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All About 身辺雑事

『暗くて静かでロックな娘』を読んだ

暗くて静かでロックな娘 (集英社文庫)

平山 夢明/集英社

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久々に読んだ「紙」に書いてあるエンターテインメント作品集。平岡氏の作品を読むのも『ダイナー』以来です。「本棚の片っ端から読んでいく作戦」の一環として、本当に本棚の一番隅から引っ張り出した一冊。

平岡氏は元々、階段を収集してそれも本にまとめることから出発した方で、のちに小説を書くようになってからは、バイオレンスとスプラッターな描写に満ち溢れながら、どこかユーモアとペーソスを感じさせる作品を書き続けていましたが、この短編集は恐怖やグロの要素よりも、むしろ哀愁漂う作品ばかりが収められています。

出てくるのは、紺の腰巻によれば「社会の鍋底」にいる人物たち。ゆくあてもなく、行き倒れかけていた男を自宅に連れ帰った、両親のいない幼い兄妹に、義理の父と実の母から虐待を受け続け、ついに死を迎えるも、実の母の方から「飼い犬が死んだときの方が、マジ泣けた」などと言われてしまう少女、自殺未遂を繰り返しては、怪しげなイタコに死んだ娘を憑依させ(もちろんイタコはインチキながら周到な演技で娘のフリをしているだけ)、その娘の世話を焼くことで、辛うじて精神の平静を保っている女等々…。

以前読んだ平岡氏の作品の世界が目の当たりに展開したとしたら、それは吐き気を催さざるを得ないグロな光景だったと思いますが、この作品集の描き出す世界は、極力血の流れる量を抑えつつ、実は登場人物たちの心の中ではそれこそ大量の血が流れています。人間らしい生き方だとか、人間の尊厳というお題目を唱えながら眺めれば、心の傷の方がより深刻だと言えるでしょうし、それこそが作者の意図したことなのだろうと勝手に推測しておきます。

で、登場人物たちが尊厳を捨てた生き方を選ばざるを得なかった背景には貧困というごく現実的な問題が横たわっています。そういう意味では、人間が一番恐怖すべきなのは貧困という状況なのかもしれません。金がありさえすれば、まともな家庭生活が営め、まともに成長できたであろう人物たちがどんどん壊れていく…。こういう光景は作り事の中にしか存在しないように思えて、実は我々のすぐ隣に存在しているオハナシです。ほんのちょっとしたひずみが人の生き方をも大きく変えてしまうという恐怖をしっかり味わわせていただきました。






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# by lemgmnsc-bara | 2017-11-16 11:24 | 読んだ本 | Comments(0)

『グリーンルーム』鑑賞

グリーンルーム [Blu-ray]

アントン・イェルチン,イモージェン・プーツ,パトリック・スチュワート,メイコン・ブレア/Happinet

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主人公たちがどんどんドツボにハマっていくバイオレントなサスペンス。得体のしれない化物などは一切登場せず、戦いに関しては全くの素人であるパンクロッカーたちがヤバい「玄人」たちにどんどん追い詰められていくというストーリーです。

主人公たちは売れてないパンクバンドのメンバーたち。彼らはいつも経済的にかつかつの状態で、文字通り食うや食わずの生活を続けています。ある日のライブで客のあまりの少なさに、それこそ食い物を買う金すらなくなった彼らが、ど田舎のライブハウスに行って公演を行うことになった、といのが物語の発端。

ボーカルが「ネオナチF◯◯k!!」と絶叫するのを聴いている聴衆は全てネオナチの構成員という非常にお間抜けな状況はシュチュエーションとしては笑えます。毒蝮三太夫師匠が、お年寄りたちを前に「このくたばりぞこないども!!」って叫んでるのと同じですから。でも後者の心底にはお年寄りに対しての愛情があることがわかっているからこそ、ほのぼのとした笑いを生むのに対し、前者はただ反感を呼ぶだけ。しかもその反感は次第に殺意にまで高まってしまいます。

ライブ後、オンボロ車で次の公演地に向かおうとするメンバー。そこで一人の女性が携帯を楽屋(米のエンターテインメント業界では楽屋のことをグリーンルームと呼ぶそうで、それがこの映画の題名にもなっています)に忘れたことに気づき、取りに戻ったらそこで殺人事件が起こっていて、さあ大変。メンバーはネオナチの皆様にグリーンルームに監禁されることとなります。

さて、そこからは、ヤバいことを見られてしまったからには、見たやつは殺してしまおう、しかもこいつらは俺たちのことを散々罵倒しやがったしな、という獰猛なネオナチの皆様と、威勢良く演奏はするものの、どう考えてもケンカは弱そうなパンクスたちとの戦いが始まります。非常にひねくれた見方をすれば、見知らぬ土地で狭い部屋に閉じ込められて、しかも強面のオニイサン方に監視されているという、そのシュチュエーションそのものが一番怖かったという気がします。あとの戦闘シーンは単なる付け足しだったような気もしますね。

ともあれ、武器もほとんどなく、人数も圧倒的にネオナチの皆さんの方が多い。こんな絶望的な状況の中でパンクスたちがどのような戦いをみせ、どのように窮地を脱するのかが、ストーリーの中核です。どんな結末を迎えるのかについて、興味のある方は、是非とも本編をご覧ください。個人的には拍子抜け、としか形容できないような結末が待っています、とだけお伝えしておきます。

一つだけ、お間抜けポイントを指摘しておきます。ネオナチは犬を放ち、その犬はパンクスの一人の喉笛を噛みきって死に至らせてしまうのですが、この犬が全然凶暴そうに見えない。なんの変哲も無い中型犬がじゃれついているように見えただけ。制作費が安いのは良く理解してるけど、せめてもっと外見だけでも猛々しい大型犬を用意できなかったのかよ、って突っ込んじゃいました。まあ、私は犬の種類に詳しいわけでは無いので、例えば「中型犬だが気性は荒く、熊などの大きな動物にも襲い掛かることを厭わない性質を持つ」という犬種だったと無理やりこじつけられなくは無いのですがね。もっと素人目にも強そうな犬を用意しろい!!

もう一つ。これは作品どうこうというよりは、単に借りてきた作品を観た順番による偶然なのですが…。一つ前の投稿で紹介した『ローガン』でかつての大超能力者チャールズを演じたパトリック・スチュワートがこの作品ではネオナチの親玉を演じていて笑えました。大昔、ピンク映画四本立てを見に行った際に前の作品で極悪人の強姦魔を演じていた大杉蓮氏が次の作品で颯爽とした刑事役で出てきて大笑いした時以来のキャスト激変ぶりでしたね。さっきまで、ボケ老人だったのに、今は超能力こそ使えないものの、冷徹なネオナチのリーダーって…。悪くはなかった「おまけ」でした。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-11-16 09:48 | エンターテインメント | Comments(0)

『ローガン』鑑賞

LOGAN/ローガン 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

ヒュー・ジャックマン,パトリック・スチュワート,リチャード・E・グラント,ボイド・ホルブルック,スティーヴン・マーチャント/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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XーMENシリーズの10作目。ヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じるのはこれが最後だそうです。

