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『殿、利息でござる!』鑑賞

殿、利息でござる! [Blu-ray]

阿部サダヲ,瑛太,妻夫木聡,竹内結子,寺脇康文/松竹

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実話を基にした時代劇。タイトルからして、困窮した藩の財政をあずかる家臣がその立て直しを図る物語かと勝手に想像していましたが、さにあらず。

舞台は江戸中期の仙台藩領内の宿場町吉岡。宮城県在住5年余におよんだ私も恥ずかしながら初めて聞く地名でした。物語は茶商の菅原屋が京からその令室とともに帰郷するところから始まります。遠くから駆け寄ってくるのは吉岡宿の肝煎、遠藤。てっきり自分を歓迎してくれると思った菅原屋ですが、遠藤は令室が乗っていた馬を無理矢理に借り受けると、また走り去ってしまいます。前の宿場から物資の引き継ぎを受け、それを次の宿場に運ぶ伝馬役に使用する馬が足りなかったためでした。

このエピソードから、当時の吉岡宿を取り巻く苦難の状況がすべて語られる、というなかなか上手い導入部分でした。この時点ですでに吉岡宿は死にかけていたのです。

菅原屋は茶の栽培に腐心しながらも、宿場町の行く末に不安を覚えていました。そんな時に宿の居酒屋で、死を賭して上訴しようとしていた、造り酒屋穀田屋十三郎とたまたまあってしまいます。宿の行く末を考えると、酔ってなどいる場合ではないが、飲まずにはおれぬ、という不安な穀田屋の様子を阿部サダヲが上手く演じていました。酒席での気安さからか菅原屋は、藩主にカネを貸して、その利息分として伝馬役の費用負担を願い出る、という当時としては破天荒な策をあくまでもヨタ話として展開します。

ところが、このヨタ話を穀田屋が真に受けて、その実現のために走り出します。慌てた菅原屋は穀田屋を止めようと肝煎に相談しますが、肝煎も宿の行く末に気を揉んでおり双手を上げて大賛成。それでは、と大肝煎に話を持っていくと、こちらもこの話に感動して乗ってきます。ホンのちょっとした思いつきが様々な人を巻き込んで、思いつきの当人の意向とは全くズレて大きく大きく「成長」していく…。なかなか凝ったストーリー展開ですね。

プロジェクトの推進役こそ決まったものの、肝心のオカネのアテはないまま。言い出しっぺの菅原屋を始めとする「金貸し委員会」は私有財産を整理して何とかオカネを作り出しますが、彼らだけでは全然足りない。そこで、何とか仲間を増やそうと奮闘する姿がメインストーリーとなります。これだけなら、単なるコミカルな映画で終わってしまうのですが、最後には大きな人情話が待っています。この作品の原作である『無私の日本人』に感動した人が、制作の一翼を担った東日本放送勤務の娘にこの本を紹介し、そこから様々なエラい方々に感動の連鎖を呼んで、制作されたのがこの映画であるというエピソードがウィキペディアに出ていましたが、読む人読む人に感動を与えたであろう部分はこの人情話の部分であろうと思われます。とにかくいいオハナシなんです。

ストーリーとは無関係に、藩の財政の最高責任者を演じた松田龍平のマゲヅラの似合わなさが特筆もの。彼に関しては少々声が高いところもマイナスポイントかな?まあ、父親のイメージに引っ張られ過ぎてるってオハナシもありますがね…。その他仙台を舞台にしているということで地元の英雄羽生弓弦氏が最後に藩主役で登場したのも公開当初は話題となりましたね。なかなかの佳作だったと思います。



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by lemgmnsc-bara | 2017-05-07 08:17 | エンターテインメント | Comments(0)

『ブラックファイル 野心の代償』鑑賞

ブラック・ファイル 野心の代償 [Blu-ray]

ジョシュ・デュアメル,アンソニー・ホプキンス,アル・パチーノ,イ・ビョンホン,アリス・イヴ/松竹

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主役のジョシュ・デュアメルについては全く知らないまま、アンソニー・ホプキンスとアル・パチーノが出ているということだけで借りて来てしまったのが標題の作。クライムサスペンスだということも、観始めてから始めて知ったという、予備知識の全くないままの衝動借りでした。

