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超高速! 参勤交代リターンズ [DVD]

佐々木蔵之介,深田恭子,伊原剛志,寺脇康文,上地雄輔/松竹

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かなり以前に紹介した『超高速!参勤交代』の続編。敵役の老中松平信祝(陣内孝則)が陸奥の小藩湯長谷藩の藩主内藤政醇(佐々木蔵之介)に無理難題を吹っかけ、それを政醇や家臣たちがさまざまな知恵でしのいでいく、というストーリーの骨子は前作と変わりません。ただし、今作は前回よりもハードボイルドかつ、ハートウォーミングな仕上がり。道中の難関をいかに上手くだまくらかして江戸に向かうかが焦点だった前作とは違い、柳生一族や、老中の直属軍などの手だれたちが次々と一行に襲い掛かります。

対する、湯長谷藩一行も政醇自身が並外れた剣豪であるのに加え、柳生の名のある武士と戦って一歩も退くことのない強者荒木源八郎(寺脇康文)や、弓の腕前なら那須与一をもしのぐのではないかという描き方をされる若者鈴木吉之丞(知念侑李)など、文字通りの少数精鋭。前作で湯長谷藩のシンパとなった忍者の雲隠団蔵(伊原剛志)も、風車の矢七よろしく、一行のピンチにはどこからともなく駆けつけるというヒーロー振りを魅せます。

敵の大軍を前に、矢尽き刀折れ、団蔵の投げる煙幕弾も底を突き、という「必殺シリーズ」であれば、メインキャラの誰かが死んでもおかしくないようなシュチュエーションがかなりの長い間続くのですが、不思議に悲壮感がありません。これはいったい何故なんでしょう?血を見せるシーンがほとんどなかったことか?BGMの違いか?演じている役者が毒々しくないからか?なんというか、私にとっては非常に不思議なシーンが展開されました。

最後の最後までかなり重厚な殺陣のシーンなのに人の死を意識させないつくりになっていました。それゆえ、政醇と信祝の直接対決の最後のシーンとセリフの重さにつながるのだと思いますが…。

まあ、肩の凝らない娯楽作としては良くできた作品だったと思います。

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by lemgmnsc-bara | 2017-08-13 13:25 | エンターテインメント | Comments(0)

『オーケストラ!』鑑賞

オーケストラ! [Blu-ray]

アレクセイ・グシュコブ,メラニー・ロラン,フランソワ・ベルレアン,ドミトリー・ナザロフ,ミュウ=ミュウ/Happinet(SB)(D)

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ロシアの一流オーケストラの元指揮者を主人公としたヒューマンコメディー。

ボリショイ楽団のコンサートホールの掃除係アンドレイは、かつては世界的に名声を博した名指揮者でしたが、ブレジネフ体制下のソ連において採られていたユダヤ人排斥に対して反抗したため、コンサート中にタクトを聴衆の面前で折られるという屈辱を味わわされた過去を持っています。そんなアンドレイはパリの有名なコンサートホールから届いたボリショイ楽団への出演依頼をたまたま盗み見てしまい、本チャンの楽団の代わりにパリに乗り込むことを決意します。

とはいえ、指揮者一人いても演奏者がいなければ楽団は成り立ちません。というわけで昔の仲間を何とか集めようとするのですが、30年間ほとんど楽器を触っていない人々ばかり。それでも何とかなだめてすかして人集めに奔走する姿が序盤の笑いどころ。

アンドレイが楽団のマネジメントとして採用したのはかつてコンサート中にタクトをへし折った元KGB部員ガブリーロフ。この元KGB部員がまた共産主義の復活を熱烈に願っており、その姿もややステレオタイプな描き方ながら笑いどころではあります。

さて、パリのコンサートホール側にも何としてでもボリショイ楽団に来てもらわなければならないという理由がありました。本当ならLAフィルを呼ぶ予定だったのがキャンセルを食い、ホールの支配人の進退問題になっていたのです。

そんなわけで、アンドレイとガブリーロフは足元を見て散々いろんな条件をつけます。その中でも一番の難題は、世界一と評されているアンヌ=マリー・ジャケとの共演でした。到底叶うはずのない希望のはずだったのですが、アンヌ=マリーはアンドレイが指揮者であることを知り、共演を承諾します。

