2016年 02月 22日
『アイルランドを知れば日本がわかる』を読んだ
アイルランド大使を務めたことのある林景一氏のアイルランド紹介本。アイルランドは漢字では「愛蘭土」と書くそうですが、その字面の通り、アイルランドへの愛に満ちています。
アイルランドと言われてまず頭に浮かぶのはどんなことでしょうか?実は「イギリスの一部」とか「北極の近くの国」と答える日本人は多いのだそうです。アイルランドはイギリスの支配下にあったことはあっても、現在は歴とした独立国ですし、北極の近くの島国は「アイスランド」です。彼の地に対する、日本人の認知度の低さがうかがえるエピソードですね。
私はまず何といってもラグビーを思い出します。2015年のワールドカップではベスト8進出、2011年の大会ではオーストラリアを破るという金星を挙げています。もちろん日本はナショナルチームはもとより、一つ下のグレードのチームであるアイルランド15(いわゆる選抜)にも、アイルランド学生選抜にも勝ったことがありません。この本には載っていなかった、ラグビーに関する雑学を一つ。その名もズバリ「アイリッシュ」というサインプレーがあります。ペナルティーキックを得て、チョン蹴りからプレーを再開する際に、ボールをチョン蹴りするプレーヤー以外のプレーヤーがすべて横一線に並ぶという陣形を取ります。ディフェンス側にとっては、どのプレーヤーがボールを持つか、本当に直前までわからないので非常に守りにくい陣形です。実際にアイルランドがこのプレーで、あのオールブラックスからトライを取ったシーンを観たことがあります。
それからアイリッシュウイスキー。スコッチと違って、麦芽を煎る際にピートを使わない上、3度蒸留するので、クセのないスムーズな口当たりとなります。ジェムソン、ブッシュミルズ、タラモアデューあたりが代表的なブランドですかね。ちなみに世界五大ウイスキー(スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズ)のうちアイリッシュとアメリカンだけがWhiskeyと表記します。この本で繰り返し語られるのがアイルランドをルーツとする人物のアメリカ社会に与える影響力の強さ。その影響力を物語る一つの例なのかもしれませんね。
標題に「日本がわかる」とあるように、アイルランドと日本の、同じ点、異なる点を考えてみることは大いに有益だと思います。特に英国と愛国の関係を日本と韓国(及び北朝鮮)に置き換えて考えることは、今後の日韓関係を考える上で参考になる点が多いようです。様々な軋轢が絶えない昨今、一考の価値はあるように思います。
またアイルランドは謎多き民族、ケルトの本拠地でもあります。いろいろと面白そうな国だと改めて思いました。一度是非訪れてみたいと感じさせてくれる一冊でしたね。
by lemgmnsc-bara
| 2016-02-22 05:40
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