『グレイテスト・ショーマン』鑑賞

グレイテスト・ショーマン 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

ヒュー・ジャックマン,ザック・エフロン,ミシェル・ウィリアムズ,レベッカ・ファーガソン,ゼンデイヤ/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画。実在したヤマっ気たっぷりの興行師P・T・バーナムの自伝を映画化した一作です。

バーナムは貧しい父と一緒に富豪の家に拾われ、下働きの召使として働かされる日々を送りますが、その日々の中で、富豪の娘チャリティーに恋をします。チャリティーもバーナムを憎からず思い、二人は愛を育んでいくのですが、チャリティーの父親は最後の最後まで二人の仲を認めませんでした。

さて、成人したバーナムはまず寂れた博物館を買い取り、そこにかなりグロな展示品を並べるのですが、客足はさっぱり。妻のチャリティーはもとより、二人の幼い娘まで、懸命にビラ配りをするのですが、人々には見向きもされません。切羽詰まったバーナムは、今度は生身のフリークスたちを集めて見せ物にすることを思い立ちます。アルピノやシャム双生児、ゴワゴワのヒゲが生えた大女等々。このフリークスショーは大当たりし、バーナムは一躍セレブの仲間入り。

この、人集めの過程における歌と踊りは見所。特にフリークスショーの舞台となるサーカス小屋のステージで出演者たちが歌い踊るシーンはクライマックスの一つと言ってよでしょう。鼻の部分の皮膚ガンと闘病中だったヒュー・ジャックマンもしっかり歌って、踊っています。

『レ・ミゼラブル』でもそうでしたが、この方実に歌が上手い。拳からヤイバなんぞ出す役の映画になんぞ出ている場合じゃないよ、って言いたいくらいです。

さて、こういう風に、ちょっと変わった角度から世に出た人間が目指すのが、「正統派の芸術」を世に紹介する仕事をすること。喜劇役者がシリアスな役で芝居に出ることに魅せられるようにバーナムも、欧州から一流のオペラ歌手を呼んでくることに成功し、そしてその興行は大成功をおさめます。

しかし、その影で、バーナムの「出世」を支えたフリークスたちは冷遇されていき、成功に酔いしれ、傲慢になったバーナムに耐えられず、チャリティーも二人の娘とともにバーナムの元を去ります。

好事魔多し。オペラ歌手との契約もこじれ、全てを失ったバーナムは一体どこを目指すのか?良くも悪くも、バクチを打ち続けているような人物が最後に本当に求めていたものに気づく、ってのは良くあるパターンのストーリーではあるのですが、展開的には上手く説明できていたように思います。

ヒュー・ジャックマンは、まず体調を万全にしてもらって、今後は作品を選んで出ていただきたいように思います。まあ、X-MENシリーズはすでに飽きられていますから、ウルバリンの出番はないようには思いますがね。

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# by lemgmnsc-bara | 2019-02-09 09:31 | エンターテインメント | Comments(0)

『ウインストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』鑑賞

ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

ゲイリー・オールドマン,クリスティン・スコット・トーマス,リリー・ジェームズ,スティーヴン・ディレイン,ロナルド・ピックアップ/NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

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主演のゲイリー・オールドマンがチャーチル本人に、それこそそっくりにメイクされ、そしてそのメイクが日本人によって施されたことで本筋以外の部分の方が話題を読んでしまったのが標題の作。

ところがどっこい、ストーリーも骨太で、見応え十分でした。

時は第二次大戦中、ヒトラーが総統を務めていたナチスドイツの軍は、欧州各地で猛威をふるっていました。地続きであるベルギー、オランダを支配下に置き、フランスをも攻め落とそうという勢い。

時の英国内閣のチェンバレン首相はよく言えば平和主義、悪く言えば弱腰で、英本土がドイツに攻め込まれる前に講和条約を結ぼうとしています。このことに野党から猛反発を受けたチェンバレンは首相を退き、その後をハリファックス卿に託そうとしますが、ハリファックス卿も同じように弱腰外交路線を取ると目されていたため、国中が分裂しかねない危機を迎えます。

ここで白羽の矢が立ったのが、海軍大臣である、ウインストン・チャーチル。気難しく、戦場で大敗の経験もある彼の起用を危ぶむ人は少なくなかったのですが、ヒトラーという凶悪な毒を制するにはチャーチルのような劇薬が必要だということで、周囲も納得し、チャーチルは首相の座に就きます。

とは言え、彼の主戦論はすべての人々に受け入れられたわけではありません。施政方針演説はドッチラケで、宥和派はもとより、彼を待ち望んでいた主戦派ですら冷たい視線を送る始末。

折も折、フランスに派遣していた30万人もの兵士が敵に包囲され、全滅の危機を迎えていました。チャーチルはその兵士たちを救うために、4千人の部隊に生還の見込みのない囮として、敵を撹乱することを命じるのですが、この策もまた全方位からの避難を浴びることとなります。

追い詰められたチャーチルは辞職を決意しますが、辞職の前に、市民の生の声を聴こうと、移動には公用車しか使わなかった彼が、自らの足で歩いて地下鉄に乗り込み、乗り合わせた市民の声を直に耳にします。ほんの小さな子供までが「絶対にドイツには屈服しない」という言葉を発するのを聞いたチャーチルが起こした行動とは?ということでストーリー紹介は強制終了。この後は是非本編をご覧ください。

結果地役にチャーチルという劇薬は、自らの力だけでなく、国民の力を引き出すことにも成功し、ドイツに勝利するのですが、勝利の6ヶ月後にがチャーチルは首相の職を解かれます。乱世の英雄は必ずしも平時の英雄になるとは限らない。結局一番うまく立ち回ったのは英国の国民だったのかも知れません。

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# by lemgmnsc-bara | 2019-02-09 08:47 | エンターテインメント | Comments(0)

『TAG タグ』鑑賞

『TAG タグ』

題名の「TAG」とはおにごっこのこと。小学生高学年に達すれば、大抵の人々が卒業するこの遊びを、数十年にわたって実施し続けている、実在の人物たちにインスパイアされて制作されたのが標題の作品。

設定はとある年の5月。ホーギー、ジェリー、ボブ、セーブル、ケヴィンの5人は例年に倣っておにごっこを繰り広げています。冒頭、ホーギーは獣医の仕事を投げ打って、清掃員に身をやつし、ビジネスマンとして成功しているボブに接近してタッチするというシーンが描かれ、彼らがこのバカバカしい遊びに、いかに真剣に取り組んでいるのかが示されます。ジェリーを除く4人の目的は毎年一致しています。5人の地元にい今も住み続け、30年間鬼になったことがないというジェリーをなんとしてでも鬼にすること。ジェリーは卓越した身体能力と、相手の予想を上回る知恵の持ち主。他の仲間が毎年、様々な趣向を凝らして、なんとかジェリーを捕らえようとするのですが、彼はことごとく、その策をかいくぐっているというわけです。

今年こそは、と意気込む4人。その「今年こそは」には、実は深いわけがあるのですが、それについてはぜひ本編をご覧ください。

ジェリーを捕まえようとする4人の男(とやはり同級生だった一人の女)がめぐらす様々な策略と、それをことごとく上回って逃げ回るジェリーとの虚々実々の駆け引きが最大の見所。攻めるも守るも、いい大人がそこまでやるか?というドタバタが展開されます。キャッチコピーにも「そこまでやるか?」という文字が躍っており、さすがに少しオーバーなんじゃねーの?と思っていたのですが、全然オーバーじゃありませんでした。そこそこできのいいアクション映画並みのシーンが次々と展開されます。実際にやったら確実に警察沙汰でしょうけどね…。

