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『水滸伝6風塵の章』を読んだ

水滸伝 6 (6)
北方 謙三 / / 集英社
ISBN : 4087461335
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今月の新刊コーナーに並んでいたのを即買って、即読み始めました。豪傑たちが山に集っていく物語だというのに私の『積ん読』山に積まれる事はありません。

前巻の青面獣楊志の「戦死」があまりにも衝撃的だったため、主要な登場人物が死なない今回は淡々と物語が進んで行くという印象。ただし、またもや重要な人物が死ぬかもしれないという伏線がちらり。青蓮寺の暗殺集団が呉用を標的にするという決定を下したのです。呉用といえば三国志でいうところの孔明と同じ役割で、梁山泊軍には欠かせない軍師のはずです。そんな重要人物を死なせちゃっていいんでしょうかね?原作では単なる乱暴者として描かれている阮小五が軍師としての教育をうけているという設定を考え合わせると、あり得ない話ではないな、という気がしますな。

原作では清風山で囚われの身となり、宋江や花栄に散々掻き口説かれながらも、官軍への忠誠心を捨てきれずに、青州に帰陣しようとしたところ、既に賊軍に与したと判断され、妻子を殺されてようやく梁山泊入りの意思を固めた秦明も、魯達(魯智深)と一晩語り明かしただけで、あっさりと仲間入りし、二竜山の軍の指揮官となります。これもなんだか拍子抜け。

今巻を読んで感じたのは、この水滸伝は企業小説としても読めるということ。既存の大メーカーに戦いを仕掛ける新興のメーカー。最初は実力差がはっきりしていたが、首脳部の方針を着実に実行し成果を上げて行く実務部隊。勢力の拡大にしたがって、エリートの他に一芸に秀でた異能の者たちが集結し、各々の才能を活かして組織を活性化してゆく。大きな支店の優秀な支店長が倒れてしまった後にはライバル企業から優秀な人間をヘッドハントして、任にあたらせる。これぞと見込んだ人間には英才教育を施して育て上げて行く・・・。まさに理想の集団ですな。本当はこんなサラリーマン生活にどっぷりと浸ったような視点でこの物語を眺めたくはないのですが、20年近くもサラリーマンやっちゃうと、なかなかそういう視点は変えられませんね。ちょっと悲しいですが・・・。
by lemgmnsc-bara | 2007-03-24 23:57 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

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