人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『夢をかなえるゾウ』を読んだ

夢をかなえるゾウ 文庫版

水野敬也 / 飛鳥新社

スコア:




82万部を売り上げた、大ベストセラー。流行に乗り遅れること4年にしてようやく読んでみました。

自己啓発本ではありますが、一応小説の体裁をとっています。主人公は冴えない独身のサラリーマン。ある日、仕事の関係でセレブがたくさん集まるパーティーに出席した主人公は、彼我のあまりの違いに絶望感を感じ、泥酔して家に帰り、記憶のないまま、インド土産の神の像(ゾウをかたどった神)に泣きながら現在の生活の閉塞感を訴えました。するとその翌日、その神の像からご本尊のゾウ(ガネーシャ)が出現し…、という導入部はなかなか秀逸。がっちり掴まれちゃいました。

内容的にはいわゆる自己啓発本の典型。目標を定め、その目標と現実との差を埋めるためにどうして行くか?というのが主な内容。そしてその問いかけへの答えは、身近な細かいことに関する改善を重ねて行くこと。靴をきちんと磨くことから始まり、如何にまわりの人間に支えられているかを感じ取り、そしてその人々や、ひいては社会に対してどのように感じた恩を返していくか、ってなところですかね。

この本の特色は、その語り部をガネーシャという関西弁を操る非常に人間臭い(とりわけ50前後のオッサン臭い)ゾウというキャラクターにゆだねているところです。関西弁で言うところの「アホ」には愛情や慈しみ、時には賞賛の意まで含まれる、という特色をうまく利用し、結構キツいことでもさらりと言ってのけてしまう。そして最初はいやいやながら従っていた主人公は最後にはガネーシャの教えを素直に受け入れて、自分自身を向上させて行く、というわけです。

なにしろ、この本はガネーシャというキャラクターを作り上げた時点で勝ち。ようするにオモロいんです。読みやすい本ですが、読み飛ばしてはいけない示唆に富んだ内容の一冊でした。
by lemgmnsc-bara | 2014-06-07 08:01 | 読んだ本

映画、演劇、お笑い、あまり肩の凝らない小説等々…、基本的にエンターテインメント系に特化したブログにします。

by 黄昏ラガーマン
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31