2015年 09月 11日
『ハプスブルグ歴史物語』を読んだ
当家の新婚旅行はドイツとオーストリアでした。大学の第二外国語ではフランス語を選択し、音楽や美術にもさほど興味のなかった私は、フランスに行きたかったのですが、最高権力者様に押し切られました(笑)。
彼の地の石造りのしっかりとした建物と、昔ながらの建物を使い続ける持続性が結構なカルチャーショックでした。
で、彼の地を語るときに避けて通れないのがハプスブルグ家。双頭の鷲の紋章を頂く、欧州きっての名族です。この一族はオーストリアを中心に、スペインやイタリアなどに娘や息子を送り込む婚姻外交を繰り広げ、一時は日の沈まない帝国を作り上げました。
表題の書は、ハプスブルグ家の隆盛から没落までを描くことで、ヨーロッパの歴史を概観し、帝国主義から民主主義への移り変わりを語るとともに、ハプスブルグ家の隆盛時にその首都ウイーンを闊歩した「有名人」たちを紹介しています。モーツァルトにベートーベン、フロイトからヒットラーまで、さまざまな分野に大きな足跡を残した人物たちは当時の最先端都市であったウィーンで認められたことで、後世まで名を残すビッグネームになれたのです。
しかしながら、ハプスブルグ家の没落とともにウイーンもまた没落していきます。いまや往時の遺産だけで食いつなぐ観光都市という一面のみが大きく取り上げられているのみです。まさに古都。京都と一緒ですね(失礼)。
内容はなかなか面白かったのですが、残念ながら語り口が平板すぎて、やや退屈しました。歴史の教科書を読んでいる気分にさせられたと言ってよいですね。さほど厚くない一冊でしたので、かなり内容を削ってホンのアウトラインしか書いていないのだろうと思います。我々の日常だって、文章にしたらホンの数行でまとめられちゃいますが、その間の心の動きを克明に記そうとすれば、本が一冊かけるほどの分量になることでしょう。ハプスブルグ家の物語もまったく同じこと。それこそ百科事典並みになってしまいますね。まあ、そういう意味ではまったくの初心者が取っ掛かりをつかむには適していたと思います。
本当はこういう本こそ、行く前に読んでおくべきものだようなぁ…、と早20年近昔のことを懐かしく思い出しました。
by lemgmnsc-bara
| 2015-09-11 14:11
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