さて、物語はタイムリミットである5/31まで進みます。この日はジェリーの結婚式。花嫁との約束で結婚式およびそれに関連した行事(結婚前のパーティーなど)の場でのおにごっこは禁じられていたのですが、誓いのキスが交わされようとした瞬間、ホーギーが禁を破って花婿めがけて突進。なぜ彼は掟破りの行動に出たのか?これも先ほどの前フリ同様本編でご確認ください。

バカバカしいお話ではありますが、こんなバカバカしいことを老境といっても良い歳になってまでやり続けている人々がいるということが一番の驚き。実際の人々の行動を写した動画が、映画の最後に流れます。同時にこんなバカをやり続けられる友情の深さには感動もしました。まあ、私が持ち合わせている、シニアチームでラグビーをやろうなんて心根もある種の酔狂ですから、共感できたのかも知れません。

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# by lemgmnsc-bara | 2019-02-09 08:21 | エンターテインメント | Comments(0)

『のみとり侍』鑑賞

のみとり侍 Blu-ray豪華版

阿部寛,寺島しのぶ,豊川悦司,斎藤工,風間杜夫/東宝

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最近の日本映画にしては珍しく、下ネタとバストトップがあらわなシーン満載だった一作。

主人公小林寛之進(阿部)は、越後長岡藩士で律儀で武骨一辺倒の武士。賄賂が横行し、カネ次第でどうにでも転がる田沼意次の治世とそれに迎合する藩主や藩の重役に対して常々疑問を抱いています。藩主牧野備前守は稀に見る大バカ(と作中では描かれていますが、ちょっとググって調べてみたら、実際はその才を認められ、老中にまで出世したそうです)で、自作の愚にもつかない和歌を家臣の前で長々と披露しては、お追従の喝采を浴びることを無上の楽しみにしていました。ある日の「歌会」でバカ殿の歌を「良寛様の歌の盗作ではないか」とバカ正直に指摘した寛之進は、バカ殿の激怒を買い、「お前のようなやつは猫ののみとりにでもなって惨めに暮らせ」という沙汰を受けてしまいます。

生真面目な寛之進はその言葉を真に受けて、市中の猫ののみとり屋に就職することとなりますが、実は「猫ののみとり」は名目だけのこと。実際は有閑マダムや女郎、時にはその道がお好きな旦那衆に春を鬻ぐことは本来の商売でした。わたしは浅学にして知りませんでしたが、この商売は実在したそうです。いまでいう「デリヘル」の男版ってなところでしょうか。

で、猫ののみとりが仕事であると思い込んだままの寛之進の最初の客となったのは、田沼意次の妾であり、寛之進の亡妻に瓜二つの風貌を持つおみね。のみとり屋の本来の仕事がなんであるかを理解していなかった寛之進はおみねに「下手クソ!!」と罵倒され、自身の今までの人生を全否定されたようなショックを受けます。お勉強だけはできたけど、女性関係はサッパリで、童貞を捨てられたのは20を数年すぎてから、などというひ弱なエリート男子には同じようなショックを味わった方も少なくないのでないでしょうか(笑)。

そんな時、ひょんなことから色ごとに長けた、小間物屋の入り婿清兵衛(豊川悦司)と知り合った寛之進は、清兵衛の手練手管を文字通り間近で注視して学び、「プロ」として成長するとともに、様々な得意先と触れることで、市井の人々の実情や心情を知り、人間としても成長していく、というのがメインのストーリーです。いわゆる娯楽時代劇コメディーですので、悲しい結末にはなりません。

個人的には清兵衛の、病的なまでの焼き餅焼きの女房おちえを演じた前田敦子嬢が新しい発見でした。清兵衛の一物に、浮気できないようにうどん粉をまぶしたり、いわゆる濡れ場のシーンでコミカルな演技をしてみたり。恋愛禁止ってのが「法律」であるグループの出身者の割りには堂に入った演技ぶりだったと思います。



# by lemgmnsc-bara | 2019-02-01 11:19 | エンターテインメント | Comments(0)

『ミッション:インポッシブル フォールアウト』鑑賞

ミッション:インポッシブル/フォールアウト ブルーレイ+DVDセット<初回限定生産>(ボーナスブルーレイ付き)[Blu-ray]

トム・クルーズ,サイモン・ペッグ,ヴィング・レイムス,レベッカ・ファーガソン,アレック・ボールドウィン/パラマウント

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トム・クルーズがスタントなしでアクションシーンに挑み、ビルからビルへ飛び移るシーンで脚を骨折したというのが話題となったのが標題の作。シリーズ6作目です。

諜報組織IMFのエージェントであるイーサン(トム・クルーズ)は仲間を第一に思う熱血漢。しかしその「温情主義」が祟り、テロリスト集団に核爆弾の材料となるプルトニウムを奪われてしまうという失態を犯します。

でそのプルトニウムを取り返すために、テロリストと接触しようとするのですが、失態を重く見たCIAが部員を一人送り込んで、共同で事に当たらせようとします。プルトニウム奪還に向けて活動を開始する二人ですが、そこに、長年幽閉されていた、ソロモンというテロリストの親玉が絡んできたり、味方であるIMFの女性エージェントと対立してみたりという、様々な「障壁」が登場します。

ま、設定がどうの、展開がどうのというのは、このシリーズの場合は二の次、三の次。どの作品も大して代わり映えしません(笑)。とにかく、トム演じるイーサンがどんなシュチュエーションで、どんなアクションを魅せるかというのがこのシリーズの最大の見どころであり、商品価値でもあります。

結果は言わずもがな。正義は勝つ、というラストシーンに収束します。

それにしても、最初の方のカンフーの達人との戦闘シーンから、車がビュンビュン走るパリの市街地の道路をバイクで逆走するシーン、件のビルからビルへ飛び移るシーンにクライマックスのヘリコプター同士のぶつかり合いまで、全てスタントなしというのはたいしたものです。もうそろそろ60に手が届くってのに、頑張るオッさんですねぇ。作品の内容よりも、肉体のダメージはどれほどのものか、というのが一番気になってしまいました。まあ、客が彼に一番求めるのがこうしたシーンである以上、カラダが動くうちはこの「芸風」は維持し続けなきゃいかんのでしょうけど…。



# by lemgmnsc-bara | 2019-02-01 10:46 | エンターテインメント | Comments(0)

『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』鑑賞

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

ロバート・ダウニー Jr.,クリス・ヘムズワース,マーク・ラファロ,クリス・エヴァンス,スカーレット・ヨハンソン/ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

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マーベル版ヒーロー大集合『アベンジャーズ』シリーズの最新作。

今作の敵はイノスという、最凶にして最強な生き物。異星人と組んで、アベンジャーズたちを散々に苦しめたソーの弟、ロキを簡単に縊り殺してしまうパワーの持ち主。このイノスは宇宙創世時から存在する6つのパワーストーンを集めようとそのパワーストーンが存在する星を次々と滅ぼして行きます。イノスの究極の目的は、6つ全てを集めた上で、全宇宙の生物の生存数を半分に減らしてしまい、全宇宙の「適正規模」を取り戻そうというもの。

現在の宇宙は生物の数が過剰で、豊かな生活を享受できていない、という考え方には一理あるような気がします。しかし、これは地球上に置き換えて考えれば、発展途上国の人々の犠牲の上に豊かな暮らしを享受してきた先進国、もっと言えば「アメリカの正義」そのもの。自分たちで散々環境を破壊しておいて、いざ発展途上国の産業が振興してきたら、環境の保護を声高に言い始めたアメリカの姿への見事な皮肉(を制作側が込めたと信じています 笑)になっています。

