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『会社を辞めるのは怖くない』を読んだ

会社を辞めるのは怖くない
江上 剛 / / 幻冬舎
ISBN : 4344980255
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また、この手の本を読んでしまいました。著者は第一勧銀の銀行員から作家に「転職」した江上剛氏。氏は広報部次長や支店長などを歴任後、取締役に手が届くかもしれないというところまで「出世」しますが、合併後のみずほ銀行のオンライントラブルなどの対処の仕方に顧客への愛情が感じられないという理由で49歳の時に早期退職に踏み切ります。

辞めた時の年齢が高かったせいか、転職云々より定年後の身の処し方といった記述が目立ったし、銀行員としてもそれなりに成功された方だったが故に、やや視点が上から見下ろしているという感じがしました。前の会社で要職に就いていたプライドは捨て去るべきだ、とか、秘書にやらせていた事まで自分がやらなきゃいけないからといって、憤慨するな、とか。

私みたいに役職についている訳でもなければ、特別なスキルもない凡庸な人間の処し方についてはあまり触れられていません。わずかに、最終的に戻る場所は家族なのだから、家族は大切にすべし、という所だけは共感できました。ま、当家の場合は従っておかないとあとが怖いっていう方が正解なのですがね。

読み終わって、改めて自分は会社を辞めるのが怖いのか怖くないのか自問してみました。答えはやっぱり「怖い」。では一体何が怖いんでしょう?
①収入の道が断たれる事。これは確かに怖い。
②また収入が断たれることで家族が崩壊してしまう可能性も大です。これだって怖い。
③肩書きがなくなる。これについては何ともいえません。ただ総体的にみると会社に所属していないと身分証明がしにくく借金が気軽にできないという実際のデメリットはありますね。
④今よりも劣悪な環境での労働を余儀なくされる。なんだかんだ言っても現在の職場は私の二つの持病については理解を示してくれています。ただし、世間的にはまだこうした寛容な企業の方が少数派でしょう。産業医と契約する余裕のない企業だって多々あるでしょうし。労働そのものには耐えられても、人間関係に耐えられないでしょうね、いまの精神状態だと。そういう意味ではこれも怖い。
⑤落伍者と見なされる。多分一番の恐怖はこれでしょう。この歳になって言うのもなんですが、まだ私は親の教育の影響を多分に受けています。マインドコントロールと言ってもよいかもしれません。ひとつの企業で勤め上げられない中途半端な奴は次にどこへ行っても通用しない、という思い込みから自由になる事ができません。社会状況として転職がさほどめずらしくなくなってきている昨今でもあり、また友人にも転職を繰り返してステップアップして行った奴も少なくないというのに・・・。

ざっと考えても、これだけの恐怖感がある訳で、これが解消されないうちは、いまの会社にしがみついていかなきゃいけなんでしょうね。アメリカに反発を感じながらも、その軍事力に防衛を頼っている日本みたいなもんでしょうか?あるいは心情的には嫌いだけど、経済的には日本に頼っている中国みたいなもんでしょうか?いずれにしても、私自身の感覚としてはどっちつかずの日々が続いています。
by lemgmnsc-bara | 2007-04-18 23:54 | 読んだ本

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