【カラー版】ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論 (集英社新書)

ヤマザキマリ/集英社

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『テルマエ・ロマエ』の大ヒットで、一気に人気マンガ家にのぼりつめたヤマザキマリ氏によるルネサンス美術の解説書。題名通り、取り上げられる人物にはやや偏りがありますが、有名どころはほぼ皆紹介されています。

ヤマザキ氏は17歳の時に高校を中退して、絵の勉強をするためにイタリアに渡ります。残念ながら志望していた画家になることは出来ませんでしたが、描画の技術とイタリアの文化・歴史への知識が彼女の中で上手くミックスされて『テルマエ・ロマエ』という快作が生まれたという訳です。

『テルマエ〜』の主人公である技師ルシウスは架空の人物ですが、実在した人物を描いた『プリニウス』(とり・みき氏との共作)という作品も上梓されているようです。プリニウスは本書にも登場します。

さて、ルネサンスとは文芸復興という訳語が当てられる文化的ムーヴメントです。それまで神の教義を伝えるための手段であった芸術が、人間らしさを写実的に表したものに変わっていったことなどが代表的な「動き」となります。

そのムーヴメントの中の三大芸術家といえば、ラファエロ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロであり、文学の分野では『新曲』を書いたダンテがその代表格です。ヤマザキ氏はこうした人物達の一風変わった人物像を紹介し、その変人ぶりへの愛を語るのです。

芸術家に変人が多いであろうことは、例えば岡本太郎氏の言動や行状をみていれば想像に難くありません。ルネサンス期以前はイエス・キリストや聖母マリアなどは文字通り神々しく、魅力的な人物として「エラそうに」描かれることが一般的でした。神とそれに関係する人々は、聖書などに描かれたイメージからある種のステレオタイプな表現を「強制」されていたのです。しかしながらルネサンス期に活躍した芸術家たちはこうした描き方に異を唱え、実在の人物をモデルに、より写実的に人間の像を描き出すことを始めたのでした。俗に「世の中を変えるのは若者とヨソ者とバカモノだ」等と言われますが、彼らはまさに、芸術のあり方を変えたバカモノだったのです。

彼らによる変革がなければ、芸術は主にキリスト教の伝播道具にしか過ぎなかったかもしれません。そういう意味ではこのバカモノたちには大いに感謝すべきなのかもしれません。

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by lemgmnsc-bara | 2017-01-21 07:14 | 読んだ本 | Comments(0)

男性論 ECCE HOMO (文春新書 934)

ヤマザキ マリ / 文藝春秋

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『テルマエ・ロマエ』で一世を風靡した漫画家ヤマザキマリ氏によるそのものずばりの題名の一冊。しかし、内容は男性のことのみならず、女性についてや自らの来歴、さらには日本とイタリアの文化の違いにまで及んでいます。もちろん、男性に関する話題に一番多く紙幅を割いてはいるのですがね。

一番印象に残ったのは、男女の性別の前に一人一人の人間としてお互いを認め、その見方に立って人間関係を構築して行こうという意見ですね。

実はこれ、非常に難しいオハナシです。なんだかんだ言ってもまだまだ男性優位の社会であることは論をまたないですし、またその「制度」を継続させるためのさまざまな仕掛けが施されてしまっています。

卑近な例から言えば、幼い頃より「男は男らしく、女は女らしく」という教育を受けていますね。地域や年代により若干の差異はあるものの、基本的には男は外に出て何かを獲得してくるもので、女は男が獲得して来るものを原資として家族という「組織」を守るものというのがそれです。

これは強烈な刷り込みですから、我々はなかなかこの軛から逃れられません。特に現代の日本はわざわざ政府が「女性管理職を増やす」ことをスローガンに掲げなければならないほどの男性優位社会ですね。そういう状況下において、性別を越えた人間同士の付き合いとはどういうものを指すのか?いわゆる「常識」であるとして教育されてきた事柄だけに難しい。正直私も自分なりの答を出せていません。

口当たりはいいんですが、いい加減に読み飛ばすことの出来ない内容を含んでいるエッセイ集だったと思います。『テルマエ・ロマエ』以外のヤマザキ氏の作品も是非読んでみたいですし、その際は彼女の考え方の根本にあるものを意識しながら読むことになると思います。
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by lemgmnsc-bara | 2014-09-03 21:55 | 読んだ本 | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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