物語は、アンソニー・ホプキンス演じるデニングの周りの状況説明から始まります。デニングは大きな製薬会社のCEOで、データのねつ造により死亡者がでてしまうほどの害のある薬を売り出しており、その訴訟問題に頭を痛めています。そんな彼の支えとなっているのは愛人のエミリー。そのエミリーが誘拐され誘拐犯からは身代金の要求が。犯人の指定場所である画廊に赴いたデニングは、接触を図って来た男を殴り倒してしまう…。

ここまでのシーンの後、時系列的には少々戻り、主人公ベン(ジョシュ・デュアメル)の状態を説明する描写に入ります。彼は看護師の妻を持つ弁護士で、その妻とは流産が原因でしっくり行っていない。相変わらず、ハリウッドはかならず家庭環境に問題のある主人公を出しますね。問題のある家庭環境が「普通」のこととなってしまっている社会環境に薄ら寒さを覚えてしまいますが、ストーリーの主題から外れるので、ここは一瞬の感想に止めておきます。そんなベンのSNSに、ある日、元カノからの友人申請が…。その元カノこそエミリー。エミリーは権力ずくで自身を愛人としたデニングには反発を覚えており、新薬のデータねつ造の事実を証明するデータの提供を申し出た上、妖艶な誘いもかけてきます。

ベンはまず妖艶な誘いにぐらつきますが、なんとか最後の一線までは越えませんでした。しかし、名誉欲や出世欲などには駆られてしまい、エミリーからデータの提供を受けることとなります。ベンの所属する弁護士事務所は敏腕弁護士として名高いチャールズ(アル・パチーノ)の経営するもの。ベンはチャールズに出所は少々ヤバいものの、信憑性の高いデータであることを納得させた上で、デニングとの対決に臨もうとするのですが…。

データを貰おうとエミリーの部屋を訪れたベンは、エミリーが遺体となっているのを発見します。ここから、時系列的にも行ったり来たりだし、人間関係を混乱させる人物も登場して来るしで、ストーリーはかなりカオスな状態となります。ですが、最終的には納得の結末に。どんでん返しが二回あるとだけ記しておきましょう。どのようなどんでん返しかは是非とも本作を鑑賞いただきたいと思います。

アンソニー・ホプキンスに若い女性が絡むと、ついついいきなり噛み付いてしまうのではないか?と考えちゃいますね。良きにつけ、悪しきにつけ、ハンニバル・レクター博士の役が強烈であることの証左です。アル・パチーノを観たのは非常に久しぶり。この作品は2016年に公開されたのですが、ずいぶんと老けた印象です。なによりも井上順そっくり。♫おっせっわにぃなりました〜、って歌い出しちゃうんじゃないかというくらいに似てました。そこで本当に歌ってくれたら大笑いをひっくり返しますが、それだと『新春隠し芸大会』のパロディードラマになっちゃうしなぁ…。

ストーリーはなかなかよく練られていましたが、仕上がり的には微妙な作品でした。



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by lemgmnsc-bara | 2017-05-07 06:43 | エンターテインメント | Comments(0)

『ア・ホーマンス』鑑賞

ア・ホーマンス [DVD]

松田優作,石橋凌,手塚理美,ポール牧,阿木燿子/TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

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故松田優作氏の初監督作品。新宿を舞台に、ヤクザ同士の抗争とそこに関わる謎の男の姿を描いています。

松田優作演じるのは、主人公「風(ふう)」。彼は記憶をなくしているという設定で、バイクに乗って新宿にやって来て、浮浪者のたまり場近くに住みつきます。独特の威圧感を持つ彼の周りには、その威を借りようとする浮浪者たちが恐々近寄ってきますが、彼はまったく相手にしません。やがて、新宿を拠点とする大島組のヤクザ山崎にその威圧感を見込まれ、組の経営するデートクラブのボーイとしての職を得ることとなります。

そんな折、大島組の組長が、対立する旭会のヒットマンに襲撃され死亡するという事件が起きます。この辺は、映画公開当時世間を賑わしていた、巨大暴力団同士の扮装を彷彿とさせます。また、当時の新宿は、そんな血なまぐさい事件が勃発してもおかしくないような危うさが漂ってもいました。親分さんたちが派手にカネをばら撒いて遊んでたりもしましたね。特に夜の歌舞伎町は賑わいとともに、その裏の闇の濃さを濃厚に感じさせてくれる場でもありました。その辺の雰囲気はよく出ていたように思います。