時代設定は現在より10数年先という近未来。ウルヴァリンはリムジンカーの運転手として働き、かつての仲間であるプロフェッサーXとキャリバンを養っています。数々の地球の危機を救ってきたスーパーヒーロー、ウルヴァリンがなぜこんな落魄の生活を送っているのか?もう25年もの間、ミュータントが誕生していないからでした。悪事をなすミュータントがいなければ、ヒーローのミュータントだっていらない。まさに狡兎死して走狗烹らるというやつです。

ちょっとひねくれた見方をすると、現代の核武装の張り合いへの皮肉と取れなくもありません。敵が強力な核兵器を持てば持つほど、自分たちはもっと強力な核兵器を持ちたいという欲求が高まる。しかしながら、敵がいなくなれば、核兵器いや武器そのものが存在価値をなくしてしまうのです。核軍縮だなんだいって会議が開かれたりしてますが、そもそも超大国と言われている国々がまず自分たちの保有する核兵器を廃棄しようとしない。だからインドとパキスタンみたいな小競り合いは起こるし、とある半島の変な髪型をした独裁者みたいな狂人が現れたりするのです。

話が逸れすぎました。存在意義を失ったミュータントたちは社会の隅でひっそり暮らすほど平和な状態だったのですが、その平和を喜ばない連中だってたくさんいます。この作品の場合それは軍需産業に従事する皆様です。彼らはかつてのミュータントたちの遺伝子を保存しておいて、人工的にその遺伝子を受け継ぐ子供を作り出し、殺人マシーンとしての教育まで施していたのでした。

で、ウルヴァリンは、その軍需産業の殺人マシーン養成施設から逃げ出してきたガブリエラという看護婦から、ローラという少女の保護を頼まれます。追いかけてくる軍需産業の殺し屋たちとウルヴァリンご一行との戦いがメインストーリー。

まあ、不利な状況の正義のヒーローが、苦戦を続け、仲間を次々と失いながらも最後には勝利するという古典的な勧善懲悪アクションヒーローものそのものです。その過程でローラがウルヴァリンの遺伝子を受け継ぐ「娘」であることが判明したり、ウルヴァリンをそのまま若い状態で再生したウルヴァリン2号が登場するなどのイベントが発生します。

この本家ウルヴァリンと、クローンウルヴァリンの戦いをもっと重点的に描いて欲しかった気がしますね。クローンウルヴァリンは、無理やり破壊衝動を埋め込まれて、命令通りに目の前の敵を殺戮しまくるだけ。これじゃターミネーターと変わりません。もっとクローンという特性上、遺伝子の作用をアヤにして別の展開を考えて欲しかった気がします。戦闘シーンそのものも短かったですしね…。

それに、ローラとその仲間たちが目指すエデンという楽園はコミック誌に掲載された架空の存在だったというのに、一般的常識を持っているはずの看護婦ガブリエラまでがその実在を信じて疑わなかったところがいかにも不自然でした。これも少々ひねくれて眺めると、逃げる際になんらかの希望を示してあげたかったからだ、と言えなくもありませんけどね。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-11-09 19:55 | エンターテインメント | Comments(0)

『恐怖・呪い面〜実話都市伝説』を読んだ

恐怖・呪い面~実話都市伝説 (TO文庫)

山口敏太郎/ティー・オーエンタテインメント

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都市伝説やら、怪談やら、UFOやら、世の中に跳梁跋扈する恐ろしくも不可思議な事象について数々の著作がある、山口敏太郎氏の怪異録。先日紹介した岩井志麻子氏の『現代百物語』などに比べると、より幽霊とか妖怪とか正体不明の存在寄りのオハナシが収められています。

山口氏は幼少の頃より、怪異現象に親しみ、小学生の時にはすでに「妖怪博士」というあだ名を奉られています。彼の元には様々な怪しいモノゴトが集まってきてしまうのです。通学途上の小川で死体を見つけて見たり(これは「実際の世界」の怖いお話ですがね)、銀色の大きな怪人に襲われてみたり、水洗便所から人の手首が出てきてみたり…。中学の時にはボーイスカウト活動の一環として参加したキャンプで、テントを張った河原で四国に広く伝わる「狗神」を作り出す際の残滓にまで遭遇したりします。

いやはや。私とこの方は同年代のはずなのですが、私自身は一度もこういう怪異に出くわしたことがありません。単純に暗闇が怖かった時代もありましたが、それも自分自身が勝手に恐怖していただけのこと。墓場の近くを通ろうが、廃屋の脇を通ろうが、怪しげな気配すら感じたことがないのです。幸運なのか、鈍感なのか?人々のココロに「恐怖」という感情を生じさせる過程や内容に非常に興味があるというのもおそらくは実体験がないからなのでしょう。

山口氏は某大手運送会社にも勤務していたことがあるそうで、その勤務先である支店には、建設の際に無理矢理移動させた稲荷の祠があったそうです。そして、その祠のすぐ脇には幹線道路が走っていたそうですが、よくこの祠のすぐ脇では事故が起こったそうです。その支店の場所というのは、以前当家が住んでいた場所のすぐ近くで、大体見当がつきます。私もよく自家用車でその近くを通った記憶がありますので、その話を読んだときは少し背筋がゾワゾワしましたが、結局その道路では私は事故を起こしていませんから、実害を受けてはいません。鈍感で助かることもあるんですね(苦笑)。ちなみにもう既に二度ゴールドで更新しています。全くのペーパーではなく、週に一度は必ず運転していますから、祟りを上回るドライビングセンスの持ち主なのだということにしておきましょう(笑)。

さて、この本の最大の怪異は標題ともなっている「呪い面」です。この面を人前に出そうとすると、必ずスタッフの縁者に大きな不幸が起こるのです。TV番組でも紹介され、その番組を観た小学生の間で「番組で呪い面を観た人物が次々死んでいく」という都市伝説が生まれ、恐怖を巻き起こしたそうです。

事実にせよ、偶然にせよ、単なる怪異現象の遭遇者であったはずの著者は怪異の「創造者」になってしまったというわけです。そうしたプロデュース力を買われ、青梅の妖怪町おこしや、柳ヶ瀬商店街のお化けイベントまで任されたりします。ついには怪しいものたちを利用して生きていくことになったわけで、一番怪しいのは山口氏自身なのかもしれませんね。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-11-04 16:41 | 読んだ本 | Comments(0)

『現代百物語 不実』を読んだ

現代百物語 不実 (角川ホラー文庫)

岩井 志麻子/KADOKAWA

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イヤミスの第一人者であり、下ネタ連発のコメンテーターとしても名高い岩井志麻子氏の集めた怪異集。「不実」というサブタイトルがついた今巻はこのシリーズ9作目となるそうです。

ウソかマコトか、人外のバケモノか、それともバケモノと化した人間がなしたものなのか?人々の生活のスキマにポツリと発生した不可思議でちょっと背中がゾクッとするお話ばかり99編。題名は「百物語」ですが、100話全てを語り切ってしまうと、その後には必ずとてつもなく恐ろしいことが起こる、という伝承を踏まえ、話そのものは99編で止めた上で、最後は岩井氏のあとがきで締める、というのが定番の構成パターンになっています。

さて、このシリーズも9冊目ともなれば、明らかにパワーダウンしています。以前なら「あ、この話は本当に怖い」と思わせてくれるようなお話がいくつかは必ずあったのですが、今巻に関してはあっさりと最後まで読み進めてしまえた、という印象を持ちました。

