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『歴代プロ野球監督の査定ファイル』を読んだ

歴代プロ野球監督の査定ファイル

宝島社





川上哲治から原辰徳まで、リーグ優勝経験のある監督31名について、データやエピソードをもとにその「監督像」に迫ったのが標題の書。

「名監督」の定義ってなんなんでしょうね?一言で言ってしまえば「優勝回数が多い」ということになるんでしょうが、優勝こそしなくても選手を鼓舞し、ファンの胸を熱くさせた方というのはたくさんいますな。

例えば近鉄時代の仰木彬氏。伝説の10.19ダブルヘッダーあり、日本シリーズでの3連勝4連敗あり、日本中を感動させたり落胆させたりとドラマチックな監督でしたね。後にオリックスで日本一になってますが・・・。

横浜大洋ホエールズ時代の須藤豊氏。高校の後輩である中山投手とともに試合前に母校の校歌を歌って気合いを入れ1−0の完封試合を演出しました。

関根潤三氏。彼の失敗を責めない方針のお陰で広沢、池山の二人がのびのびと野球に取り組み、後の野村監督時代に花開きました。

その他興味深かかったのは1点差ゲームの勝率。31人中ワーストの勝率(.462)を’誇る’のは原監督。他球団から長距離砲を引っこ抜いて来て、二線級のピッチャーを散々打ち込みはするものの、我慢比べとなるエース級との対戦には弱い。2年連続リーグ優勝しているのに「名将」という声が盛り上がらないのはこの辺に原因がありそうですな。管理野球の代名詞の様にいわれる、広岡、森両氏も通算勝率に比べると1点差ゲームの勝率が低いというデータが紹介されており、ちょっと意外でしたね。

この本で一番印象に残ったのは、金田正一氏の言葉。「投げ込みや走り込みはそれに耐えうる体力があると判断してやらせている。その見極め無しに無理矢理やらせてもカラダを壊すだけだ。」威勢のいい言動と、金やんダンスに象徴される派手なパフォーマンスばかりが目立った同氏ですが、実に合理的な考え方です。伊達に400勝してる訳じゃないってのがよくわかりました。同じ「走れ走れ」でも鈴木啓示氏の方は無理矢理な「走れ走れ」だったんじゃないのかな、などと考えちゃいました。
by lemgmnsc-bara | 2008-12-02 20:17 | 読んだ本

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by 黄昏ラガーマン
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