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『水滸伝12 炳乎の章』を読んだ

水滸伝 12 (12) (集英社文庫 き 3-55)
北方 謙三 / / 集英社
ISBN : 4087462080
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『長いお別れ』や『半島を出よ』などという長編を立て続けに読んでいるうちに気がつくと水滸伝の新刊が出ていました。で、早速買い求めてその日から読みはじめました。

今巻では、青蓮寺の探索の手が、本格的に梁山泊の資金源である「闇の塩」に伸び、元締めである廬俊義が捕縛されてしまいます。

廬俊義は、原作では晁蓋の敵である史文恭を討ち果たすくらいで、その功績により梁山泊の副首領におさまってからはたいした活躍もしない人物です。ある中国文学者など「梁山泊の108人の頭領のうちで一番の間抜けだ」とまで言い切っています。

北方版では経済面の最高責任者にふさわしい冷静沈着な人物として設定されており、苛酷な拷問を耐え抜く姿が描かれます。

今巻で大活躍を見せるのは廬俊義の従者燕青。体術の達人としての設定のもと王英率いる致死軍とともに牢獄から廬俊義を助け出します。人間の限界を超えた「死域」を2日間も継続するという超人ぶり。「死域」は普通の武人で精々2時間程度の超人的な活躍の出来る状態と解説されています。ろうそくの火が最後に激しく燃え尽きるようなもので、その状態を過ぎるとまさに精も根も尽き果てて死に至る状態。少々不謹慎かもしれませんが、どうせ死ぬならこういう状態で死んでみたい、と思いました。自分の限界を越えて超人的な活躍をした後に死んで行く・・・かっこいいなぁ!まあ、別に普通の生活の中ではそんな状況にはなりようもありませんが(笑)。

廬俊義奪回のため空になった梁山泊本体を攻めた関勝が、梁山泊を攻め落とさず逆に官軍に見切りをつけ梁山泊軍に投じるところで今巻は終了。

晁蓋亡き後首領になった宋江をつけ狙う暗殺者史文恭は相変わらず不気味な存在のまま生き続けています。宋軍と梁山泊の力が少しづつ拮抗してきました。全面対決が楽しみです。
by lemgmnsc-bara | 2007-10-06 06:58 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

by 黄昏ラガーマン
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