カテゴリ:読んだ本( 1247 )

岳飛伝 八 龍蟠の章 (集英社文庫)

北方謙三/集英社

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岳飛伝も巻を重ねること8冊目。梁山泊軍、南宋、金国の三大勢力に、西遼、大理、南越等の周辺国の情勢も盛り込まれ、いよいよ事態は複雑化していきます。

とは言っても、実際の武力衝突はなく、やがて来るべき「決戦」を見据え、各勢力が様々な方法で力を蓄える姿の記述が中心となっています。

水陸ともに設備、体制を整え、商流の充実により「資本主義国家」として発達しているのが我らが梁山泊軍。英雄豪傑が集い、武によって民の暮らしを豊かにしようとした、作品開始当初からは大幅に方針を変更していますが、産業を興すことでそこに関わる民に益をもたらし、商流を発達させることで、得た益を有効に活用させる、という仕組みはまさに近代国家ですね。秦容が南越に作り上げつつある甘藷糖の生産基地に至っては老齢や怪我などのために戦の第一線を退いたメンバーたちの福祉施設とでもいうべき機能まで果たしています。

三大勢力の一角、南宋は秦檜のリーダーシップにより、中央集権国家としての体裁を取り戻しつつあります。最近ほとんど登場の場がありませんが、張俊という人物が率いる軍閥も依然として力を保ったまま。梁山泊軍にとっての最大の「仮想敵国」であることは間違いありません。

残る一つ、金国は目の上のタンコブとでもいうべき梁山泊を疎ましく思い始め、南宋との連携を模索し始めます。

そしてこのシリーズの主人公、岳飛は裸一貫の状態から、三千人の人員を従えて、再起ロードをたどり始めます。隣接していると言って良い、秦容の生産基地を訪問するなど、梁山泊軍との距離を縮めるのですが、この二つの勢力が合流するのか否か、現段階ではまだ明らかになりません。

いずれにせよ、物語はクライマックスに向けて、大きく舵を切ったというところでしょうか。目の離せない展開となりそうです。本屋の店頭には文庫版の第9巻が山積みとなり、10巻目の刊行も近いようです。電子版の出版が待ち遠しい、という感想を今巻の読了後にも感じました。



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by lemgmnsc-bara | 2017-08-13 14:46 | 読んだ本 | Comments(0)

清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実 (文春e-book)

鈴木忠平/文藝春秋

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覚せい剤使用で、自らの栄光の日々に泥を塗ってしまったのが清原和博氏。彼が一番輝いていたのは、高校時代の甲子園。こちらももはや昔日の輝きを失った(輝きも何も、野球部そのものがなくなっちゃいましたね…)高校野球の名門PL学園で1年生から4番に据わり快打を連発していた頃です。

彼が在学中の甲子園は5度。そのすべてに出場し、うち二回は全国優勝を遂げました。彼個人としては13本のホームラン(これは現在に至るまで高校球児が甲子園ではなったホームランの最多記録であり続けています)を放ち、「天才」、「怪物」の名をほしいままにしていましたね。

標題の書は、清原氏にホームランを打たれた人の投手たちの「それまで」と「それから」を描いたルポルタージュ集です。これに記事が掲載されたらまずメシの食いっぱぐれは無いといわれている一流スポーツ雑誌「Number」に連載されたものを集めて編んだ一冊です。

清原選手に本塁打を打たれた投手は9人。9人の高校球児がいれば9通りの野球人生があります。彼らがどんな思いで日々を過ごし、甲子園を勝ち取ったのか?そして彼らの球をスタンドに放り込んだ清原選手はどんな存在だったのか?これを、清原氏の視点を一切交えることなく、すべて彼と相対した人物の視点で描き、清原氏の怪物ぶりを際立たせています。見事な構成です。のちにプロで対決することとなる投手もいれば、彼に打たれたホームランによって、その後の人生ががらりと変わってしまった投手たちの姿も描かれます。あの時の清原氏は一人の選手というよりも、高校野球界をゆるがした一つのムーブメントそのものであったと言えますね。実に大きな存在でした。