親を殺されたら、そのカタキは自分の命に代えても討たなきゃならないのがヤクザの世界。しかし、大島組の「後継者」藤井(故ポール牧師匠が、コミカルな中にも残虐さと冷徹さを併せ持つインテリヤクザを怪演しています!)は相手のトップではなくナンバー2の副会長への報復を指示。どうやら藤井は裏で旭会とつるんで表向きは共存共栄を目指す方針のようです。この藤井の方針に納得いかないのが山崎。彼は単身で旭会会長の命を狙います。そしてそこに風は助太刀として参戦するのですが…。というところで久しぶりの逃げ口上。この先は本編をご覧ください。

全体に、不思議な緊張感の漂う作品でした。今にも大爆発しそうな予感があるのに、決して爆発しない。俗に言う「嵐の前の静けさ」ってやつがずーっと続きます。それこそ本当に最後まで。結局観る側の期待も予測もすべて裏切る結末が待ち受けているんですが、一言で言えば拍子抜け。あれだけ引っ張った緊張感はナンだったんだ?という感想を持つしかない結末です。アクターとしての松田優作に求められていた「雰囲気」はたっぷり味わえたものの、作品としては欲求不満の残る不思議な一作でした。

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by lemgmnsc-bara | 2017-04-07 20:19 | エンターテインメント | Comments(0)

『ソフィー・マルソーのSEX,LOVE&セラピー』鑑賞

ソフィー・マルソーのSEX■LOVE&セラピー [DVD]

ソフィー・マルソー,パトリック・ブリュエル,アンドレイ・ウィルム,ジャン=ピエール・マリエール,マリー・リヴィエール/インターフィルム

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ソフィー・マルソーが超肉食の美魔女を演じた一作。

ソフィー・マルソーといえば、アラフィフ世代にとってはなんといっても『ラ・ブーム』でしょう。思春期を迎え、恋心に目覚めていく可憐な少女を演じた同作を観て、美少女ソフィーに惹かれた男子は少なくなかったはずです。公開当時男子校の高校生だった私も、美少女ソフィーに魅せられた一人でした。

それから数年後、彼女は見事なセクシー美女に変身します。豊満な肉体を披露したヌード写真を発表してみたり、ボンドガールになってジェームズ・ボンドと濡れ場を演じたりする大人の女性としてのソフィーを観て、引いてしまったロリコン男性もいると思います。私自身は成長した姿を好ましく(もちろん相当なエロ目線は入っています 苦笑)観てましたけどね。

さて、そんな彼女も当年とって50歳。顔のアチコチにあるしわは年輪を感じさせますが、プロポーションはボンドガール当時そのまま。まさに昨今流行の「美魔女」の条件にぴったりと合致する姿でスクリーンを駆け回ります。

彼女が今作で演じるのはセックスのことばかり考えているという美魔女。海外各地を股にかけ取引先の男性担当者をその美貌と肉体的な魅力で籠絡する敏腕営業職というキャラクターが付与されています。彼女が日本人らしき得意先と一戦交える倉庫にはなぜかニッカのウイスキーがずらりと並んでいます。後半部分でもニッカは印象的な部分で登場します。ニッカはフランスで人気があるんでしょうかね?

閑話休題。

彼女の「性癖」を快く思わない上層部からクビを言い渡された彼女は、ひょんなことからカップルセラピーのクリニックに潜り込みセラピストとしての職を得ることとなります。カップルセラピーとは男女のセラピストがコンビを組んで夫婦(または事実上の夫婦といってよい二人)の間の問題を解決するというものです。日本ではお目にかかったことはありませんが、彼の地ではポピュラーなものなのでしょうかね?いずれにせよさまざまな悩みを抱えたカップルがこのクリニックを訪れ、セラピストの経験などないはずの彼女からトンチンカンな回答を得て混乱に拍車がかかってしまったり、逆にうまく問題が解決する姿がコミカルに描かれます。フロイトじゃあるまいし、何でもかんでも性衝動に結びつけりゃいいってもんじゃない気もしますが、まあそういう設定を楽しむしかありません。

そして彼女は相棒の男性セラピストと恋に落ち、自分自身が様々なトラブルに直面する、というのが大まかなストーリー。フランスの作品らしく、色々なところに、細かく、かつ「高度」なくすぐりが入っていたのだとは思いますが、彼の地の文化には明るくない私にとってはイマイチ笑えないシーンが続きました。