しかし、楽団員たちはパリに来ただけで浮かれ上がり、三ツ星ホテルでフロントに群がるわ、ギャラを前払いしろとコンサートホールの係員に詰め寄るわ、やりたい放題。おまけに誰一人外出先から帰って来ず、リハーサルもできないまま。呆れたアンヌ=マリーは共演の取りやめを宣告。困ったのはホールの支配人とガブリーロフ、それにアンドレイ。果たしてコンサートは無事開催できるのか?というところでいつもの逃げ口上。これ以降は是非とも作品を実際に観てください。

結末はいわゆるスポ根モノによくありがちなもの。すなわち「勝利は全てを癒す」という締め方です。どのように「勝利」したのかがこの作品の肝ですので、再度ストーリーは語りません、と逃げておきます。

あんまり期待せずに観た一作でしたが、なかなかよくできた作品であったと思います。



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by lemgmnsc-bara | 2017-08-06 19:29 | エンターテインメント | Comments(0)

グースバンプス モンスターと秘密の書 [DVD]

ジャック・ブラック,ディラン・ミネット,オディア・ラッシュ,ライアン・リージリアン・ベル/TCエンタテインメント

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ツタヤの店頭で見かけて、ジャック・ブラックが出演しているということで借りてきてしまった一作。

予備知識まったくなしで、借りてきた作品なのですが、原作者であるRLスタインという作家は実際に『グースバンプス』というホラーアンソロジーを上梓しており、結構な売れ行きらしいです。ついでに言うとこのアンソロジーはドラマ化もされており、アメリカの人口には膾炙している作品のようです。

物語はザックという高校生が、高校の教頭である母親の転勤に伴って、ニューヨークからマディソンという田舎町に引っ越してくるところから始まります。引越し先の隣家には、やはり高校生らしきハンナという娘がいました。ハンナもザックもともにお互いを友達にしようと思うのですが、そこに割って入るのがハンナの父親(ジャック・ブラック)黒ブチの眼鏡をかけた父親はかなり厳しい口調でハンナへの接近を禁じます。

しぶしぶ引き下がらざるを得なかったザックですが、ある日、隣家から女性の悲鳴が聞こえたことにより、父親がハンナを虐待しているのではないかという疑いを持つに至ります。そこでザックは級友チャンプとともに隣家に乗り込んでいきます。そこには膨大な数の本がありました。この本たちはRLスタインの作品でした。この本のすべてには鍵がかかっており、好奇心に駆られたザックは一冊の本の鍵をはずして開いてしまいます。この本はRLスタインが不思議なタイプライターを使って書いた作品で、本を開いてしまうと中のモンスターたちが実在化してしまうのでした。というわけで、その本たちから抜け出した怪物たちの魔の手からいかにザック、ハンナ、チャンプそして作者であるRLスタインが逃げるかというのが主な内容となります。

なかでも一番の強敵となるのは腹話術師が持つ人形のスラッピー。頭が切れて、しかも神出鬼没。怪物たちのリーダーとして、町を大混乱に陥れます。ちなみにこの人形の声はジャック・ブラックが担当しているそうです。ザックたちが持ちうる「反撃策」は件のタイプライターですべての怪物たちが再び本の中に閉じ込められてしまうという結末の物語を完結させること。逃げながらも、タイプライターで物語をかきつづるという作業をスタインは続けねばならず、この逃走劇が単純なものにはならないというつくりになっています。果たして、スタインの執筆は間に合うのか?というハラハラ感を味わうのが本作の醍醐味だと思いますので、実際に作品を観てハラハラしてみてください。

魔法のタイプライターの由来来歴がまったくの不明です。なぜ、このタイプライターからつむぎだされた物語の登場怪物たちは実在化するのか?おそらく、ドラマや原作の小説の中で何度も語られて、アメリカの観衆には自明のことなのでしょう。でも日本で予備知識なしに観た私にとっては、まったくの説明不足。別にシーンはいらないから説明台詞の一つも入れて欲しかったところです。

この他、スタインが一時身を隠す場所に大きく「シャイニング(ちょっとググッてみたら、シャイニングのジャック・ニコルソンとジャック・ブラックが似ている、という意見が多数出されていました)」って横断幕が張られていたり、スタイン自身が自らをスティーブン・キングと比べて卑下する自虐ネタがあったり、スタイン本人がカメオ出演していたりと、細かなくすぐりは数多く入っていました。ホラー一辺倒でないところは評価すべき点でしたね。こういうしゃれっ気は大歓迎です。

