『ザ・ギフト』鑑賞

ザ・ギフト[Blu-ray]

ジェイソン・ベイトマン,レベッカ・ホール/バップ

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人は一人も死なないし、血もほとんど流れないサイコサスペンスホラー。

サイモンとロビンの夫婦はサイモンの郷里の街にシカゴから引っ越してきました。引越し先は大きくて豪華な邸宅。サイモンの収入が高いことが示されます。

ショッピングセンターで買い物をしていた二人の前に現れ、サイモンに声をかけてきたのはゴードという男性。サイモンは最初誰だかわかりませんでしたが、やがてゴードが高校時代の友人であることに気づきます。親しげな会話を交わした二人は再会を約して別れますが、ゴードはすぐさま引っ越し祝いのワインを持参して夫妻の家を訪問します。ワインのお礼にとロビンはゴートを夕食に招待しますが、サイモンはあまりいい顔をしません。

その翌日、玄関先には何故か魚の餌が…。いぶかしがる二人ですが、邸宅の池には立派な鯉が何匹も放たれていました。この辺で少々不気味さが漂います。このゴードという男が、映画の題名どおり、次々と一方的に贈り物を贈りつけてきて、拒否したとたん、一気に憎悪の塊となって、夫妻に襲い掛かる、というストーリーを予想したのですが、その予想は完全に裏切られます。もっともっと話は複雑でした。

ゴードはロビンが一人でいる時に頻繁に家に出入りするようになります。ここでサイモンはゴードの狙いがロビンにあるのではないかと疑いを持ち始めます。ゴードは次に夫妻を夕食に招待します。せっかく招待したにもかかわらず、いきなり、急な電話がかかってきたという理由でゴードは外出してしまいます。この不可解な行動に際し、サイモンは高校時代にゴードは「不気味のゴード」というあだ名で呼ばれていたということを思い出します。普通は最初にそういうあだ名から思い出すんじゃねーのかよ?というツッコミを入れたくなるのですが、まあ、ここはゴードの不気味さを高める演出だと理解しておきましょう。戻ってきたゴードにサイモンは二度と夫妻に近づくな、という警告を発してゴード家を後にします。しかしゴードからの贈り物攻撃は止みませんでした。

たまりかねて、招待された家に乗り込んでゴードとサシで話をつけようとしたサイモンですが、その家はゴードのものではなく、別の夫婦のものでした。さらに、池の鯉がすべて死んだり、夫妻の飼い犬が行方不明になったり、ロビンがいきなり意識不明になったり・・・。いかにもゴードがサイコパスなんじゃないか、って思わせる作りなんですが、繰り返し言います。お話はそんなに単純じゃありません。

サイモンのゴードに対する態度に不信感を抱いたロビンはゴードについて調べ始めます。するとそこには驚愕の事実が。ゴードは高校時代に上級生から性的暴行を受けたという事実無根のうわさをサイモンに流され、そのことが原因で、その後の人生がめちゃくちゃになってしまっていたのでした。いかにも、な展開を一気に逆転するストーリー展開にはうならされましたね。映画の中でも語られる箴言に「君は過去を忘れるが、過去は君を忘れない」というのがありましたが、その通り。自分自身はたいしたことのないおふざけをやったつもりしかなくても、それを仕掛けられた本人には重大な結果をもたらしていて、しかもそのことに仕掛けた本人はまったく気づいていない。わが身を振り返って考えてみても、こういうことで、知らぬは本人ばかりなりという恨みを買っている可能性は多々あります。心当たりがありすぎて見当がつきません…。これがこの映画を観て感じる最大の恐怖でした。

さて、ストーリーは実は本当の悪人はサイモンだ、という論調で後半部分が進んでいきます。ロビンからゴードへの謝罪を求められていながら、実際には謝るどころが暴行を加えてみたり、会社では、出世争いのライバルの不正をでっち上げて蹴落とそうとしてみたり・・・。こんなサイモンに愛想をつかしたロビンは、子供を生んだ後にサイモンとは別の道を歩もうと決意します。

で、ここに最後の、恐怖に満ちた謎が発生します。そしてその謎の答えは示されません。消化不良というべきか、後々まで残る余韻というべきか…。私は後者を採りたいと思います。もっとも愛した人間と愛するはずだった人間を疑わなければならないという情況こそ人間にとってもっとも恐怖すべき情況ではないでしょうか?期待せずに観た作品ですが、なかなかいろいろ考えさせられました。佳作です。

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by lemgmnsc-bara | 2017-07-22 09:24 | エンターテインメント | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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