時たま間に挟まれていた高校時代の清原氏の初々しいこと。金髪にピアス、刺青に過剰なほどのマッチョ体型(その後ブックブクのおデブちゃんに変わっちゃいましたが…)という後年の姿からは想像もつかないような、ひたむきな野球少年の姿がそこにはありました。こんな野球少年がどうして薬物に手を出すような不良中年になってしまったのか…?やっぱりそこには桑田単独指名という驚愕の結果となった、ドラフト会議の影響を挙げざるを得ません。あそこで本人の希望通りに巨人に入っていたら…というifをどうしても考えてしまいます。後年、功なり名を遂げてFAで巨人入りしますが、チャンスに打てないでブーイングを浴びていたというイメージしかありません。巨人での最晩年は「番長」などと呼ばれて一部のマスコミに祭り上げられていましたが、トラブルメーカーでしかなかったような気がします。そこでのストレスが彼に覚せい剤という魔のクスリを選ばせてしまったのでしょう。過去が輝かしければ輝かしいほど、自分の現状が惨めに思えたのではないでしょうか。

今の清原氏は落ちるところまで落ちたという感があります。しっかりと更生して何らかの形で野球に携われる日がくるといいですね。





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by lemgmnsc-bara | 2017-08-06 19:00 | 読んだ本 | Comments(0)

極悪鳥になる夢を見る (文春文庫)

貴志 祐介/文藝春秋

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ホラー小説の第一人者貴志祐介氏の初エッセイ集。ご本人はおそらくこれが最初で最後のエッセイ集になるだろうと文中で述べてもいます。なんでもエッセイだと自分の文章を見ているのが恥ずかしくなるからだとの理由だそうです。


この感覚なんとなくわかるような気がします。この方はおそらくは非常に真面目なんだと思います。文中に時折織り交ぜるジョークの類も、真面目な人が無理矢理ひねくりだしたような感がありました。本人としては意を決して発したジョークなのでしょうが、文章全体の雰囲気から笑ってはいけないのではないかという、空気がかもし出されています。これは決してマイナスイメージではありません。非常に丁寧に作りこんでいるのであろうことが伺えるのが貴志氏の小説の特色であり、その几帳面さがそのままエッセイの文章にも反映されているというのが率直な感想。おかしなフレーズさえ氾濫させれば面白くなるってもんじゃありませんし、フレーズばかりが先行して内容がスカスカでもプロの作家としての名折れとなりますね。貴志氏が書きたい内容については、ヨタを交えずに書き切った方がおそらくは上手く読者に伝わるのだと思います。
いいんです、面白いフレーズは他の人に任せておけば。貴志氏の真面目なホラー小説は十分に面白いんですから。

文体のお話はさておき、興味深かったのは、貴志氏の作家になるまでの道のり。元々本を読むことが好きで、幼少の頃より外で遊ぶよりは読書を好む傾向にあったようですが、読書が好きなことと、自分で作品を書いてみたいという欲求の間には大きな壁が存在します。貴志氏も、一度は文筆の道をあきらめて保険会社に就職しますが、8年の会社生活の後、どうしても作家になりたいとい欲求に抗えずに、ご本人の言によれば「まったく先の見込みなどない」状態で、所得の面では安定極まりない会社を辞して作家となる道を選ぶのです。う~ん。この辺、文筆業に進みたいと思いながらも会社に恋々としがみついている私にとっては、わが身の度胸の無さを改めて思い知らされる条りです。

さらに、作家としての船出も決して順風満帆なものであったわけではなく、角川のホラー大賞を受賞するまでには数々の挫折があったようです。そうそう、最初から上手くいく人はそうそういるわけじゃないんです。ちょっとだけ安心しました。すでにホラー小説界で堂々たる「名跡」となっている貴志氏とまだ何も書いていない私とを比べることはそもそも不遜だ、というお話もありますがね…。気持ちが上がったり下がったり。こういう気分を味わわせてくれるだけでもこの一冊を読んだ価値があったと思います。

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by lemgmnsc-bara | 2017-07-29 05:21 | 読んだ本 | Comments(0)

トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 (中公新書)