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by lemgmnsc-bara | 2017-07-22 09:57 | エンターテインメント | Comments(0)

『PK』鑑賞

PK ピーケイ [Blu-ray]

アーミル・カーン,アヌシュカ・シャルマ,スシャント・シン・ラージプート,サンジャイ・ダット/Happinet

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初めて観たといって良いインド映画。題名の『PK』とは酔っ払いを意味するヒンディー語だそうです。なんの予備知識もなく借りてきてしまった一作。

ところがどっこい、案に反して、この映画、非常に良くできていました。特に、宗教をめぐり、さまざまな利害的、感情的な対立が激化している現在においては、重い重い風刺になっていたと思います。ストーリーはまず、インドのド田舎に怪しげな雲がやってきて、そこから素っ裸に首から緑色の物体を下げた男が一人現れるところから始まります。このオープニングは『ターミネーター』を連想させちゃいますね。出てきた男もシュワちゃんなみに筋骨粒々なマッチョ男。ただし、顔は二枚目半でちょっと特殊な感じです。この男は地球より60億光年のかなたにある星から来た宇宙人でした。この男はたまたま通りがかった一人の男に接近していったのですが、この地球人は緑の物体を奪って逃げてしまいます。緑の物体は宇宙船を呼ぶためのリモコンで、これがないと宇宙人は自分の星に帰れないという設定です。

場面は変わってベルギーに。ここでは一組の男女の出会いが描かれます。二人はひょんなことで知り合い、やがて恋に落ちるのですが、男はパキスタン人でイスラム教、女はインド人でヒンディー教の信者であり、この恋は道ならぬものでした。しかし、ふたりはそんなことにお構いなく結婚式を挙げようとします。花嫁衣裳を着てモスクで待つジャグー。そこに一人の少年が現れ、彼女に手紙を手渡します。そこには、家族や宗教の問題で結婚を取りやめたいというメッセージが…。これからご覧になる皆さんは是非このシーンを覚えておいてください。重要な意味を持つ伏線となっています。

傷心のジャグはニューデリーに戻り、地元のTV局でキャスターの職を得ています。ニュースのネタ探しで街中を駆けずり回る彼女の目に留まったのは、神が行方不明なので探しています、という文言のかかれたビラをまく男の姿。彼こそは冒頭のシーンでリモコンを奪われた宇宙人。彼は地球上の人間なら誰でもが「常識」としていることにいちいち疑問をさしはさみ、その疑問を解消すべく、突飛(と地球人には思える)な行動を度々やらかすので、「PK(前述のとおり酔っ払いの意)」と呼ばれています。

彼の行動は実は非常に合理的なものでした。なくしたものを探すためにどうしたらよいかを問うた人に「神に祈れ」と教えられたため、実利を求めてまずはヒンディーの神に供物をささげ、献金して祈ったがリモコンは戻ってこない。では、ということで次はキリスト教の教会のミサの最中にヒンディーの供物をささげようとして信者に追いかけられる。供物がヒンディーのものだったということに思い至り、ワインをささげようとして、今度はイスラムのモスクに入ろうとして、またムスリムたちから追いかけられる。こんな調子で、さまざまに頓珍漢なことをやらかします。この辺のどたばたが笑いどころでもあります。

次にPKはすべての神が言っていることを実践しようとします。神が言っていること実践しないと、リモコンがみつからないと思ったからです。ガンジス川で沐浴したかと思えば、教会の聖水の水槽にひたってみたり、メッカの方向に向かって祈ってみたりもします。でも結局リモコンは手元に戻ってきません。この辺は宗教に対しての見事な皮肉になっていますね。世に敬虔な信者はたくさんいて、それぞれの神にそれはそれは熱心に祈りをささげ、わが身を犠牲にしたり、金を喜捨したりしていますが、肝心のご利益というやつは目に見える形では、まず帰ってきません。ただ、心の平安というある種の自己満足をえるためだけの行為が「信仰」ではないのか?この問いに関して、真っ当な答えを返せる人は誰もいないでしょう。いかに身も心も神に捧げつくしても、爆弾テロに遭えばむごたらしく死んでしまう。この世の矛盾を完全に説明しつくす神はいない。深いオハナシですねぇ。最初は笑ってましたが、主題があらわになるにつれ、考えさせられることが多くなって、笑ってなどいられなくなりました。

