかりだとは言い難いのですが、その辺を逆手に取った、こうした、いまでいうところの「自虐ネタ」私は大好きです。

また、三船敏郎、壇ふみなどの豪華俳優陣や、先にも述べたとおり、横溝氏本人、作家の高木彬光氏や、角川春樹氏本人がカメオ出演しているのも見どころです。公開当時、この作品に関しては賛否両論あったようですが、私は断然支持します。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-09-05 09:42 | エンターテインメント | Comments(0)

『ペイルライダー』鑑賞

ペイルライダー [DVD]

クリント・イーストウッド,マイケル・モリアーティ,キャリー・スノッグレス,リチャード・ディザード,チャールズ・ハラハン/ワーナー・ホーム・ビデオ

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クリント・イーストウッド主演の西部劇版股旅物。

舞台はゴールドラッシュにわいていた頃のカリフォルニアのとある渓谷。個人個人で細々と河原の砂を浚って砂金を探す連中と、人手と機械を使って大々的に金鉱石を採掘しているラフッド一家とは対立していました。砂金浚いの連中をなんとか追い出して、山全体を採掘の対象としたいラフッドが、手を替え品を替え、砂金浚いの連中に嫌がらせを繰り返しているという設定です。なお、ラフッド側には豊富な資金で手なづけた保安官という「権力機関」も味方しています。

ある日、砂金浚いたちのリーダー格ハルは町に買い物にきたところを、ラフッド一家のチンピラたちに絡まれてボコボコにされてしまいます。そこに通りかかったのが一人の男(名は紹介されず単に牧師とだけ紹介されますが、この時点では牧師の格好をしていません)。彼はチンピラたちを一蹴し、ハルを救います。恩義を感じたハルは男を自宅に招き、食事をご馳走します。その食事の前に男は牧師の服に着替え、そこで初めてこの男が牧師であることがわかるのです。なお、着替えのシーンで牧師の背中には六つの銃槍があることも示されます。牧師のこれまでの半生が、荒んだものであったことを暗に知らしめるなかなか上手い描写だったと思います。それにしても背中に六つの傷って『北斗の拳』か!って本筋に関係ないところで突っ込んじゃいました。

権力をバックに、嵩にかかって攻めてくる悪者と、必死で抵抗する零細な庶民との対立に割って入ってくる正義感が強くて腕の立つ男…。ストーリーはまるっきり日本の時代劇の股旅物です。牧師の役を勝新太郎がやれば『座頭市』、三船敏郎なら『用心棒』、近衛十四郎なら『花山大吉』。してみると日本の方がバラエティには富んでいますね(笑)。

物語は、牧師の出現後も様々な手で砂金浚いたちを渓谷から追い出そうとするラフッド一家と、牧師を中心にその横暴さに対抗する砂金浚いたちの姿を描いて進行していきます。

ま、最後はこのテの作品に対して、我々が期待する通りの結末が待ってはいるのですがね。

ラストシーンはとある有名な西部劇の、あまりにも有名なシーンの、よくいえばオマージュ、悪くいえばもろパクリになっています。一応制作側はその有名なシーンを踏まえて作ったということを表明しているらしいのですが、パクリだろ!と言われてしまえばそれまで。こういうシーンは扱いが難しいですね。



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# by lemgmnsc-bara | 2018-09-02 07:56 | エンターテインメント | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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