山本 紀夫/中央公論新社

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久しぶりに読んだ「紙の本」。

著者山本氏は植物学の研究者から民俗学に転じたという経歴の持ち主。食品の歴史を研究し、その成果を本にまとめるためにいるようなお方ですね。というわけで、私の興味のど真ん中にもジャストミートしておりますので、いつかどこかのタイミングで衝動買いしていたのに違いありません。

よく知られているオハナシですが、トウガラシの原産地は南米です。それが欧州諸国の進出に伴い、商人の手によって持ち出され、高価であったコショウの代替品として広まり、中国やインド、韓国などを経て日本にまで伝わりました。ちなみにこれもよく知られていることですが、トウガラシは辛いものばかりではなく、ししとうやピーマンなどそのまま食べても大丈夫なものもあります。

トウガラシを多く使う料理として私が一番最初に思い浮かんだのはキムチですが、実はこのキムチが定着したのはせいぜいここ300年ほどの間だそうです。一説には、秀吉の時代の朝鮮遠征で日本兵が持ち込んだものが、韓国産トウガラシのルーツであるとのこと。意外なほどに歴史の浅い漬け物だったのですね。ちなみに韓国ではここのところ、キムチの消費量は減っているそうですし、若い年齢層には、自家製キムチをつくることを面倒くさがり、出来合いのモノで済ましてしまう人々も増えているそうです。日本でも嫁入り道具の一つにぬか床がラインナップされていた時代は遥か昔になってしまいましたが、韓国でも同じような自体が出来しているようですね。なお、現代の日本で一番生産量の多い漬け物はキムチだそうです。

中国も四川地方は辛い料理が有名ですが、ここでトウガラシが使われるようになったのは、韓国よりも100〜200年ほど後で、さらに歴史が浅い。18世紀にいたるまでトウガラシが出現する文献がないそうです。これがこの本を読んで一番意外に思ったことでしたね。

あとは、ハンガリーでパプリカとして独自の進化を遂げた一派に関する章が興味深かったですね。新婚旅行の際、オーストリアで夕食がフリーとなる日があったのですが、そこで当時のガイド氏に勧められたメニューの一つがグロールシュというスープの一種。これは和訳(でもないんですが…)するとハンガリー風スープと呼ばれるもので、パプリカをたっぷり効かせて牛肉を煮込んだものです。残念ながら、その時にいったレストランにはグロールシュはなかったのですが、このスープは欧州各国で、各言語で「ハンガリー風スープ」としてオンメニューされるほどポピュラーなものだそうです。パプリカは最近は日本でもちょっとしたスーパーに行けば手に入るようになりましたが、ハンガリーでは日本におけるミソみたいな存在のようです。

拡散の過程や年代についてはおぼろげなイメージを持っていただけでしたが、この一冊はかなり具体的に拡散ルートや各国の食文化との結びつきを解説してくれていました。なかなかためになるウンチク本だったような気がします。ついでに、トウガラシをたっぷり入れたうどんをすすりたくなりました。日本のように薬味としての使い方にほぼ限定されていたのは珍しい例だったようです。



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by lemgmnsc-bara | 2017-07-23 15:49 | 読んだ本 | Comments(0)

岳飛伝 七 懸軍の章 (集英社文庫)

北方謙三/集英社

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岳飛伝の7巻目。『大水滸伝シリーズ』全体としては終盤ですが、『岳飛伝』に限って言えばちょうど中間点あたり。今巻には戦闘シーンは全くなく、三つの勢力が来るべき「決戦」を見据えて、それぞれに力を蓄える姿が描かれます。

軍功多大だった岳飛を「処刑」(実際には岳飛は逃亡)した南宋は、宰相秦檜が中心となって、かつての宋の栄光を取り戻そうとしますが、内憂外患を地でいく状態。講和がなったとはいえ、いつその状態が破綻してもおかしくない金国、武力でいえば三勢力の中で随一の梁山泊軍が間接的なプレッシャーをかけている上、国内では岳飛亡き後最大の軍閥となった張俊軍の処遇が悩みのタネに。さらに皇帝の座を狙って、死に絶えたはずの青蓮寺勢力までもが暗躍し始めるのです。いやはや。フィクションとはいえ、某国の首相が同じような状況に放り込まれたら、病気を理由にさっさと逃げてしまいたくなるであろう状況です。