一編、友人の彼氏と浮気してしまった女性が、その友人の追求をかわすために、苦し紛れに浮気相手はこんな女だと架空の人物像をでっち上げて友人に話したところ、そのでっち上げの人物像とぴったり合致する人物とその彼氏が本当に浮気をしており、友人はその女を殺してしまったというお話には興味を惹かれました。「科学的」に説明しようとすると、話の主は友人の彼氏から感じ取ったものを無意識のうちに蓄積していて、それを具象化した結果、実在の人物にぴったりとマッチしてしまったということになるのでしょう。自覚することのなかったストレスが、いつの間にか胃に穴を穿つように、男から感じ取った様々なものは話の主の中に静かに溜まっていき、具体的な像を結んでしまったということになります。

う〜ん、やっぱり不思議で怖いのは実在する人間ですね。

岩井氏はあとがきの中で、怪異が少しも怖くないという友人の話を取り上げています。その友人よると「所詮はワケのわからないものが物陰から覗いている程度のことで、実害はほとんどないんだから、怖がりようがない」そうです。これはまさに目から鱗が落ちる思いでした。そうそう、「不気味なもの」はそこら中に転がってはいますが、そのほとんどは無害なんですよね。たまたま、そういう不気味なものを感じることのできる人間が必要以上に想像力を膨らましてしまったために、聞いた人はその想像に対して恐怖してしまうのでしょう。更に言えば、聞いた人自身もその話に自分の中で勝手に尾ひれをつけて恐怖をことさらおおげさなものにしてしまっているだけです。「幽霊の正体みたり枯れ尾花」みたいなもんです。そう思ってしまいたい私がいるというのも事実なんですけどね。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-28 17:00 | 読んだ本 | Comments(0)

『岳飛伝 十 天雷の章』を読んだ

岳飛伝 十 天雷の章 (集英社文庫)

北方謙三/集英社

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岳飛伝も後半戦に突入。各々の勢力が、各々の方法で蓄えていた力を徐々に放出して、勢力同士がぶつかり合う、という展開に物語は進んで行きます。

正面切っての戦いの描写こそ一箇所しかありませんでしたが、暗殺あり海戦あり破壊工作ありと、多種多様な「小競り合い」が展開されます。

今巻ではまた、梁山泊、南宋、金国の三つの勢力の戦いをそれぞれが持つイデオロギーの戦いであるとする描き方がより先鋭化しています。

一人一人の民の暮らしが先にあり、それが集まったものが結果として国という体裁を取るのだ、という梁山泊と、巨大な権力がまずありきで、民をその権力のために奉仕させる存在であると位置付ける南宋、戦いに勝ったものが全てを掌握し、その後の統治形態については歴代の中国王朝を踏襲するのだろうなと予想される金国。比較的親和性の高い後二者が連合し、それに梁山泊軍が対峙するという構図となります。南宋も金国も共に目の上のたんこぶ的存在なのが梁山泊。まずは共同してこのたんこぶを取り除いてしまおうというわけです。で、地理的にも思想的にも目障りな梁山泊がなくなったら、改めて両者で覇を競い、勝った方が中央集権国家を構築しようという魂胆です。

二つの勢力が組んだら、いかに豪傑揃いの梁山泊といえど、その命運は危うくなるでしょう。しかしながら敵と同じ方法で戦力を拡充することは、民の暮らしが優先(どこかの国の政党に突きつけてやりたいイデアですな)という梁山泊設立の志に反することです。故に梁山泊軍は南方の地を開拓して、そこに人を集め、今で言うところの福利厚生を手厚くして、住民の暮らしが十分に成り立つようにしながら、精強な兵を育て上げます。商業と兵器の生産の中心でもある本拠地梁山泊に、豪傑の一人秦容が築いた南国の小梁山、小梁山にほど近い場所にやはり屯田兵的な本拠地を築いた岳飛軍との軍事的連携と、日本を含めたアジア全域にまたがる巨大かつ精緻な経済網の構築で、圧倒的な兵数の差を埋めていこうというのが戦略です。

そんな中、岳飛は岳飛なき後、宋軍の最高司令官となった辛晃と戦い、後一歩で辛晃の首をとる、というところまで追い詰めます。大軍同士が正面からぶつかり合うだけが戦ではなく、相手の頭だけを狙って一直線に攻めるというのも有効な戦法だ(寡兵を以って大軍を攻める時の常套手段でもありますね)というのが、北方氏独特の男臭い記述で描かれます。

こうした戦いの日々の中、水滸伝、楊令伝で活躍した武将の「ジュニア世代」が次々と成人して行きます。すなわち人を愛することを知り、民と同じように「暮らし」を経験することで、人生の意味、みたいなものを考え始めるようになるのです。こうした経験や思索が今後の梁山泊軍の「志」にどのように影響し、そしてその「志」の下に作られようとする国がどのような形となるのか…。

史実上は、梁山泊軍というのは単なる反乱軍であり、結局は中央集権国家に飲み込まれてしまうのですが、この物語上ではどこまで成長していくのか?今後の展開も目を離せません。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-28 16:38 | 読んだ本 | Comments(0)

『面白すぎる徳川将軍の性癖-徳川15代の下半身事情から江戸時代250年の歴史を学ぶ』を読んだ

面白すぎる徳川将軍の性癖―――徳川15代全将軍の下半身事情から 江戸時代250年の歴史を学ぶ

天宮響一郎/キニナルブックス

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徳川幕府に存在した十五人の将軍たちの「性事力」を解説した歴史ウンチク本。

日本一の大権力者であった徳川将軍は、その権勢を示すためと、世継ぎの「安定供給」のために、大奥という堂々たるハーレムを有していました。いわゆる正室の他、気に入った女性がいればいつでも関係が持てたわけです。羨ましい反面、非常に面倒臭いって気もしますがね…。三代将軍家光のように、男性の方が好きで、世継ぎができるまで周囲を大いにヤキモキさせた人物がいたり、8歳で夭折した七代家継をはじめ、何人か実子に恵まれなかった人物もいましたが、基本的には「お世継ぎ製造所」として大きな役割を果たしました。

十一代将軍家斉などは四十人以上も実子がいたとされ、一五代の中で一番の性豪と紹介されています。まあ、大したもんですね(笑)。

一方で、この大奥という本来裏方であるはずの存在が、表の政治の世界に大きな影響を及ぼしていたのも事実。性質はもとより、実子の母となった側室の一族は大きな恩恵があったでしょうし、現将軍や大御所に働きかけて自分が養育した家光を将軍の座につけることに成功した春日局のような女性も存在しました。

社会の動向、制度やシステムの変化など、政治に影響するモノゴトは多々ありますが、最後は基本的な人間関係がモノをいうのだということをつくづく感じました。今に至る「親しい人々」への利益供与ってのはこんなところに根があったのですね(笑)。

もう一つ目についたのが将軍の実子として生まれた子供の「早世率」の高さ。当時としては最高級の医療を受ける事ができたはずの将軍家にして、実子が成人する率が著しく低かったのですから、他は推して知るべし。もっとも、権謀術数のうごめく大奥だったからこそ死亡率が高かったのではないか?といううがった見方もできますがね。