さて6つのうちの一つはアベンジャーズの新メンバードクター・ストレンジが持ち、もう一つも同じくアベンジャーズのメンバーであるヴィジョンの頭にはめ込まれています。その二つを狙って、イノスとその部下たちが地球に向かってきます。

対抗すべき、我らがヒーロー軍団アベンジャーズは、前作でキャプテン・アメリカ派とアイアンマン、トニー・スターク派に分裂していて、お互いに音信不通のまま。ブルース・バナーに宿るハルクは出現しなくなる(彼は一度ソーやロキとともにイノスと戦い、敗れています)し、ソーもメインの武器である槌を失ったままと、不利な状況ばかりが積み重なっています。プラスの要因としては、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々と前々作でアベンジャーズたちを苦戦させたワンダ・マキシモフ、トニー・スタークの技術により大幅にパワーアップしたスパイダーマンが参戦することと、槌を失ったソーがより強力な斧を手に入れたことぐらいです。

それぞれのメンバーが、それぞれの戦闘シーンで、持てる力を最大限に発揮してイノスの軍勢と戦う、という展開は悪くありません。登場人物が増えたことや、前作までのストーリー展開の影響で、メンバー間の絡みがより複雑化されたことも、作品の深みを醸し出す要因となっています。ウルトラマンシリーズで例えてみれば、今までウルトラ5兄弟だったところにタロウとレオとアストラが加わって、戦いの「量」とそれぞれの背負う「物語」が増えただけだと言ってしまえばそれまでではありますが…。

さて、作品は完結していません。6つの石全てを手に入れたイノスと、6つの石の威力で、ストレンジ、ヴィジョン、スパイダーマン、ワンダなどのキャラクターが「消失」したアベンジャーズは今後どのような戦いを見せるのか?というところで、今作は唐突に終わってしまっています。続編でもう一儲けしようという、ミエミエの商売っ気にはやや辟易とさせられましたが、次作そのものは楽しみではあります。

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# by lemgmnsc-bara | 2019-02-01 10:10 | エンターテインメント | Comments(0)

『ヒトは、こんなことで死んでしまうのか』を読んだ

ヒトは、こんなことで死んでしまうのか

上野正彦/株式会社シティブックス

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今までに、数々の死体の検視に関わってきた監察医の上野正彦氏による、人が死ぬシュチュエーションの解説書。題名どおり「こんなことで死んでします」のか、と思わされる事例が紹介されています。

例えば酔っ払い。最近では盛り場を歩いていても酔いつぶれて倒れこんでいるような酔っ払いは見かけなくなりましたが、寝込んだままでゲロを吐くと、その吐瀉物が気管に詰まって窒息死することがるそうです。窒息まで行かなくても、気管に吐瀉物が入ってしまった後は、気管が著しく傷つき、それが死につながることもあるとのこと。飲み込む力が弱まった高齢者によく見られる誤嚥性肺炎などと同じ症状だそうです。

例えば、ちょっとけっつまづいて転んだ時。近くに大きな石でもあって頭でも打ちつけたりすれば因果関係ははっきりしますが、体の内部にダメージが残って、二〜三日後にコロッと逝ってしまうこともあるそうです。頭に限らず、「悪い打ち所」ってのは少なからずあるようですね。

もっとも恐ろしいのが、腸にダメージを受けて、その内容物、すなわちウンコが腹腔内に流出した場合だそうです。ウンコの中には有害な物質がたっぷり含まれており、腹腔内がばい菌だらけになって、他の臓器がダメージを受け、死に至るそうです。ヤクザに腹部を刺された力道山の死因がこれに当たるそうです。ウンコ恐るべし!!(笑)

それぞれの事象は興味深く、読み物としては非常に面白かったのですが、読後に最初に感じたのは恐怖、それも自分の身に起こる恐怖ではなく、他人にダメージを負わせてしまう恐怖です。

こちらは軽く平手打ちしたつもりでも、相手のあたりどころによっては、死をもたらしてしまいかねない、という恐怖。酔っ払って喧嘩したこともあり、一触即発の危険性が常にある満員電車に常に乗り合わせている私にとっては実にリアルな恐怖感でした。

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# by lemgmnsc-bara | 2019-02-01 09:24 | 読んだ本 | Comments(0)

『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』鑑賞

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 ブルーレイ+DVDセット[Blu-ray]

メリル・ストリープ,トム・ハンクス,サラ・ポールソン,ボブ・オデンカーク,トレイシー・レッツ/NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

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ワシントン・ポスト紙の政治的、経済的な戦いを、実話に基づいて描いたサスペンス。メリル・ストリープ、トム・ハンクスという二人のオスカー俳優が共演しています。

キャサリン・グラハム(メリル)は夫の後を継いでワシントン・ポスト紙を経営していますが、ライバル紙の追い上げもあって発行部数が落ち、苦境に立たされています。資金調達のために株式公開に踏み切るのですが、1970年代当時のアメリカでは「女が経営者だなんて…」という風潮が色濃く残っており、投資家たちの反応はイマイチ。

そんな中、ニューヨークタイムズ紙がペンタゴンから流出したベトナム戦争に関する極秘文書を入手し、大々的に記事にするという「事件」が起こります。極秘文書には、ケネディ、ジョンソン、ニクソンの三代にわたる大統領のベトナム戦争戦線拡大への関与が明示されていました。厭戦気分の高まっていた当時のアメリカでは文字通りの大スキャンダル。現職であるニクソン大統領のクビなど一瞬で吹っ飛ぶほどの衝撃的な内容でした。

ニクソンは大統領令という伝家の宝刀を抜いて、その後の情報公開を制限します。ニューヨークタイムズ紙は大統領令の前にそれ以上の情報の公開を見合わせることとなります。そうなると収まらないのが。文書をニューヨークタイムズにリークしたダニエル・エルズバーグ。彼は膨大なデータを今度はワシントン・ポストに持ち込みます。

大統領令によれば、情報源が一緒なら、別の新聞社の記事であっても違反となり、編集長ベン(トム・ハンクス)も社主のキャサリンも、その他お偉方たちは全て牢獄行きとなります。キャサリンは株式公開後の投資を実り多いものにするために、様々な策を用い、それこそ東奔西走してきたのですが、全て水泡に帰する結果を招いてしまうのですが…。

ここでこのネタをニュースにしなければ社会の木鐸たるマスコミとしてのワシントンポストの名折れ、しかし公開してしまえば、大統領令違反であるとともに、投資家たちからもソッポを向かれることは必然。この重大なジレンマの中、編集長ベン、そして社主のキャサリンはどんな判断を下すのか?答えは歴史が物語っていますね。しかし、ストーリーは味わい深いので、ぜひ本編をご覧いただきたいと思います。

実話に基づくストーリーゆえ、派手なアクションシーンなどは一切ありませんでしたが、手に汗握るに足るストーリー展開でした。



# by lemgmnsc-bara | 2019-01-27 15:04 | エンターテインメント | Comments(0)

『君は山口高志を見たか 伝説の剛速球投手』を読んだ

君は山口高志を見たか 伝説の剛速球投手 (講談社+α文庫)

鎮 勝也/講談社

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私が、周囲の影響もあって本格的にプロ野球に興味を持ち始めたのは1975年頃。その年、セリーグでは広島が球団創立以来初めてのリーグ優勝を飾りました。翌76年、翌々77年は、今に通じる「強力補強」を行った巨人がリーグ二連覇。そしてこの3年間パリーグ制覇とともに、日本シリーズにも全て勝ったのが阪急ブレーブスでした。