金国はリーダーである耶律大石の死期がいよいよ迫り、世代交代を迎えています。その中では梁山泊軍の一員であった、韓成の動きが気になります。前首領の楊令からの関係性を踏まえて連携する方向に向かうのか?それともあくまで単独で中原に覇を唱えようとするのか?これも三勢力の力関係が刻々と変化する展開の中では非常に読みにくい、それゆえハラハラさせられる状況です。

さて、我らが梁山泊軍はというと、「本社」である梁山泊の山塞にいる宣凱が組織としての機能を統制してはいますが、ますます「国」としてのカタチは拡散し、希薄化していっています。各人の心の中に「志」がある限り、どこでどんな形態であろうとも梁山泊という「国」はあり続ける…。現代における「国家」という枠組みすら超えているような概念です。

一方で秦容が南方の地で進めている農地の開拓が軌道に乗り始め、十万人の人間が住む街を作り上げるというプロジェクトが走り始めることとなります。甘藷糖を作るために、当時としては最新・最高の設備を作り上げ、そこに従事する人々がきちんと生活して行く施設と仕組みを作り上げる。物々交換が基本だったこの地の経済活動に通貨を導入する。生活用水の手配から下水の処理まで。元々が武の人であった秦容は、こうした活動も一つの戦いだと心得て、一つ一つの問題と向き合います。人々が安定した暮らしを営むための手段は、武力による統一だけではない、という主張がはっきりとわかる表現方法ですね。

主人公の岳飛は秦容が巨大な街を作ろうとしている地域に近い場所で、やはり新しい街を作って行こうとしています。軍の将であった姚明とともにたった二人でたどり着いた地でしたが、岳飛を慕う兵士たちがボチボチと集まりだし、今巻の終了時点では300人ほどの人員がいました。この仲間たちは新しい国作りを目指すのか?それともあくまでも軍としての復活を企図するのか?当事者同士は否定していますが、梁山泊への合流はあるのか?

あらゆる疑問と期待が提示された一冊でした。次巻の電子書籍化が待ち遠しい限りです。



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by lemgmnsc-bara | 2017-07-14 20:02 | 読んだ本 | Comments(0)

無私の日本人 (文春文庫)

磯田道史/文藝春秋

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映画『武士の家計簿』の原作者、磯田道史氏の中編集。三つの作品が収められています。この中の『穀田屋十三郎』という作品が映画『殿、利息でござる!』の原作となりました。

作品は他に『中根東里』、『大田垣蓮月』の二つ。三つの作品とも主人公の名前をそのまま題名にしています。名は体を表す、ではありませんが、各人の人生を見事に描ききっている三作は別の題名をつけようがないってな気がしますね。

さて、この三名が三名とも、歴史好きを辞任する方々でも「?」がついてしまう人物だと思います。それもそのはず、この方々、なにか素晴らしい業績を残した人物たちではなく、あくまでも市井の「無名な」人達です。ただし各々の生き方は非常に興味深い、ドラマチックなものでした。身分制度のあった江戸時代において、藩主にカネを貸し付けてその利息を毎年もらうことを実現させた穀田屋十三郎に、とにかく本を読むことを好み、儒学者として有り余る知識を持ちながら一切表舞台に立たなかった中根東里、幼少の頃から何をやらせても一流で、絶世のと称されるくらいの美貌を持ち合わせたスーパーレディながら、その生活は決して幸福ではなく、晩年に作った陶器が非常に優れた品質であったため、「蓮月焼き」としてわずかに名の残る大田垣蓮月。無名故に史料も乏しく、物語を紡ぎ出すには多大な労力を要したであろうことがうかがわれます。

主人公たちの生き方に共通するのは、自らの身を犠牲にして、その信じる道を突き進んだこと。そしてその信じる道を歩む道程において、その真心が周りの人々を動かし、大きなムーブメントを巻き起こしたこと。本人たちは決して裕福な生涯を送ったのではないことです。