昨今は日本の女性もずいぶん大胆に自由に行動するようになったとは思いますが、まだフランスの、それこそ本能のおもむくままに快楽を求めるという奔放さは一般化していませんね。少々誇張されているとはいえ、女だって普通に性欲があり、男をとっかえひっかえすることだってあるさ、という主張は日本の文化と照らし合わせたギャップとしてココロにひっかかりました。文化の差の前に、日本の普通の女性の場合は、この作品のソフィーのような美しさを保ったまま美魔女になれる人の絶対数が少ないってのもあるのかもしれませんがね。

俗に天才子役は大成しないなどといいますが、ソフィーに関して言えば、大スターとまでは言えないにせよ確かな演技力を身につけて立派に一本立ちしてるな、という印象を受けました。ソフィーみたいな女性が目の前に現れたら…、気後れしてナンパなんて思いもよらないでしょうね(苦笑)。

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by lemgmnsc-bara | 2017-02-23 10:56 | エンターテインメント | Comments(0)

『ファーゴ』鑑賞

ファーゴ [Blu-ray]

フランシス・マクドーマンド,スティーヴ・ブシェーミ,ウィリアム・H・メイシー,ピーター・ストーメア,ジョン・キャロル・リンチ/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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ハリウッド屈指のヒットメーカー、コーエン兄弟によるクライムサスペンス。毎年この時期になるとレンタルDVD屋の店頭に出現する「アカデミー賞受賞作品」コーナーに並んでいたやつを衝動借り。

最初に登場するのはいかにも頼りなさそうな男ジェリーと、いかにもヤバそうな雰囲気を醸し出している2人組の男、カールとゲア。ジェリーがカールとゲアに持ちかけるのは自分の妻の狂言誘拐。資産家である義父から高額の身代金をせしめようという目論みです。どうやらジェリーはカネに困っているようです。

カールとゲアは誘拐に成功しますが、逃亡に使った車両にナンバープレートがついていないことを警官に見とがめられ、その警官をゲアが射殺してしまってから、ストーリーが、ジェリーを含む犯人一味にとっては悪い方向悪い方向に展開していきます。いわゆる「ドツボにはまる」というシチュエーションがどんどん進行していくのです。

まずは、警官射殺現場を偶然車で通りかかったカップルを二人とも殺害。罪がどんどん重なります。依頼したジェリーはジェリーで、警察に通報しようとする義父を説得し、身代金を引っ張り出すのに散々苦労させられます。おまけに、当初の要求金額から大幅に増額した身代金をジェリーではなく義父自らが犯人の元に運ぶと言い出し、強引に犯人との受け渡し場所に行ってしまいます。途中で身代金の大半をネコババしようとしていたジェリーにとっては実入りが何もないのに焦りと罪悪感だけが募る結果となります。

で、カネの受け渡し場所に行った義父は、受け取りに来たカールと銃撃戦の上、射殺されてしまいます。さらにはカネと車の取り分の争いから、カールもゲアに殺されてしまいます。いやはや。ちょっとした手違いや一瞬のイラつきによってもたらされたホンのちょっとしたズレがやがて大きな歪みとなって、登場人物たちに襲いかかる、という展開はなかなか上手く考えられていたと思います。悪いことを企んだやつには結局利益はもたらされず、代償としての罪だけはしっかり背負わされる、という結末も悪くありませんでした。

一つだけ消化不良だったのは、身代金の最終的な行方。支払われた金が要求額より大幅に多いことに気づいたカールは、当初通りの分け前だけ持って、残りはとりあえず雪の下に隠してゲアのいる隠れ家に帰るのですが、そこで前述した通り諍いが起こり、殺されてしまいます。カネの隠し場所を知る人物はストーリー展開からはカールしか考えられません。結局このカネは一体どうしたんだろう?そこだけ少々尻切れトンボ感は否めませんが、全体としてはなかなかの佳作だったように思います。



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by lemgmnsc-bara | 2017-02-14 18:59 | エンターテインメント | Comments(0)

『Eight Days a Week』鑑賞

ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK -The Touring Years DVD スタンダード・エディション

ポール・マッカートニー,リンゴ・スター,ジョージ・ハリスン,ジョン・レノン/KADOKAWA / 角川書店

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1962〜66年頃のビートルズの姿を、現存する映像から描き出したドキュメンタリー映画。当時のライブの映像から、後年になってからのメンバーや関係者へのインタビュー映像なども交え、彼らの「本気」にかなり近いところまでアプローチすることに成功しています。