当時のブレーブスは強かったですね。福本、加藤、マルカーノらが名を連ねた強力打線に、山田、足立の両サブマリンを柱とした投手陣も安定していました。9連覇時代の巨人、森祇晶氏が監督を務め、秋山、清原、デストラーデを擁した西武ライオンズに引けを取らない強さだったとされています。そして、その中でもひときわ輝いていたのが1974年のドラフトで、一位指名され松下電器から入団した本書の主人公、山口高志氏でした。

関東在住であったがゆえ、シーズン中はブレーブスの試合を目にする機会は皆無でしたが、その分、日本シリーズに勝ち上がって来た際の山口氏の活躍ぶりはひときわ目立ちました。170cmに満たない短躯ながら、全身の力をフルにボールに乗せたストレートはまさに剛速球と呼ぶにふさわしい威力がありました。シリーズ初体験だったとはいえ、赤ヘル打線としてセリーグの各投手を震え上がらせたカープ打線も、やや盛りを過ぎていたとはいえ、シーズンではホームラン王を獲った王選手、首位打者までもう一息だった張本選手を主軸に据えた巨人打線もねじ伏せられた、という印象があります。また、通常は打席に立たないパリーグの投手だったにもかかわらず、シリーズの打席では見事にタイムリーをかっ飛ばしたというシーンも記憶に残っています。75年のシリーズでMVPに選ばれたのも当然といったところでしょう。

ところが山口氏の輝きは、この3年だけ。ブレーブスが、シーズン4連覇は果たしたものの、日本シリーズで初出場のヤクルトに敗れた(上田監督の1時間を超える猛抗議が球史に残っているシリーズですね)1978年からいきなり暗転します。

理由は腰を痛め、持ち前の剛速球が投げられなくなったこと。3年間、先発に、抑えにとフル回転したツケが回って来たのでしょう。「権藤権藤、雨、権藤、雨雨、権藤、雨、権藤」と言われた極端な酷使ではなかったものの、当時はまだ、先発した翌日にストッパー役を任され、きちんと押さえきってこそエースという風潮が色濃く残っていた頃でしたからね。この直後、江夏氏の活躍もあって、ようやくリリーフ専任という「制度」が定着しました(山口氏も77年からはリリーフに重きをおいた使われ方をしてはいました)が、そのリリーフにしたって、3回くらい投げるのが当たり前だったように記憶しています。今みたいに、強力な中継ぎが2、3人いて、最後に最終回限定でストッパーが出てくるなどという「完全分業制」は大魔神佐々木氏がストッパーに定着した頃くらいからですかね。

話が脇道に逸れましたが、山口氏の選手生活が短命に終わったのは、やはり酷使が原因でしょう。それもプロ入り以降ではなく、その剛速球に注目が集まった関西大学在学中からその酷使は始まっていたのでした。在学中は他の投手が投げた試合を数えた方が早いほど。目一杯体の力を使う投法だったこともあり、まさしく選手生命を削っての力投だったのでしょうね。腰を痛めたのも、ほんのちょっとした階段の踏み外しによるもの。そこから生じた痛みは、ついに最後まで消えることはなかったと言います。

歴史にタラレバは禁物ですが、現在のような完全分業制の元だったら、山口氏はどれだけの活躍を、どれだけの期間続けられたのだろうか、と考えると残念さ半分安堵半分ってところでしょうか。「完全な」状態の山口氏を打ち崩せる打線はしばらく出てこなかったのではないでしょうか?そう考えると、西武の全盛期以前にもう1回セリーグ暗黒の時代があったかもしれません。

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# by lemgmnsc-bara | 2019-01-27 14:14 | 読んだ本 | Comments(0)

『ジーサンズ 初めての強盗』鑑賞

ジーサンズ はじめての強盗 ブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray]

モーガン・フリーマン,マイケル・ケイン,アラン・アーキン/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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まとめ借りの枚数合わせに借りてきた一作。

余命がせいぜい15年程度の、日本でいば後期高齢者に差しかかろうとする三人の爺さんたちが、銀行強盗に挑むというコメディーです。

ジョー、ウィリー、アルの三人は同じ製鉄所に定年まで勤めた親友同士。日頃から食事を共にしたり、ローンボーリングでチームを組んだりしている間柄です。

この三人が勤めていた製鉄所は業績不振によりより大手の企業に飲み込まれることとなり、三人が受け取るはずだった年金の基金は、会社の債務清算のために使われるということを一方的に宣告されてしまいます。

人生も最晩年に来て、ようやく安楽な暮らしができると思ったら、アテにしていた年金が支払われることもなく、借金のカタに銀行に持ち家まで取られそうになったジョーが怒りを爆発させ、銀行強盗をやろうと他の二人に持ちかけるのです。

ジョーの頭の中には、自分がたまたま居合わせた銀行に押し入って来た強盗一味の鮮やかな手口がありました。しかもその一味の主犯らしき男はジョーを丁重に扱い、「年寄りを養うのは国家の義務だ」という義賊めいた言葉まで残したのでした。

ジョーの熱意に賛同した、ウィリーとアルは、やるからには成功させようと「トレーニング」を開始するのですが…、というところでストーリー紹介は強制終了。その後の展開と結末は是非とも本編をご覧ください。

このオハナシ、今現在は笑って観ていられますが、いざ自分が彼らと同じ年回りになった際に、国民年金や厚生年金などの原資が実際に残っているのだろうか?とふと我にかえってしまうと、薄ら寒い気持ちが残ります。

銀行強盗とまではいかなくても、近所のスーパーで食料品を万引きでもしなければ餓死してしまうような生活に追い込まれる可能性は大いにあります。

当家は子供がいない分、子供に迷惑をかける心配はありませんが、このことは同時に歳を食った際に面倒を観てくれる親族がいないということも意味します。面白うて、やがて悲しきジーサンズ、ってなところでしょうかね。預貯金やら、生命保険やらを一度詳細に確認してみなきゃいかんな、と思わされました。

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# by lemgmnsc-bara | 2019-01-27 13:30 | エンターテインメント | Comments(0)

『15時17分、パリ行き』鑑賞

15時17分、パリ行き ブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray]

アンソニー・サドラー,アレク・スカラトス,スペンサー・ストーン/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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実際のテロ事件に遭遇し、テロリストに勇敢に立ち向かって一人の死者も出さずに取り押さえた3人のアメリカ人(正確にはもう一人のイギリス人も加わっているのですが、このイギリス人についてのドラマは一切語られていません)を描いた作品。事件に関わった3人のアメリカ人が劇中でそのまま本人役を演じたことでも話題となりました。監督は、ヒューマンな作品を撮らせたら当代屈指のクリント・イーストウッド。

最初は3人の少年時代の回想から入ります。スペンサーとアンソニーの二人は常に迷彩柄の服を着ている変わり者。厳格な教育を施す(何しろ、何か問題を起こすとすぐに校長室に呼ばれるんです)キリスト教の学校では常に浮いた存在でした。そこに加わったのが黒人少年アレク。彼もまた校長室の常連でした。

3人は意気投合し、放課後につるんで遊ぶことが多くなりますが、アレクの生活と学校の教育方針との乖離は埋まることなく、アレクは転校。さらにアンソニーも母親の元から父親の元に行くこととなり、3人は離れ離れになります。

