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『マッド・アマノの「謝罪の品格」』を読んだ

マッド・アマノの「謝罪の品格」

マッド・アマノ / 平凡社





著者マッド・アマノ氏でまず最初に思い浮かぶのは「パロディスト」という’肩書き’です。かつて一世を風靡した写真週刊誌『FOCUS』の最終ページの、氏の、その時々のトピックスを独自の視点で鋭く切り取ったパロディー写真は同誌の一つの名物でした。

この本もそうしたパロディーが見られるのではないかという期待の下に読んだのですが、その期待は見事に裏切られました。

世に不祥事と呼ばれるモノは無数にありますな。氏はその不祥事の際の謝罪会見の写真を蒐集することが趣味なのだそうです。謝罪会見には様々な利害、打算、深謀遠慮が渦巻いているから、というのがその理由。12年に渡って蒐集したコレクションは約300件にのぼるそうです。

確かにここ数年印象的な謝罪会見が多いような気がしますな。「私は寝てないんだ」と怒鳴り散らした雪印の社長。息子から真実を言うよう促されて偽装を認めたミートホープの社長。船場吉兆のささやき女将。本書では取り上げられていませんが、飛騨牛偽装疑惑の際にもと工場長に責任をなすり付けた社長に、東横イン社長の傲慢謝罪会見・・・。ちょっと考えただけでもこんなに多数の謝罪会見が開かれています。

いうまでもなく、謝罪会見は「世間を騒がした」ことに対して「世間一般」に対してなされるものなのですが、こうした「世間一般に対する謝罪」というのは日本独自の習慣なのだそうです。三田佳子が息子の覚せい剤使用による逮捕の際に開いた会見などはその最たるもの。成人した息子の不祥事に対してなぜ、母親が「謝罪」会見を開かなければいけないのか?この疑問は私も感じました。

マスコミによって流される謝罪会見の情報により、我々一般ピープルはその企業に対しての印象を左右されます。それ故危機管理の一環として謝罪会見は重要になってくる訳ですが、下手な会見のせいで余計傷口を広げたケースも少なくありませんね。アマノ氏は独自の視点でもって各事件を辛口に評しています。パロディストの面目躍如といったところですな。
by lemgmnsc-bara | 2008-12-03 05:16 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

by 黄昏ラガーマン
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