作者があとがきで書いている通り、こうした人々の姿は、経済優先で「カネを持ってる奴が一番エラい」とする現実社会で息苦しさを感じている我々の心を一時の間、清々しくしてくれます。こうした無名の人々が持ち得ていた清浄な心持ちをいつ日本人は失ってしまったのでしょうか?経済の発展以上の損失は日本人からこうした美風が失われたことだと説く、作者の言葉はあまりにも重いですね。清々しくてやがて悲しき中編集。心がめげている人にオススメしたい一冊です。



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by lemgmnsc-bara | 2017-07-09 19:57 | 読んだ本 | Comments(0)

クレムリン秘密文書は語る 闇の日ソ関係史 (中公新書)

名越健郎/中央公論新社

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時事通信の特派員として世界を股にかけ、とりわけ旧ソ連の事情に精通した著者名越氏による、日ソ関係の歴史を解き明かした一冊。かなりきわどいことが書いてありました。

旧ソ連の末期、ゴルバチョフ政権下の時代にグラスノスチ(情報公開)という政策が採られ、分厚いベールに包まれていたソ連の歴史を語る文書が一斉に公開されました。日ソ関連の書類もその例外ではありません。第二次大戦の際に、事実婚の夫とともに日本からソ連に逃げて行った女優岡田嘉子氏のソ連での生活ぶりを記した文書から、日本共産党、日本社会党への資金援助の実態。そして安倍首相がプーチン大統領にいいようにあしらわれ、プーチン大統領のことをファーストネームである「ウラジミール」と呼んだことくらいしか話題にならなかった北方四島返還交渉の歴史に至るまで、日ソの間に横たわる虚々実々の駆け引きがかなり詳細に語られています。

日ソ両国間の歴史を語る際にどうしても避けて通れないのが、日ソ不可侵条約を一方的に破棄して北方四島を強奪したことと、日本人のシベリア抑留でしょう。ソ連は、敗戦目前の日本の弱体化に乗じて、念願の不凍港獲得のために北海道の北半分を獲得しようと画策していたらしいのですが、アメリカの強硬な反対によってその夢はかなわなかったそうです。そこで、せめてもの「補償」として大量の日本人を抑留して、厳しい条件下での開拓、開発に従事させたのだそうです。大国間のパワーゲームのとばっちりを受けて辛酸をなめた皆様は心から同情申し上げます。こういう方々の苦労を礎として今の日本の繁栄があるのだということを忘れてはいけないな、と改めて思わされる史実です。毒蝮三太夫師匠の姿を見習わなければなりません。くたばり損ない、とか言っちゃいけませんが(笑)。

あとは、やはり、日本共産党、日本社会党との関係が興味深かったですね。米を筆頭とする西側諸国の一翼として経済発展を遂げている日本に、なんとか左派思想のくさびを打ち込みたいソ連から、上記の両党への多額の資金援助があったということを始めて知りました。こうした左派勢力への資金援助は何も日本に限ったオハナシではなく、東欧諸国などの左派政党にもかなりの資金援助があったようです。自国内に兵器をため込むだけではなく、各国での左派勢力を支えるためにカネを使っていたというわけですね。自民党が選挙前に候補者たちに資金をばらまくようなもんでしょうか?結局いつの時代でもどこの国でもモノを言うのはオカネなんですねぇ。単純ながら重い真実を突きつけられてしまいました。

ソ連崩壊後のロシアは冷戦当時のような求心力を持ち得ていませんが、まだまだ世界の一つの極であるのは事実です。英国のEU離脱は親ロシア派の国々の力が強くなるのではないかと言われていますね。日本とロシアの間には北方領土の問題が依然として横たわっています。そしてこの問題があり続ける限りは鈴木宗男氏のような政治家も存在し続けるでしょう。まだまだ世に出ていない秘密文書はたくさんありそうですね。



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by lemgmnsc-bara | 2017-07-01 08:08 | 読んだ本 | Comments(0)

エロティック日本史 古代から昭和まで、ふしだらな35話 (幻冬舎新書)

下川 耿史/幻冬舎

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日本史の薀蓄本。神話の時代から近代にいたるまで、日本人の行動に「性」、というよりこの本の論調からすると「エロ」の要素がどれだけ関わってきたのかを、さまざまな文献や史実を基に記しています。