ストーリーの結末のつけ方は、『男はつらいよ』っぽくなっています。これはこれでなかなか効果的だったのではないかとも思います。ヒロインがハッピーエンドを迎える一方で、主人公は涙を隠して新しい方向に道を見つける。いかにもな結末ではありますがね…。

その他インド映画の特色である、意味のない踊りのシーンもいくつか挿入されていました。踊ってる人たちは、華麗という表現にはそぐわないものの、達者でコミカルな動きをしてました。全員集合における志村けんの持ちギャグみたいなもんで、踊りのシーンをいれないとインドの観衆の皆様は満足しないんでしょうね。また、他の国ではなかなか理解しにくいヒンディー教がもっともメジャーな宗教で、その他の宗教もすべてが入り混じるという風土的な背景を持つインドだからこそ作れた作品だという気もしました。ちょっとググッたら、国際的なコンクールではたいした賞は取っていませんが、小さなコンクールではちょこちょこ賞をとったりもしているようです。なかなかの佳作でした。

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by lemgmnsc-bara | 2017-07-22 09:46 | エンターテインメント | Comments(0)

『ザ・ギフト』鑑賞

ザ・ギフト[Blu-ray]

ジェイソン・ベイトマン,レベッカ・ホール/バップ

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人は一人も死なないし、血もほとんど流れないサイコサスペンスホラー。

サイモンとロビンの夫婦はサイモンの郷里の街にシカゴから引っ越してきました。引越し先は大きくて豪華な邸宅。サイモンの収入が高いことが示されます。

ショッピングセンターで買い物をしていた二人の前に現れ、サイモンに声をかけてきたのはゴードという男性。サイモンは最初誰だかわかりませんでしたが、やがてゴードが高校時代の友人であることに気づきます。親しげな会話を交わした二人は再会を約して別れますが、ゴードはすぐさま引っ越し祝いのワインを持参して夫妻の家を訪問します。ワインのお礼にとロビンはゴートを夕食に招待しますが、サイモンはあまりいい顔をしません。

その翌日、玄関先には何故か魚の餌が…。いぶかしがる二人ですが、邸宅の池には立派な鯉が何匹も放たれていました。この辺で少々不気味さが漂います。このゴードという男が、映画の題名どおり、次々と一方的に贈り物を贈りつけてきて、拒否したとたん、一気に憎悪の塊となって、夫妻に襲い掛かる、というストーリーを予想したのですが、その予想は完全に裏切られます。もっともっと話は複雑でした。

ゴードはロビンが一人でいる時に頻繁に家に出入りするようになります。ここでサイモンはゴードの狙いがロビンにあるのではないかと疑いを持ち始めます。ゴードは次に夫妻を夕食に招待します。せっかく招待したにもかかわらず、いきなり、急な電話がかかってきたという理由でゴードは外出してしまいます。この不可解な行動に際し、サイモンは高校時代にゴードは「不気味のゴード」というあだ名で呼ばれていたということを思い出します。普通は最初にそういうあだ名から思い出すんじゃねーのかよ?というツッコミを入れたくなるのですが、まあ、ここはゴードの不気味さを高める演出だと理解しておきましょう。戻ってきたゴードにサイモンは二度と夫妻に近づくな、という警告を発してゴード家を後にします。しかしゴードからの贈り物攻撃は止みませんでした。

たまりかねて、招待された家に乗り込んでゴードとサシで話をつけようとしたサイモンですが、その家はゴードのものではなく、別の夫婦のものでした。さらに、池の鯉がすべて死んだり、夫妻の飼い犬が行方不明になったり、ロビンがいきなり意識不明になったり・・・。いかにもゴードがサイコパスなんじゃないか、って思わせる作りなんですが、繰り返し言います。お話はそんなに単純じゃありません。

サイモンのゴードに対する態度に不信感を抱いたロビンはゴードについて調べ始めます。するとそこには驚愕の事実が。ゴードは高校時代に上級生から性的暴行を受けたという事実無根のうわさをサイモンに流され、そのことが原因で、その後の人生がめちゃくちゃになってしまっていたのでした。いかにも、な展開を一気に逆転するストーリー展開にはうならされましたね。映画の中でも語られる箴言に「君は過去を忘れるが、過去は君を忘れない」というのがありましたが、その通り。自分自身はたいしたことのないおふざけをやったつもりしかなくても、それを仕掛けられた本人には重大な結果をもたらしていて、しかもそのことに仕掛けた本人はまったく気づいていない。わが身を振り返って考えてみても、こういうことで、知らぬは本人ばかりなりという恨みを買っている可能性は多々あります。心当たりがありすぎて見当がつきません…。これがこの映画を観て感じる最大の恐怖でした。

