『阪神タイガース」「黒歴史」』を読んだ

阪神タイガース「黒歴史」 (講談社+α新書)

平井 隆司/講談社

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ベテランの虎番記者平井隆司氏による題名通りの黒歴史書。阪神タイガースに起こった、様々なトラブルを紹介しその背景にアプローチすることで、この球団が持つ不思議な「人気」に迫っています。

ライバル巨人には戦績で大きく水をあけられていながら、何故タイガースは愛されるのか?ごく荒っぽく一言で言ってしまえばタイガースは「関西人のおもちゃ」なんです。

日本の中心を東京なんていう「辺境の地」に持っていかれてしまった、かつての都の所在地、京阪神に住まう人々にとっては、タイガースは東京偏重に対するアンチテーゼの象徴的存在です。特に「東京」の名を冠した巨人をタイガースがやっつけることで溜飲を下げている関西人は多いはずです。(ヤクルトだって東京ってついてるぞ、というツッコミもあろうと思いますが、ヤクルトが東京をその名に戴いたのはつい最近のこと。プロ野球の草創期からあり続ける巨人こそが「東京の象徴」なのだ、と返しておきたいと思います 笑)そしてこのことこそがタイガースのアイデンティティーであるはずです。

しかし、このアイデンティティーを自ら否定してしまうのもまたタイガース。「最後の最後まで競って、負けるのが一番。客は入るし、選手の給料は上げずに済む」という主旨の発言をしたフロントのお偉いさんがいたそうです。「アホか?何いうとんねん!!」と関西人が総突っ込みを入れたであろうことは容易に想像がつきます。そしてこの「経営方針」はやがて、さまざまな事件を生み出す元凶となるのです。

強化にカネを使いたい指揮官と、カネを出したくない経営者。この対立構造に様々な人間関係が絡み合って、お家騒動が年中行事。野次馬根性が旺盛な関西人の皆様を刺激する機能をとことんまで突き詰めて持っているのがタイガースなのです。

ファンは勝てば喝采、負けても酒のサカナとして十分楽しめるという訳です。川藤幸三選手などはまさにこの体質を体現した選手であり、実績は大したことなくても愛される原因はここにあります。実に合理的な娯楽ですね。

巨人ファンの私としては、文字通り対岸の火事で、無責任に眺めているだけです。しかしタイガースが強い時はセリーグ全体が盛り上がり、関西の経済までが活性化するというのは事実です。ゴタゴタは起こさずに強力なライバルとして純粋に野球で競って欲しいですね。



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by lemgmnsc-bara | 2016-03-13 06:54 | 読んだ本 | Comments(0)

なんだかんだで読んだ本のことばっかり書いてます。たまに映画、時々食い物とドライブとラグビー観戦。
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