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『ビートたけしと「団塊」アナキズム 』を読んだ

ビートたけしと「団塊」アナキズム (集英社新書 402B)
神辺 四郎 / / 集英社
ISBN : 4087204022
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今を去ること30年近く前、漫才ブームというのがありました。いまや小説家の島田洋七氏の「B&B」、テレビでその姿を見ない日のない売れっ子の島田紳介を擁する「紳介竜助」、流行語を多数作り出した「ザ・ぼんち」、テレビでは放送できない過激な下ネタこそが面白かった「のりおよしお」、大御所の「やすしきよし」・・・その中で真っ先に人気が出てしかもその人気が落ちなかったのが「ツービート」。相方のきよしはツッコミといってもほとんど合いの手をいれているだけ。たけしが一人でしゃべりまくって笑いをとるという、新しい形式の漫才であるとともに、いわゆる毒舌でもって世の中のタブーを実にうまく笑いにつなげていました。

このビートたけしという人物、私がもっとも影響を受けている人物かも知れません。きちんと考えたネタもさることながら、毒があるというのに思わず笑わずにはいられない、的確なリアクションと比喩。「しゃべり方がたけしに似ている」とよく言われるのですが、しゃべり方ではなく、たとえ話の持ってき方が似ているといって欲しいものです。その場の雰囲気を読み切って相手が気を悪くするすれすれのところでズバリとモノを言って笑いを取る。これこそが普段私が心がけていることです。

本の紹介というよりすっかりビートたけし讃歌になってしまいましたが、この本は「ビートたけし」という人物を題材に、団塊の世代の特徴を解き明かしています。

一方で家父長制などに代表される封建制を色濃く残しながら、他方では経済的に豊かになり大学に通う「余裕」を持つ家庭に育ったのが団塊の世代であり、戦後の民主主義教育を受けて「自由」を謳歌した世代であるとも解説しています。

この世代に育ったたけしは芸人という世間的には軽んじられる立場に身を置き、世の中でタブーとされている様々なことに対して毒舌を吐き、笑いを取ります。作者はこのポジションの取り方について詳細な考察を加えています。

最近でこそ、トーク番組などで一歩引いた位置でおとなしくしてますが、たけしの真骨頂は歯に衣着せぬ毒舌でしかも面白いところにあると思います。それゆえ好き嫌いのはっきり別れる芸人ではあるのですが・・・。

私自身は「TVタックル」でハマコーさんの言葉に苦笑しているだけではなく、鋭い口舌を以て与党も野党も切りまくって欲しいと思います。誰もがわかっていながらなかなか言えないことをずばり言い切ってしまうこと。その姿こそが私があこがれたビートたけしなのですから。
by lemgmnsc-bara | 2007-08-02 23:49 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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