さて、ストーリーは実は本当の悪人はサイモンだ、という論調で後半部分が進んでいきます。ロビンからゴードへの謝罪を求められていながら、実際には謝るどころが暴行を加えてみたり、会社では、出世争いのライバルの不正をでっち上げて蹴落とそうとしてみたり・・・。こんなサイモンに愛想をつかしたロビンは、子供を生んだ後にサイモンとは別の道を歩もうと決意します。

で、ここに最後の、恐怖に満ちた謎が発生します。そしてその謎の答えは示されません。消化不良というべきか、後々まで残る余韻というべきか…。私は後者を採りたいと思います。もっとも愛した人間と愛するはずだった人間を疑わなければならないという情況こそ人間にとってもっとも恐怖すべき情況ではないでしょうか?期待せずに観た作品ですが、なかなかいろいろ考えさせられました。佳作です。

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by lemgmnsc-bara | 2017-07-22 09:24 | エンターテインメント | Comments(0)

『マリアンヌ』鑑賞

マリアンヌ ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

ブラッド・ピット,マリオン・コティヤール,ジャレッド・ハリス,リジー・キャプラン,マシュー・グード/パラマウント

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第二次大戦下の秘密工作員とフランスのレジスタンス女性との恋を描いた作品。

カナダのケベック生まれでフランス語が少々話せるマックス(ブラッド・ピット)はモロッコでナチス要人の暗殺を命じられます。その要人に近づくためには、社交界に顔を売っておく必要がありました。で、夫婦の相手役として選ばれたのがフランスのレジスタンス闘士マリアンヌ・ボーセジュール。夫婦役を演じた二人は、首尾よく任務を果たします。

この任務が二人にもたらした思わぬ副作用は、真実の恋。様々な人々の反対にあいながら、それゆえ燃え上がった恋は最後には結実し、二人は結婚することとなります。やがて空襲の夜に娘アンが生まれ、三人で幸せな暮らしを営む毎日が続く、はずでした。

しかしながら、ここで幸せに終わってしまっては、単なるブラピの顔見せ映画なってしまいます。マリアンヌは軍の上層部からドイツ軍のダブルスパイであるという疑いをもたれていました。軍の関係者しか知り得ない秘密事項が、マックスの家族の住むすぐ近くの地域から発信されていることが証拠としてマックスに提示されます。最愛の妻が敵国の、それももっとも蔑まれるべきダブルスパイとは…。しかも、軍の偉い方は、マックス自身にマリアンヌの処刑を命じるのです。

マックスは当然のことながら、任務と愛情のはざまを激しく揺れ動くこととなります。疑惑は本当なのか?マックスは様々な方法を用いてその謎の真相に迫って行こうとします。しまいには軍規を犯してまで、自らフランスに渡り、マリアンヌと実際に逢ったことのある人物に確認をとりにいくのです。そこで得た一つの確認方法は「マリアンヌはピアノを上手く弾く」ということでした。

イギリスに戻ったマックスは、マリアンヌを昼間の酒場に連れて行き、ピアノを弾いてみろと迫るのですが…、というところでほぼネタバレですが、あらすじの紹介を終えようと思います。この後の展開はぜひとも実際の作品をご覧下さい。

自らの愛情と、国を守るという大義の間で揺れ動き、なんとか妻を守ろうとするマックスは一途という言葉がピッタリ来る行動をみせますが、その行動をブラピは上手く演じていたように思います。今に至るまで、世界史上の最大の敵役であるナチスドイツという巨悪と戦うよりも自らの愛に生きようとしたのですから、その真剣さは平和な時代に生きる我々にはなかなか想像しにくいことですが、その心の内を推測出来るまでにうまく具象化してくれていました。大義なのか愛なのか?現代に生きる多くの人は愛を選択すると思いますが、選択した後にそのために具体的に何をどうすべきか?この問いに答えを出せる人間はそうそうはいないと思います。

