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『野望ー信濃戦雲録第1部』(上・下)を読んだ

野望〈上〉―信濃戦雲録 第1部
井沢 元彦 / / 祥伝社
ISBN : 4396333269
スコア選択: ※※※※



野望〈下〉―信濃戦雲録 第1部
井沢 元彦 / / 祥伝社
ISBN : 4396333277
スコア選択: ※※※※




GWの合間を縫って通勤した際に読んでいたのが標題の本。1冊800ページ近くで上下2巻。読みでがありました。

著者は『逆説の日本史』などで、独特の歴史観を世に問うている井沢元彦氏。今年のNHK大河ドラマの主人公山本勘助と武田晴信(後の信玄)のかかわり合いを軸に、武田家が勢力を伸ばすために、様々な手を用いて信濃の豪族を攻め滅ぼしたり、併呑していく様と、北条、今川との三国同盟、越後の長尾景虎(後の上杉謙信)との戦いなどが描かれています。

井沢氏の作品だけに、すこし宗教じみた話や、恨みや呪いなどの氏の造詣の深さがおりこまれた独特の視点での作品かと思っていたのですが、さにあらず。主要な登場人物の人物像を深く掘り下げて描写し、その人物に軍師たる山本勘助がどう働きかけていき、その働きかけに対してその人物がどう行動するかを克明に描いています。作者名を伏せて読まされたら、司馬遼太郎氏と間違えるのではないかと思うくらい、けれん味のないど真ん中の歴史小説でした。

山本勘助は稀代の策士として様々な権謀術数を駆使して、武田家を勝利に導くべく努力を続けて行きますが、最後は上杉軍との激突し、乱戦の最中、壮絶な戦死を遂げます。標題に第1部とあるということは当然続編があるのでしょうが、舵取りを失った武田家がこの後どうなってしまうのか?早くも続編が読みたくなりました。
by lemgmnsc-bara | 2007-05-10 23:56 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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