日本の歴史はイザナギとイザナミがそれぞれの「なり余れるところ」と「なり足りぬところ」をあわせることにより始まったとされています。そして、そのあわせる作業の仕方がわからなかったので、セキレイの行為を真似ることでなんとか国産みに至ったというのが最初のエロ要素。ずいぶんと牧歌的だったんですねぇ。

しかし、一旦国ができ、人間が集団で生活し始めると、一気にエロ要素が強くなっていきます。明治の初めくらいまでは、公衆浴場はほぼすべて混浴だったそうですし、盆踊りは、祭りの夜の乱交パーティーの名残です。これも明治の初期に、警察が取り締まるようになるまでは、実際に乱交が行われていたようですね。その他、東北の田舎のほうでは男性が童貞を捨てるのは、人妻に夜這いをかけていたすことが一般的だったり、ちょっと財力に余裕のある人物が妾を置くなどの行為もつい最近まで(後者については現在でも)「常識」だったそうです。おおらかなのか不道徳なのか?私個人としてはポジティブに捉えたいと思います。社会全体にこういうあいまいさを認める空気があったほうが、人々の心にも余裕があったような気がしますね。

現在では、かなり自主規制がすすんで、テレビなどでは、映画などの「出来上がった作品」を別にすると成人女性の乳頭は隠されます。男性の裸の尻や女児の下着などもイラストやモザイクなどで隠されることが多いですね。一方で、ネットにはそのものズバリの画像が出まくっています。結局、どんなになかったことにしようとしても、人間の根本にはエロ要素を求める欲望というか本能が厳然として存在しており、それが実際の行動に反映され、社会的に大きなムーブメントを起こしたります。

息子の嫁に手を出して、その結果生まれた子供(もちろん「戸籍上」は孫ですが…)を天皇にするために息子を退位させてしまう上皇。巨根を武器に時の女性天皇に取り入って、自分が天皇になろうとした道鏡。男性の急激な増加に対応するだけの女性がいなかったため、男色が当然のこととされた江戸初期。直近で言えば、パソコンの普及にもエロ動画や画像を見たいという欲求が大きく作用していたってのは事実ですね。

身分の貴賤や時代を問わず、エロ要素は人間の行動の大きな原動力となります。さて、今後エロ要素はどのような発展を見せ、それが人間の行動にどのような影響を及ぼし、社会的にはどんなムーブメントになるのか?現状を見る限りでは、欲望の対象が二次元の世界に向かった結果、人間関係の構築を苦手とする若者を数多く生み出すという現象を巻き起こしているようですね。これが少子高齢化を促進し、日本の国力が衰退していく、というのが漠然としたムーブメントのようです。いやはや。



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by lemgmnsc-bara | 2017-06-18 17:45 | 読んだ本 | Comments(0)

がっちりマンデー!! 知られざる40社の儲けの秘密

がっちりマンデー!!制作委員会(編集)/KADOKAWA

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TBS系日曜朝7時半から放送している『がっちりマンデー!!』のより抜き版。

私はこの番組結構好きで、用事がなければ大抵観ています。自分が奉職しているのとは違う業界の動向を知ることが興味深くもあり、また同業者のオハナシに関しては「あ、自分の所属している業界は世間からはこんなふうに観られているのか…」という客観性をも得ることが出来るからです。新興の企業もあれば、老舗の企業もあり、それぞれの儲けの仕組みは実に面白い。

儲かりの根本は、現実を冷静に見つめて、そのスキマを探し出して、いかにそこに特化していくのかということに尽きます。これは古今東西を問いません。一見、強固なシステムが出来上がっているようでも、日々変化する社会状況の下では、どうしてもそのシステムではカバー出来ない部分、すなわちスキマが生まれてきます。そこに、いかに気づき、そのスキマを埋めるための策を考え、実行するか?中でもポイントとなるのはいかに「実行するか」でしょう。

現実を見渡せば、何かしらのほころびは必ず見つかるはずですが、それを実際の経済活動に結びつけるまでには非常に高いハードルが待っています。

例えば、冒頭に紹介されている「ビィフォワード」という会社の設立は、社長がネットオークションに出品した国産の中古車をアフリカの人が買い上げたことがきっかけでした。そこから日本人が丁寧に乗った中古車は、日本では買いたたかれて大した利を生まないが、自動車産業が発達していない上に、自動車というモノへのニーズの高いアフリカならば大きな商売になると見抜き、そして現在では400億円を超える年商をほこる企業にまで育て上げたのです。