ここからはスペンサーの青春時代。ミリオタのおデブちゃんだったスペンサーは空軍のパラシュート救命隊に入隊することを望んでいましたが、ルームメイトから「お前の体格と根性の無さでは訓練についていけっこない」と言われて一念発起。苦しいトレーニングを自らに課し、それを継続して見事にビルドアップし、体力面ではトップの成績で軍隊に入隊。この姿勢は見習わないといけませんね(笑)。しかし、空間の把握能力に難ありとしてパラシュート救命隊への配属はかないませんでした。これは身体的な問題なので、努力すれば解消するというものではありません。当然彼は失意のどん底。この気持ちはよくわかります。実績は申し分ないはずなのに、自分ではどうにもできない事柄で希望が通らない。私もいまだに恨みが残っている人事異動の際の心境を思い出して同情しきり。スペンサーは心にわだかまりを感じたまま、それでも救護班の班員として救護のスペシャリストになって行きます。

さて場面は件のテロ事件(タリス銃乱射事件と言われているそうです)の場である長距離列車の車内。テロリストであるタリスは自動小銃の弾丸を実に300発も持って列車を乗っ取ろうと企てます。ところが、実行の直前に10分以上もトイレにこもってしまい、そのことを不審に思った男性乗客に咎められて「本格的」な脅しに入る前にその男性に自動小銃を取り上げられてしまいます。タリスは拳銃も持っていたため、小銃を持って逃げた男性は左肩を撃ち抜かれてしまいます。ここで立ち上がったのはスペンサーら3人。自動小銃を受け取った一人はとにかくタリスから遠ざかるために車内を全力疾走。スペンサーはタリスに襲いかかり、いくつかの浅からぬ手傷は負ったものの軍隊仕込みの絞め技で、タリスを締め落とします。そして銃で撃たれた乗客のもとに駆けつけ、救急隊が到着するまでの間、持てる技術の全てを駆使して、懸命に止血処置を施します。その間、もう一人とイギリス人の乗客がタリスをがんじがらめに捕縛します。

スペンサーの処置が奏功して、乗客は一命をとりとめました。スペンサーの軍隊仕込みの格闘術や救命術がなした役割はもちろん大きかったのですが、小さな頃から仲間と一緒に培ってきた勇気と信頼こそが彼の一番の才能だ、という描き方、いかにも人情派のイーストウッド監督の作品です。人生に無駄な経験など一つもないんだよ、って「挫折を乗り越えるための心構え」みたいな本に乗っているような教訓を示して大団円。

やや説教臭さを菅jはしますが、じゃ、自分が同じ状況下に放り込まれたらどうする?同じことができんのか?という重い重い問いかけも同時に発せられており、こちらの問いに関しては「うーむ」と唸るばかりで、にわかには答えは出せそうにありません…。


# by lemgmnsc-bara | 2019-01-13 13:41 | エンターテインメント | Comments(0)

『メッセージ』鑑賞

メッセージ (オリジナルカード付) [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

エイミー・アダムス,ジェレミー・レナー,フォレスト・ウィテカー/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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映画評論家の町山智浩氏が、とあるTV番組で激賞していたのが標題の作。主演がエイミー・アダムスだということもあり、正月休み中にレンタルしてきて鑑賞。

ルイーズ(エイミー)は言語学者で、古代文字の解読のエキスパートという設定です。バツイチのシングルマザーで、一人娘を難病で亡くすという「過去」を背負って生きています。

ある日の大学での授業中、突然避難勧告が出されます。そしてその数日後、ルイーズの元には軍関係者が現れ、有無を言わさずルイーズを巨大な物体(公開当初。米菓子「バカうけ」に形が似てると評判になったそうです。私は胚芽がついたママの米粒に見えましたがね)が地上数メートルに浮遊している地に連れて行きます。

この物体は世界各地12箇所に同時に出現し、中には得体のしれない生命体が存在しています。その生命体と意思疎通を図るために米政府が言語の専門家であるルイーズや理論物理学者であるイアンなどを招聘して特別チームを編成したのでした。生命体はH.G.ウエルズの火星人以来の「正統派」であるタコによく似た外見を持っています、

このタコたちの意思疎通方法は一本の触手から墨のようなモノを吐き出し、円のような図形を描くというもの。ルイーズたちは、かすかな手がかりから彼らの意図するところを読み取り、現状が生じている意味を探ろうとします。この辺は異文化同士の最初のぶつかり合いのメタファーですね。例えば、英語しか話せない人間と最初に遭遇した日本人は同じようなもどかしさを感じながらコミュニケーションを図ろうとしたのでしょう。

様々な対話の結果、生命体は何か「道具」をもたらそうとしていることがわかったのですが、この「道具」という言葉の解釈をめぐって各国の意見が対立するとこ路も現代社会の風刺ですね。一番強硬な意見を表明するのが中国だっていうところが、特に(笑)。

未曾有の事態に際して、人類がどのように立ち向かうのかを描くのがメインストーリーかと思ったのですが、実はメインストーリーは別のところにあります。どんなことがメインストーリーなのかはぜひとも本編にあたってみてください。「道具」という言葉の解釈と、私がこの駄文の冒頭部分で「」付きで過去と書いたことがヒントです。非常に凝ったつくりになっている作品です。集中してみていないと、あっという間に置いていかれ、全くワケがわからなくなりますので、特に後半の40分くらいは画面から目を離してはいけません。



# by lemgmnsc-bara | 2019-01-13 07:59 | エンターテインメント | Comments(0)

『グッバイ・ゴダール!』鑑賞

1960年代末から70年代頭くらいの頃の映画監督ゴダールの姿を描いたのが標題の作。

『中国女』で共産主義へのシンパシーを表現した彼は同作で主演を務めたアンヌという女優を2度目の妻として迎え、さらに『東風』の制作にも取り掛かるなど忙しくも充実した日々を送っていましたが、当時のフランスは政府の政策に反発した市民が大勢でデモを行っては警官隊と衝突するという不穏な時代でした。

ゴダールもデモで警官隊に投石したり、大学で開かれた討論会に参加するなど「政治活動」に傾注して行きます。この辺は古くて新しい問題を提起していますね。芸術家(および芸能人)と政治に関する問題です。日本でも例えば大島渚氏などは特に晩年になって、政治的発言で物議をかもしたりしましたし、最近ではローラの辺野古埋め立てに反対する呼びかけが問題になったりしました。アメリカでもトランプ大統領不支持を公の場で表明する芸能人は少なくありません。

芸術家(および芸能人)はあくまで、自分のフィールドである表現の場で、人々を楽しませることに専念すべきだ、という主張もあれば、積極的に自らの影響力を駆使して政治的意見を表明して行くべきだとする考えもあります。ゴダールの行動は、前者からは映画への情熱が低下したと非難され、後者からは「大した主義主張もないくせに、政治に首を突っ込むな」と批判されます。どちらの集団からも叩かれ、おまけに新作の『東風』も酷評されて踏んだり蹴ったり。さらに自暴自棄になったゴダールに愛想をつかしてアンヌまでが彼のもとを去って行きます。

映画だけに専心して、映画の中で政治的思想を思う存分主張すればよかったのではないか、と素人考えでは思ってしまうのですが、時代の風ってやつに煽り立てられてしまったというところでしょうか。民衆が日々戦って血を流している横でノンビリと映画なんか撮ってられるか、という気分になってもおかしくはありません。またそこで映画だけに専念していたら、「現実から逃げている」という批判を浴びたことでしょう。有名人ってのは辛いですね。

こうした状況を踏まえた上でも、やはりゴダールには一歩引いた地点から物事を眺め、それを反映させた作品を撮り続けて欲しかった気がします。そうした態度を貫けていたら、ゴダールはまだ生きて作品を取り続けていたかもしれません。

余談ながら、『気狂いピエロ』、『中国女』、『東風』はゴダール三部作と言われているそうです。YMOにも『MAD PIERROT』、『中国女』、『東風』というなの楽曲がありますが、これは映画の内容に即しているわけではなく、単に作曲者の坂本龍一が題名を拝借したに過ぎないそうです。



