トップリーグ観戦シリーズ第二弾はリコーブラックラムズ(以下ラムズ)vsNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(以下アークス、それにしても長い名前だ)の一戦です。

両者ともに順位から言えば中位程度。様々に強化策を打ち、選手も集めてますが、プレーオフにまでは進めない、という状況です。相撲で言えば幕内上位同士の対戦ってところでしょうか。ちなみにラムズにはブロードハースト、アークスにはエディーの切り札アマナキ・レレイ・マフィイが在籍しています。

雨中の試合だったこともあり、細かいミスが頻発していました。その辺をしっかり得点に結びつけたのがアークス、逆に痛い場面でばかりミスしてしまったのがラムズという構図でした。特にラムズは四本のキックのうち3本を外したピータースダニエルの不調が痛かったですね。点数的にもチームの勢い的にも大きな差となってしまいました。

でもそれ以上に大きかったのはチームとしての完成度。いわゆる約束事、決まり事が守り切れていないし、ミスが出た時のカバーも不十分でした。一番象徴的だったのが後半の半ばあたりのプレー。いくつかフェーズを重ねてジワジワ前進し、いいタイミングでボールが出た、と思った瞬間に「受け手」がノックオン。SHがパスした選手は密集のすぐ脇にかなりのスピードで走り込んで来ていましたが、この選手自身が自分の役割をダミーだと思い込みがパスが自分に来ることはない、と読んでいたフシがあります。同じダミーになるのでも本気で自分がパスを貰うつもりで走っていなければ意味をなしません。試合の状況はそれこそ千変万化。固定観念だけで戦ってちゃダメでしょ、やっぱり。その他にも密集近辺でボールがポロポロこぼれてしまうシーンが多々ありましたし、ラインアウトも不安定でした。

アークスは、相手のミスに乗じてうまくターンオーバーしていましたし、密集近辺の攻防で常に優位に立っていましたね。ただ、やはりプレーオフに進出するにはうまさだけではなく力強さも必要です。上位チームの接点はラムズよりも一枚も二枚も上手です。この試合のように上手くいくことはまれであると心しておいた方が良いでしょうね。

アークスは後半の最初マフィイがトライしましたし、随所に力強い突進をみせて観衆を沸かせていました。早大出身の小倉選手を始め新入団選手3人がそれぞれハツラツとプレーしていました。顔見せ興行は上々の仕上がりってところでしょうかね。

ラムズは後半の後半にサモア代表としてジャパンと戦ったナナイウィリアムズ選手を投入しました。2、3レベルの違いをみせつける素晴らしいランプレーがありましたが、やや消化不良。もっと彼にボールを集めて勝負させたほうがよかったように思います。

W杯を観た後だとやや歯がゆい感じのゲームでした。



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by lemgmnsc-bara | 2015-11-17 18:26 | ラグビー関連 | Comments(0)

W杯の躍進で観客が大幅に増えたことが様々なニュースで伝えられたトップリーグの開幕戦は、昨年優勝のワイルドナイツvsサンゴリアスという好カード。

ここ数年の対戦では「最強の矛」サンゴリアスの攻撃を「最強の盾」ワイルドナイツの守備がいかにしのいで逆襲するか、という構図が続いています。

しかしこの試合は最初からワイルドナイツペース。W杯に出場せず腕撫していたであろうベリック・バーンズ選手のプレーが冴えに冴えてました。ワイルドナイツの先制トライはバーンズ選手がディフェンスラインの裏に転がしたゴロパントを日本代表WTB山田選手がインゴールで押さえたもの。難しい角度からのコンバージョンをしっかり決めたのもバーンズ選手。この日外したのは1本だけというスーパーブーツぶり。

対するサンゴリアスはジャパンの戦法の根幹をなすシェイプアタックで攻めこんでいこうと試みるのですが、ことごとく「最強の盾」に阻まれてましたね。なかなかゲインラインを切ることができない上、リズム良く攻め込んでいる場面ではノックオンなどのミスが目立ちました。ワイルドナイツのプレッシャーがキツく、常にギリギリのプレーを選択せざるを得ないが故に生じたミスだと思います。パスをまわしても、キックを蹴ってもことごとくワイルドナイツに有利な展開となってしまう、イライラパターンでしたね。