静かなものから激しいものまでバラエティーに富んだメロディーにのせ、シンプルながら意味の深い歌詞が曲となって流れる。そして彼らの演奏する姿を観に、今までの音楽のコンサートでは考えられないほどの膨大な数の人々が会場に文字通り押し寄せる。熱狂、熱狂、また熱狂。警備の人数を増やしても、警官隊の出動を要請しても、ほとんど何の効果もない。このムーヴメントの解消のために、ひとまずは「ハコ」を大きくする方向に向かうこととなります。すなわち、普通のコンサートホールではなく、野球場などの「スタジアム」を会場とするのです。

今でこそ、ポッと出のアイドルとかいう連中までが当たり前のように行う「ドームツアー」なんてな催しを初めて「行わざるを得なかった」のがビートルズだったのですね。ネット配信などはもちろんなく、レコードですら普及の途上だった当時における彼らの人気は空前絶後、今の言葉で言えばレジェンドとでも言いましょうか。音楽の教科書にまでその名前が載ってしまうというのがよくわかる光景が次々と映し出されます。

そしてこの作品はやがて訪れるであろう、解散の日をにおわすようなカタチで終わっています。それこそ1週間に8日も働き詰めに働く、という日々がデビュー以来続いていた彼らは次第にマスコミの前でも不機嫌さを隠さなくなります。一部のメディアとは険悪な雰囲気になっていたし、デビュー当時の勢いからすればやや勢いに欠ける(とはいえ、それでもすべての作品が「ヒット」したと言える状態なのですがね…)セールスも、メンバー個々の音楽性の違いってやつも影響していたんでしょうね。メンバー間の亀裂を決定的なものにしたと言われている、ジョンのオノ・ヨーコへの過剰なまでの肩入れに関してのタネもこの時期に蒔かれていたのかもしれません。

ビートルズが音楽を、そして社会をどのように変えたのかが具体的に描かれていた、なかなか興味深い作品だったと思います。



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by lemgmnsc-bara | 2017-02-12 18:37 | エンターテインメント | Comments(0)

『5th Wave』鑑賞

フィフス・ウェイブ(初回生産限定) [Blu-ray]

クロエ・グレース・モレッツ,ニック・ロビンソン,ロン・リヴィングストン,マギー・シフ,アレックス・ロー/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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クロエ・グレース・モレッツが主演しているというだけで借りて来てしまった一作。

彼女の今作の役割は女子高生キャシー。ある日キャシーの住む町の真上にいきなり巨大な円盤のようなものが出現します。どうやらこれは異星人(作中の呼び名はアザース。以下アザース)の乗り物兼前線基地だったらしく、このアザースたちからは不気味な10日間の沈黙の後、第一の波(攻撃)が送られてきます。

これは電磁波による攻撃で、エネルギーの統制を司るコンピューターから、人々が持つスマホにいたるまで、すべての電子機器が使えなくなります。次に襲ってくるのが内陸部では大洪水、沿岸部では大津波。この第一次、二次の攻撃はちょっと穿った見方をすれば大地震の光景を模したものかもしれません。ライフラインと通信手段を失った後の人々に襲いかかる大量の水…、特に東日本ではリアルな恐怖を感じる人もいるのではないでしょうか?

お次ぎは伝染病。キャシーの母は看護師で人々の治療にあたるうちに感染して死亡。しかし中にはこの病原菌に打ち勝つ人々もいます。しかし打ち勝ったとは言ってもアザースに脳を乗っ取られて別人格(アザースのために人類を殺戮する方向で活動します)になってしまう人物もいれば、全く影響を受けない人物たちもいます。ここで起こるのが人間同士の同士討ちと疑心暗鬼。このあたりは「人間が本当に頼れるのは人間だが、同時に一番の敵となるのも人間だ」という私にとっては『デビルマン』の原作コミックを読んで以来のパラドクスが示されていたように思います。ここまでの攻撃で第4波。で、五つ目は何?と思っているうちにエンドロールになっちゃいました。何じゃこりゃ?