# by lemgmnsc-bara | 2019-01-08 10:42 | エンターテインメント | Comments(0)

『オーシャンズ8』鑑賞

オーシャンズ8 ブルーレイ&DVDセット (初回仕様/2枚組/ポストカード付) [Blu-ray]

サンドラ・ブロック,ケイト・ブランシェット,アン・ハサウェイ,ミンディ・カリング,サラ・ポールソン/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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サンドラ・ブロック主演のクライムサスペンス。題名からも伺える通りジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモンらが出演してヒットした『オーシャンズシリーズ』の女性だけバージョンです。主人公デビー・オーシャン(サンドラ)はオーシャンズシリーズの首領ダニー・オーシャンズの妹という設定です。

冒頭、デビーが刑務所からの出所に際し、2度と犯罪を犯さないという宣誓を行うシーンから物語は始まります。しかし、デビーは出所したその足で、ショッピングモールに行き、高級化粧品をはじめ、様々なブランド品をだまし取って小銭を稼ぎ、他人の名前を騙って高級ホテルの一室にもぐりこみます。全然反省なんかしていません。

さて、デビーは次に、世界一と言われる宝石を手に入れることを企図し、そのために必要な、ずば抜けた一芸を持つ仲間たちをまず六人集めます。そして最後に登場するのがダフネ(アン・ハサウェイ)。個人的にはこのキャラが一番光っていたように思います。今まで生真面目な優等生という類いの役が多かったアン・ハサウェイが、見栄えはいいが、頭はカラッポでデビー率いる「チーム・オーシャンズ」にいいように踊らされるというおバカ女を演じます。

とはいえ、このダフネという人物、実はしたたかな一面を持っており、一味の仕事が終わった後は堂々と「仲間」の一人であることを主張して分前をごっそりともらって行くのですがね…。

物語の最大のクライマックスは、最新の防犯システムで守られた宝石を多数のセレブを含む衆人環視のパーティーというシュチュエーションで盗み出す、というシーン。チーム・オーシャンズのそれぞれのメンバーがそれぞれの異能を遺憾無く発揮し、首尾よく盗み出すシーンは一見の価値ありです。まあ、御都合主義と言えなくはない部分もそれなりにありますが、それには目をつぶりましょう。

デビーには宝石奪取の他にもう一つ大きな目的があるのですが、その目的は本編をご覧いただく際のお楽しみとして、この場では明かさないことにします。

自らの思いは一旦横においておいて、とかく問題が起こりがちな女性だけの集団を一つの目的に向かわせ、首尾よく目的を果たす…。女性の多い職場の管理職の皆様にとって大いに参考になる映画ではないでしょうか(笑)



# by lemgmnsc-bara | 2019-01-08 10:15 | エンターテインメント | Comments(0)

『古田式・ワンランク上のプロ野球観戦術』を読んだ

古田式・ワンランク上のプロ野球観戦術 (朝日新書)

古田敦也/朝日新聞出版

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その昔、プロ野球のナイター中継は、春から秋にかけての夕食時のテレビ番組の主役でした。、当時はまだ、ピッチャー後方、センターバックスクリーンやや左からの画像はなく、バックネットから映した映像が主でした。審判と捕手に隠れて投球の球種はもちろんコースすらもはっきりせず、打ったか、打たなかったかが唯一の観点でした。

地方都市出身で、しかも別の地方都市で大学時代を過ごした私が、初めてプロ野球の試合を球場で生観戦する機会を得たのは就職してしばらく経った後でした。その際は外野席で観戦したのですが、バッテリーと打者だけではなく、フィールド上の野手全てが、一球ごとに常に様々な動きを見せている事に驚いた記憶があります。そうそう、野手たちは、次に起こり得るあらゆる事態に備え、常に最良の結果を生むべく努力していたのでした。草野球でほとんど打球の飛んでこないライトあたりを守ることが多かった私にとって守備の時間は「休憩時間」だったのですが、プロの世界なら罰金物の重罪を犯し続けていたことになりますね。

前置きが非常に長くなりましたが、標題の書は野村ID野球の申し子である古田敦也氏のプロ野球観戦術の指南書です。

守備位置や配球を考える際に、守備側は打者のどんな動きに着目しているのか?また打者は打者でどんなことを考えて打席に立っているのか?カウント、走者の有無、点差等々の要因により、それこそ無限に近く選択肢は増えてきますね。

古田氏ほどの達人ともなると打席に入った打者の全身を上から下まで一睨みしただけで、小さな変化を見つけだし、その変化によって起こり得る可能性を考え、対策を練流という域にまで達していたそうです。

バットのグリップを一握り余して持つか?目一杯長く持つか?スタンスは?様子見で外したボール球をどのように見逃したか?深いですね、実に。確かにこういう観方で観戦できたら、野球というスポーツの奥深さ、複雑さを味わい尽くすことができるでしょう。ただし、非常に疲れる観方であることも事実。私はこういう観方で1試合観きることなど到底できそうにありません(笑)。

現在の、特にパリーグの野球はピッチャーが力一杯投げ込んだボールを、打者が思いっきり打ち返す、という「力勝負」が主流になっているそうです。そういう相手にこそ、こうした「頭脳戦」を仕掛けたら効くと思いますし、国際試合の場などでも大きなアドヴァンテージになるのではないかと思います。古田氏にパリーグのどこかの球団監督、ぜひやってほしいですね。



# by lemgmnsc-bara | 2019-01-06 16:08 | 読んだ本 | Comments(2)

『期待はずれのドラフト1位-逆境からのそれぞれのリベンジ』を読んだ

期待はずれのドラフト1位――逆境からのそれぞれのリベンジ (岩波ジュニア新書)

元永 知宏/岩波書店

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根尾、藤原、吉田、小園の高校生四天王に、東洋大の三羽烏、社会人の即戦力と話題に富んでいたのが2018年のドラフト。どの選手も、高水準の成績を長期に渡って残し続けることを期待されて入団しますね。とりわけドラフト1位となればいやが上にも期待は高まってしまうものです。

しかし素材の良さや前評判の高さだけでは生き残っていけないのがプロ野球という世界。ドラフト指名された選手たちが喜びと緊張の中にも晴れやかな笑顔で入団会見を行うかげで、ほぼ同数の選手の、それも大半が世間の耳目を集めずにひっそりとユニフォームを脱ぎます。

ほんの数年前にはファンの期待を一身に背負い、注目されていたというのに引退の際には、各メディアの端っこに、ほんのかけらほどの扱いで取り上げられるのみ。実力がないとみなされた者の悲しい宿命ですね。

さて、標題の書はドラフト1位で指名されなが、プロでは(失礼ながら)大した実績をあげることができないまま去って行った選手たちの、現役時代の苦闘と引退後現在に到るまでの姿を描いています。紹介されているのは水尾嘉隆氏(横浜、以下カッコ内は入団時の球団)、的場寛一(阪神)、多田野数人(日ハム)、江尻慎太郎(日ハム)、河原純一(巨人)、藪恵壹(阪神)のドラフト1位指名の各氏と近鉄にドラフト2位で指名された中根仁氏の計7名。

プロ失格という烙印を押された挫折をいかに乗り越え、現在の仕事に繋げているのか?この書の「所属ジャンル」は岩波ジュニア新書という中高校生あたりをメインターゲットにしたものであるため、失敗してもくじけるな、いつだって「やる気と根性」さえあれば当初目指した道でなくたってやり直すことが可能だ、というメッセージが色濃く描かれています。まあ、少々説教くさい文章が並んでいるのですが、こうした挫折を乗り越えた人々の姿を紹介する文章の結末としてはこうした書き方しかできませんね。中には挫折をこじらせて犯罪に走ったりする人だっているのですから。多感な青春時代を過ごしているであろう、若い諸君には、ぜひとも素直に彼らの「教訓」を読み取って活かしていただきたいものです。