英雄色を好む、とはよく知られた格言ですが、初代の家康は別格として、あとは大した「英雄」はいねーな、ってのが総体的な印象ですね。色だけ好んだ家斉は例外です(笑)。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-22 17:26 | 読んだ本 | Comments(2)

『焼肉のことばかり考えている人が考えてること』を読んだ

焼肉のことばかり考えてる人が考えてること (扶桑社文庫)

松岡 大悟/扶桑社

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私は焼肉が大好きです。しかしながら、当家の最高権力者様はあまり好まれません。本当にごく稀ではありますが、行くことがあっても脂身の少ない肉をそれもごく少量しか召し上がりません。通常の食事なら量の比率は6.5:3.5くらいですが、焼肉に行ったら7:3になり、カルビなど脂身の多い肉に限っては、8.5:1.5位の比率で当然私の食べる量の方が多くはなりますが、何しろオーダーの絶対量が少ない。

酒も少々嗜む私としては、飲み物にせよ食べ物にせよ追加オーダーをかける際は、一々お伺いを立てなければいけませんし、たいていの場合はいい顔をされません…。

その分、最高権力者様抜きで焼肉を食いに行く際には思いっきり食ってやろうと思っているのですが、ご接待を受ける場合はあまりガツガツ食うのは浅ましいし、友人たちも皆歳を食ってしまいましたので、飲食の場に焼肉屋が選ばれること自体がめっきりと減ってしまいました。

というわけで、せめて想像の中だけでも焼肉を楽しもうと衝動DLしたのが標題の書。

著者松岡氏は外食産業に関してのユニークな本を何冊か上梓されているライター。当然焼肉という外食形態についても一家言お持ちです。

氏の言うところの焼肉の最大の特色は何か?それは、他の外食が料理人によって、その食材の持つ魅力を最大限に発揮する調理方法で提供される(はず)なのに対し、焼肉は食する人自らが肉を焼くと言う調理を行うことです。肉の味を生かすも殺すも客自身の腕によるというわけです。

で、松岡氏は、調理の素人である客はどううまく調理したつもりでも、その肉の持つ魅力を精々70%程度しか味わっていないと言い切っています。その値を100%に限りなく近づけるためのメソッドを紹介したのがこの本です。しっかりと読み込んだ上で焼肉屋に行って(そもそもどんな店を選んだらよいか、についても解説してくれています)、肉選びの知識と火の通し加減の技術を駆使すれば旨い肉を存分に味わう事ができると思います。

同じカネを出すのなら少しでもいい肉を、良い調理状態で食したい、というのは全ての人に共通する心情でしょう。ただし、この本のメソッドを身につけて実践するには、時間もお金もかなりかかっちゃうとは思います。残念ながら。しかしながら、2年後、3年後に「焼肉の達人」となりたいと思ったら、次に焼肉屋に行く時からトレーニングを始めるべきでしょう。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-22 17:01 | 読んだ本 | Comments(0)

『映画であった本当に怖い話1.2』を読んだ

映画であった本当に怖い話【追加写真収録1・2電子特別合本版】 (角川文庫)

永田 よしのり/KADOKAWA / 角川書店

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私は霊感というものが全くありません。故に「ここには絶対何かある」とか、「なんだか知らないけど、ヤバい」みたいな感覚は味わったことはありません。好んでそういうモノが出現しそうな場所に行く趣味もないし、宿や住居も、幸か不幸か何かが出ると噂のある物件には当たったことがありません。幼い頃は訳もなく暗がりが怖かったり、『うしろの百太郎』や『恐怖新聞』を読んで一人で寝るのが怖くて両親の寝室にもぐりこんだりしましたが、今は毎日会社に行くのが一番怖い(笑)。

とはいえ、恐怖という感情の生じ方に興味があるし、どのように表現したら恐怖がより効果的に伝わるのか、ということにも大いに興味がありますので、怖い話を見聞きするのは好きです。ミステリーの一つの手法として、この世のものならぬ存在を匂わせてそれを犯人にしてしまう、というものがありますが、そういう類の話も好きです。そういう話が得意な阿刀田高氏や高橋克彦氏の著作は出ると買いします。

というわけで、とある日にkindle本の検索ワードに「恐怖」という文字を打ち込んでみたところでてきた標題の書を衝動DL。映画の撮影現場で起こった様々な怪異現象を記してあります。

取り上げられた作品は全て、恐怖をテーマにしたもの。電波が飛び交い、様々な電子機器が多数存在する映画撮影の現場には一種独特の「磁場」みたいなものが発生して、それによって霊が集まるのではいかと著者は推測していますが、では恋愛ものだとかアクションものではそういった噂を聞かないのはなぜでしょう?

一つには、マイナスイメージを嫌う制作側がそのテの情報を握りつぶしてしまうこと。恐怖映画の場合は逆にそういう噂はいいスパイスとなって、ストーリーを彩るコンテキストの一つになりますが、その他のジャンルでは単なるマイナス要素でしかありません。実際には怪異が起こっていても、箝口令が敷かれているであろうことは想像に難くありません。

もう一つは、制作に関わる人全ての集団心理によって、何らかの怪異が認識されやすいということ。ロケ場所も「いかにも」って場所が選ばれるでしょうし、視覚的にも音楽的にも恐怖を煽るような表現をなすのが目的なわけですから、敏感になった神経が、何かを感じ取った気にしまう可能性は大いにあります。

そうは思いつつも、科学では説明のつかない現象とされてしまうものの全てがただの錯覚や思い込みだとされてしまうのもつまらない。本当のところはどうなのか、ってのは無理に明らかにする必要はないでしょう。怪しそうな場所には怪しいモノが潜んでいて、何かの拍子にそれが出てきてしまうのだ、と考える方が健全ですし、疲れないでしょう(笑)。

なお、作品の中に実際に訳のわからないモノが写り込んだものもあるようです。それがどの作品なのかはぜひ本文に当たっていただき、興味がわいたら実際に作品を観て見ることをオススメします。私は残念ながら、観たいと思った作品はありませんでした。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-15 17:16 | 読んだ本 | Comments(0)

『ハルのゆく道』を読んだ

ハルのゆく道

村上 晃一/天理教道友社

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今や日本代表、サンウルブズ両チームに欠かせない存在となったのが、この本の主人公立川理道選手。ラグビーライターの第一人者村上晃一氏による、立川選手の半生記が標題の書。

私が立川選手の存在を初めて知ったのは、彼が天理大学に在学している時でした。関西の大学ラグビー界では古豪として知られてはいたものの、「栄光の日々は遠い過去」という状態だった天理大学のラグビー部が突如として再浮上し、同志社や京産大などの強豪を次々と倒すまでの存在となり、正月の大学選手権にまで進出するという状況になったため、天理大学のラグビー部を意識せざるを得なくなったためです。

当時の天理はハベア、バイフという二人の外国人留学生を両CTBに置くという布陣を敷いていました。FWの二列目、三列目でプレーさせることが常識だったパワフルな外国人を二人ともCTBに起用するという斬新さもさることながら、その二人をランナーとして活かし切っていたのがSOをポジションとする立川選手でした。自分自身も骨太のガッチリとした体格ながら、闇雲に突っ込むのではなく、まずはCTBを活かすためのフラットかつ素早いパスを送る。これによってトップスピードに近いタイミングでパスを受け取った両外国人のパワーが炸裂する。で、CTBに意識を向けると、内側のスペースを外国人に負けず劣らずの力強さで立川選手が突いてくる。自分も含めてチームにとって最良となるプレーは何なのかの判断が常に的確であるという印象を持ちました。