ワイルドナイツは逆襲で得たチャンスを確実に得点に結びつけたという印象。バーンズ選手のキックはプレースのみならずパスに用いても正確でした。前半の後半に奪ったJPピーターセン(南ア代表。あのブライトンの歓喜の最後のトライの際にヘスケス選手にタックルに行ったスキンヘッドの選手です)のトライは絵に描いたようなドンピシャのキックパスによって生まれました。攻めに攻めていてトライが取れず、逆に相手には鮮やかなプレーで取られてしまう…、典型的な「気持ちが折れる」パターンです。

前半をおえて26-0とワイルドナイツ大量リード。

後半、サンゴリアスはサモア代表としてジャパン戦にも出場したトゥシ・ピシ選手がトライを奪いますが結果として得点はこれだけ。展開に展開を重ねるのですが、どうしても決定的な場面を作ることが出来ませんでした。ジャパン代表の弱点がサンゴリアスにもそのまま当てはまります。絶対的なペネトレーターが存在しないこと。何度ボールをリサイクルしても、チーム全体として前進出来ていないのでは疲労が蓄積していくばかり。この日のペネトレーター役は恐らく松島選手だったのだろうと思いますが、残念ながら有効なゲインはなし。もう一枚強力な突破役が必要でしょう。

最終スコアは38-5。ワイルドナイツの完勝と言ってよい一戦でした。シーズンはまだ始まったばかりですし、W杯に多数の選手を供出したサンゴリアスには疲れもあったと思いますので今後の巻き返しに期待したいですね。



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by lemgmnsc-bara | 2015-11-14 05:51 | ラグビー関連 | Comments(0)

しばらくワールドカップロス状態で投稿が滞っていましたが、決勝戦について記してみたいと思います。

1ヶ月以上に渡って激闘が続いた第8回ワールドカップの決勝は世界ランキング1位のニュージーランドvs同2位のオーストラリアという「順当な」対戦。この両雄は今までにいろんな場所で戦っていますが、ワールドカップの決勝で相見えるのは初めてだったそうです。

ニュージーランドはとにかく隙がないという印象。予選は余力を残して勝ち上がり、準々決勝で因縁のフランスとの対戦も、今までの因縁など一切感じさせない圧倒的な差を見せつけて大勝。準決勝ではこのチームに唯一不足していた経験である「接戦」を演じた上で南アフリカを撃破。楽な相手との連戦の結果生じる気のゆるみだけが敵だと常々思っていたのですが、準決勝を経て、それこそアリの這い出る隙間もないほどの精神状態が構築されたと思います。

対するオーストラリアも負けていません。開催国イングランド、準ホームのウエールズが待ち構えていた死のプールを1位通過すると、スコットランド、アルゼンチンを危なげなく下し、3度目の賜杯獲得まであと1勝という場にまで駆け上がりました。

2003年の準決勝ではNZ優位の下馬評を覆した豪州が勝利しましたが、思えばこの時の豪州のHCはエディー・ジョーンズ氏でした。勝負事は何が起こるかわかりません。特に今大会は「ブライトンの歓喜」もありましたし、開催国イングランドが、史上初の開催国予選落ちを経験するなどの番狂わせが生じています。まあ、どっちに転んでももつれた展開になるだろうという予想の下に観戦開始。

試合はタフな守り合い。相手にゲインライン突破を許さない両チームのディフェンスは高度に構築されたシステムと、それを忠実に遂行する規律性の高さの証です。ただ、ややNZの方に接点でのアドヴァンテージがありました。前半に幾度かみられたターンオーバー、PGにつながった反則がそれを示しています。チャンスに確実に得点したNZがリードを保ったまま前半終了。

後半はホンのわずかな隙が明暗を分けました。NZが起用したオフロードパスの名手、ソニー・ビルウィリアムス選手のパスを受けた世界屈指のペネトレーター、マアア・ノヌー選手の力強い突進でトライ。しかしそこで気持ちを切らさないのが豪州の底力。NZがシンビンで一人少ない隙をついて1トライ1ゴールを返し、その後、相手の裏に蹴ったキックを上手く保持してトライに結びつけ一時は4点差にまで迫ります。