ストーリーそのものはさほど悪いとは思いませんでしたが、あまりにもリアリティーがなさ過ぎて、普通に観ているのが困難でした。詳しい筋立ては観ていただくしかありませんが、最終的に、人類を救いうるのは子供である、というメッセージを表すために、大人ですらかなわないアザース相手に子供が戦おうとする、という設定がそもそも理解不能。文字通りの子供騙しです。キャシーだって、不意打ちだったとはいえ、訓練を摘んだ女性兵士と戦って絞め殺してしまったりもします。いくらなんでもあり得ねーだろ。もしこれが実情だとしたら、アメリカ軍に守ってもらってるって安心すら出来ねーじゃねーか!

まあ、作品としての室はさておいて。クロエ・グレース・モレッツだけはたっぷりと鑑賞することはできましたので、それだけが救いでした。彼女のファン以外にはあまり観る価値のない作品であるように思います。



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by lemgmnsc-bara | 2017-02-07 19:00 | エンターテインメント | Comments(0)

『アタック・ナンバーハーフ』鑑賞

アタック・ナンバーハーフ〈デラックス版〉 [DVD]

チャイチャーン・ニムブーンサワット/クロックワークス

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タイに実在したオネエたちのバレーボールチームを描いたタイ映画。公開当初、ちょっと気にはなっていたのですが、そのうちビデオ(2000年の制作ですので当時はまだDVDは普及していませんでした)化されるだろうと、思っているうちにいつの間にか、記憶の彼方に消え去ってしまっていた作品です。先日近所のレンタルDVD屋に行ったらたまたまピックアップコーナーにあったので即借り。原題『サトリー・レック』はこの実在のチーム名でタイ語で「鋼鉄の淑女」という意味になるそうです。邦題はあきらかに、女子版のスポ根マンガの草分け『アタックナンバーワン』のもじりです。当時こうした人々のことはニューハーフとかMr.レディーなんて言い方をしていましたから、タイトルはタイムリーなものではあったようですね。

私の大学の卒業旅行はタイでした。バンコクのとある日系デパートに土産物を買いに行き、そこでトイレに入ったらオネーサンが二人、かなり念入りに化粧していました。あれ、男女を間違えたかな?と慌てて外に出て改めて確認したら私はきちんと男性用の方に入っていたのでした。つまり彼女?らはオネエ(最近はこういう言い方をしますね)だったのです。まぎらわしいわ!!まったく。

タイという国は、歴史的にLGBTの方々には比較的寛容な国のようです。国教である仏教は同性愛を罪悪視していませんし、国民の敬愛を一身に浴びていた前国王もゲイだったのではないか、などとも言われています。公立の学校には男女のトイレの他に同性愛者専用のトイレがあるそうですし、性転換手術の最先端の地は彼の国です。日本の有名なオネエさんがたもずいぶんお世話になっていると聞きますね。

こうした文化的背景を持つ国ではありますが、やはりLGBTの人々というのはマイノリティーです。作品中でも、観客からブーイングを受けたり、対戦予定のチームに試合を拒否されたりするというエピソードが描かれます。チームのメンバーの一人は母親から同性愛者であることを手ひどく非難され、親子の縁を切られてしまいます。全体的にコミカルな描き方をされてはいますが、描かれている差別に関してはかなり生々しいです。自分の性に関して違和感を感じているというだけの理由で社会から拒絶されてしまうという悲しみは、差別されたことのない者にとっては想像しがたいことです。ステレオタイプな表現方法ながら、その悲しみと、それにめげないでバレーボールに打ち込む彼(女?)たちの姿は上手く表現されていたように思います。まあ、ストーリー的には「勝利がすべてを癒す」というスポ根モノの王道なのですがね。

ちなみに、このチームの監督は女性で、かつレズビアンです。こういうところにも細かなくすぐりは入っています。

ちょっとググって調べてみたのですが、演じた役者たちの素のセクシュアリティーに関して詳しく解説したモノはありませんでした。もし、素のセクシュアリティーがヘテロであるなら、なかなか真に迫った演技であったとは思います。

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by lemgmnsc-bara | 2017-01-08 06:35 | エンターテインメント | Comments(0)

『スーサイド・スクワッド』鑑賞

スーサイド・スクワッド ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]

ウィル・スミス,マーゴット・ロビー,ジャレッド・レト,ジョエル・キナマン,ジェイ・コートニー/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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アメコミ原作の映画化。この作品の版元はDCコミックスで、『バットマン』や『スーパーマン』の世界観がミックスされて作品の設定に影響しています。バットマンの敵役ジョーカーが重要な役所をしめる脇役として登場したり、主人公フロイド(ウィル・スミス)の回想シーンでゴッサムシティーが出て来たり。