もちろん彼と両外国人だけで勝ち抜けるほど関西大学ラグビー界は甘くはありませんが、それにしても立川選手のプレーが輝いて見えたというのも事実。大学在学中からジャパンに呼ばれたのも当然のことと誰しもが納得しました。で、彼の起用は2015年のあの感激に見事につながってくるのです。

立川理道という人物はどんなルーツからどんな環境を経て、今のような存在となったのか?村上氏の筆は余すことなくその過程を描き切っています。そして、立川選手の「ゆりかご」となった天理ラグビーの歴史についても、詳細に解説してくれているというお値打ち品でもあります(笑)。天理教は二代目の最高指導者の時代から、その精神を教義に取り入れ、教義の実現方法としてのラグビーに深い理解があるということがよくわかる内容となっています。ラグビースクール、中学、高校、そして大学まで指導の軸が一本ピシリと通っていながら、決して選手たちを厳しく束縛することなく強化していく。楽しい上に結果がついてくる指導法だというわけです。余談ながら、私の母校である高校が最後に花園に出た際に戦って負けたしてが天理高校であってことを思い出しました。

2015年の感激から早2年。サンウルブズでも日本代表でも、トップリーグのクボタスピアーズでも立川選手は厳しい状況下での戦いを強いられています。しかし、その試練は2019年に大輪の花を咲かせるための肥料であると信じましょう。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-15 11:10 | 読んだ本 | Comments(0)

『マダム・フローレンス!夢見るふたり』鑑賞

マダム・フローレンス! 夢見るふたり [Blu-ray]

メリル・ストリープ,ヒュー・グラント,サイモン・ヘルバーグ,レベッカ・ファーガソン,ニナ・アリアンダ/ギャガ

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押しも押されぬ名女優メリル・ストリープと伊達男ヒュー・グラントの共演作。無類の音痴ながらカーネギーホールでリサイタルまで開いてしまったフローレンス・フォスター・ジェンキンスという実在の女性を描いています。

主人公フローレンスを演じるのはメリル・ストリープ。歌をうまく歌うというのはもちろん難しいのですが、素っ頓狂なメロディーを「自然」に歌うのはもっと難しい。上手い人が「下手な人風」に歌うと、どうしてもワザとらしさが鼻についてしまうのですが、今作に関しては自然な仕上がりだったと思います。(アテレコだったか否かは知りえませんでした…)

さて、フローレンスは聞いた人が耳をふさぐか、あるいは大笑いするかどちらかというひどい音痴なのですが、ソプラノ歌手としてステージに立つという夢を決して諦めませんでした。専属のピアニストを雇い、ボーカルトレーニングにも高名な音楽家を招いて至極真面目に練習します。しかし、その程度では如何ともしがたい、先天的な才能の欠如。いざステージに立つ際にはピアニストは演奏を渋り、指導した音楽家は自らの名声に傷がつくことを嫌って、コンサートホールに行くことを拒否したばかりか、自分の名前を出さないことを条件にまでします。

「カネがもらえるから、仕方がなく、金持ちのババァの酔狂に付き合ってやってんだよ。こんな音痴にかかわずらうのは本当なら願い下げなんだっつーの」というミエミエの描写が笑いを誘います。

さて、ヒュー・グラント演じるフローレンスの夫シンクレアは彼女の真面目さに付き合って、リサイタル実現のために奔走し、実際に彼女をステージに立たせます。その一方で愛人を囲って何かと言い訳を作っては愛人の家に入り浸るというしたたかさも見せます。しかし、本当に「カネ目当て」だけでなくフローレンスをフォローしているのは彼だけだという描写もなされます。

周囲の人間の思惑をよそに、ついにフローレンスはステージに立つのですが、そこに来た客はほとんどがその音痴っぷりを嘲笑うことが目的でした。彼女の歌を録音したテープをとある人物がラジオに持ち込み、それがいろんな意味で評判を呼んだからです。今でいうと、ジャスティン・ビーバーが取り上げた途端にピコ太郎にあっという間に火がついたようなもんでしょうか。

彼女はその悪評をものともせずにあくまでも真面目にカーネギーホールを目指していきますが、果たして…。

まあ、一種のスポ根モノです。最後は結局努力が実を結んでハッピーハッピーなんですから。ギャグとかくすぐりではなく、皆が皆真面目に演じていることで笑えた珍しい作品ではありました。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-14 16:09 | エンターテインメント | Comments(0)

『ジャック・リーチャー Never Go Back』鑑賞

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK [Blu-ray]

トム・クルーズ,コビー・スマルダース,ダニカ・ヤロシュ,ロバート・ネッパー,オルディス・ホッジ/パラマウント

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トム・クルーズ主演のアクションもの。同名の人物を主人公にした小説の映画化作品だそうです。2012年に『アウトロー』という作品が公開されており、本作『Never go back』はその続編だとのこと。

主人公リーチャーは軍を除隊後、定職に就かずあちこちを放浪する毎日を送っています。ある日、リーチャーは現在の軍の司令官であるターナー少佐をたずねて司令部を訪れますが、ターナー少佐は部下殺しとスパイの容疑をかけられて投獄されていました。

この事態を不審に思ったリーチャーは、背後関係を探るため軍の法律関係の専門家に会うのですが、そこで、自身の娘サマンサの存在を知らされます。その後、この法律の専門家は撲殺されてしまうのですが、なぜかこの犯行をリーチャーが行ったことにされてしまいます。ターナー少佐と自分自身の冤罪を晴らすために、リーチャーはターナー少佐を刑務所から救い出し、一緒に謎を追うこととなります。

ここで先ほど存在が明らかになったサマンサが大きな役割を持つことになります。法律の専門家を撲殺した殺し屋が、リーチャーの動きを封じ込めようとサマンサの身柄を押さえるために迫ってくるのです。

リーチャーとサマンサのコンビはこの殺し屋たちと戦いながら、自らの名誉を守るため、謎へアプローチして行く、というのが大まかなストーリー展開。結末まで書いてしまうのは、この作品のサスペンス要素を損ねてしますことになるのでストーリー紹介はここまでとしておきます。

要するに、アクションスターとしてのトム・クルーズを見せるための作品なのですが、『ミッション・インポッシブル』に『マイノリティー・レポート』のエッセンスを少し加えただけのもの。大掛かりな仕掛けや、ブルージュハリファを舞台にするような派手さがない、イーサン・ホークが孤立無援の状態で、困難さに立ち向かって最後は大団円を迎える、というだけのストーリーです。

アクションに派手さがない分、仕上げはヒューマンなものを意図しているのだと思いますが、どっちつかずの非常に中途半端な結果に終わってしまったという印象です。辛い味のカレーを期待して食いに行ったら、出てきたものは唐辛子を多量にぶち込んだ、ただ単に辛いだけの旨味のない代物だったというような幻滅を覚えました。トム・クルーズの存在なしには日も夜も暮れぬというファンでもなければ、『ミッション・インポッシブル』を観ておけば十分です。