ここで慌てないのが接戦を制した精神力。トライを奪われた直後のチャンスでDGを狙って成功させ、さらにPGを1本追加してあっという間に10点差。

後がない豪州は捨て身の総攻撃に出ますが、最後の最後でパスミスが出、それを拾われて駄目押しのトライを奪われてしまいました。点差こそ最後は開いたものの、世界最高峰の名にふさわしい素晴らしいゲームだったと思います。

NZは史上初のニ大会連覇に加え、最多となる3回目優勝を飾りました。上述した通り、今大会のNZの敵は自分たち自身。慢心さえなければ優勝だと思っていた通りに優勝となりました。順当すぎる結果ではありましたが、ライバル国達も指をくわえてみていた訳ではなく、しっかりと激戦を演出してくれていました。

様々な意味で興味深い大会となりましたね。早くも次回が楽しみです。可能な限り生観戦の機会を多くしたいと思います。



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by lemgmnsc-bara | 2015-11-08 18:30 | ラグビー関連 | Comments(0)

NZが最多となる3度目かつ史上初の二連覇を成し遂げて終了した第8回のワールドカップですが、私はまだ決勝戦を観ていません。というわけでまずは3位決定戦の観戦記です。

実はアルゼンチン(以下プーマス)は今年初めて南アフリカ(以下ボクス)に勝っているんです。日本が勝利した時ほどではありませんでしたが、やはりその時にはラグビー界に衝撃が走りました。この対戦ではボクスの雪辱なるか?あるいはプーマスが返り討ちにして2007年以来となる3位獲得となるのか、興味津々で観戦開始。

試合は開始から白熱の競り合いが続きます。ボクスもプーマスも守りがとにかく固い。これまでの試合で双方ともにフィジカルに関してかなりのダメージを負っていたということもありますが、守備力の方が明らかに攻撃力に勝っていました。こうなると、ミスの多寡がスコアに響いてきます。開始してほどなく、プーマスは反則でシンビン。そこにつけ込んだボクスは1トライ1ゴール1PGを獲得し10−0とリードを奪います。

なんとか追いつきたいプーマスは積極的にボールを展開しますが、ボクスの守りにはほとんど隙がありませんでした。そこで焦りが出たか、プーマスにはノックオンや密集近辺でのハンドリングミスが多発します。準決勝の豪州戦でも同じようなミスが多発して、攻め込んでいながらみすみす相手にボールを渡してしまう、という場面が多かった気がします。プーマスの今後の飛躍の鍵は基本的なプレーをいかにきちっとやりきるか、にかかっていると思います。そういう勤勉さはラテン気質にはマッチしないのかも知れませんね。技術として習って身につけるものではなく、遊びの延長としてラグビーのゲームっぽいことをやるなかで自然に身についていく、というのが理想かもしれませんが、そういう時間はおそらく彼の国では「サッカー」に取られてしまうんでしょう…。

さて、試合は全般的に膠着状態ながら、ほんのちょっとしたミスに乗じたボクスが点数だけを獲得していくという展開。プーマスの選手もファンもさぞかしフラストレーションがたまったことでしょうね。突出した選手のいないプーマスは丁寧に丁寧にボールをつないでいくしかないのですが、そこでミスってしまったらどうしようもありません。それでも絶望的な差にまで広げられなかったのはタックルの強靭さとゾーンで守る意識が徹底していたことに他なりません。

攻撃の面ではもっとドロップゴールを狙っていってもよかったのではないかと思います。正面ではありましたが、かなりの距離から決めたものが1本ありました。トライを取り切る力がないのならドロップゴールを徹底して狙うというのも戦法の一つだと思うのですがね。結局ボクスの壁を崩せなかったことを考えあわせると、もっと狙ってもよかったように思います。

最終スコアは24-13。最後の最後ロスタイムに入ってからプーマスはモールを押し込んでトライを奪いましたが、まあ、これは武士の情けってやつでしょう。いくつか微妙な判定があったような気がします。

この試合を見ていて、つくづくと、ジャパンの勝利の重さを認識し直しました。こんなディフェンスの固いチームからよく3トライも奪ったもんです。しかもそのうちの1本は世界で最も美しいトライの候補にまでなったんですよ!!「最も強い敗者」と称されるのにふさわしいチームだったんですね。



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by lemgmnsc-bara | 2015-11-02 18:38 | ラグビー関連 | Comments(0)