失敗することは若者の大いなる特権であり、挽回する時間は十分にあります。順風満帆な人生よりも実り多いような気もします。周りの環境に流されて、挑戦することを選ばずにズルズルと50の坂を超えてしまった私の、身を以て知った現実でもあります(苦笑)。



# by lemgmnsc-bara | 2019-01-05 08:54 | 読んだ本 | Comments(0)

2019年新年挨拶

ブロ友の皆様、大変遅くなってしまいましたが、明けましておめでとございます。
のっけから言い訳で申し訳ありませんが、帰省やら、1/4が会社の営業日だったことやら、風邪を引いて寝込んだ日が二日あったりとか、いろんなことが重なった結果、これが今年の初投稿です。今年はラグビーワールドカップが日本で開催されるという歴史的なラグビーイヤーです。こちらも別口も、ラグビーについて様々なことを書き散らかしてゆく所存ですので、よろしくお願いいたします。

皆様の一年が充実したものになりますように。

# by lemgmnsc-bara | 2019-01-05 07:12 | 雑談 | Comments(0)

2018年の私的10大ニュース+漢字一文字

ブロ友の皆様、本年は誠にありがとうございました。来年も読書と映画の鑑賞記を中心に様々に書き綴る予定ですのでよろしくお願いいたします。

さて、今年もこんなどん詰まりの時間に、毎年恒例のネタカウントダウンで行ってみたいと思います。

10.サッカー日本代表W杯で予選突破
 参加直前に指導者が変わるなど、迷走を続けた日本代表でしたが、結果的には過去最高に並ぶ、ベスト16進出。でもベルギー戦を見た限りでは、まだまだ世界のトップへの道は険しいと思います。大会後に発足した新生ジャパンにどんどん若手が出て来ているのは良いことですね。

9.平昌オリンピック日本勢躍進
スピードスケート女子のメダル量産と、羽生選手の2大会連続金メダルが圧巻。女子カーリングも銅メダル獲得して、流行語大賞までさらいました。次回大会でも期待しましょう。

8.巨人4年連続でV逸
なんというか、歯がゆい一年でしたね。いわゆる勝ちパターンというのを確立できない一年でした。シーズン3位となんとかAクラスは確保したものの、負け越しのままで日本シリーズにまで出てしまったら、いかに40年来のファンとはいえ、とてもじゃないけど応援なんかできないと思っていたら、幸か不幸か、見事に広島に返り討ちにあって、あえなくシーズン終了。唯一と言える収穫は岡本の覚醒ですが、来シーズンは「2年目のジンクス」って奴に襲われることは必須。日本の4番バッターになるためには乗り越えなければいけない試練ですがね。シーズン終了後には金にあかせた補強を行ったり、往年のエースであった内海を放出したりと、シーズン以上に派手でした。

7.「5000人の第9」に参加
毎年2月に両国の国技館で行われる、同コンサートに初参加。第9を歌ったことでクラシック音楽への興味がわき、ただいま最高権力者様のライブラリーをあさって、聴きまくっています。同時に私の声質はどちらかというと高音よりも低音向きだということにも気づきました。とりあえず、テナーではなくバリトンを目指します。

6.山下達郎コンサート初鑑賞
何度目かのチャレンジでようやくチケットを購入することができ、鑑賞してまいりました。ステージ上の達郎氏が実に生き生きと歌い、演奏していることに感激。歳を取っても衰えない美声と、ギターからパーカッションまでなんでも弾きこなすマルチな才能に感嘆。噂に聞いていたコンサート会場限定CDを片っ端から買いまくって財布は空っぽになりましたが、心は豊かになりました。なお、妻の竹内まりや氏の映画も鑑賞。今年の当家は山下家イヤーになりました。

5.断捨離敢行
春頃、たまたま観ていたTVでGEOが運営しているリサイクルショップの2nd Streetがほぼどんな古着でも買ってくれるということを紹介していたので、早速、廃棄寸前だったり、サイズが合わなくなった服を持ち込んでみました。まあ、廃棄寸前だったやつは1枚1円とかいう値段をつけられたりしましたが、まあ夫婦二人で軽くランチにいけるくらいの金額にはなりました。何より、使わずに場所塞ぎになっていた服を処分できたことの心理的効用が大きい。秋にももう一度夏物の処分に行きました。今度は300円にも満たない金額でしたが…。

4.資格試験関係
ここ数年の目標はTOEIC850点突破と、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅰ種合格なのですが、まずTOEICは最高が765点と目標に遠く及ばず。後者の方の結果が出るのは新年早々ですが、毎度のことながら論述問題に関しての自信が持てない状態。

3.リバウンド進行中
体重の増加傾向に歯止めがかかりません。色々やってはいるんですがね。とにかくまずはラグビー用の体を取り戻すための鍛錬も兼ねて毎日少しづつでもトレーニングを続けること。酒(および飲酒の際のつまみ)を控えること。間食しないこと。これを心がけていこうと思います。

2.ラグビー戦績
参加した試合は5勝3敗1引分け。スクラムで押し込まれた試合は1試合だけ。トータルとしてはまずまずのシーズンでしたが、左膝の怪我の影響で欠場した試合の方が多く、トライも奪えなかったため、個人的には多々不満が残りました。来シーズンはもう一度鍛え直して、今の状態での全力を出し切ったと言えるシーズンにしたいと思います。

1.高野山人権講座参加
こっちのブログでは全く触れませんでしたが、8月の末に高野山大学で開かれた同セミナーに2泊3日の日程で参加してきました。高野山という日本を代表する結界の中に入ること自体が稀有な経験でしたし、セミナーの内容もすごく濃いものでした。今まで漠然としか意識していなかった人権というものに対して、身近でかつ重要なものであるという認識を新たにしました。この講座の参加体験を発表した会議の場で高い評価をいただいたことも嬉しかった。会社関係の出来事でポジティブな感覚のものが1位を獲得したのは初めてのことです。まあ、今の仕事に直接結びつくものではありませんが、ある意味人生を変えてくれた体験でした。

今年の漢字は「戻」です。人権セミナーで、難しい問題だが日々考えることは面倒臭いという問題について、日々考える姿勢をもう一度持たないといけないと気付かさせてもらいましたし、体重も元に戻りつつあります(歓迎すべきことではもちろんありません)、ラグビーのできる体に戻そうという気持ちにもなり、実際にトレーニングを始めたし、読書にしても映画にしても「古典に戻る」ことを意識するようになりました。そのわりに投稿内容は最近のものばかり取り上げていると言われてしまえばそれまでですが(苦笑)。

というわけで、来年もよろしくお願いいたします。



# by lemgmnsc-bara | 2018-12-31 15:44 | 雑談 | Comments(2)

『souvenir the movie』鑑賞


竹内まりや氏のデビュー40周年「記念行事」。2000年以降のライブの模様からより抜いた映像をまとめて1時間半ほどの作品に仕上げています。

当家はつい最近山下達郎氏のライブを初鑑賞したばかりで、その興奮と感動がまだ残っている中での鑑賞でしたので。一曲目の『アンフィシアターの夜』のイントロのギターソロで達郎氏が登場した瞬間に、一気にスクリーンに心を鷲掴みにされてしまい、「歌う家内制工業」山下家の竹内まりやパートに引き込まれました。『Variety』以降のアルバムは全て持っており(ベスト盤は除く)、画面上に現れる曲は全て繰り返し繰り返し聴き込んだ曲ばかり。各々の曲にまつわる思い出を心に巡らせながら、しっかりと味わわせていただきました。