ツタヤでまとめ借りをする際に適当に選んだ一枚でしたが、なかなかの佳作でした。


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by lemgmnsc-bara | 2017-07-16 06:25 | エンターテインメント | Comments(0)

『パイレーツ・オブ・カリビアン5/最後の海賊』

当家としては珍しく、上演初日に観に行ったのが標題の作。まあ、とある地方の都市に投宿し、そのすぐ近くにシネコンがあったからってのが最大の理由なんですけどね。

ジャック・スパロウ船長の今回の敵は、スペイン海軍の兵の幽霊たち。船長であるサラザールをハビエル・バルテムが演じています。この配役はなかなかにフィットしていたように思います。彼は、あの『ノー・カントリー』で演じた不気味で冷血な殺し屋を彷彿とさせる迫力を感じさせる演技でした。こちらの作品はファンタジーなので、ややその重厚さがクドかったというのも事実ですが…。

さてこいつらには海賊たちの武器は全く通用しません。なにしろ、もう死んじゃってる訳ですから、銃で撃とうが、剣で切ろうがすべてが彼らのカラダを素通りしていってしまいます。逆に彼らの持つ剣や大砲は有効なので、生身の人間には勝ち目はありません。まあ、言ってしまえば、この辺はゾンビ映画と同じ作り。ゾンビ映画の場合、ゾンビとの意思の疎通ははかれないし、ゆるゆると迫ってくるんで、いかに逃げ切るかが焦点となる訳ですが、こちらの亡霊たちは、海の上ならどこへでも瞬時に現れるし、恨みつらみをさんざん海賊にぶつけてきます。その恨み骨髄の相手がジャック・スパロウであるというわけです。

そのジャック・スパロウは毎日毎日飲んだくれているばかりで、部下たちに愛想を尽かされ、ひとりぼっちになってしまいます。おまけにイギリス海軍に捕らえられ処刑台にかけられて、ギロチンを落とされる寸前までいきます。そこでかつての盟友であるウィル・ターナー(彼も一種の死者なので、海全体を覆う、成仏できない呪いの対象です)の息子ターナーが乱入し、この作品の特色の一つである、コミカルで派手な戦闘シーンが繰り広げられ、間一髪で助かることとなります。ジャックと一緒に絞首刑にされるはずだった女性天文学者(魔女の疑いがかけられていました)カリーナもそこで助かり、3人でこの呪いを解くことのできるツールである「ポセイドンの槍」を探す旅に出ようとするのですが、ジャックには船も部下もいません。

そこに現れたのがジャックのライバル、バルボッサ。ジャックは彼の助力を得て、謎を解きながらポセイドンの槍を探す旅に出る、というのが主なストーリー。もちろんそこにはスペイン亡霊海軍との戦いも盛り込まれます。で、これ以上はネタバレとなってしまうので、お約束の逃げ口上。実際の作品をご覧下さい。

5作目ともなると、若干のマンネリ臭はどうしても漂ってしまいますが、その分を差し引いてもなかなか面白い作品であったと思います。最後の結末のつけ方が、私にとってはあっけなさ過ぎではありましたがね。





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by lemgmnsc-bara | 2017-07-09 12:17 | エンターテインメント | Comments(2)

殿、利息でござる! [Blu-ray]

阿部サダヲ,瑛太,妻夫木聡,竹内結子,寺脇康文/松竹

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実話を基にした時代劇。タイトルからして、困窮した藩の財政をあずかる家臣がその立て直しを図る物語かと勝手に想像していましたが、さにあらず。

舞台は江戸中期の仙台藩領内の宿場町吉岡。宮城県在住5年余におよんだ私も恥ずかしながら初めて聞く地名でした。物語は茶商の菅原屋が京からその令室とともに帰郷するところから始まります。遠くから駆け寄ってくるのは吉岡宿の肝煎、遠藤。てっきり自分を歓迎してくれると思った菅原屋ですが、遠藤は令室が乗っていた馬を無理矢理に借り受けると、また走り去ってしまいます。前の宿場から物資の引き継ぎを受け、それを次の宿場に運ぶ伝馬役に使用する馬が足りなかったためでした。