ジャパンの素晴らしい結果で沸いたワールドカップも大詰め。準決勝の二試合目である豪vsアルゼンチン(以下プーマス)についての観戦記です。

開始早々、豪もプーマスもそれぞれが仕掛けあいます。キックでタッチを割るという選択をせずにお互いがカウンターを繰り返すという観る者のココロをのっけからわしづかみにする展開。何度かのターンオーバーの応酬を経て、プーマスが自陣から仕掛けようとした時に、豪のLOがパスをインターセプト。そのまま独走してゴールポスト右にトライ。コンバージョンも難なく決まって7-0。高速ラグビーを標榜し、15人のプレーヤーすべてが走れる豪ならではの先制パンチ。それもいきなりKO級の強烈な先生パンチでしたが、どっこいプーマスのココロは全然折れませんでした。

激しく、精度の高いタックルで豪の攻撃を寸断します。ボールにもよく絡んで度々ターンオーバーしますが、結局1トライも取れませんでした。得点はPG5本の15点。準決勝の片方でもやはり南アはトライを奪うことが出来ませんでした。キックで確実に点を稼ぐことも必要ですが、チームを勢いづけるのはやはりトライ。プーマスには残念ながら決定力の高いプレーヤーが存在しませんでした。

そして、それ以上に残念だったのが、密集近辺での細かいミスが多かったこと。ラックから転がり出たボールを後ろから来た選手が意図せずに蹴っ飛ばしてしまい、それが豪の選手に拾われてしまったり、あるいは出ていることに気づかずにやはりボールを奪い返されてしまったり…。ボールの取り扱いというのは、それこそ基本中の基本ですが、そこでミスが出てはやはり得点を伸ばすことは出来ません。練習が足りなかったのか、意識が足りなかったのか?いずれにせよ、プーマスがもう一段上に行くには基本をもう一度カラダに叩き込むことが必要でしょう。

豪はプーマスのミスにも助けられましたが、相手のミスをすかさず得点に結びつけるところが試合巧者。また、最後にダメ押しとなったたトライは途中出場のWTBミッチェルのビッグゲインが発端となったもの。最後は逆サイドのWTBクーパーというエースに渡ってトライ。チームに勢いを与えるために投入された選手がその狙い通りにきっちりとインパクトを生み出し、最後はエースが決める。ラグビー版「勝利の方程式」というものがしっかり確立されている、という印象。準決勝という大舞台でその方程式をきっちり表現出来てしまうところが強さなんでしょうね。

この結果決勝はNZvs豪という宿敵同士の対戦となりました。どちらのチームもしっかりとした規律の下にディフェンスを固めてそこからの逆襲を狙うというのが基本的な戦略。どれだけ相手に隙を見せずに戦い続けられるかの勝負になってくると思います。その上で、予想するとすればやはりNZの方が強そうだ、と感じます。理由はNZの守備の分厚さとバックスリーの決定力の高さです。豪のバックスリーは攻めはいいんですが、ディフェンスがやや甘めなんですよね…。もっとも2003年の準決勝のように守備力を凌駕するような攻撃力を隠し持っているかもしれませんが…。

1ヶ月以上にも渡った長い祭りも今週末で終わり。ちょっと寂しい気もしますが、3位決定戦と決勝戦、じっくりと味わいたいと思います。



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by lemgmnsc-bara | 2015-10-28 18:56 | ラグビー関連 | Comments(0)

ラグビー=オールブラックス、南アフリカ下し決勝進出

日本では五郎丸選手がTVやら日本シリーズの始球式やらに引っ張りだこですが、第8回のワールドカップもいよいよ大詰め。強豪同士がぶつかりあうセミファイナルを迎えました。

第一戦は連覇を狙うニュージーランドと3回目の覇権を目指す前々回の覇者南アフリカ。

両者の今大会のこれまでの戦いぶりはまさに対照的。ニュージーランドは予選リーグを全く危なげなく乗り切り、準々決勝では因縁のフランスをこれまた因縁の地トゥイッケナムで完膚なきまでに叩き潰しました。対する南アは初戦でジャパンに大金星を献上した上に、準々決勝では終了直前までウェールズにリードを許すなど苦戦続き。しかしながら楽勝続きのチームは得てして隙ができるものですし、戦いながら調子を上げてくるチームも少なくありません。過去の戦績も拮抗してます。何が起こるかわからないという期待の下にTV観戦開始。

