『熱狂の王 ドナルド・トランプ』を読んだ


先ごろ行われたG20では、さまざまな議題を全部吹っ飛ばす勢いで、トランプ大統領が掲げた、アメリカ第一の保護主義への対策が議論されたとのことです。2017年に入り、アメリカの実権を掌握したトランプ氏は、アメリカという巨大な「ドル箱(文字通り!!)」を掌中の玉としてもてあそんでいるような印象があります。始まったばかりだというのにはやくも世界各国を周章狼狽させる、山っ気たっぷりなこのおじさんにアメリカの、いや世界の舵取りができるのか大いに不安が募るところです。

標題の一冊は、トランプ氏の人となりを克明に調べ上げた半生記。どのような生い立ちで、どのような生育過程を経たらあのような人物が出来上がるのかについて、興味深いエピソードがずらりと並んでいます。氏がビジネスマンとして一定の手腕を持っているのは明らか。ニューヨークの一等地に、ドデカイ上に、住んでいるのはセレブばかり、入っているのは高級ブランドばかりという物件を持ち、維持運営していくのは並大抵の才覚ではありません。のみならず世界各地にも同じような物件をたくさん抱え、きちんと利益を出しているのですから、少なくとも知能が低い人物ではないことは事実です。

ただし、この方、商売の才覚はあっても人格的に少々難ありのようです。だまって金儲けしてればいいものを、いささか病的なまでの目立ちたがり屋という側面も持ち合わせていますね。せいぜい自社物件に「トランプ~」って命名するくらいでとどめておけばいい(日本にも森家が運営する「森ビル」ってのがあります)ものを、一番目立つ大統領選に打って出てきてしまった。しかもなまじ商才があるだけに、アメリカの大衆に内在する欲望を見抜き、その充足を公約としてしまった。結果として彼の国の選挙権を持たない他国の大衆がワリを食うというわけです。いやはや。

氏の基本的心象にあるのは「勝てば官軍」。目標達成のためなら何でもやる。その熱意自身は悪いことではないのですが、この方の場合はちょっと方角がずれているような気がしますね。氏が現有資産の大半を稼いだ大規模な不動産取引に際しては、限りなくブラックに近いグレーな手法が用いられています。政治家にカネを贈ることもあれば、日本で言うところの反社会勢力にモノをいわすこともある。氏が、大統領という職を「ビジネス」ととらえて取り組んだときに、どんな暴走が始まるのか見当がつきません。

我々としては一刻も早く4年が過ぎ去ることを祈るしかありません。あとは「ジジイ蕩し」がお得意の安倍首相に、うまく立ち回ってもらうくらいのことしか考え付きません。トランプ氏の出現が後の世の大きな禍につながった、などという記述が後世の歴史書に残るような事態にだけはなってほしくないものです。

[PR]
by lemgmnsc-bara | 2017-03-25 07:39 | 読んだ本 | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。


by 黄昏ラガーマン
プロフィールを見る
画像一覧