なお、ネット上の評価を見る限りでは一作目の『アウトロー』の方の評判は良いようですので、そちらは観てみたいと思います。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-08 18:02 | エンターテインメント | Comments(0)

『ダーティ・グランパ』鑑賞

ダーティ・グランパ [Blu-ray]

ロバート・デ・ニーロ,ザック・エフロン,ゾーイ・ドゥイッチ,オーブリー・プラザ,ジェイソン・マンツォーカス/松竹

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押しも押されぬ名優ロバート・デ・ニーロと、若手の有望株ジャック・エフロン共演によるコメディー。

連れ合いを亡くしたばかりのディック(デ・ニーロ)は生真面目な弁護士である孫ジェイソン(エフロン)を、強引にフロリダ旅行へ同行させます。ジェイソンは良家の令嬢との結婚式を間近に控えており、その準備で忙しいことを理由に断ろうとしたのですが、ディックから「最後(になるかもしれない)の頼みだ」との言葉に押し切られたカタチです。

ジェイソンがディックを迎えに行くシーンがまずぶっ飛び。ディックは朝から酒をかっくらっている上、エロビデオを観ながら青少年が耽るような一人遊びの真っ最中。このシーンだけでこの作品の「方向性」がわかってしまうという巧妙な作り。妻という重石が取れて、メチャクチャはしゃぎたいじーさんと、それに振り回される生真面目な孫のドタバタなんだろうな、と思ったらその通り。でも結局はジェイソンもディックに引っ張られて、酒とドラッグを浴びるほど嗜んでしまい、股間に動物のぬいぐるみを装着しただけの姿でマカレナを踊り狂ったりします。この辺のドタバタが一番の笑いどころ。じーさんの性格もぶっ飛んでますが、孫にもその地は濃厚に受け継がれているという事実を暗示していたりもします。

じーさんは自分のぶっ飛んだ性格を受け継いでいるはずの孫が、堅苦しい良家のしきたりや、束縛ばかりしたがる婚約者とは絶対に合うことはなく、その結婚生活が不幸あものになるであろうことを予見していたのでしょう。じーさんには、性格も行動もじーさんそっくりなもう一人の孫(ジェイソンの従兄弟)がいるのですが、そっちを旅に誘わず、一見すると真逆な性格であるジェイソンを連れ出したことがそれを示しています。

結局、結婚式前の友人知人を招いての食事会の席で、ものの見事にこの結婚は破談となります。そしてジェイソンはじーさんとの道行き中に再会した大学時代の同級生と結ばれることとなるのです。

じーさんには孫よりももっとぶっ飛んだエンディングが待っています。どんなエンディングかは本編をごらんください。

理屈抜きで笑える作品でした。もし日本でこの作品をやるとしたら、高倉健氏や三船敏郎氏などの大御所に登場願えればさぞかし笑えるものなったであろうと思います。本人たちはやりたがりそうもない役ではありそうですがね。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-07 10:09 | エンターテインメント | Comments(0)

『ウルトラマラソンマン』を読んだ

ウルトラマラソン マン

ディーン・カーナゼス/ディスカヴァー・トゥエンティワン

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以前に紹介した『EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅』の姉妹本。出版社も著者も違うんですが、要するに、より過酷な条件の下で、より長い距離を走ることに喜びを見出す人が書いた自伝です。

こういう人は尊敬に値するとは思いますが、私はこうなりたいとは思いません。基本的に走ることが嫌いだからです。ラグビーみたいに、そこにボールがあるとか敵がいるとかいう「目的」があれば話は別(最近はそこにボールがあっても敵がいても、前にもまして走れなくなっちゃいましたが…)ですが、ただ走ることを目的に走る。あんな苦しいことを誰が目的にしようってんでしょうか?

ところがどっこい私にとって理解不可能なことに、マラソンランナーってのは多いですね。トラック種目の10万mからフルマラソンまで、アスリートは山ほどいるし、ただ単にそこらを走り回ってる人も多々います。なにを好き好んであんな苦しいことをやろうとするんでしょうか?

この本の著者などはそのなかでも指折りのマゾヒストだと言えます。ふつうなら20人程度の人数で走るウルトラリレーマラソンを一人で走りきってみせるわ、寒暖の差が30度もあるような砂漠を走るわ、しまいには南極点に行ってまでフルマラソンを走ったりします。ただ走るだけでもシンドイし、南極の極地点近くにいくだけでも命の危険があるというのに、その悪条件を二つも三つも重複させようってんですから、人知を超えたマゾヒストであるとしか言い様がありません。

一体何のためにそこまでして走るのか?襲い掛かる苦難を乗り越えた後に得られる満足感が何物にも代えがたいからだそうです。これだけの困難を乗り越えれば他人からの賞賛も絶大なものとなるでしょうが、それはあくまでも副次的なことで、とにかく自分自身に打ち克ったということが一番の賞賛なのだとか。いやはや。

私にはこんなこと到底できそうにないし、やろうと努力する気にもなれません。ただし、小さくても良いから自分自身に打ち克とうとする努力だけは続けていくべきなんだろうな、ということだけは感じました。トレーニングしかり、文章書きしかり、種々のお勉強しかり。会社の仕事だけはゆるやかな下り坂で結構(笑)。次の一歩を踏み出すための努力だけは続けて行きたいなぁ…。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-06 20:21 | 読んだ本 | Comments(0)

『相棒-劇場版Ⅳ-首都クライシス人質は50万人!特命係最後の決断』鑑賞

相棒-劇場版IV-首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断 豪華版 [Blu-ray]

水谷豊,反町隆史,鈴木杏樹,川原和久,山中崇史/Happinet

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テレ朝が誇る人気コンテンツにして、当家の定番視聴番組である『相棒』の劇場版4作目。

冒頭は、無邪気(そうに見えるのですが、実は、といういつものドラマと同じような伏線が張られています)に少女たちがかくれんぼをして遊ぶ姿の描写。

隠れていた少女の一人瑛里佳は誰も探しに来ないので、いつのまにか寝入ってしまいます。目を覚まして、隠れていた場所から外に出た瑛里佳が見たものは、その場(海外のホテルまたは大邸宅)に居合わせた人々全員の死体。そして瑛里佳は誘拐され、誘拐犯からは日本政府に対し身代金の要求がありましたが、政府は支払いを拒否。この決断を下したのは甲斐峯秋(三代目相棒甲斐享の父親でもあります。身内に犯罪者が出たら、警察って辞職しなきゃいけないんじゃなかったっけ?)。そして瑛里佳は日本から見放された人間となってしまいます。

普通に考えると、瑛里佳は殺されて終わり、なのですが、瑛里佳は生きていました。

場面は変わって現代の日本。とあるホテルで毒物による中毒者が大量発生し、実行犯からは犯行声明がネットに動画で出されます。その画面に映っていたのが10年前に誘拐された瑛里佳。瑛里佳は、実行犯は瑛里佳を誘拐したのと同一組織で、テロ行為を回避したくば要求通りの金額を支払え、という内容の紙を持たされていました。

で、我らが警視庁特命係、杉下右京と冠城亘の登場です。特命係を目の敵にしている、いつもの上層部コンビと捜査一課が目一杯の人海戦術であまり頭を使わない力技の捜査で犯人を突き止めようとするのに対し、特命係コンビは「細かいところを気にしてしまうのが僕の悪い癖」と嘯く右京氏の推理を基に犯人たちにアプローチしていきます。