このエピソードから、当時の吉岡宿を取り巻く苦難の状況がすべて語られる、というなかなか上手い導入部分でした。この時点ですでに吉岡宿は死にかけていたのです。

菅原屋は茶の栽培に腐心しながらも、宿場町の行く末に不安を覚えていました。そんな時に宿の居酒屋で、死を賭して上訴しようとしていた、造り酒屋穀田屋十三郎とたまたまあってしまいます。宿の行く末を考えると、酔ってなどいる場合ではないが、飲まずにはおれぬ、という不安な穀田屋の様子を阿部サダヲが上手く演じていました。酒席での気安さからか菅原屋は、藩主にカネを貸して、その利息分として伝馬役の費用負担を願い出る、という当時としては破天荒な策をあくまでもヨタ話として展開します。

ところが、このヨタ話を穀田屋が真に受けて、その実現のために走り出します。慌てた菅原屋は穀田屋を止めようと肝煎に相談しますが、肝煎も宿の行く末に気を揉んでおり双手を上げて大賛成。それでは、と大肝煎に話を持っていくと、こちらもこの話に感動して乗ってきます。ホンのちょっとした思いつきが様々な人を巻き込んで、思いつきの当人の意向とは全くズレて大きく大きく「成長」していく…。なかなか凝ったストーリー展開ですね。

プロジェクトの推進役こそ決まったものの、肝心のオカネのアテはないまま。言い出しっぺの菅原屋を始めとする「金貸し委員会」は私有財産を整理して何とかオカネを作り出しますが、彼らだけでは全然足りない。そこで、何とか仲間を増やそうと奮闘する姿がメインストーリーとなります。これだけなら、単なるコミカルな映画で終わってしまうのですが、最後には大きな人情話が待っています。この作品の原作である『無私の日本人』に感動した人が、制作の一翼を担った東日本放送勤務の娘にこの本を紹介し、そこから様々なエラい方々に感動の連鎖を呼んで、制作されたのがこの映画であるというエピソードがウィキペディアに出ていましたが、読む人読む人に感動を与えたであろう部分はこの人情話の部分であろうと思われます。とにかくいいオハナシなんです。

ストーリーとは無関係に、藩の財政の最高責任者を演じた松田龍平のマゲヅラの似合わなさが特筆もの。彼に関しては少々声が高いところもマイナスポイントかな?まあ、父親のイメージに引っ張られ過ぎてるってオハナシもありますがね…。その他仙台を舞台にしているということで地元の英雄羽生弓弦氏が最後に藩主役で登場したのも公開当初は話題となりましたね。なかなかの佳作だったと思います。



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by lemgmnsc-bara | 2017-05-07 08:17 | エンターテインメント | Comments(0)

ブラック・ファイル 野心の代償 [Blu-ray]

ジョシュ・デュアメル,アンソニー・ホプキンス,アル・パチーノ,イ・ビョンホン,アリス・イヴ/松竹

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主役のジョシュ・デュアメルについては全く知らないまま、アンソニー・ホプキンスとアル・パチーノが出ているということだけで借りて来てしまったのが標題の作。クライムサスペンスだということも、観始めてから始めて知ったという、予備知識の全くないままの衝動借りでした。

物語は、アンソニー・ホプキンス演じるデニングの周りの状況説明から始まります。デニングは大きな製薬会社のCEOで、データのねつ造により死亡者がでてしまうほどの害のある薬を売り出しており、その訴訟問題に頭を痛めています。そんな彼の支えとなっているのは愛人のエミリー。そのエミリーが誘拐され誘拐犯からは身代金の要求が。犯人の指定場所である画廊に赴いたデニングは、接触を図って来た男を殴り倒してしまう…。

ここまでのシーンの後、時系列的には少々戻り、主人公ベン(ジョシュ・デュアメル)の状態を説明する描写に入ります。彼は看護師の妻を持つ弁護士で、その妻とは流産が原因でしっくり行っていない。相変わらず、ハリウッドはかならず家庭環境に問題のある主人公を出しますね。問題のある家庭環境が「普通」のこととなってしまっている社会環境に薄ら寒さを覚えてしまいますが、ストーリーの主題から外れるので、ここは一瞬の感想に止めておきます。そんなベンのSNSに、ある日、元カノからの友人申請が…。その元カノこそエミリー。エミリーは権力ずくで自身を愛人としたデニングには反発を覚えており、新薬のデータねつ造の事実を証明するデータの提供を申し出た上、妖艶な誘いもかけてきます。