試合は両者の意地と意地のぶつかり合い。フィジカルもテクニックもスピードも予選リーグの時より1段階ギアアップした感じでゲームそのものの総エネルギー量が全然違いますね。それにつまらないミスが全くない。なんとか隙を見つけたい攻撃側と絶対に隙をみせない守備側。ブレイクダウンのコンテストも熾烈。得点の機会はさほどありませんでしたが、局面局面が非常に濃密でしたね。

そんな中、ほんのわずかに上回ったのがニュージーランド。それこそコーナーの隅っこの隅っこに、タッチラインに触れるか触れないかというギリギリの地点に滑り込むトライを二本。難しいコンバージョン二本にPGも二本で計20点。PG6本を決めて18点だった南アフリカを2点だけ上回ってしぶとく勝利を得ました。

最後の最後まで真剣で斬り結ぶような緊張度の高い試合でした。勝敗は結果にしか過ぎません。それよりも80分間目一杯、息もつけないようなバトルを繰り広げてくれた両チームに感謝したいと思います。こんな凄いチームの片一方に勝った今回のジャパンは本当に強かったんだ、と改めて感動しました。

さて、もう一つ豪州とアルゼンチンとの試合がありますが、どちらが来てもニュージーランドが勝つような気がします。ニュージーランドの唯一の心配は先にも書いたように、楽勝続きによる気のゆるみだったのですが、この試合でタフな競り合いを経験したことで、そのゆるみはなくなったと思います。

南アフリカもまだ3位決定戦がありますから、「ジャパンの価値」をより高めるためにも勝って欲しいと思います(笑)。




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by lemgmnsc-bara | 2015-10-25 16:54 | ラグビー関連 | Comments(0)

この試合、実は私はかなりシンドい状況下にあるのではないかと危惧していました。

サモアという国は失礼ながら大した産業もなければ、世界レベルのスポーツもありません。しかしラグビーと格闘技は世界の中でも高いレベルにあります。格闘技の名誉は最終的には個人に帰するものですが、ラグビーはチームスポーツ。より「国」というものを意識させられる場です。サモアというチームにとってはワールドカップというのは文字通り他の国際試合とは「別物」。通常のテストマッチなら出場しない他国への「出稼ぎ選手」もこぞって出場するし、出場する選手のモチベーションも高い。しかも、ここで負けたら後がないという崖っぷち。いかにジャパンがスプリングボクスを破ったとはいえ、本気で勝ちにきているサモアを下すのは容易なことではない…、そのように思っていました。

ところがどっこい、試合は一方的と言って良いジャパンペースで進みます。なにしろディフェンスが固かった。体格でも個人技でも勝るサモアの巨漢達を止めまくってました。「予想外」の鋭いタックルに慌てたサモアの選手が犯した反則に乗じて、確実にPGを決めて点差を広げるという思い通りの展開。シンビンによる一時退場者の出現に乗じてスクラムで認定トライを奪うといううれしい誤算もありましたね。

個のサモアに対して組織のジャパン。目的を一つにする組織がその目的遂行に向けて出し始めた力は、同じ日本人の私にも予想外の強さでした。共同作業が前提となる農村共同体のDNAがしっかり根付いている証拠ですね。

多少なりともラグビーに知識のある人で、前半終わって20-0でジャパンがリードなどという展開を予想し得た人がいたでしょうか?相手のキープレーヤーがスピードに乗る前にことごとく潰したタックルの鋭さと、そのタックルを連続させたフィットネスの高さにシビレっぱなしでした。

後半に入ってもその勢いは衰えませんでした。もはや勝利は確定的、あとはボーナスポイントを取れるか否か、という前回のW杯では考えられなかった、非常に贅沢な悩みを楽しませてもらいました。

昨日の日経新聞では調子の波の激しいサモアの悪い方の顔が出た、などという記事が出ていましたが、この記事を書いた記者氏はジャパンの実力を卑下し過ぎです。サモアを調子づかせなかったジャパンの防御網を褒めるべきなのです。前半のタックルで焦りを誘い、後半のタックルは戦闘意欲を殺いだのです。確かにサモアの個々のプレーヤーの強さはジャパンのプレーヤーに比べれば高いでしょう。しかしジャパンは常に二人以上がタックルにいくという戦略で臨み、その戦略を遂行するためのフィットネスを積み上げてきました。彼らの粘り強さがサモアの突破を許さなかったのです。決してサモアの気まぐれではありません。