ま、展開はいつものドラマと同じです。ゲスト主役の鹿賀丈史をはじめ、2代目相棒のミッチーや一時は4代目相棒就任が確実視されていた仲間由紀恵、鑑識官米沢役の六角さんなどのサブキャラも、現在の設定で出演可能な人物は全て登場するという豪華版。さらにクライマックスシーンの群衆にはかなりのエキストラを用意したようです。お金は確かにかかっているのですが、先にも書いた通り、ストーリー展開は通常TV版と大して代わり映えしません。右京さんの推理が「えっ?」て人物を真犯人として特定して、最後はその人物を逮捕してメデタシ、メデタシ。

金を出して時間をかけて、映画館に行ってまで観たいか?と問われると、そこまでしたいとは思わない、と答えざるを得ません。ドラマの世界観がしっかりと踏襲されているという安心感はありますが、それだけですね。ドラマのファンは中高年層が多いそうですが、劇場版の観客もしかりで、年齢層は高めだったようです。10月から新シリーズが始まるようですが、そちらは楽しみにしたいと思います。




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# by lemgmnsc-bara | 2017-10-01 12:45 | エンターテインメント | Comments(0)

『ムーンライト』鑑賞

ムーンライト スタンダード・エディション [Blu-ray]

トレヴァンテ・ローズ,アシュトン・サンダース,アレックス・ヒバート,マハーシャラ・アリ,ナオミ・ハリス/TCエンタテインメント

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今年のアカデミー賞で、MCのミスにより、落胆から歓喜へと駆け上ったのが標題の作。

最底辺の生活を送る黒人で、しかも同性愛者であるという、「差別してくれ」といわんばかりの属性をもった少年の成長する姿を描いています。

主人公は、黒人少年シャロン。彼は通っている小学校でいじめられており、追いかけてくるいじめっ子から逃げるためにとある廃屋に隠れます。そこに現れたのは、麻薬の売人フアン。彼は売人というお天道様に顔向けできないような職業についていながら、シャロンをやさしく扱い、生きていくための強さを身につけるよう諭します。

しかしながら、現実はそうそう甘くはありません。シャロンの母親は薬物中毒で、シャロンにまで金をせびる始末。いわゆるネグレクトの状態ですし、高校生になってもあいかわらず、不良たちからいじめの標的にされています。

そんなある日、少年がキューバ系の黒人ケヴィンから散々に殴られるという事件が起こります。このケヴィンこそは、少年の無二の親友であり、最初に結ばれた同性愛の相手でもありました。

ここで、ついに堪忍袋の緒を切ったシャロンは、不良のリーダー格の少年を椅子で殴り倒し、逮捕されてしまいます。

数年後、シャロンはいっぱしの売人になっていました。体も鍛え、フアンが言っていた「強さ」を身につけることには成功していますが、でもやっぱり違法なことをやっているという後ろめたさは持ち続けています。そんな少年にケヴィンが連絡をしてきます。ケヴィンもまた、少年院送りになった後にレストラン経営で成功していたのでした。久しぶりに再会した二人は、懐かしさだけではない感情をたかまらせていき…というのがラストシーン。

スペクタクル性という意味においては『ラ ラ ランド』のほうが数段上ですが、人間の存在と尊厳、一歩道を間違えたことで大きく狂ってしまう人生、そして愛、といった深い部分の描写はやはりこちらの作品のほうが優れていると思います。観衆を熱狂させる雰囲気には決してならないでしょうが、帰り道にいろんなことを考えさせるような作品ではあると思います。余韻の長く残る、味わい深い作品でした。


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# by lemgmnsc-bara | 2017-09-28 11:28 | エンターテインメント | Comments(0)

『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』鑑賞

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 [Blu-ray]

オスカー・アイザック,キャリー・マリガン,ジョン・グッドマン,ギャレット・ヘドランド,ジャスティン・ティンバーレイク/東宝

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ハリウッド屈指のヒットメーカー、コーエン兄弟によるヒューマンコメディー。カンヌ映画祭でのグランプリをはじめ、数々の賞を受賞した作品で、どこかの映画解説本で「観るべき映画」リストみたいなものに連なっていた作品。この映画解説本のリストは手帳に書き写してあったのですが、ついつい新作にばっかり目がいってしまい、ようやく借りてきました。

このお話は実在のフォークシンガーの自伝が原作だということです。

冒頭、ライブハウスでの演奏を終えて出てきた主人公ルーウィンが、待ち伏せていた正体不明の男にいきなりボコボコにされるシーンが出てきたときは、一体どんなストーリーになるのか不安に駆られましたが、バイオレンスなシーンはここと最後だけ。あとは、挫折を繰り返しながらも懸命に自分の夢を追い求めて奮闘する主人公の姿が、淡々と描かれます。

冒頭にも書いた通り、一応この作品はコメディーにカテゴライズされるようですが、特に笑えるシーンはありません。コミカルなシーンと言えるのは、ルーウィンが転がり込んでいた友人宅の猫がちょっとした隙をついて外に逃げてしまい、それを慌てて追いかけるところくらい。あとは、泣き面に蜂という状況が次々とルーウィンに襲いかかってくるところがユーモラスといえばユーモラス。どちらかというと、笑えるというよりは惨めったらしさに自分の気持ちまでが落ち込みかけるようなシーンばっかりでしたけどね…。

で、様々なハプニング、苦難、困難を乗り越えたルーウィンが、最後には自作の歌を披露したライブハウスで拍手喝采を浴びて出てくると、冒頭のシーンに繋がるという仕掛けが施されています。この演出の意味が今ひとつ不鮮明で、私は少々混乱しました。いずれにせよ、主人公の未来は明るくなりそうだ、という暗示のままネームロールヘと突入します。

ユーモアという感覚に関する彼我の差を一番に感じた一作でしたね。日本だと、もっと泥臭いエピソードをこれでもかこれでもかと盛り込んで、最後は涙涙みたいな「スポ根モノ」じみた仕上がりにしてしまうであろうところを、不条理に仕上げたところがコーエンメソッドなのでしょう。



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# by lemgmnsc-bara | 2017-09-28 10:37 | エンターテインメント | Comments(0)

『の・ようなもの』鑑賞

の・ようなもの [DVD]

秋吉久美子,伊藤克信,尾藤イサオ,小林まさひろ,大野貴保/KADOKAWA / 角川書店

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故森田芳光監督作品。小堺一機、関根勤(出演当時はまだラビット関根)の「コサラビ」コンビがおすぎとピーコを髣髴とさせるオカマコンビを演じているのを観たかったというのが第一の目的。関根氏がラジオやコントなどの場でさんざんネタにしていた、でんでん氏の怪演ぶりを観てみたい、というのが二つ目の目的でした。

第一の目的のシーンは早々に出てきて、あっという間に終わっちゃいました。衣装とか髪型で撮影当時の1981年をしのぶことは出来ましたが、このコンビが売れた後の、出てきただけで大爆笑を誘うようなモノマネの切れ味はまだ観られませんでした。まあ、この映画の中での彼らの役柄はあくまでもチョイ役ですから仕方ないんですけどね・・・。