ベンはまず妖艶な誘いにぐらつきますが、なんとか最後の一線までは越えませんでした。しかし、名誉欲や出世欲などには駆られてしまい、エミリーからデータの提供を受けることとなります。ベンの所属する弁護士事務所は敏腕弁護士として名高いチャールズ(アル・パチーノ)の経営するもの。ベンはチャールズに出所は少々ヤバいものの、信憑性の高いデータであることを納得させた上で、デニングとの対決に臨もうとするのですが…。

データを貰おうとエミリーの部屋を訪れたベンは、エミリーが遺体となっているのを発見します。ここから、時系列的にも行ったり来たりだし、人間関係を混乱させる人物も登場して来るしで、ストーリーはかなりカオスな状態となります。ですが、最終的には納得の結末に。どんでん返しが二回あるとだけ記しておきましょう。どのようなどんでん返しかは是非とも本作を鑑賞いただきたいと思います。

アンソニー・ホプキンスに若い女性が絡むと、ついついいきなり噛み付いてしまうのではないか?と考えちゃいますね。良きにつけ、悪しきにつけ、ハンニバル・レクター博士の役が強烈であることの証左です。アル・パチーノを観たのは非常に久しぶり。この作品は2016年に公開されたのですが、ずいぶんと老けた印象です。なによりも井上順そっくり。♫おっせっわにぃなりました〜、って歌い出しちゃうんじゃないかというくらいに似てました。そこで本当に歌ってくれたら大笑いをひっくり返しますが、それだと『新春隠し芸大会』のパロディードラマになっちゃうしなぁ…。

ストーリーはなかなかよく練られていましたが、仕上がり的には微妙な作品でした。



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by lemgmnsc-bara | 2017-05-07 06:43 | エンターテインメント | Comments(0)

『ア・ホーマンス』鑑賞

ア・ホーマンス [DVD]

松田優作,石橋凌,手塚理美,ポール牧,阿木燿子/TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

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故松田優作氏の初監督作品。新宿を舞台に、ヤクザ同士の抗争とそこに関わる謎の男の姿を描いています。

松田優作演じるのは、主人公「風(ふう)」。彼は記憶をなくしているという設定で、バイクに乗って新宿にやって来て、浮浪者のたまり場近くに住みつきます。独特の威圧感を持つ彼の周りには、その威を借りようとする浮浪者たちが恐々近寄ってきますが、彼はまったく相手にしません。やがて、新宿を拠点とする大島組のヤクザ山崎にその威圧感を見込まれ、組の経営するデートクラブのボーイとしての職を得ることとなります。

そんな折、大島組の組長が、対立する旭会のヒットマンに襲撃され死亡するという事件が起きます。この辺は、映画公開当時世間を賑わしていた、巨大暴力団同士の扮装を彷彿とさせます。また、当時の新宿は、そんな血なまぐさい事件が勃発してもおかしくないような危うさが漂ってもいました。親分さんたちが派手にカネをばら撒いて遊んでたりもしましたね。特に夜の歌舞伎町は賑わいとともに、その裏の闇の濃さを濃厚に感じさせてくれる場でもありました。その辺の雰囲気はよく出ていたように思います。

親を殺されたら、そのカタキは自分の命に代えても討たなきゃならないのがヤクザの世界。しかし、大島組の「後継者」藤井(故ポール牧師匠が、コミカルな中にも残虐さと冷徹さを併せ持つインテリヤクザを怪演しています!)は相手のトップではなくナンバー2の副会長への報復を指示。どうやら藤井は裏で旭会とつるんで表向きは共存共栄を目指す方針のようです。この藤井の方針に納得いかないのが山崎。彼は単身で旭会会長の命を狙います。そしてそこに風は助太刀として参戦するのですが…。というところで久しぶりの逃げ口上。この先は本編をご覧ください。

全体に、不思議な緊張感の漂う作品でした。今にも大爆発しそうな予感があるのに、決して爆発しない。俗に言う「嵐の前の静けさ」ってやつがずーっと続きます。それこそ本当に最後まで。結局観る側の期待も予測もすべて裏切る結末が待ち受けているんですが、一言で言えば拍子抜け。あれだけ引っ張った緊張感はナンだったんだ?という感想を持つしかない結末です。アクターとしての松田優作に求められていた「雰囲気」はたっぷり味わえたものの、作品としては欲求不満の残る不思議な一作でした。

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by lemgmnsc-bara | 2017-04-07 20:19 | エンターテインメント | Comments(0)