残念ながら、この試合でボーナスポイントを獲得出来なかったことで、決勝トーナメント出場はかなり厳しい状況になりましたが、勝つべき試合を確実に勝ち切るという経験を積んだことは、次回のW杯に必ず活きてくるはずです。まずはアメリカ戦の勝利を祈りましょう。



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by lemgmnsc-bara | 2015-10-05 19:07 | ラグビー関連 | Comments(4)

多くの日本人のため息を誘ったのが標題の試合。

この試合の敗因は「日程」につきると思います。エディー監督も「最低中5日は必要」と言ってましたが、本当にその通り。しかもジャパンの場合第1戦が優勝候補のスプリングボクス。気持ちはあってもカラダがついていかない、という状態だったと思います。

少々厳しい言い方ですが、これはラグビー再弱国というレッテルをはがす事ができなかった過去のジャパン代表(選手のみならず、指導者、協会ふくめてすべてのチーム関係者)の負の遺産がもろにのしかかってきたというところでしょう。「弱いんだからどんな日程組まれたってしょうがないよね。どうせ負けるんだから、日程がキツかったって言い訳ができるほうがいいんじゃない(最後の方は少々妄想込み 笑)」ってな運営側の意向が透けてみえるようなスケジュール設定だったと思います。

さてこの試合、ジャパンは明らかに動きが鈍かった。素早く動いて動いて相手を振り回すことが身上のチームとしては致命的な戦力ダウンです。疲労からの細かいミスも多く、そこにつけこまれたPG2本を早々に献上。

それでも最初のラインアウトから奪ったトライは見事でした。サクラの奔流がスコットランド伝統の濃紺のジャージを飲み込む様はみていて痛快でした。取るべき時にはしっかり取る。これは見事な進化だったと思います。

しかし終わってみれば最初で最後のトライ。これ以降はどんな攻撃もインゴールを陥れる事が出来ませんでした。前半の最大の見せ場は五郎丸選手のビッグタックル。人気でるわ、これなら。

後半は完全にスコットランドペース。そもそもが堅い守りからの反撃が身上のチーム。疲労からベストのパフォーマンスからほど遠いジャパンは格好の餌食。松島選手へのラストパスをインターセプトしてトライを奪ってからは試合の流れをその手中におさめてしまいました。

後半の後半のトライラッシュは往年の「弱いジャパン」を観ているようで歯がゆかったし、悔しくもありました。最終スコアは10−45の大敗。南ア戦後の大騒ぎがウソのように「決勝トーナメント進出絶望的」みたいな論調がすぐに出てきました。でも後二試合控えているし、まだ下を向くのは早いですね。今のジャパンにできることは後二試合に確実に勝つ事。日本のラグビーファンが出来る事はジャパンの勝利を信じて全力で応援すること。これしかありません。



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by lemgmnsc-bara | 2015-09-29 06:55 | ラグビー関連 | Comments(0)

日本中を興奮と感動の渦に巻き込んだ「世紀の番狂わせ」。もう既にいろんな所でいろんな解説やら評論やらがなされていますが、自分自身のなかでようやく少し落ち着きましたので、自分なりの感想を述べてみたいと思います。

まず第一の勝因は素早い動きを最後まで継続出来たこと。この試合で南アの選手が強引な突進からトライを二本取ったのをみてもわかる通り、1対1の強さではどうやっても勝てない。故に二人がかり三人がかりで止めざるを得ないのですが、その後のディフェンスがいかにもしつこかった。南アの個々の選手が強かったのであまり目立ちませんでしたが、ジャパンの選手はすべて「攻撃的な守備」に徹していました。具体的には相手をしのぐスピードで突き刺さり、相手をスピードに乗らせなかったことと、ダブルタックルに行く際に一人は下半身、一人はボールを奪いにいくという決め事をしっかりと遂行出来た事。どちらも「世界一」の練習が可能にしたことです。試合開始直後の南アの波状攻撃に対し、3度もジャッカルしたことが練習の成果を如実に物語っていました。

