『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』を読んだ

清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実 (文春e-book)

鈴木忠平/文藝春秋

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覚せい剤使用で、自らの栄光の日々に泥を塗ってしまったのが清原和博氏。彼が一番輝いていたのは、高校時代の甲子園。こちらももはや昔日の輝きを失った(輝きも何も、野球部そのものがなくなっちゃいましたね…)高校野球の名門PL学園で1年生から4番に据わり快打を連発していた頃です。

彼が在学中の甲子園は5度。そのすべてに出場し、うち二回は全国優勝を遂げました。彼個人としては13本のホームラン(これは現在に至るまで高校球児が甲子園ではなったホームランの最多記録であり続けています)を放ち、「天才」、「怪物」の名をほしいままにしていましたね。

標題の書は、清原氏にホームランを打たれた人の投手たちの「それまで」と「それから」を描いたルポルタージュ集です。これに記事が掲載されたらまずメシの食いっぱぐれは無いといわれている一流スポーツ雑誌「Number」に連載されたものを集めて編んだ一冊です。

清原選手に本塁打を打たれた投手は9人。9人の高校球児がいれば9通りの野球人生があります。彼らがどんな思いで日々を過ごし、甲子園を勝ち取ったのか?そして彼らの球をスタンドに放り込んだ清原選手はどんな存在だったのか?これを、清原氏の視点を一切交えることなく、すべて彼と相対した人物の視点で描き、清原氏の怪物ぶりを際立たせています。見事な構成です。のちにプロで対決することとなる投手もいれば、彼に打たれたホームランによって、その後の人生ががらりと変わってしまった投手たちの姿も描かれます。あの時の清原氏は一人の選手というよりも、高校野球界をゆるがした一つのムーブメントそのものであったと言えますね。実に大きな存在でした。

時たま間に挟まれていた高校時代の清原氏の初々しいこと。金髪にピアス、刺青に過剰なほどのマッチョ体型(その後ブックブクのおデブちゃんに変わっちゃいましたが…)という後年の姿からは想像もつかないような、ひたむきな野球少年の姿がそこにはありました。こんな野球少年がどうして薬物に手を出すような不良中年になってしまったのか…?やっぱりそこには桑田単独指名という驚愕の結果となった、ドラフト会議の影響を挙げざるを得ません。あそこで本人の希望通りに巨人に入っていたら…というifをどうしても考えてしまいます。後年、功なり名を遂げてFAで巨人入りしますが、チャンスに打てないでブーイングを浴びていたというイメージしかありません。巨人での最晩年は「番長」などと呼ばれて一部のマスコミに祭り上げられていましたが、トラブルメーカーでしかなかったような気がします。そこでのストレスが彼に覚せい剤という魔のクスリを選ばせてしまったのでしょう。過去が輝かしければ輝かしいほど、自分の現状が惨めに思えたのではないでしょうか。

今の清原氏は落ちるところまで落ちたという感があります。しっかりと更生して何らかの形で野球に携われる日がくるといいですね。





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by lemgmnsc-bara | 2017-08-06 19:00 | 読んだ本 | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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