第二の目的、でんでん氏について。最近でこそ、味のあるバイプレーヤーとして刑事役や、犯人役などで存在感を示している同氏ですが、もともとはお笑い出身。それも現在で言えば、ノンスタイル井上などのようにブサイクなのに気障ったらしいセリフを吐いて笑いをとるというスタイルで、そこそこ面白かったという記憶があります。関根氏によると、出演前には、いつも「俺の演技はすごいからちゃんとみとけよ」みたいな大口を叩いているのですが、いざ本番に入るとアガッってしまってセリフがしどろもどろになるところが滑稽だったとのことなのですが、この作品では特におどおどした様子もなく、無難に売れない落語家を演じていましたね。ただ、出てくるたびについつい「どうだ、かっこいいだろう」っていう往年の決めゼリフがどうしても浮かんできちゃいはしましたがね。

さて、ストーリーの紹介を少々。二つ目の落語家志ん魚(伊藤克信)が主人公。二つ目の落語家というのは落語家「のようなもの」ではありますが、まだ一人前の落語家ではない。ソープのおねえさんや女子高生のお姉ちゃんたちとも付き合いはするのですが、どちらもいわゆる「本命」とはちょっと違う。彼氏「のようなもの」。要するに志ん魚は、その社会的人格のすべてが何か「のようなもの」で常にあっちにふらふら、こっちにふらふらしている。でもそのことを恥じるでもなく、悩むでもなく、ただ飄然と日々を過ごしています。

この設定、どこかで同じようなものをみたことがあるというデジャヴを感じました。そうそう、又吉先生の芥川賞受賞作『火花』に非常に良く似た設定です。あちらの主人公が破滅型の芸人なのに対し、こちらは、あることがきっかけで、落語家になりたいという自分を発見し、そこに向かって邁進していくのであろうという、明るさを感じさせるエンディングになっています。

バブル期直前、漫才ブームやアイドルブームがおこりつつある時代の不安定ながら不安ではない若者たちの群像劇。同じようにカネはなくても、今よりはミジメでなかった若者たち・・・。リアルタイムで観たらいったい私はどんな感想を持つに至ったのでしょうか?今となっては、バブル景気という花火が打ちあがる前の、時代の盛り上がりを懐かしく感じるのみです。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-09-11 17:42 | エンターテインメント | Comments(0)

『LA LA LAND』鑑賞

ラ・ラ・ランド スタンダード・エディション [Blu-ray]

ライアン・ゴズリング,エマ・ストーン,カリー・ヘルナンデス,ジェシカ・ローゼンバーグ,ソノヤ・ミズノ/ポニーキャニオン

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アカデミー賞の場で、史上最大のぬか喜びをさせられたのが標題の作。興行そのものは成功したといってよいのですが、どうも滑稽なイメージがまとわりついてしまったようですね。

さて、ストーリーは典型的なボーイ・ミーツ・ガールの恋愛モノ。女優をめざすミアとジャズピアニストとして、自らの音楽を追及したいというセブが出会い、自らの夢と二人の愛情の間で揺れ動き、そして最後はお互いの道を歩んでいく、という余韻残しの失恋物というのが大雑把なストーリー。

この映画はストーリーを見せるものじゃなくて、ダンスを魅せるのが最大の特長でした。オープニングで、ハイウエイの渋滞にはまった車から一人の女性が路上に出てきて、いきなりダンスを始めると、別の車からも次々と人々が降りてきて、様々な歌とダンスを繰り広げる。このシーンで一気に映画の中の異世界へ引きずり込まれてしまいました。

題名の「LA LA LAND」とはロスアンゼルスと架空の空想の国とのダブルミーニングとなっているそうです。空想の国「LA LA LAND」の中では、二人それぞれの夢も、二人の間の愛情も順調に育っていく姿が描かれます。趣向を凝らした舞台で繰り広げられる二人のダンスシーンは、単純に美しい。「雨に歌えば」などの古いミュージカル映画を思わすような、夢のような一時。

しかし、現実のロスアンゼルスでは、二人を取り巻く環境は非常に厳しい。オーディションに落ちまくるミアと、金のために自らの音楽性とは違うバンドで活動するセブ。そして、お互いがお互いの夢の実現のための努力から逃げていることをなじり、関係が壊れていく…。まさに現実には良くある話です。ゆえに、空想の国の中のダンスシーンがより甘美なものに感じられるというわけです。このあたりのさじ加減が実に巧み。

ただし、先にも書いたとおり、ストーリーがあまりにもオーソドックス過ぎ。使い尽くされた類型的物語であったがゆえに作品賞のオスカーは逃してしまったのではないでしょうか?材料は大したことなくても調味料の使い方が上手い、というのはいい料理人の条件ではありますが、ややテクニカルな部分に走りすぎた感はあります。

単純に画面上で繰り広げられるシーンの美しさだけを鑑賞している分には十分に満足できる内容でした。映画館の大きなスクリーンで観たかった作品です。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-09-11 17:26 | エンターテインメント | Comments(0)

『矢島美容室THE MOVIE〜夢をつかまネバダ〜』鑑賞

矢島美容室 THE MOVIE ~夢をつかまネバダ~メモリアル・エディション [DVD]

ストロベリー,マーガレット,ナオミ,黒木メイサ,山本裕典/ポニーキャニオン

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TVCM華やかななりしころは、CMで使われたフレーズが好評で、そこを中心に無理矢理曲にしてしまい、それなりにヒットしたなんて例が結構ありました。有名なところでは『勇気のしるし』(リゲイン〜24時間戦えますか?ってフレーズが有名ですね)、『いまのキミはピカピカに光って』(カメラのCM。今はおばちゃん役が板についた感のある宮崎美子が巨乳アイドルとしてTシャツを脱ぐシーンが有名ですね)が挙げられます。

標題の作は、とんねるずの番組内での架空のユニットに、無理矢理キャラをかぶせて作ってしまった映画。まあ、作りは推して知るべし。チープな映画です。元々がコントを演じるためのユニットですから、映画の中に様々なくすぐりが入っていました。今見ると、おかしさよりは「懐かしさ」を感じてしまうギャグばっかりでしたけどね。そもそも「矢島美容室」というユニット名そのものが、30年近く前の『とんねるずのみなさんのおかげです』内のコントに際して作った「矢島工務店」のもじり。ウィキペディアとかなしでこのハナシが通じてしまうのは、40代以上でしょうね。

内容とかストーリーとかを味わうとか追いかけるとかそういうレベルの作品じゃありません。いかに笑わせてくれるかが焦点だったのですが、まあ、げらげら笑うまでには行きませんでしたね。下手に「映画」なんてしゃっちょこばらずに、往年のコントのノリをそのまま再現してくれたほうが面白かったんじゃないかな、というのが率直な感想。まあ、とんねるずの全盛期を知っているだけに無残だな、という気持ちのほうが強かったですね。

一方で、ちょっと救いだったのが、ミュージカル風のシーン。曲はすべて出演者でもあるDJOZMAが作ったそうなのですが、そこそこのクオリティーに仕上がっていたように思います。まあ、曲そのものはモロパクリのフレーズばっかりでしたけどね。

その他は、さまざまな人々がカメオ出演していたのが、お笑いポイント。期待せずに観た作品でしたが、期待を裏切らないチープさでした。

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# by lemgmnsc-bara | 2017-09-11 17:02 | エンターテインメント | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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