画面上には当世の流行り言葉で言えば美魔女とでもいうべき竹内氏の歌う姿が。デビュー当時、プロダクションやレコード会社は彼女をアイドルとして売り出そうという方針だったそうですが、なるほどアイドルとしてもそこそこ人気は出たであろうルックスではあります。ただし、曲間のトーク部分で自ら語っている通り、常時メディアへの露出が求められるアイドルとして活動していたら、40年もの間、アーティストとして活動することはできなかったでしょう。良い意味でも悪い意味でも新陳代謝の激しい「アイドル」というカテゴリーでは、曲のクオリティ云々は二の次、三の次ですからね。一定期間活動を休止し、数年ごとに確実に一定数の支持を集める作品を発表するというスタイルこそが現在の竹内まりや氏を確立させたのだという、山下達郎氏の鋭い指摘も作中で語られています。

楽曲で興味深かったのが『プラスティック・ラブ』。達郎氏は、以前どこかの場で、自分でライブで歌う曲としてはこの曲が一番好きだと語っていました。残念ながら、当家が鑑賞したライブではこの曲は演ってくれませんでしたが、達郎氏のライブアルバム『JOY』に収録されたものを聴くと、歌詞の部分を歌い終わり、後奏に入ってからのボーカルのアドリブが凄い。ボーカリスト山下達郎の魅力が遺憾なく発揮されています。今作の中ではメインボーカル竹内氏がその歌唱パートを終えた瞬間に、達郎氏のアドリブが炸裂。竹内氏のコンサートでは、実に楽しそうに楽器の奏者に徹している達郎氏ですが、この時ばかりは目一杯目立ってました。ライブのパフォーマンスにおいてはこの『プラスティック・ラブ』という作品は山下家の最高傑作なのではないかと思います。なお、二人のデュエット作品としては『Let it be me』という曲があります。これは知人の結婚式に二人して招かれると、必ず「何か一曲お願いします」とリクエストされるので、アレコレ考えずに済むように作った曲だそうです。ギター、またはピアノ一本でコトが足り、二人のハーモニーはじっくり味わえるというスグレモノです。ちなみに竹内氏は福生の仙人こと大瀧詠一師匠と『Somethin' Stupid(邦題恋のひとこと)』という曲をデュエットしていますが、大瀧師匠の写真が二度ほど画面に登場したのは嬉しいサプライズでした。

竹内氏に関しては『Variety』以降のアルバムは、どれもアルバム全体のテイストが似通ってしまっているなぁ、というのが私の率直な感想なのですが、人生で様々な経験を積んだことが年輪として蓄えられ、一曲一曲に込められた思いが深まり、それが味わいを増しているように思います。ライブそのものを見たわけではなく、ライブを編集した映像を観ていてすらそう感じました。

最近では、経営不振に陥った実家の老舗旅館のオーナーとしてその再建にも携わったそうですが、こうした人生の波が今後の作品、そしてライブでのパフォーマンスにどのような深みを与えることになるのか、楽しみです。次はぜひ実際のライブを鑑賞したい、と思いながらクリスマスのイルミネーションがてんこ盛りになっていた劇場を後にしました。



# by lemgmnsc-bara | 2018-12-23 08:16 | エンターテインメント | Comments(0)

『プロ野球「悪党(ヒール)」読本 「組織の論理」に翻弄された男たちの物語』を読んだ

プロ野球「悪党(ヒール)」読本 「組織の論理」に翻弄された男たちの物語 (知的発見! BOOKS) (知的発見!books)

手束仁/イースト・プレス

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プロ野球誕生以来、数多の選手が表舞台に登場し、活躍しました。「プロ」野球というからには、アマチュアには出来ないようなプレーを魅せて、その対価として大金を得るというのが本来の姿のはずですが、本人の意思とは関係なく、悪いイメージが世に広まってしまった例も少なくありません。

標題の書は、そんな、悪い意味で世間の話題をさらうことになったプロ野球関係者(選手だけでなく、監督や球団フロントなども含まれる)を「悪党(ヒール)」として紹介した一冊。あくまで「野球」を巡って悪い意味で目立った人々を取り上げ、紹介することが目的なので、例えば引退後に殺人事件を引き起こした人物などについては触れていません。また「悪人」や「悪役」ではなく「悪党」という言葉を使ったことについて、著者手束氏は「権力に抵抗して己を貫いた室町時代の悪党(楠木正成が有名ですね)を重ね合わせた」と述べています。

章立てとしては、日本人選手、外国人選手、監督及びスタッフにわかれ、それぞれ実績としても「悪党」としても有名な人物がずらり。各章それぞれで、私なりにに印象深い人物を選んでみました。どうしても巨人から選んじゃうことになるんですけどね。

まずは江川卓氏。あまりにも有名な「空白の一日」事件を経て、時のコミッショナーの「強い要望」で強引に巨人入り。その姿はマスコミを通じて日本全国に広がり、日本全体を敵に回した感がありました。「江川る」という流行語や、「江川が通れば道理が引っ込む」などと揶揄された上、当時の巨人の中心打者だった王選手からすら「こういう入団の仕方をした人物と一緒にプレーするのは如何なものか」と言われたりもしました。彼自身の強固な意思もさることながら、彼の地元の代議士を引っ張り出したり、職業選択の自由という「法律問題」に引き摺り込んだり、どんどん騒ぎを大きくしました。結果として巨人という球団のゴリ押し体質を際立たせる結果ともなりました。選手としてはプロ野球史上最大の悪党と言って良いと思います。

それから、清原和博氏を「ダシ」にして結果的にドラフトで一本釣りされた桑田真澄氏。これも様々に巡らされた大人の思惑によってもたらされた結果だったとはいえ、早大進学一本と強調しておきながら、意中の巨人から指名されたら、あっさりと前言を翻すあたりは実に強か。本人の図太さは悪党というに値するでしょう。

外国人選手としてはガルベス。一度切れると手のつけようのない暴れん坊でしたが、権謀術数とは縁遠いただの乱暴者。審判にボールを投げつけようと、悪態をつこうと所詮は球場の中だけでのお話。まさにコップの中の嵐。カワイイもんです。

そして、一番の悪党は何と言ってもナベツネこと渡辺恒雄氏でしょう。江川、桑田の騒動しかり、ドラフト制を一時完全な骨抜き状態にしたことしかり、近鉄の経営危機を機に1リーグ制を画策したことしかり。巨人さえ強ければ、プロ野球は安泰、この世は天国、幸せいっぱい夢いっぱい、という考え方の固陋さは巨人ファンの私ですら呆れるばかりです。いい意味でも悪い意味でも野球バカばっかりで、誰もナベツネ氏に対抗できない日本のプロ野球界も情けないんですけどね。

近年では地域密着を打ち出したパリーグ各球団のファンが増加したり、長期低迷から脱した広島がリーグ3連覇を達成したり、何よりもMLBという大舞台への移籍が可能となったことで、「巨人さえ強ければ」という構図は崩壊の一途をたどってはいますが、今年のストーブリーグではFA選手をはじめとして、カネにモノを言わせて選手をかき集めたし、さらに何かしら仕掛けてきそうな気もします。中曽根康弘元首相と親しいことも含め、ナベツネ氏は悪党というよりはすでに「妖怪」の域にまで達していますね。



# by lemgmnsc-bara | 2018-12-02 07:25 | 読んだ本 | Comments(2)