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『マネー・ボール』を読んだ

マネー・ボール
マイケル・ルイス / / ランダムハウス講談社
ISBN : 4270100281
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ヤンキースやメッツ、ドジャースなどの金持ち球団に伍して、常に高い勝率を上げているアスレチックス。GMのビリー・ビーンの人と成り、独特の野球理論、日常の活動などを描写することで、その謎にアプローチしたルポルタージュ。

アスレチックスの強化の柱はドラフトとトレード。一見ごく普通の強化策のように思えますが、ビリー独特の視点に基づき、日本のどこやらの金満球団のように他球団で功成り名を遂げた選手を高いカネでひっぱってきたり、超目玉と言われるような(それゆえ契約金がバカ高くなるような)新人には手を出さずに、お買い得な選手ばかりを引っ張って来ては、つねにプレイオフを狙える位置をキープします。

アスレチックスの基本方針は、「ヒットより四球(打率より出塁率の重視)」、「みすみすアウトをくれてやるような送りバントはしない」「リスクの高い盗塁は狙わせない」。選手を取る際の基準もいかにヒットを打てるかではなくいかに多く四球を選べるかというもの。

ビリーはこの視点に基づき、自軍の中心選手(ヤンキースの主軸を打っているジェイソン・ジオンビーは元アスレチックス)を高額で他球団に売り払い、浮いたカネでドラフトの上位指名権やマイナーでくすぶっている眼鏡にかなった選手、さらには現金まで手に入れたりします。

日本で言えばヤクルトあたりがやや似た方針ですね。成績はいいが年俸の高い外国人選手を放出して、年俸の安い畠山を主軸に抜擢したり、日ハムでレギュラーを取れなかった川島をトレードで取ってトップバッターに起用したり。

ビリーの行動もさることながら、ただ単に球を打って点を取るだけの野球から、様々な見方でデータを解析し、勝利のためには何が必要かについてアプローチしていった数々の素人たちの研究熱心さにも感心させられました。

解説で丸谷才一氏が「野球のみならず、経済学その他の学問にも大いに示唆を与える内容である」との論評を加えていましたがまさにその通り。久しぶりに読み応えのあるスポーツ関連図書でした。
by lemgmnsc-bara | 2008-08-28 19:58 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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