2007年 04月 03日
『日仏ラグビーとエリサルド』を読んだ
日仏ラグビーとエリサルド
岡島 正明 / / ルネッサンスブックス
ISBN : 4779001528
スコア選択: ※※※※
著者である岡島正明氏は前日本ラグビーフットボール協会執行理事で、フランスに駐在経験があることから、前JAPAN代表ラグビーチームヘッドコーチのジャン・ピエール・エリサルド氏の通訳を務めていた人物です。文中では自らをエリサルド氏の「付き人」と称しています。
エリサルド氏といえば、JAPAN代表チームのヘッドコーチと、フランスのバイヨンヌというチームのディレクターを兼任することが日本協会の(そしておそらくは日本のラグビーファンの大多数の)不興を買って、任期半ば、ワールドカップアジア予選の直前に解任された人物です。
私自身は、基本的なパワーと体格で劣る日本人が世界を相手にするには、ディフェンスを固めた上で、数少ないチャンスは、スピードと継続で勝負するしかないと考えていたので、パワー中心の南半球スタイルを追求するよりは、フランス流の動き回るシャンパンラグビーを取り入れたほうが面白いと常々思っていました。で、そこにフランスの一流のコーチが就任したわけですから期待してましたよ、本当に。
ところが、就任後初の本格的国際試合となったパシフィックファイブネーションズ、イタリアとのテストマッチともに惨敗に次ぐ惨敗。肝心なところでのノックオンやスローフォワードなどの単純なミス。ずるずる押されるスクラム。何をとってもいいところがありませんでした。指導力への不信感が高まる中で、日本に常駐せずにフランスのチームの指導にも当たるとの報道・・・。「そんな暇があったらもっとJAPANのために時間を使って強化しろ!!」大半の日本人はそう思ったはずです。で、結局は「契約違反」を理由に解任。当たり前の話だと私も思っていました。
この本はエリサルド氏がフランス国内でいかに優秀な人物と評されているかに、まず言及しています。プレーヤーとしてもフランス代表チームで活躍し、27歳の若さでクラブチームのプレイングマネージャーに就任するや否や、低迷していたチームをフランス選手権を争うチームにまで育て上げた手腕を紹介しています。
その上で、彼がその手腕を発揮できなかったのは、日仏のカルチャーギャップと、それを解消しようとせずに、エリサルド氏ひとりに責任を負わせる形で解任した日本協会に原因があるとも述べています。
強豪チームのほとんどが、企業を母体とするため、所属チームの都合を優先せざるを得ず、チームとしての機能を強化する期間がほとんどない現状・・・。こんなことでは誰がやったってJAPANは勝てっこありません。
後任のジョン・カーワン氏はアジア予選突破を果たすなどそれなりの実績をあげていますし、もちろんワールドカップ本番に向けて、様々にJAPANを強化してくれることでしょう。今となっては叶わぬことですが、もう少し長いレンジでエリサルド氏に任せるという選択肢もあったのではないかという気がします。
最後に、この本は日仏の比較文化論としても、フランスラグビーと英4国のラグビーの比較論としても興味深く読むことが出来ます。同じような白人同士でも、フランスはラテンの血を引く喧嘩っ早さが特徴だし、イングランドは紳士然としている、シックスネーションズなどでみる両チームはまさにこの通りですな。
岡島 正明 / / ルネッサンスブックス
ISBN : 4779001528
スコア選択: ※※※※
著者である岡島正明氏は前日本ラグビーフットボール協会執行理事で、フランスに駐在経験があることから、前JAPAN代表ラグビーチームヘッドコーチのジャン・ピエール・エリサルド氏の通訳を務めていた人物です。文中では自らをエリサルド氏の「付き人」と称しています。
エリサルド氏といえば、JAPAN代表チームのヘッドコーチと、フランスのバイヨンヌというチームのディレクターを兼任することが日本協会の(そしておそらくは日本のラグビーファンの大多数の)不興を買って、任期半ば、ワールドカップアジア予選の直前に解任された人物です。
私自身は、基本的なパワーと体格で劣る日本人が世界を相手にするには、ディフェンスを固めた上で、数少ないチャンスは、スピードと継続で勝負するしかないと考えていたので、パワー中心の南半球スタイルを追求するよりは、フランス流の動き回るシャンパンラグビーを取り入れたほうが面白いと常々思っていました。で、そこにフランスの一流のコーチが就任したわけですから期待してましたよ、本当に。
ところが、就任後初の本格的国際試合となったパシフィックファイブネーションズ、イタリアとのテストマッチともに惨敗に次ぐ惨敗。肝心なところでのノックオンやスローフォワードなどの単純なミス。ずるずる押されるスクラム。何をとってもいいところがありませんでした。指導力への不信感が高まる中で、日本に常駐せずにフランスのチームの指導にも当たるとの報道・・・。「そんな暇があったらもっとJAPANのために時間を使って強化しろ!!」大半の日本人はそう思ったはずです。で、結局は「契約違反」を理由に解任。当たり前の話だと私も思っていました。
この本はエリサルド氏がフランス国内でいかに優秀な人物と評されているかに、まず言及しています。プレーヤーとしてもフランス代表チームで活躍し、27歳の若さでクラブチームのプレイングマネージャーに就任するや否や、低迷していたチームをフランス選手権を争うチームにまで育て上げた手腕を紹介しています。
その上で、彼がその手腕を発揮できなかったのは、日仏のカルチャーギャップと、それを解消しようとせずに、エリサルド氏ひとりに責任を負わせる形で解任した日本協会に原因があるとも述べています。
強豪チームのほとんどが、企業を母体とするため、所属チームの都合を優先せざるを得ず、チームとしての機能を強化する期間がほとんどない現状・・・。こんなことでは誰がやったってJAPANは勝てっこありません。
後任のジョン・カーワン氏はアジア予選突破を果たすなどそれなりの実績をあげていますし、もちろんワールドカップ本番に向けて、様々にJAPANを強化してくれることでしょう。今となっては叶わぬことですが、もう少し長いレンジでエリサルド氏に任せるという選択肢もあったのではないかという気がします。
最後に、この本は日仏の比較文化論としても、フランスラグビーと英4国のラグビーの比較論としても興味深く読むことが出来ます。同じような白人同士でも、フランスはラテンの血を引く喧嘩っ早さが特徴だし、イングランドは紳士然としている、シックスネーションズなどでみる両チームはまさにこの通りですな。
by lemgmnsc-bara
| 2007-04-03 20:50
| 読んだ本