このオハナシは、盆の送りの際に、霊の乗り物に擬せられて川に流されたキュウリやナスを下流で集めて漬け物にして大儲けし、そこから大商人にのし上がった人物の逸話を彷彿とさせます。

普通の人が、気づいてはいるものの、手を出さないところに手を出し、工夫して利に変えていく…。う〜ん、その気で見渡せば世の中にはまだまだオイシイ部分は残っているのかもしれませんね。もっともそれを見いだすには、それなりの才覚が必要でしょうし、そこに向けて原資を集中する覚悟も必要です。残念ながら私には才覚も覚悟もないようです…。



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by lemgmnsc-bara | 2017-06-12 05:59 | 読んだ本 | Comments(0)

岳飛伝 六 転遠の章 (集英社文庫)

北方謙三/集英社

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岳飛伝の6巻目。

今巻では、「正統派」の岳飛伝での最大の敵役秦檜が、そのストーリー通りの憎まれ役として岳飛の前に立ちはだかります。秦檜は、岳飛を南宋軍の最高司令官として迎えるとともに、岳家軍を正式な軍隊として南宋に取り込もうとするのですが、岳飛はあくまでも軍閥として独立して活動することを望みます。最高権力者たる秦檜の命令に従わない岳飛は、南宋に対しての忠誠を秘めながら、従容として刑場の露と消える、というのが正統派のストーリー。

しかし、北方版は正統派通りにストーリー展開などしません。こんなところで主人公が死んでしまっては元も子もないってのもありますが、北方氏の大胆な翻案を楽しむのがこの大水滸伝の醍醐味。岳飛は表向き処刑されたこととされますが、実際は目立たぬように都から追放されます。秦檜は約束どおり岳飛を解放しましたが、その部下は後顧の憂いを断つために、暗殺団を送り込みます。ここで岳飛を救ったのは梁山泊の致死軍。久しぶりにこの集団が、暗躍でなく活躍する姿が描かれ、燕青も登場します。世間的には「亡くなった人物」となった岳飛はどこに向かうのか?梁山泊への合流となるのか?仮に合流となれば知も武も兼ね備えた、頭領にふさわしい存在になるとは思いますが、そうそうすんなりとは行きそうにないのもこの物語の特色です。

金国は兀述が岳飛との戦いを終え、世代交代を画策します。こちらの動きからも目を離せません。中原に覇を唱えることが悲願のこの国が南宋とどう対峙して、そしてそれは梁山泊軍にどのような影響をもたらすのか?今のところは、楊令とのつながりや物流により金と梁山泊は協力体制にありますが、世代交代後の金がどのような道を選択するのかについては、暗示すらもされていない状態です。

さて、我らが梁山泊は二強の直接対決を横目に、着々と力を蓄えている最中です。南越に甘藷糖の生産基地を建設した秦容が、その基地が大きくなるにつれて生じる「生活の諸問題」をいかに解決していくのか、を描きながら、狩猟採集から栽培定住の生活への転換、国というものの根本的な成り立ちとはどういうものかをも描いています。

以前、一時期ハマった水滸伝のシュミレーションゲームでも、実際の戦闘よりは、戦闘を開始する前の国力の充実(武器や食料の生産拠点の建設と発展)の方が楽しくなって、戦闘そのものはソフト任せにしていた(武器やら何やらを最大限に持たせておけば勝手に勝ってくれた)私にとっては非常に興味深い視点の転換です。もとより、梁山泊の志とは民が安心して暮らせる国とはどんなものかという問いに対しての答えを求めるものであったはず。で、南越の地に、一つの理想郷とでもいうべき村が出来上がるのです。戦いだけに生きてきた秦容が「文官」に転じるのも、武力革命を成し遂げた後の指導者の姿の一つの理想形だと思いますね。

シメの言葉はいつもと同じ。次巻の発売が待ち遠しい…。

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by lemgmnsc-bara | 2017-06-07 05:20 | 読んだ本 | Comments(0)