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『職場砂漠 働きすぎの時代の悲劇』を読んだ

職場砂漠 働きすぎの時代の悲劇(朝日新書 58) (朝日新書 58)
岸 宣仁 / / 朝日新聞社出版局
ISBN : 4022731583
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仕事が忙しくて気が滅入っていると「同病相哀れむ」みたいな本ばっかり読んでしまいますね。こういうときこそなにかカタルシスが得られるような小説でも読めばいいんですが(苦笑)。

標題の書は人間関係を含めた過酷な労働環境の下で、病み、苦しんでいたり、自殺に至った人々に関するルポルタージュです。

「上見りゃきりなし、下見りゃきりなし」とは私の母親の口癖ですが、私の「暗黒の3年間」なんぞまだまだ甘っちょろい体験だし、ウチの会社は「人道的」な会社なんじゃないかと思わせられるような事実が数多く描かれています。

労働環境が元で病気にかかったというのに、それを理由に解雇に追い込まれてしまう。これだけでもずいぶんひどいと思いますが、上層部の過酷なプレッシャーが元でうつを発症しついには自殺にまで追い込まれてしまったというのに、会社側は個人の弱さのせいにしてわずかな見舞金でカタをつけようとした、などという例も紹介されています。

さすがに遺族もだまってはおらず、補償や故人の「名誉回復」のために、訴訟に持ち込み「勝利」したという結果も報告されてはいますが、亡くなった人は戻って来ないし、遺族の心の傷が完全に癒えるものではありませんね。

その他にも派遣社員の待遇をめぐる問題や、安倍内閣が導入しようとして世間の猛反発を喰らった「ホワイトカラー・エグゼンプション」などについても触れられています。

私は「会社に裏切られた」という恨みを抱きつつも、転職を決意することなく今の会社に奉職し続けています。転職しても希望の職に就ける見込みが極めて低いことと、心身に様々な問題を抱えた現在の状態のまま新しい生活に挑戦することには非常に不安を感じるからです。こういう本を読んでしまうと、まだまだウチの会社なんかはマシな方なんだと思っちゃいますから、より強くしがみついてやろうという気になってしまい少々悔しいんですけどね(苦笑)。
by lemgmnsc-bara | 2007-08-10 06:44 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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