まあ、一言で言ってしまえば、『XーMEN』シリーズのDCコミックス版です。特殊技能や超能力を備えた人間が集まって、より強大で凶悪な存在と戦う、ってのが大まかなというかストーリー説明のすべてです。『XーMEN』シリーズとの大きな違いは集められるメンバーがすべて犯罪者であるということ。普通の人間の倫理観とはかなり乖離したキャラクターの持ち主たちが、政府のお役人に爆弾を首に仕込まれて、いやいや敵に立ち向かうという筋立てです。ちなみに犯罪者たちを集めて、超常的な特殊部隊を作ったのは「スーパーマンが死んだため」という理由です。

この作品は日本で公開されたのが2016年の9月10日からだったので、ヒロインであるハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)のコスプレがハロウィーンのばか騒ぎの際に少々流行ったようですが、精々その程度の話題にしかならない作品だったように思います。ハーレイ・クインというキャラクターはなかなかぶっ飛んでましたし、個人的には好感の持てる存在でしたが、なにせストーリーが貧弱すぎてオハナシになりません。

最後の最後に少々どんでん返しじみた展開があり、続編の可能性が示唆されていますが、仮に作られてもビデオ化されてから、それも新作落ちしてからの鑑賞で充分だと思います。



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by lemgmnsc-bara | 2017-01-04 16:08 | エンターテインメント | Comments(0)

『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』鑑賞

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ [DVD]

マイケル・ムーア/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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「マイケル・ムーア監督じゃねーよ!!」という近藤春菜のお約束ツッコミでおなじみのマイケル・ムーア氏の今のところの最新作。出演しているのはほぼ監督ご本人だけで、あとはズブの素人のみが登場するドキュメンタリーです。

監督は欧州各国を巡って、アメリカとは大違いの政策を見つけ出し、その関係者へのインタビューを試み、最後はインタビューした場所へ星条旗を押し立てて「侵略」の証とします。ひたすらこの繰り返しですが、それぞれの国で取り上げられるトピックスがいちいち興味深い。

まずはイタリア。この国の労働者は毎年二ヶ月以上の有給休暇が貰えます。このことはアメリカよりむしろ日本に響くオハナシではないでしょうか?毎日毎日朝早くから夜遅くまでオフィスに縛り付けられて、土日の休みもろくろく取れない。労働は善で、休みは悪というのが日本人の基本的な心象。つい最近電通の若手女性社員の過労自殺が大きな話題となりましたが、あれはホンの一例に過ぎず、似たような状況下で心身をむしばまれていく人々は数多いると思います。しっかりと休みを取って人生を楽しみつつ、やる時にはやるイタリア人と、ちょっと長く休むと罪悪感に苛まれる日本人。さて、あなたならどちらの国に暮らしたいですか?という問いは明示されませんが確実に心の中に入り込んできます。

お次ぎはフランスの学校給食。専門の料理人が腕によりをかけて作ったメニューと、大量生産された「工業製品」をただ温めただけのアメリカの給食。前者の豪華さを見せつけられた後では、後者は家畜のエサ程度にしか見えません。人工甘味料に添加物の塊のようなコカ・コーラ(これもアメリカの象徴の一つですね)を勧められたフランスの小学生は一口飲んだだけですぐに監督に返してしまいます。食材の美味さを充分に引き出した料理と、ただカロリーを摂取するためだけの「製品」、さてどちらをあなたは食べたいですか?どちらを自分の子供に食べさせたいですか?これも心に深く刺さる問いです。

その他、大学教育が無料なスロベニアに殺人犯までが、清潔な環境でのびのびと過ごせるスエーデンの刑務所など、それぞれをアメリカの現状と比べることで「どちらが良いか?」という問いを観るものに投げかけるつくりとなっています。

答えはいわずもがなでしょう。しかし、核の抑止のために核兵器を持つのが「常識」であるアメリカの指導者たちにはおそらくアメリカの現状を変える気はさらさらないでしょう。かくして、この作品は監督お得意の壮大な皮肉と、権力へのおちょくりになるのです。なかなかの佳作でした。



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by lemgmnsc-bara | 2016-12-18 08:04 | エンターテインメント | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。


by 黄昏ラガーマン
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