『殿、利息でござる!』鑑賞

殿、利息でござる! [Blu-ray]

阿部サダヲ,瑛太,妻夫木聡,竹内結子,寺脇康文/松竹

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実話を基にした時代劇。タイトルからして、困窮した藩の財政をあずかる家臣がその立て直しを図る物語かと勝手に想像していましたが、さにあらず。

舞台は江戸中期の仙台藩領内の宿場町吉岡。宮城県在住5年余におよんだ私も恥ずかしながら初めて聞く地名でした。物語は茶商の菅原屋が京からその令室とともに帰郷するところから始まります。遠くから駆け寄ってくるのは吉岡宿の肝煎、遠藤。てっきり自分を歓迎してくれると思った菅原屋ですが、遠藤は令室が乗っていた馬を無理矢理に借り受けると、また走り去ってしまいます。前の宿場から物資の引き継ぎを受け、それを次の宿場に運ぶ伝馬役に使用する馬が足りなかったためでした。

このエピソードから、当時の吉岡宿を取り巻く苦難の状況がすべて語られる、というなかなか上手い導入部分でした。この時点ですでに吉岡宿は死にかけていたのです。

菅原屋は茶の栽培に腐心しながらも、宿場町の行く末に不安を覚えていました。そんな時に宿の居酒屋で、死を賭して上訴しようとしていた、造り酒屋穀田屋十三郎とたまたまあってしまいます。宿の行く末を考えると、酔ってなどいる場合ではないが、飲まずにはおれぬ、という不安な穀田屋の様子を阿部サダヲが上手く演じていました。酒席での気安さからか菅原屋は、藩主にカネを貸して、その利息分として伝馬役の費用負担を願い出る、という当時としては破天荒な策をあくまでもヨタ話として展開します。

ところが、このヨタ話を穀田屋が真に受けて、その実現のために走り出します。慌てた菅原屋は穀田屋を止めようと肝煎に相談しますが、肝煎も宿の行く末に気を揉んでおり双手を上げて大賛成。それでは、と大肝煎に話を持っていくと、こちらもこの話に感動して乗ってきます。ホンのちょっとした思いつきが様々な人を巻き込んで、思いつきの当人の意向とは全くズレて大きく大きく「成長」していく…。なかなか凝ったストーリー展開ですね。

プロジェクトの推進役こそ決まったものの、肝心のオカネのアテはないまま。言い出しっぺの菅原屋を始めとする「金貸し委員会」は私有財産を整理して何とかオカネを作り出しますが、彼らだけでは全然足りない。そこで、何とか仲間を増やそうと奮闘する姿がメインストーリーとなります。これだけなら、単なるコミカルな映画で終わってしまうのですが、最後には大きな人情話が待っています。この作品の原作である『無私の日本人』に感動した人が、制作の一翼を担った東日本放送勤務の娘にこの本を紹介し、そこから様々なエラい方々に感動の連鎖を呼んで、制作されたのがこの映画であるというエピソードがウィキペディアに出ていましたが、読む人読む人に感動を与えたであろう部分はこの人情話の部分であろうと思われます。とにかくいいオハナシなんです。

ストーリーとは無関係に、藩の財政の最高責任者を演じた松田龍平のマゲヅラの似合わなさが特筆もの。彼に関しては少々声が高いところもマイナスポイントかな?まあ、父親のイメージに引っ張られ過ぎてるってオハナシもありますがね…。その他仙台を舞台にしているということで地元の英雄羽生弓弦氏が最後に藩主役で登場したのも公開当初は話題となりましたね。なかなかの佳作だったと思います。



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by lemgmnsc-bara | 2017-05-07 08:17 | エンターテインメント | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。


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