ここで南アの選手達は「ん?何か想像してたチームと違うぞ」という違和感を覚えたはずです。

二つ目はモールでトライを取れた事。南アのプレースタイルはとにかく強いフィジカルを全面に出して、相手をねじ伏せるというものですが、モール等はまさにその力競べの最たるもの。モールを押し切ってトライが取れた事は、力だって負けてない、ってことをしっかり示しました。まあ、BKが何人かモールに参加していたことを考えると、威張って胸を張れる程の強さではないんですけどね(苦笑)。でもそこでBKまでが参加する、という判断を下したところに「勝負勘」の冴えが感じられました。

三つ目は常に1トライ1ゴール差以内にビハインドをとどめておけたこと。これは精神的にプレッシャーをかけることにつながりました。僅差の勝負の場合、リードされているよりもしている方が苦しいというのはどんな競技にも通じる真実です。最後の最後のスクラムなんて、一人少ないこともありましたが、南アの選手達は明らかに萎縮していたと思います。逆にジャパンは絶対に逆転出来るという信念の下、堂々と押し勝ってました。リードを奪いながらも常に自分たちの弱さばかりを考えてしまっていた今までの姿がウソのような、自信に満ちた姿。感動の一言です。

今までの選手達が手を抜いていたとは決して思いませんし、才能が劣っていたとも思いません。世界でトップになるための方法論を示すことが出来なかった、首脳陣にその責任は求められるでしょうし、年功序列と現役時代の「顔」で指導者を選んでいた日本ラグビー協会にも責任があると思います。

いずれにせよ、今はこの劇的な勝利を素直に喜びたいと思います、と言ってるそばからスコットランドには負けちゃいましたけどね…。



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by lemgmnsc-bara | 2015-09-27 18:19 | ラグビー関連 | Comments(0)

いよいよ8回目となるラグビーW杯が開幕しました。開幕早々うれしい大波乱でいままでラグビーに見向きもしなかった人まで、一斉にジャパンの動向に注目する事態となっています。彼岸で帰省したときに親戚が口々に「この間の試合は凄かったんだってね」って言っているのを聞いて、改めて凄い事なんだと実感しました。

さて、ジャパンとスプリングボクスの試合の観戦記はあとでじっくり書くとして、開幕戦となった地元イングランドとフィジーの対戦について書き記してみたいと思います。

事前の予想ではイングランド優位という声が圧倒的。2度目の優勝を狙うイングランドとしては確実に勝っておきたい相手。奔放なランニングを見せるフィジーの各選手をいかにイングランドが止めるか、というのが興味の焦点でした。

試合展開はほぼ私の予想した通り。ただし、イングランドの手堅さは予想をはるかに上回っていました。フィジーは各個人が奔放に過ぎて、ランナーへのフォローがなかなか追いつかない。攻め込んでは切り返されるものの、イングランドにもなかなか決定打が出ない。両チームともに開幕戦という事で、かなり緊張していたのだと思いますが、点が入らないとなかなか興奮しませんね。もちろん、最高の舞台での試合ですから、両チームともにしっかりと守っていたので試合自体は締まっていたと思います。

接戦の分岐点となったのは後半に入ってのスクラムでした。イングランドは、ここ一番という時のスクラムは本当に強い。もしかすると世界一かもしれません。むやみやたらと押さずに、勝負所で目一杯のパワーを出して、高い確率で敵ボールを奪う、またはペナルティーを得るというコントロールも抜群。この試合でもその強さを遺憾なく発揮して、フィジーボールのスクラムで反則を誘い、そこで試合の流れを引っ張ってきました。まさにモメンタム。

最終スコアは35-11。最後についてしまった点差ほど、チームの状態に差はなかったと思います。イングランドの守りを崩すことの出来なかったフィジーではありますが、苦手とされるセットプレー、モールなどのパワープレーでもしっかり頑張ってルーツ国イングランドとほぼ互角に渡り合っていました。

でも、やっぱり苦手なプレーは予想以上にカラダを疲弊させるもののようで、最後の最後は足が止まってました。残念ながら、2007年の開幕戦でアルゼンチンがフランスを破った時のような「不穏さ」はありませんでしたね。

そしてこの試合の翌日は日本ラグビー史上最高の結果がもたらされる事になります。



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by lemgmnsc-bara | 2015-09-23 18:51 | ラグビー関連 | Comments(0)